人員配置基準の必要人数は「利用者の数」と「常勤換算」の2つで決まります。利用者の数は定員ではなく前年度の平均値で、新設・増床から6か月未満は定員の90%を使います1。常勤換算は勤務延べ時間数を常勤の勤務時間(週32時間を下回る場合は32時間が基本)で割り、育児・介護・治療のための短時間勤務なら週30時間以上で1と数えられます2。本記事では、厚生労働省の解釈通知(障発第1206001号)の総論に沿って、全サービス共通の数え方を整理します。サービスごとの配置比率は各サービスの人員配置基準の記事を参照してください。
結論:数え方の早見表#
| 場面 | 利用者の数 |
|---|---|
| 原則(前年度の実績が1年分ある) | 前年度の利用者延べ数 ÷ 開所日数(小数点第2位以下を切り上げ) |
| 新設・増床から6か月未満 | 利用定員の90% |
| 新設・増床から6か月以上1年未満 | 直近6か月の全利用者の延べ数 ÷ その6か月の開所日数 |
| 新設・増床から1年以上(前年度の実績が1年に満たない) | 直近1年の全利用者の延べ数 ÷ その1年の開所日数 |
| 減床・定員の減少(減床後の実績が3か月以上) | 減床後の利用者の延べ数 ÷ その3か月の開所日数 |
いずれも解釈通知の総論に定められています1。これらによりがたい合理的な理由がある場合は、他の適切な方法で利用者の数を推定します1。
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利用者の数は「前年度の平均値」#
指定基準は、療養介護・自立訓練(機能訓練・生活訓練)・就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援A型・B型・共同生活援助などの従業者の員数を、前年度の平均値の利用者の数で算定すると定めています。解釈通知は、この「前年度の平均値」を次のように定義しています1。
- 前年度(4月1日から翌年3月31日まで)の利用者延べ数を開所日数で除した数
- 計算結果は小数点第2位以下を切り上げ
計算例:前年度の利用者延べ数が4,321人、開所日数が245日の場合 4,321 ÷ 245 = 17.636… → 小数点第2位以下を切り上げて 17.7人
定員が20人でも、前年度の平均が17.7人ならこの17.7人で必要な職員数を計算します。
新設・増床したとき:6か月未満は定員の90%#
新たに事業を開始・再開した場合や増床した場合で、新設・増床分の定員について前年度の実績が1年未満(実績が全く無い場合を含む)のときは、時期に応じて次の数を使います1。
- 新設・増床の時点から6か月未満:便宜上、利用定員の90%
- 6か月以上1年未満:直近6か月の全利用者の延べ数を、その6か月間の開所日数で除した数
- 1年以上:直近1年間の全利用者の延べ数を、その1年間の開所日数で除した数
計算例:定員20人で新規に開設した場合、開設から6か月未満の利用者の数は 20 × 90% = 18人 です。実際の利用者が8人しかいなくても、この期間の職員数は18人を前提に配置します。
増床の場合も、この扱いになるのは新設・増床分の定員についてです1。
減床したとき:3か月以上の実績があればその実績で数える#
減床した場合(定員を減らす場合も同じ)は、減床後の実績が3か月以上あるときは、減床後の利用者の延べ数をその3か月間の開所日数で除した数を利用者の数とします1。減床前の前年度平均ではなく、減床後の実績で数えるという定めで、結果として人数が下がるとは限りません。
生活介護は所要時間で利用者の数を割り引く#
生活介護は、基本報酬が所要時間ごとに分かれているため、利用者の数を数えるときに次の割合を掛けます1。
| 算定している基本報酬の所要時間 | 利用者延べ数への算入 |
|---|---|
| 3時間未満・3時間以上4時間未満・4時間以上5時間未満 | 2分の1 |
| 5時間以上6時間未満・6時間以上7時間未満 | 4分の3 |
上の表に無い所要時間(7時間以上)の利用者には、割り引く定めはありません。新設・増床の場合も同じ考え方で、6か月未満は定員の90%に所要時間の見込みに応じて2分の1または4分の3を掛けた数、6か月以上は直近の延べ数に平均所要時間に応じた割合を掛けた数を使います1。生活介護の人員配置体制加算での使い方は「生活介護の人員配置体制加算」で詳しく説明しています。
就労定着支援・自立生活援助は「月数」で割る#
就労定着支援と自立生活援助は、通所のように毎日利用するサービスではないため、前年度の平均値は利用者の延べ数を開所月数で除した数です(小数点第2位以下は切り上げ)3。
新たに事業を開始・再開した場合で、前年度の実績が1年未満のときは次のとおりです3。
| 時期 | 就労定着支援 | 自立生活援助 |
|---|---|---|
| 6か月未満 | 一体的に運営する生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援を受けた後に一般就労(A型への移行を除く)し、就労を継続している期間が6か月に達した者の過去3年間の総数の70%(労働時間の延長や休職からの復職の際に一時的にこれらのサービスを受けた者は、そのサービスを受けた後の就労継続期間で数える) | 利用者の推定数(規則第34条の18の3第1項第7号)の90% |
| 6か月以上1年未満 | 直近6か月の全利用者の延べ数 ÷ 6 | 直近6か月の全利用者の延べ数 ÷ 6 |
| 1年以上 | 直近1年の全利用者の延べ数 ÷ 12 | 直近1年の全利用者の延べ数 ÷ 12 |
常勤換算の計算方法#
常勤換算方法とは、従業者の勤務延べ時間数を、その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数で除して、常勤の人数に換算する方法です2。
- 常勤の従業者が勤務すべき時間数は事業所が定めますが、1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とします2。
- 勤務延べ時間数は、その事業所の指定に係るサービスに従事する勤務時間の延べ数です2。
計算例:常勤の所定労働時間が週40時間の事業所で、週24時間の非常勤職員が2人、週40時間の常勤職員が1人の場合 (24 + 24 + 40)÷ 40 = 2.2(常勤換算)
勤務延べ時間数に入る時間・入らない時間#
勤務延べ時間数は、勤務表上、サービスの提供に従事する時間として明確に位置付けられている時間と、提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む)として明確に位置付けられている時間の合計です2。
ただし、1人の従業者について勤務延べ時間数に入れられるのは、常勤の従業者が勤務すべき時間数が上限です2。常勤の職員が残業しても、その職員を1を超えて数えることはできません。
