指定申請とは#
障害福祉サービス事業所を開設するには、都道府県知事(指定都市・中核市では市長)から事業者指定を受ける必要があります。指定は、障害福祉サービスの種類ごと、事業所ごとに行われます1。
申請者が都道府県の条例で定める者でないときは、指定を受けられません1。どのような者を定めているかは、指定権者の条例で確認してください。
令和8年4月1日から、指定申請書・変更届出書・付表は国が定めた様式で提出するものになりました23。様式の法定化と、自治体独自の書類の扱いは指定申請書式の全国統一(令和8年4月施行)で詳しく解説しています。
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指定申請の流れ#
国のガイドラインが示すスケジュールの例#
国の「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」は、新規指定の事務の流れの一例として、次のスケジュールを示しています4。
| 時期(指定日基準) | 手続 | 主な確認内容 |
|---|---|---|
| 指定の3〜5か月前 | ①事前相談・事前確認 | 人員・設備・資格の適合性、事業内容、基準等の理解度 など |
| 指定の3か月前 | ②市町村との意見交換(都道府県のみ) | 意見申出制度に基づく障害福祉計画等との整合性、ニーズの把握状況 など |
| 指定の2か月前 | ③指定申請審査 | 人員・設備・資格の適合性、書類の真正性 など |
| 指定の1か月前 | ④現地審査 | 図面との照合・運営体制の確認 など |
| — | ⑤指定 | — |
これは一例で、各指定権者の状況やサービス種別によって組み合わせて運用されます4。実際のスケジュールと受付の締切は、指定権者に確認してください。
①事前相談・事前確認#
国は指定権者に対し、申請書類を受理する前に指定基準等を十分に説明し、事業開始の理由等を確認することを求めています4。確認事項として、次のような項目が挙げられています4。
- 事業開始の理由、法人理念
- 人員の状況(サービス管理責任者等の資格者や職員の確保見込み)
- 設備の状況(設備基準、他法令への合致状況)
- 開設予定市町村との調整状況、地域のニーズの把握状況
- 就労支援の方針(就労系サービスのみ)
確認事項の説明は、行政書士やコンサルティング会社などの代理人ではなく、事業の内容を把握している事業者の代表者等から受けることが望ましいとされています4。
③指定申請審査で不備が多い書類#
国のガイドラインは、審査で不備が多い書類として次の3つを挙げています4。
| 書類 | よくある不備 |
|---|---|
| 運営規程 | 記載が必要な項目が抜けている |
| 従業者の勤務の体制及び勤務形態 | 基準に必要な人員が配置されていない、常勤換算の計算が誤っている |
| 管理者・サービス管理責任者の経歴書 | 必要な実務経験日数が足りない |
④現地審査#
指定予定日までに利用者を受け入れられる状態か確認するため、現地審査が行われます。確認されるのは、設備要件が守られているか、物件の改修工事や消防署の指導による設備の設置が完了しているか、サービス提供記録のひな型・掲示物・職員の出退勤管理などの運営基準の整備状況、事業開始に必要な設備や備品が揃っているか、などです4。
必要書類#
申請書に記載する事項(施行規則)#
申請書に記載する事項は、障害者総合支援法施行規則にサービスごとに定められています。就労継続支援B型(第34条の18第1項)の場合は次のとおりです2。
- 事業所の名称及び所在地
- 申請者の名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名、生年月日、住所及び職名
- 事業の開始の予定年月日
- 申請者の登記事項証明書又は条例等
- 事業所の平面図(各室の用途を明示)及び設備の概要
- 利用者の推定数
- 管理者及びサービス管理責任者の氏名、生年月日、住所及び経歴
- 運営規程
- 利用者又はその家族からの苦情を解決するために講ずる措置の概要
- 従業者の勤務の体制及び勤務形態
- 協力医療機関の名称及び診療科名並びに契約の内容
- 誓約書
- その他指定に関し必要と認める事項
国の標準添付書類(就労系サービス)#
国は、指定申請に添付する書類の一覧を示しています。就労系サービスの場合は次のとおりです(○が必要)5。
| 添付書類 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労定着支援 |
|---|---|---|---|---|
| 従業者の勤務の体制及び勤務形態 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 登記事項証明書又は条例等 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 事業所の平面図 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 設備の概要 | ○ | ○ | ○ | - |
| 管理者・サービス管理責任者の経歴書 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 苦情を解決するために講ずる措置の概要 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 誓約書 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 運営規程 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 協力医療機関との契約の内容 | ○ | ○ | ○ | - |
| その他指定に関し必要と認める事項 | ○ | ○ | ○ | ○ |
勤務体制一覧表・苦情解決の措置の概要・誓約書・主たる対象者を特定する理由等には、国の標準様式(標準様式1〜4)があります3。
自治体が追加で求める書類#
「その他指定に関し必要と認める事項」として、自治体が追加の書類を求めることがあります。国の一覧は、その例として次の書類を挙げています5。
- 従業員の資格証明書の写し
- 主たる対象者特定の理由書
- 社会保険及び労働保険への加入状況に係る確認票
- 収支報告書
- 賃貸借契約書
国が「求めない」よう助言している書類#
