居住系サービス(施設入所支援・グループホーム・短期入所・宿泊型自立訓練・自立生活援助・療養介護)の福祉・介護職員等処遇改善加算は、加算の仕組み自体は全サービス共通ですが、加算率がサービスごとに違い、さらにグループホームは類型ごとに「加算の対象に含める単位」が告示で指定されている点が実務で間違いやすいところです12。たとえば施設入所支援と短期入所は(Ⅰ)イで18.6%、介護サービス包括型・日中サービス支援型グループホームは16.3%、外部サービス利用型は22.7%、自立生活援助は**11.5%**です1。
本記事では、居住系の加算率の一覧(令和8年6月以降)、加算を乗じる単位の範囲(含める加算・除く加算)、端数処理、令和8年4月・5月との違いを整理します。加算Ⅰ〜Ⅳの算定要件(キャリアパス要件・月額賃金改善要件など)や届出手続きは処遇改善加算Ⅰ〜Ⅳの全体像を参照してください。
加算の計算方法(共通)#
処遇改善加算の単位数は、サービス別の基本報酬に各種加算・減算(処遇改善加算を除く)を加えた1月当たりの総単位数に、加算区分・サービス類型別の加算率を乗じて算定します3。留意事項通知の端数処理では、処遇改善加算は基本報酬及び各種加算を算定した単位数の合計に割合を乗じて算定し、小数点以下は四捨五入します4。
告示では各サービスの末尾に「1から○までにより算定した単位数の1000分の△に相当する単位数」と定められており、この「1から○まで」が加算を乗じる対象の範囲です1。
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居住系の加算率一覧(令和8年6月以降)#
| サービス | (Ⅰ)イ | (Ⅰ)ロ | (Ⅱ)イ | (Ⅱ)ロ | (Ⅲ) | (Ⅳ) | 告示の対象範囲 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 施設入所支援 | 18.6% | 19.3% | ― | ― | 16.5% | 14.2% | 第9の1〜13の6 |
| 短期入所 | 18.6% | 19.3% | ― | ― | 16.5% | 14.2% | 第7の1〜13の3 |
| 宿泊型自立訓練(自立訓練(生活訓練)) | 16.4% | 17.1% | 16.0% | 16.7% | 12.4% | 10.6% | 第11の1〜(障害者支援施設は(Ⅰ)イ15.1%・(Ⅰ)ロ15.8%・(Ⅲ)12.5%・(Ⅳ)10.7%) |
| 療養介護 | 16.4% | 17.1% | 16.2% | 16.9% | 14.3% | 12.6% | 第5の1〜5の2 |
| 共同生活援助(介護サービス包括型) | 16.3% | 16.9% | 16.0% | 16.6% | 14.4% | 12.1% | 第15の1〜8の3(除外あり) |
| 共同生活援助(日中サービス支援型) | 16.3% | 16.9% | 16.0% | 16.6% | 14.4% | 12.1% | 第15の1の2〜8の3(除外あり) |
| 共同生活援助(外部サービス利用型) | 22.7% | 23.3% | 22.4% | 23.0% | 20.8% | 16.8% | 第15の1の2の2〜8の3(除外あり) |
| 自立生活援助 | 11.5% | 11.9% | 11.3% | 11.7% | 9.8% | 8.1% | 第14の3の1〜10 |
施設入所支援と短期入所には**(Ⅱ)イ・(Ⅱ)ロが設定されていません**。告示の処遇改善加算の項が(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅲ)・(Ⅳ)の4区分だけで構成されているためです1。障害者支援施設が日中に行う生活介護等の率(生活介護(Ⅰ)イ11.3%など)は、通所の事業所とは別に定められています1。
グループホームは類型ごとに「対象に含める単位」が違う#
告示第15の9は、グループホームの類型ごとに加算を乗じる対象の範囲を指定し、一部の項目を対象から除いています1。
| 類型 | 対象範囲 | 対象から除く項目 |
|---|---|---|
| 介護サービス包括型 | 1〜8の3 | 1の2 日中サービス支援型サービス費、1の2の2 外部サービス利用型サービス費、1の2の4 退居後外部サービス利用型サービス費、1の3 受託居宅介護サービス費、1の5の2 夜勤職員加配加算 |
| 日中サービス支援型 | 1の2〜8の3 | 1の2の2〜1の3(外部サービス利用型・退居後の各サービス費・受託居宅介護サービス費)、1の4の5〜1の5(ピアサポート実施加算・退居後ピアサポート実施加算・夜間支援等体制加算)、1の8 日中支援加算、8 通勤者生活支援加算 |
| 外部サービス利用型 | 1の2の2〜8の3 | 1の2の3 退居後共同生活援助サービス費、1の5の2 夜勤職員加配加算、1の6 重度障害者支援加算、6の3 強度行動障害者地域移行特別加算、6の4 強度行動障害者体験利用加算 |
実務上の要点は次のとおりです。
- 夜勤職員加配加算(1の5の2)はどの類型でも処遇改善加算の対象外です。
- 日中サービス支援型では、夜間支援等体制加算(1の5)・日中支援加算(1の8)・通勤者生活支援加算(8)も対象外です。日中サービス支援型は基本報酬に夜間・日中の支援が包含されているため、これらは他類型用の加算として除かれています。
- 外部サービス利用型では、受託居宅介護サービス費(1の3)は対象範囲(1の2の2〜8の3)に含まれる一方、重度障害者支援加算は除かれます。
- 加算率の適用対象は「単位数」なので、減算(人員欠如・定員超過・身体拘束廃止未実施など)を適用した後の単位数に乗じます34。
令和8年4月・5月の率(経過)#
令和8年度は、4月・5月分と6月以降分で加算率が異なります。4月・5月は別紙1表1-1の率を用い、6月以降は表1-2・1-4の率(上乗せ区分(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)ロを含む)を用います3。
| サービス | 4月・5月(Ⅰ) | 4月・5月(Ⅱ) | 4月・5月(Ⅲ) | 4月・5月(Ⅳ) | 6月以降(Ⅰ)イ |
|---|---|---|---|---|---|
| 施設入所支援・短期入所 | 15.9% | ― | 13.8% | 11.5% | 18.6% |
