グループホーム(共同生活援助)を開業するには、指定基準(171号)の人員・設備・運営の基準を満たして、都道府県知事等の指定を受ける必要があります。人員は世話人・生活支援員・サービス管理責任者・管理者、設備は住居の立地・入居定員・ユニット・居室(1人・7.43㎡以上)が中心です1。令和8年6月1日以降に新規指定を受ける事業所は、基本報酬が原則として所定単位数の1000分の972になる点にも注意が必要です2。本記事では、介護サービス包括型を中心に、開業前に確認すべき基準を整理します。
結論:開業前に満たす基準の早見表#
| 区分 | 基準(介護サービス包括型) |
|---|---|
| 世話人 | 常勤換算で 利用者数 ÷ 6 以上1 |
| 生活支援員 | 常勤換算で、区分3の利用者数÷9+区分4÷6+区分5÷4+区分6÷2.5 以上1 |
| サービス管理責任者 | 利用者30人以下で1人以上、31人以上は30人またはその端数ごとに1人を加える1 |
| 管理者 | 常勤で専ら管理の職務に従事(管理上支障がなければ兼務可)1 |
| 住居の立地 | 住宅地(または同程度に家族・地域住民と交流できる地域)で、入所施設・病院の敷地外1 |
| 事業所の定員 | 共同生活住居(とサテライト型住居)の入居定員の合計が 4人以上1 |
| 住居の入居定員 | 2人以上10人以下(既存の建物は20人以下、知事が特に必要と認めるときは30人以下)1 |
| ユニット | 入居定員2人以上10人以下。居室と、居室に近接する交流のための設備(居間・食堂等)を設ける1 |
| 居室 | 定員 1人(サービス提供上必要な場合は2人)、収納設備等を除き 7.43㎡以上1 |
| 地域連携推進会議 | 指定申請時に、設置済みか確実な設置が見込まれること3 |
| 基本報酬 | 令和8年6月1日以降の新規指定は、原則として所定単位数の1000分の9722 |
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グループホームの3つの類型#
共同生活援助には、介護サービス包括型・日中サービス支援型・外部サービス利用型の3類型があり、人員基準や基本報酬がそれぞれ異なります。類型ごとの基本報酬は「グループホームの基本報酬・報酬単価一覧」で整理しています。以下の人員基準は、指定基準第208条が定める介護サービス包括型のものです1。外部サービス利用型の設備は第210条を準用しますが、日中サービス支援型は人員(第213条の4)と設備(第213条の6)が別に定められています。日中サービス支援型は、住居ごとの独立性が確保され支援に支障がなければ、1つの建物に複数の共同生活住居を設けられます(1つの建物の入居定員の合計は20人以下)4。
人員基準#
世話人・生活支援員#
指定基準第208条は、事業所ごとに次の員数を置くことを求めています1。
- 世話人:常勤換算で、利用者の数を6で除した数以上
- 生活支援員:常勤換算で、次の合計数以上
- 障害支援区分3の利用者数 ÷ 9
- 区分4の利用者数 ÷ 6
- 区分5の利用者数 ÷ 4
- 区分6の利用者数 ÷ 2.5
計算例:利用者10人(区分2が2人、区分3が4人、区分4が3人、区分5が1人)
- 世話人:10 ÷ 6 = 1.67 → 常勤換算で1.67以上
- 生活支援員:4 ÷ 9 + 3 ÷ 6 + 1 ÷ 4 = 1.194… → 常勤換算で約1.2(1.194…)以上(区分2以下の利用者は計算に入りません)
世話人と生活支援員は、事業所ごとに利用者の生活サイクルに応じて「夜間及び深夜の時間帯」を設定し、それ以外の時間帯のサービス提供に必要な員数を確保します5。上の人数は24時間分の配置ではありません。
利用者の数は前年度の平均値で、新規に指定を受ける場合は推定数によります1。新設時の利用者数の数え方は「人員配置の利用者数と常勤換算の数え方」を参照してください。
サービス管理責任者・管理者#
- サービス管理責任者:利用者数が30人以下なら1人以上、31人以上なら1人に、30人を超えて30人またはその端数を増すごとに1人を加えた数以上1
- サービス管理責任者は、常勤換算での配置は求められていませんが、業務を適切に遂行するための勤務時間の確保が必要です。世話人または生活支援員と兼務して差し支えありません。ただし、入居定員が20人以上の事業所では、できる限り専従のサービス管理責任者を確保するよう努めます5。
- 管理者:事業所ごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者を置きます。管理上支障がない場合は、事業所の他の職務や、他の事業所・施設等の職務を兼ねることができます1。
