共同生活援助

グループホームの記録の書き方と文例集|日々の支援・夜間・帰省・入院・事故・身体拘束の記入例

公開: 2026年11月6日更新: 2026年11月6日

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グループホームの記録で迷うのは、「何を書けば足りるのか」と「毎日どこまで書くのか」の2点です。答えは条文にあります。共同生活援助では、提供日と内容などのサービス提供記録、共同生活援助計画、身体拘束等、苦情、事故、市町村への通知の6種類を、提供した日から5年間保存します1。本記事は、この6種類に帰省・入院・金銭の手続の記録を加えて、場面別の文例と、それぞれの文例が満たす要件を整理します。

この記事の範囲:文例はすべて当サイトが作成した架空の例で、告示・通知の様式ではありません。記録項目の根拠は運営基準と通知、厚生労働省のガイドラインによります。ガイドラインと通知は省令そのものではなく、国の考え方を示す資料です。書き方の工夫は当サイトの整理で、法令の要件ではありません。障害の診断や行動の原因の推定は扱いません。見立てが必要な場面は、主治医や相談支援専門員につないでください。

グループホームで義務づけられている記録の一覧#

共同生活援助の運営基準は、療養介護の条文を読み替えて準用する形で書かれています。第75条は第213条で準用され、次の記録が整備と保存の対象です1。

記録根拠書く内容保存
共同生活援助計画第58条・第75条第2項第1号個別支援計画5年
サービスの提供の記録第53条の2・第75条第2項第2号提供日、内容その他必要な事項5年
市町村への通知に係る記録第88条・第75条第2項第3号利用者が、正当な理由なく利用に関する指示に従わず障害の状態等を悪化させたと認められるとき、又は偽りその他不正な行為で給付費を受け、若しくは受けようとしたときの市町村への通知(意見を付す)5年
身体拘束等の記録第35条の2第2項・第75条第2項第4号態様及び時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由その他必要な事項5年
苦情の内容等の記録第39条第2項・第75条第2項第5号苦情の内容等5年
事故の記録第40条第2項・第75条第2項第6号事故の状況、事故に際して採った処置5年

これとは別に、次の記録もあります。

  • 従業者、設備、備品、会計の諸記録:第75条第1項で整備が求められます1。
  • 食材料費の記録:解釈通知は、共同生活援助で準用する第75条について、食材料費の透明性を確保する観点から、利用者から徴収した食材料費にかかる記録を含むとしています2。
  • 入退居の記載と報告:入居・退居の際は、事業者の名称、入居又は退居の年月日などを受給者証に記載し、遅滞なく市町村に報告します(第210条の3)1。
  • 地域連携推進会議の記録:報告した内容や要望・助言等を記録し、5年間保存して公表します3。詳しくはグループホームの地域連携推進会議を参照してください。

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日々の記録は後からまとめて書いてもよいのか#

ここは居宅介護と扱いが違います。居宅介護の第19条について、解釈通知は「後日一括して記録するのではなく、サービスの提供の都度記録」するよう求めています2。

共同生活援助が準用するのは第53条の2です。解釈通知は、提供日、提供したサービスの具体的内容、利用者負担額等の利用者に伝達すべき必要な事項について「記録を適切に行うことができる場合」は、「後日一括して記録することも差し支えない」としています2。

つまり、第53条の2の提供記録を後日にまとめること自体は違反ではありません。ただし、適切に記録できることが条件で、これは提供記録の話です。請求に使うサービス提供実績記録票の扱いは別に確認してください。夜勤明けの申し送りや週末の出来事を週明けに思い出して書く運用は、内容が曖昧になりやすいので、当日か翌朝までに書く決まりにしておくのが無難です。また、記録について利用者の確認を得る義務は、まとめて書く場合も残ります(第53条の2第2項)12。

