生活介護の人員配置体制加算は、基本の人員配置基準を上回る職員配置を評価する加算です。(Ⅰ)1.5:1/(Ⅱ)1.7:1/(Ⅲ)2:1/(Ⅳ)2.5:1 の4区分があり、いずれか1つのみを算定します1。要件は「常勤換算での配置比率」と「重度者の割合」の2つですが、指定障害者支援施設等では重度者割合の要件が課されないなど、事業所の類型で条件が変わります。さらに、比率計算に使う利用者数は所要時間に応じて1/2・3/4に割り引いて数えるという独自ルールがあります1。この記事では4区分の要件・単位数・利用者数の数え方を留意事項通知と報酬算定構造で整理します。
4区分の全体像#
| 加算 | 配置比率(常勤換算) | 重度者割合の要件 | 定員20人以下 | 21〜60人 | 61人以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | 利用者数 ÷ 1.5 以上 | **60%**以上1 | 321単位 | 263単位 | 245単位 |
| (Ⅱ) | 利用者数 ÷ 1.7 以上 | **60%**以上1 | 265単位 | 212単位 | 197単位 |
| (Ⅲ) | 利用者数 ÷ 2 以上 | **50%**以上1 | 181単位 | 136単位 | 125単位 |
| (Ⅳ) | 利用者数 ÷ 2.5 以上 | なし1 | 51単位 | 38単位 | 33単位 |
単位数はいずれも1日につき2。定員区分は基本報酬の10区分とは異なり、**3区分(20人以下/21〜60人/61人以上)**である点に注意してください2。
留意事項通知は「報酬告示第6の2の人員配置体制加算(Ⅰ)から(Ⅳ)までについては、次のア、イ、ウ、エごとに以下の条件をそれぞれ満たした場合に、いずれかのみを算定できることとする」と定めています1。(Ⅰ)と(Ⅲ)を重ねて算定することはできません。
要件① 常勤換算での配置比率#
常勤換算方法により、従業者の員数が利用者の数を 1.5/1.7/2/2.5 で除して得た数以上であることが要件です1。
たとえば利用者数が30人の場合、(Ⅰ)なら 30 ÷ 1.5 = 20人以上、(Ⅳ)なら 30 ÷ 2.5 = 12人以上の従業者(常勤換算)が必要になります。
要件② 重度者の割合#
区分5若しくは区分6に該当する者、又はこれに準ずる者の総数が、利用者の数の合計数に占める割合が基準以上であることが要件です1。
| 加算 | 必要な割合 |
|---|---|
| (Ⅰ) | 100分の60以上 |
| (Ⅱ) | 100分の60以上 |
| (Ⅲ) | 100分の50以上 |
(Ⅰ)と(Ⅱ)は同じ60%で、差は配置比率だけです。(Ⅲ)で50%に下がり、(Ⅳ)にはこの要件がありません。
「これに準ずる者」の定義#
通知は明確に定義しています1。
「これに準ずる者」とは、区分4以下であって、行動関連項目合計点数が10点以上である者又は区分4以下であって喀痰吸引等を必要とする者とする。
区分4以下でも、行動関連項目10点以上または喀痰吸引等が必要な利用者は、重度者割合の分子に算入できます。区分だけで判断すると割合を過小に見積もることになります。
指定障害者支援施設等は重度者割合の要件がない#
見落としやすい差異です。同じ加算でも、事業所の類型で要件の数が変わります1。
| 事業所の類型 | 配置比率 | 重度者割合 |
|---|---|---|
| 指定生活介護事業所 | 必要 | 必要 |
| 指定障害者支援施設等(昼間実施サービスとして生活介護を行う場合) | 必要 | 不要 |
| 共生型生活介護事業所 | 必要(共生型本体事業の利用者を含めて計算) | 必要(共生型本体事業の利用者を含めた合計で判定) |
指定障害者支援施設等については、通知は「常勤換算方法により、従業者の員数が利用者の数を1.5で除して得た数以上であること」とだけ定めており、区分要件を置いていません1。(Ⅱ)(Ⅲ)も同様の構造です。
共生型は本体事業の利用者も合算する#
共生型生活介護事業所の場合、配置比率も重度者割合も、共生型生活介護の利用者数と共生型本体事業(指定児童発達支援等・指定通所介護等・指定小規模多機能型居宅介護等)の利用者数の合計で計算します1。共生型生活介護の利用者だけで判定するのではありません。
利用者数の数え方|所要時間で割り引く#
ここが人員配置体制加算で最も独特なルールです。配置比率の計算に使う「利用者の数」は、前年度の平均値を用いますが、その前提となる利用者延べ数を所要時間に応じて割り引いて数えます1。
| 基本報酬で算定している所要時間 | 延べ数への算入 |
|---|---|