従業者は、原則として専ら当該事業所の職務に従事する者でなければなりませんが、利用者の支援に支障がない場合はこの限りではありません1。
設備基準#
住居の立地#
共同生活住居は、住宅地または住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ、入所施設や病院の敷地外にあるようにしなければなりません1。
共同生活住居とユニット#
- 「共同生活住居」は、複数の居室に加え、居間・食堂・便所・浴室等を共有する1つの建物をいいます。マンション等では、複数の利用者が共同生活を営める広さの住戸を1つの共同生活住居と捉え、ワンルームタイプなどは建物内の複数の住戸をまとめて共同生活住居として定めます5。
- 1つの建物に複数の共同生活住居を設置できるのは、都市部など土地の取得が極めて困難な地域等で、地域で暮らす障害者等を支える体制の確保、市町村による地域生活支援拠点等としての位置付け、住居ごとの独立性(玄関が別など)、1つの建物の入居定員の合計が20人以下、のすべてを満たし、都道府県知事が特に必要と認めた場合に限られます5。
- 事業所は1以上の共同生活住居をもち、共同生活住居とサテライト型住居の入居定員の合計を4人以上とします1。
- 1つの共同生活住居の入居定員は2人以上10人以下です。既存の建物を共同生活住居とする場合は2人以上20人以下(都道府県知事が特に必要があると認めるときは30人以下)とすることができます1。
- 共同生活住居には1以上のユニットを設け、日常生活を営む上で必要な設備を設けます。ユニットの入居定員は2人以上10人以下です1。
- ユニットには、居室と、居室に近接して設けられる相互に交流を図ることができる設備(居間・食堂等)を設けます。ユニットごとに、原則として風呂・トイレ・洗面所・台所等の日常生活に必要な設備を設けます15。
居室#
- 1つの居室の定員は1人です。利用者のサービス提供上必要と認められる場合(夫婦で利用する場合など)は2人にできます15。
- 居室の面積は、収納設備等を除き7.43㎡以上(和室なら4.5畳以上)です。生活の場であることを基本に、収納設備を別に確保するなど、私物を置ける十分な広さが求められます5。
- 居室は、廊下・居間等につながる出入口があり、他の居室と明確に区分されているものをいいます。カーテンや簡易なパネルで区切っただけのものは居室に含まれません(一般の住宅を改修していて、ふすま等で仕切られている場合を除く)5。
サテライト型住居#
本体住居と別の場所に、入居定員1人のサテライト型住居を設けることもできます。設置の基準は「グループホームのサテライト型住居の設置基準」で整理しています。
運営の準備#
- 地域連携推進会議:指定申請時には、すでに設置されているか、確実な設置が見込まれることが必要です3。会議の進め方は「グループホームの地域連携推進会議」を参照してください。
- 指定申請の書類:国の標準様式(勤務体制一覧表など)の書き方は「勤務形態一覧表の書き方」、指定申請の流れは「指定申請の手続き」で整理しています。
- 加算の届出:開業時に算定する加算の体制届は、算定開始月の前月15日までに出します(「加算の体制届は15日までに」)。
令和8年6月以降の新規指定は基本報酬が1000分の972#
令和8年6月1日以降に新規に指定を受けた共同生活援助事業所(介護サービス包括型・日中サービス支援型)は、所定単位数に代えて、1000分の972に相当する単位数を算定します2。
- 別に定める地域に所在する事業所や、都道府県知事が地域に特に必要であるとして指定する事業所であることが客観的に明らかなものは除かれます2。
- 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算または高次脳機能障害者支援体制加算を1日以上算定している月の事業所や、重度障害者支援加算・医療的ケア対応支援加算・医療連携体制加算(Ⅳ)を1日以上算定している月の利用者については、その月は本来の所定単位数で算定します2。
- 外部サービス利用型は、この特例の対象になっていません2。
詳しくは「グループホームの基本報酬・報酬単価一覧」を参照してください。
開業前のチェックリスト#
- 住居が住宅地等にあり、入所施設・病院の敷地外か
- 共同生活住居(とサテライト型住居)の入居定員の合計が4人以上か
- 各住居の入居定員が2人以上10人以下か(既存建物の特例は指定権者と確認)
- ユニットごとに居間・食堂等の交流設備と、風呂・トイレ・洗面所・台所等があるか