書き方の3つの原則#

条文が求める項目を埋めたうえで、次の3点を守ると、読み返せる記録になります。いずれも当サイトの整理です。

  1. 本人の発言と、職員が見たことを分ける。発言はかぎかっこで残します。「嘘をついている」「わがまま」といった評価は書きません。話が事実と食い違う場面の書き方は利用者の話が事実と食い違うときで扱っています。
  2. 本人の意向を残す。ガイドラインは、食事、衣服の洗濯、外出、入浴などの場面で、利用者の意向を聞き、その思いを受け止めた上で支援方法を決定することが重要としています4。「声かけした」で終わらせず、本人がどう答え、どう決めたかまで書きます。
  3. 個別支援計画とつなげる。日々の支援は個別支援計画に基づいて提供されるものです4。文例の「計画の目標に関する様子」のように、計画のどの項目に関わる支援かが分かる書き方にすると、モニタリングで使えます。

場面別の文例#

文例の利用者、日時、数字はすべて架空です。

1. 日々の支援(夕方〜就寝前)#

満たす要件:提供日、内容その他必要な事項、利用者の確認(第53条の2)1

  • 避けたい例:「夕食を食べた。特に変わりなし。」
  • 文例:「11月5日(木)17:30 帰宅。夕食の調理は本人が『今日は野菜を切る』と希望し、世話人と一緒に行った。包丁の扱いに声かけは不要だった。19:00 全量摂取。計画の目標『自分で献立を選ぶ』に関して、来週の献立を『魚がいい』と自分から話した。21:30 入浴後、居室で就寝準備。本人確認:済(記録を読み上げ、『それでいい』と返答)。」

調理などの家事は、原則として利用者と従業者が共同で行うよう努めることとされています(第211条第2項)1。誰が何を行い、本人がどこまで自分でできたかを書くと、この点も読み取れます。

2. 夜間の様子#

留意事項通知の夜間支援等体制加算の項には、記録の項目や様式を定めた記述は見当たりません5。加算の要件は夜間支援等体制加算で確認してください。当サイトの整理としては、夜間の支援も第53条の2の提供記録として残し、巡回の時刻だけでなく、対応した内容を書きます。

  • 避けたい例:「巡回異常なし。」
  • 文例:「11月5日 夜間担当 ○○。23:00 全居室の前を確認、灯りは消えていた。1:40 Bさんが居間に来て『眠れない』と話す。温かいお茶を出し、10分ほど話を聞いた。『もう寝る』と本人が言い、1:55 居室へ戻った。5:30 起床時に体調を尋ねると『大丈夫』との返答。朝の世話人に申し送り。本人確認:朝食時に済。」

3. 金銭に関わる手続の代行#

満たす要件:手続の代行は、利用者又はその家族が行うことが困難な場合に、同意を得て行います(第211条の2第2項)1。ガイドラインは、金銭に関わる手続について、書面による事前の同意と、代行後その都度の確認を求めており、一人の従業員に委ねず複数の従業員が確認する運用が望ましいとしています6。

  • 避けたい例:「役所で手続きをした。」
  • 文例:「11月6日 Cさんの依頼で市役所の証明書交付申請を代行。本人は窓口での手続が難しく、家族は遠方で来所が難しいため、事業所が行った。事前に同意書で手数料300円の支出を確認済み。本人から預かった300円で申請し、領収書を受領。帰所後に領収書と証明書を本人に見せて説明し、『わかった』と確認を得た。管理者○○も領収書を確認。」

4. 帰省(帰宅時支援加算を算定する場合を含む)#

満たす要件:ガイドラインは、連絡調整を行った内容と、把握した帰省中の生活状況を記録し、必要に応じて個別支援計画を見直すこととしています7。帰宅時支援加算の取扱いでも、帰省中の生活状況等を把握し、その内容を記録することが求められています8。

  • 避けたい例:「11月7日〜9日 帰省。」
  • 文例:「11月7日〜9日 個別支援計画に基づき実家へ帰省。11月4日、母に電話で日程と最寄り駅への送迎を確認。11月8日 母に電話で様子を確認。『よく眠れている。昼に一緒に買い物へ行った』とのこと。11月9日 帰所。本人は『楽しかった』と話し、夕食は全量摂取。帰省中の生活で気になる点の報告はなく、計画の見直しは不要と判断(サービス管理責任者○○)。」

5. 入院(入院時支援特別加算を算定する場合を含む)#

満たす要件:病院等を訪問し、被服等の準備、相談支援、入退院の手続、家族等への連絡調整などの支援を行った場合は、その支援内容を記録します。長期入院時支援特別加算で、利用者の事情により訪問できなかった特段の事情がある場合は、その具体的な内容も記録します8。