| 3時間未満/3時間以上4時間未満/4時間以上5時間未満 | 利用者数 × 2分の1 |
| 5時間以上6時間未満/6時間以上7時間未満 | 利用者数 × 4分の3 |
通知の原文は次のとおりです1。
利用者延べ数については、生活介護サービス費において、所要時間3時間未満、所要時間3時間以上4時間未満、所要時間4時間以上5時間未満の報酬を算定している利用者については、利用者数に2分の1を乗じて得た数とし、所要時間5時間以上6時間未満、所要時間6時間以上7時間未満の報酬を算定している利用者については、利用者数に4分の3を乗じて得た数として計算を行う
この延べ数を開所日数で除して前年度の平均値を出します1。
短時間利用者が多いほど要件を満たしやすくなる#
この重み付けの効果は明確です。分母となる利用者数が割り引かれるため、短時間利用の利用者が多い事業所ほど、同じ職員数でより上位の加算区分に届きやすくなります。
短時間利用は基本報酬では単価が下がる方向に働きますが(生活介護の基本報酬で解説した6時間の段差)、人員配置体制加算では逆に有利に働く、という関係になっています。
端数処理は切り上げ#
前年度の平均利用者数の算定にあたっては、小数点第2位以下を切り上げるものとされています1。
なお通知は、この算出方法による前年度の平均利用者数に応じた配置であれば加算の要件を満たすことになる、としています1。年度途中の実利用者数の変動でただちに要件を割るわけではありません。
地方公共団体が設置する事業所は96.5%#
地方公共団体が設置する指定生活介護事業所又は指定障害者支援施設の場合、人員配置体制加算にも ×96.5% の調整がかかります2。
| 加算 | 定員20人以下 | 21〜60人 | 61人以上 |
|---|---|---|---|
| (Ⅰ)地公 | 310単位 | 254単位 | 236単位 |
| (Ⅱ)地公 | 256単位 | 205単位 | 190単位 |
| (Ⅲ)地公 | 175単位 | 131単位 | 121単位 |
| (Ⅳ)地公 | 49単位 | 37単位 | 32単位 |
実務チェックリスト#
- 算定しているのは4区分のうち1つだけか(重複算定はできない)
- 重度者割合の分子に、区分4以下でも行動関連項目10点以上・喀痰吸引等が必要な利用者を算入しているか
- 配置比率の計算で、所要時間による1/2・3/4の割引を反映しているか
- 前年度の平均利用者数を開所日数で除し、小数点第2位以下を切り上げているか
- 指定障害者支援施設等の場合、重度者割合の要件がないことを踏まえて区分を選んでいるか
- 共生型の場合、共生型本体事業の利用者を合算して判定しているか
- 定員区分が基本報酬の10区分ではなく**3区分(20人以下/21〜60人/61人以上)**であることを確認したか
よくある質問#
Q. (Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは何ですか?#
重度者割合の要件は同じ60%以上で、違うのは配置比率だけです。(Ⅰ)は利用者数÷1.5以上、(Ⅱ)は利用者数÷1.7以上の従業者(常勤換算)が必要です1。より手厚い配置の(Ⅰ)のほうが単位数も高くなります(定員20人以下で321単位/265単位)2。
Q. 区分4の利用者は重度者割合に入りませんか?#
区分4以下でも、行動関連項目合計点数が10点以上である者、または喀痰吸引等を必要とする者は「これに準ずる者」として算入できます1。区分だけで判断すると割合を過小評価します。
Q. 短時間利用の利用者は人数としてどう数えますか?#
基本報酬で3時間未満・3〜4時間・4〜5時間を算定している利用者は2分の1、5〜6時間・6〜7時間を算定している利用者は4分の3として利用者延べ数に算入します1。この延べ数を開所日数で除したものが前年度の平均値です1。
Q. 指定障害者支援施設でも重度者の割合を満たす必要がありますか?#
必要ありません。指定障害者支援施設等において生活介護を行う場合について、通知は配置比率の条件のみを定めており、区分5・6等の割合要件を置いていません1。
Q. 共生型生活介護の場合、利用者数は共生型生活介護の分だけで計算しますか?#
いいえ。共生型生活介護の利用者数と共生型本体事業(指定児童発達支援等・指定通所介護等・指定小規模多機能型居宅介護等)の利用者数の合計で、配置比率も重度者割合も計算します1。
制度上の根拠#
- 留意事項通知「人員配置体制加算の取扱いについて」(4区分の要件・「これに準ずる者」の定義・利用者数の重み付けと端数処理・事業所類型別の条件)1
- 報酬算定構造「人員配置体制加算」((Ⅰ)〜(Ⅳ)×定員3区分の単位数、地方公共団体設置の96.5%調整)2