- 居室は原則1人、収納設備等を除いて7.43㎡以上で、他の居室と明確に区分されているか
- 世話人(利用者÷6)・生活支援員(区分別の合計)を常勤換算で満たす配置か
- サービス管理責任者・常勤の管理者を確保したか
- 地域連携推進会議を設置したか(または確実な設置の見込みがあるか)
- 基本報酬の1000分の972を前提に収支を試算したか
よくある質問#
Q. 世話人と生活支援員は兼務できますか?#
従業者は原則として専ら当該事業所の職務に従事する者でなければなりませんが、利用者の支援に支障がない場合はこの限りではないとされています1。同じ人が世話人と生活支援員を兼ねる場合の常勤換算の扱いは、指定権者に確認してください。なお、サービス管理責任者は、世話人または生活支援員の職務と兼務して差し支えないとされています(入居定員20人以上はできる限り専従に努める)5。
Q. マンションの複数の部屋でグループホームを開けますか?#
マンション等の建物で、複数の利用者が共同生活を営める広さの住戸は、その住戸を1つの共同生活住居とし、ワンルームタイプなど該当しない住戸は、建物内の複数の住戸をまとめて共同生活住居として定めるとされています5。ただし、建物内に複数の共同生活住居を設置する場合に、その入居定員の合計が共同生活住居の入居定員の上限(第210条第4項・第5項)を超えるときは、建物内のすべての住戸を共同生活住居とすることは認められません5。
Q. 新規指定だと基本報酬はどのくらい下がりますか?#
令和8年6月1日以降の新規指定は、所定単位数の1000分の972(2.8%減)で算定します。除外される地域・事業所や、本来の単位数で算定する月の扱いがあります2。
制度上の根拠#
- 指定基準(平成18年厚生労働省令第171号)第208条(従業者の員数)、第209条(管理者)、第210条(設備)1
- 解釈通知(障発第1206001号)共同生活援助 設備に関する基準(pp.220-226)5、地域との連携等(p.229)3
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第15 1の注10・1の2の注13(令和8年6月1日以降の新規指定)2
Footnotes#
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第208条・第209条・第210条 (https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18 ↩19 ↩20 ↩21 ↩22 ↩23 ↩24
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報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第15 1 共同生活援助サービス費 注10、1の2 日中サービス支援型共同生活援助サービス費 注13(1000分の972) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
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解釈通知 共同生活援助 運営に関する基準 地域との連携等(p.229:地域連携推進会議は指定申請時に設置済みか確実な設置の見込みが必要) (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩ ↩2 ↩3
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指定基準(平成18年厚生労働省令第171号)第213条の4(日中サービス支援型の従業者の員数)、第213条の6(日中サービス支援型の設備)、第213条の16(外部サービス利用型への第210条の準用) (https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩
-
厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(解釈通知・障発第1206001号)第十五 共同生活援助 1 人員に関する基準(p.219:夜間及び深夜の時間帯以外の員数、サービス管理責任者の兼務)、2 設備に関する基準(pp.220-226:共同生活住居の定義、マンションの全住戸不可、1つの建物に複数住居の要件、ユニット、居室の定員・面積・区分) (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12