  • 避けたい例:「病院へ面会。」
  • 文例:「11月10日 14:00 D病院に入院中のDさんを訪問(世話人○○)。着替え3組とタオルを届けた。本人は『ごはんが少ない』と話し、看護師に伝えた。退院の見込みと退院後の生活について病棟の相談員と話し、次回の連絡日を確認。姉に電話で状況を報告。」

算定の条件は入院時支援特別加算・帰宅時支援加算を参照してください。

6. 事故#

満たす要件:事故の状況と、事故に際して採った処置(第40条第2項)。都道府県、市町村、利用者の家族等への連絡も義務です(第40条第1項)1。報告の様式や範囲は、指定権者と市町村の定めを確認してください。

  • 避けたい例:「転んだが大丈夫そうだった。」
  • 文例:「11月11日 7:10 浴室前の廊下でEさんが転倒。世話人○○が物音で駆けつけた。本人は床に座り『足がすべった』と話す。床が濡れていた。右ひざに擦り傷があり、洗浄して保護した。7:40 管理者へ報告。8:00 ○○クリニックを受診し、処置を受けた。9:30 兄へ電話連絡、10:00 市と県へ報告。賠償の有無を確認中。再発防止として浴室前にマットを敷くことを職員で確認。」

7. 身体拘束等#

満たす要件:態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由その他必要な事項(第35条の2第2項)1。ガイドラインは、やむを得ず行う場合は切迫性、非代替性、一時性の3つの要件を全て満たす必要があり、判断は組織的かつ慎重に決定するとしています。サービス管理責任者は、個別支援計画に態様・時間、緊急やむを得ない理由等を記載し、利用者や家族に事前に十分説明して了解を得ることが必要です。必要な記録がされていない場合は指定基準違反となり、要件や手続を満たせばよいと考えるのではなく、廃止や短縮に向けた方策の検討と定期的なモニタリングが求められます9。

身体拘束等は、緊急やむを得ない場合を除いて禁止です1。次の文例は、やむを得ず行った場合に何を書くかを示すもので、行ってよいという意味ではありません。記録があれば足りるわけでもありません。

  • 避けたい例:「危険なので押さえた。」
  • 文例:「11月12日 15:20〜15:24(4分間)、Fさんが玄関から車道へ走り出ようとしたため、個別支援計画に記載し本人と家族に説明して了解を得ている対応として、世話人○○が両腕を支えて制止した。当時、Fさんは大声を上げ、呼びかけに応じない状態だった。前の道路は車の通行があり、他の方法で止めることができなかった。15:24 本人が立ち止まったため手を離した。けがなし。管理者へ報告し、母へ電話で説明した。次回の委員会で、廃止に向けた方策を検討する。」

8. 苦情#

満たす要件:苦情の内容等(第39条第2項)。ガイドラインは、苦情の受付日、内容等を記録するとしています10。

  • 避けたい例:「Gさんからクレーム。説明して納得してもらった。」
  • 文例:「11月13日 18:30 受付(世話人○○)。Gさんより『夜のテレビの音がうるさくて眠れない』との申し出。隣室のHさんの音量について、Gさんの了解を得て管理者へ報告。11月14日 管理者がHさんと話し、22時以降はイヤホンを使うことを本人が決めた。11月16日 Gさんに結果を伝え、『静かになった』と確認。」

9. モニタリング#

満たす要件:第58条に基づき、計画の実施状況の把握を行い、少なくとも6か月に1回以上、計画を見直すべきかを検討します。モニタリングは、特段の事情がない限り利用者との面接により行い、結果を記録します11。

  • 避けたい例:「目標はおおむね達成。継続。」
  • 文例:「11月14日 サービス管理責任者○○がIさんと居間で面接。目標『自分で洗濯を回す』について、本人は『週2回できるようになった』と話す。提供記録でも10月は8回、世話人の声かけなしで実施。本人は次の目標として『お金の管理も自分でしたい』と希望。計画の変更が必要と判断し、個別支援会議を開催する。」