| 宿泊型自立訓練 | 13.8% | 13.4% | 9.8% | 8.0% | 16.4% |
| 療養介護 | 13.7% | 13.5% | 11.6% | 9.9% | 16.4% |
| GH(包括型・日中支援型) | 14.7% | 14.4% | 12.8% | 10.5% | 16.3% |
| GH(外部サービス利用型) | 21.1% | 20.8% | 19.2% | 15.2% | 22.7% |
| 自立生活援助 | 10.3% | 10.1% | 8.6% | 6.9% | 11.5% |
令和8年度に増加した加算額(6月以降の率の引上げ分、新規算定や上位区分への移行分)は、過去の賃金改善の実績にかかわらず、新たに職員の賃金改善として実施しなければならず、ベースアップにより行うことが基本です3。
計算例#
その他地域(1単位10.00円)の介護サービス包括型グループホームで、区分4の利用者(共同生活援助サービス費(Ⅰ)372単位)が30日利用し、福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)10単位を算定、処遇改善加算(Ⅰ)イを届け出ている場合145。
| 項目 | 単位数 |
|---|---|
| 共同生活援助サービス費(Ⅰ)区分4 | 372×30日=11,160単位 |
| 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) | 10×30日=300単位 |
| 小計(処遇改善加算の対象) | 11,460単位 |
| 処遇改善加算(Ⅰ)イ 16.3% | 11,460×0.163=1,867.98→1,868単位 |
| 合計 | 13,328単位(133,280円) |
同じ事業所で夜勤職員加配加算を算定している場合、その単位数は小計に含めずに処遇改善加算を計算します1。施設入所支援(18.6%)なら同じ小計で2,132単位(11,460×0.186=2,131.56)です。
よくある質問#
Q. グループホームの処遇改善加算は夜間支援等体制加算にも掛かりますか#
介護サービス包括型と外部サービス利用型では対象に含まれます。日中サービス支援型では夜間支援等体制加算(1の5)が対象から除かれています1。
Q. 夜勤職員加配加算は処遇改善加算の対象ですか#
対象外です。告示第15の9は3類型すべてで1の5の2(夜勤職員加配加算)を除いています1。
Q. 施設入所支援で加算(Ⅱ)イを選べないのはなぜですか#
告示第9の処遇改善加算が(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅲ)・(Ⅳ)の4区分で構成されており、(Ⅱ)が設定されていないためです。短期入所も同じです1。
Q. 減算を受けている月の処遇改善加算はどう計算しますか#
処遇改善加算は基本報酬と各加算・減算を計算した後の総単位数に加算率を乗じるため、減算後の単位数が対象です34。
Q. 端数はどう処理しますか#
基本報酬と各種加算を算定した単位数の合計に加算率を乗じ、小数点以下を四捨五入します4。
Q. 令和8年4月分の請求はどの率を使いますか#
4月・5月分は別紙1表1-1の率(施設入所支援(Ⅰ)15.9%など)、6月以降は表1-2・1-4の率(同18.6%)です23。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第5の6、第7の14、第9の14、第11の13、第14の3の11、第15の9 福祉・介護職員等処遇改善加算1
- 「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分・障障発0331第1号/こ支障第78号)p.3(算定方法・適用時期)、別紙1 表1-1(令和8年4月・5月)・表1-2(令和8年6月以降)23
- 留意事項通知 第二の1(1)算定上における端数処理について(p.8)4
- 単価告示(平成18年厚生労働省告示第539号)5
Footnotes#
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第5の6・第7の14・第9の14・第11の13・第14の3の11・第15の9 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14
-
厚生労働省・こども家庭庁「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分・令和8年3月31日 障障発0331第1号/こ支障第78号)別紙1 表1-1 サービス別加算率(令和8年4月及び5月)・表1-2(令和8年6月以降)(p.15〜16。大阪府が掲載する通知PDF) (https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126420/r8_4_syoguukaizen_jimusyoritejyun.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
同通知 p.3(処遇改善加算の単位数は基本サービス費に各種加算減算を加えた1月当たりの総単位数に加算率を乗じて算定。令和8年4月・5月と6月以降で率が異なる。増加した加算額は新規の賃金改善に充てる) (https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126420/r8_4_syoguukaizen_jimusyoritejyun.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の1(1)算定上における端数処理について(p.8) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準第一条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成18年厚生労働省告示第539号) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8493&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2