短時間勤務の職員は週30時間で1と数えられる#
次の措置が講じられている職員は、週30時間以上の勤務で、常勤換算の計算上、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として扱えます2。
- 男女雇用機会均等法第13条第1項の母性健康管理措置
- 育児・介護休業法第23条第1項・第3項、第24条に基づく所定労働時間の短縮等の措置
- 厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿って事業者が自主的に設ける所定労働時間の短縮措置
「常勤」の数え方#
各サービスの人員基準で「常勤」が求められる職員は、事業所の勤務時間が、その事業所で定める常勤の従業者が勤務すべき時間数(週32時間を下回る場合は32時間が基本)に達していることが要件です2。
- 上の短時間勤務の措置が講じられている職員は、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っていれば、例外的に30時間を常勤の時間数として扱えます2。
- 併設事業所(同一敷地内または道路を隔てて隣接する事業所。管理者は管理上支障がなければその他の事業所も含む)の職務で、同時並行的に行うことが差し支えないものは、それぞれの勤務時間の合計が常勤の時間数に達していれば常勤の要件を満たします。たとえば、同じ事業者の生活介護事業所とB型事業所が併設されていて、両方の管理者を兼務している者は、勤務時間の合計が所定の時間に達していれば常勤要件を満たします4。
産休・育休・介護休業中は非常勤を複数で換算してよい#
人員基準で常勤要件がある職員が、産前産後休業・母性健康管理措置・育児休業・介護休業・育児休業に準ずる休業を取得している期間は、その人員基準で求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤換算することで、人員基準を満たせます4。
実務チェックリスト#
- 必要人数の計算に、定員ではなく前年度の平均値(新設・増床は時期に応じた数)を使っているか
- 前年度の平均値は小数点第2位以下を切り上げているか
- 新設・増床から6か月未満の期間は、**定員の90%**で配置を組んでいるか(実際の利用者が少なくても下げられない)
- 6か月・1年の節目で、利用者の数の数え方を切り替えたか
- 生活介護は、所要時間に応じて2分の1・4分の3を掛けた延べ数で数えているか
- 常勤換算の分母(常勤の勤務時間)が週32時間を下回っていないか
- 1人の職員を常勤の時間数を超えて数えていないか(残業は算入しない)
- 短時間勤務を週30時間で1と数える職員について、該当する措置(母性健康管理・育児介護・治療)を記録しているか
- 勤務形態一覧表で、各職員の職種・勤務時間・常勤/非常勤が上の計算と一致しているか(書き方は「勤務形態一覧表の書き方」)
よくある質問#
Q. 新規開設で利用者が5人しかいません。職員は5人分でよいですか?#
いいえ。新設から6か月未満は、実際の利用者数ではなく**利用定員の90%**を利用者の数とします1。定員20人なら18人で計算します。6か月を過ぎると直近6か月の実績に切り替わります1。
Q. 前年度の平均値は四捨五入ですか?#
小数点第2位以下を切り上げです1。17.61人なら17.7人になります。
Q. 週30時間勤務の職員は常勤換算で1になりますか?#
原則は、30時間を常勤の勤務時間で割った数です。週40時間の事業所なら0.75です2。母性健康管理措置や、育児・介護・治療のための所定労働時間の短縮等の措置を受けている職員に限り、週30時間以上の勤務で1として扱えます2。
Q. 常勤の職員が週50時間働いたら1.25人ですか?#
いいえ。勤務延べ時間数に算入できるのは、1人につき常勤の勤務時間数が上限です2。1を超えて数えることはできません。
Q. 常勤のサビ管が育休に入りました。人員欠如になりますか?#
育児休業などの期間は、人員基準で求められる資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算することで、人員基準を満たせます4。換算に使う非常勤職員は、その人員基準で求められる資質を有していることが条件です4。サビ管なら、サビ管として求められる要件を満たす職員である必要があります。
Q. 定員を減らしました。利用者の数はいつから変わりますか?#
減床後の実績が3か月以上あるときは、減床後3か月間の延べ数を開所日数で除した数を利用者の数とします1。必要な職員数はその数で計算し直します。
制度上の根拠#
- 解釈通知(障発第1206001号)第二 総論2 用語の定義 (1)常勤換算方法・(2)勤務延べ時間数・(3)常勤24
- 同 総論(従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)①前年度の平均値・②新設・増床・減床の場合(生活介護の所要時間を含む)1
- 同 ④⑤就労定着支援・自立生活援助の利用者の数3
Footnotes#
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厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(解釈通知・障発第1206001号)第二 総論(従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法 ①②)pp.16-18(令和6年度改正後) (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14
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同 第二 総論2 用語の定義((1)常勤換算方法、(2)勤務延べ時間数、(3)常勤)pp.13-14 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13
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同 第二 総論(従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法 ④⑤ 就労定着支援・自立生活援助)pp.19-20 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩ ↩2 ↩3
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同 第二 総論2(3) 常勤(併設事業所の兼務、産前産後休業・育児休業等の期間の非常勤による換算)pp.14-15 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5