費用の記録で確認しておくこと#

食材料費は、事前に徴収した額に残額が生じた場合、返金するか今後の食材料費として適切に支出するなどの対応が必要で、事業者の収入にすることや、利用者の同意なく別の用途に使うことは認められません。光熱水費と日用品費も、食材料費に準じて扱います。入院や外泊で長期間住居を離れた場合は、不合理な負担とならないよう配慮が必要です12。当サイトの整理としては、徴収額、支出額、残額の処理を利用者ごとに追える記録にしておくと説明しやすくなります。

指定と指導で記録が見られる場面#

厚生労働省の通知は、新規指定の現地審査で確認する点の一つに「サービス提供記録のひな型」を挙げています13。運営状況の指導では、管理者が適切に回答できない場合や、サービス提供の記録等から勤務実態等が確認できない場合は、管理者業務を十分に果たしているとは言えないと考えられるため、是正を指導するよう示しています13。

事業所の自己点検には、ガイドラインの別紙「自己チェックシート」が使えます3。令和9年度改定に向けては、このチェックシートによる自己評価などを義務化することが検討されていますが、検討段階で確定していません14。

よくある質問#

Q. 夜勤者が翌朝にまとめて書いてもよいですか#

適切に記録できる場合は、後日一括して記録しても差し支えないとされています2。翌朝までに書く決まりにしておけば、内容の正確さも保ちやすくなります。

Q. 記録の様式は国が決めていますか#

第53条の2が定めるのは記録する事項で、様式は定めていません1。請求に使うサービス提供実績記録票は別のものです。違いはサービス提供記録と実績記録票を参照してください。

Q. 利用者の確認はどのように取ればよいですか#

第53条の2第2項は確認を受けることを求めていますが、解釈通知は確認の方法を指定していません12。確認欄の扱いはサービス提供記録と実績記録票を参照してください。

Q. 記録はタブレットやパソコンで残してもよいですか#

はい。書面で行うことが規定されている作成・保存は、電磁的記録で行うことができます(第224条第1項)。ただし、受給者証への記載(第210条の3第1項)などは対象外です1。詳しくは電磁的記録による保存ルールを参照してください。

Q. 保存期間の5年はいつから数えますか#

第75条第2項は、当該サービスを提供した日から5年間保存するとしています1。

関連記事#

Footnotes#

  1. 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第35条の2、第39条、第40条、第53条の2、第58条、第75条、第88条、第210条の3、第211条、第211条の2、第213条、第224条 (https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15

  2. 厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(解釈通知)p.44(第19条)、p.87(第53条の2)、p.238(第213条の準用・食材料費の記録) (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  3. 厚生労働省「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン(第1版)」(令和8年2月)p.42(地域連携推進会議の記録)、別紙 自己チェックシート (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001669957.pdf) ↩ ↩2

  4. 同 p.30(個別支援計画と日々の支援)、p.31(利用者の意思の尊重) (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001669957.pdf) ↩ ↩2

  5. 厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」共同生活援助 夜間支援等体制加算の取扱い(pp.344-358。令和8年5月28日の一部改正の新旧対照表にも記録の定めの追加なし) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩

  6. 「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン(第1版)」pp.32-33(社会生活上必要不可欠な手続等の代行) (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001669957.pdf) ↩

  7. 同 p.33(家族との連携) (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001669957.pdf) ↩

  8. 厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」宿泊型自立訓練 入院時支援特別加算・長期入院時支援特別加算・帰宅時支援加算・長期帰宅時支援加算の取扱い(pp.234-239)、共同生活援助での準用(pp.372-373)。記録の規定は令和8年5月28日の一部改正後も同文 (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2

  9. 「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン(第1版)」pp.39-40(身体拘束等の禁止) (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001669957.pdf) ↩

  10. 同 p.23(苦情解決) (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001669957.pdf) ↩

  11. 同 p.30(個別支援計画の実施状況の把握) (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001669957.pdf) ↩

  12. 同 pp.17-18(利用者負担額等の受領) (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001669957.pdf) ↩

  13. 厚生労働省「『共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン』の作成並びに指定共同生活援助事業所に係る新規指定及び運営状況の把握・指導の際の留意事項について」(障障発0226第1号・令和8年2月26日)p.6(現地審査)、p.7(管理者) (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001670084.pdf) ↩ ↩2

  14. 厚生労働省 第67回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(令和8年10月30日)資料 p.133 (https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001764818.pdf) ↩

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