一方で国は、手続負担を軽減するため、自治体に対して次のように助言しています6。
- 人員配置:添付資料は資格証や研修修了証等の写しと管理者等の経歴書のみとし、雇用契約書などその他の人員に関連する添付資料は求めない(代替の確認方法があれば資格証等の写しも求めないことが可能)
- 写真:施設・設備等の写真の提供を求めるのは、自治体が現地を訪問できない場合に限る
- 押印・署名:指定申請等の様式について押印・署名を求めない
これらは地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的な助言として発出されたものです6。実際の取扱いは指定権者ごとに異なりうるため、雇用契約書や写真を求められた場合は、指定権者にその理由を確認してください。国は、事業者が負担と感じているルールを受け付ける専用窓口も設けています7。
申請書類の作成ポイント#
運営規程に記載すべき事項#
運営規程に定める事項は、指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)で決まっています。就労移行支援と就労継続支援B型は第89条(生活介護の規定を準用)、就労継続支援A型は第196条の2、就労定着支援は第206条の10です8。第89条で定める事項は次のとおりです8。
- 事業の目的及び運営の方針
- 従業者の職種、員数及び職務の内容
- 営業日及び営業時間
- 利用定員
- サービスの内容並びに支給決定障害者から受領する費用の種類及びその額
- 通常の事業の実施地域
- サービスの利用に当たっての留意事項
- 緊急時等における対応方法
- 非常災害対策
- 事業の主たる対象とする障害の種類を定めた場合には当該障害の種類
- 虐待の防止のための措置に関する事項
- その他運営に関する重要事項
A型の運営規程には、これに加えて生産活動の内容、賃金・工賃、利用者の労働時間及び作業時間を定めます8。
従業者の「員数」は日々変わりうるため、指定基準で置くべき員数を満たす範囲で「○人以上」と記載しても差し支えないとされています6。
指定後に必要な手続#
加算の届出(体制届)#
加算を算定するには、指定権者への届出が必要です。算定される単位数が増える場合(新たに算定する、区分を上げる場合)の算定開始月は次のとおりです4。
| 届出日 | 算定開始 |
|---|---|
| 月の15日以前 | 翌月から |
| 月の16日以降 | 翌々月から |
4月の特例や、要件を満たさなくなったときの届出と返還は「加算の体制届は15日までに」で整理しています。
変更の届出#
事業所の名称・所在地その他の事項に変更があったときは、10日以内に届け出なければなりません1。事業を廃止・休止するときは、その1か月前までに届け出ます1。変更届出書は国が定めた様式で提出します2。
指定の更新#
指定は6年ごとに更新を受けなければ、効力を失います1。指定権者は、更新の申請があったとき、障害福祉サービス等情報公表制度の報告がされていることを確認します2。更新の際、既に提出している事項に変更がないものは、特段の事情がない限り記載や提出を省略させるよう、国は自治体に助言しています6。
よくある質問#
Q. 申請から指定までどのくらいかかりますか?#
国のガイドラインが示す例では、事前相談が指定の3〜5か月前、申請審査が2か月前、現地審査が1か月前です4。実際の期間と受付の締切は指定権者ごとに異なるため、早めに事前相談を申し込んでください。
Q. 書類はメールで提出できますか?#
国は、新規の指定申請でも書類を電子メール等で提出できるようにすること、更新申請と変更届は原則として電子メール等による提出とすることを、自治体に求めています6。具体的な提出方法は指定権者に確認してください。
Q. 雇用契約書や写真の提出を求められました。#
国は、人員配置の添付資料に雇用契約書を求めないこと、写真は自治体が現地を訪問できない場合に限ることを助言しています6。これは技術的な助言として発出されたもので6、実際の取扱いは指定権者ごとに異なりうるため、指定権者に理由を確認してください。
Q. 複数のサービスを申請する場合、書類は別々ですか?#
指定は、障害福祉サービスの種類ごと、事業所ごとに行われます1。同一事業所で複数のサービスの指定を受けている場合、それぞれの指定の有効期間をあわせて更新することは可能とされています6。
関連記事#
Footnotes#
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障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第36条第1項(サービスの種類及び事業所ごとの指定)・第3項第1号(指定をしてはならない場合)、第41条第1項(指定の更新)、第46条第1項・第2項(変更の届出等)https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第34条の18(就労継続支援B型に係る指定の申請等。第1項=記載事項、第4項=更新時の情報公表報告の確認、第5項=申請書の様式)、第34条の23第5項(変更届出の様式)https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100019 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
厚生労働省障害保健福祉部障害福祉課・こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「児童福祉法施行規則の規定に基づきこども家庭庁長官が定める様式並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が定める様式及びこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める様式の公布について」(令和7年3月31日)p.1〜3 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001471282.pdf ↩ ↩2
-
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部・こども家庭庁支援局「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」(令和8年6月)p.5〜8(新規指定の一般的な流れ・事前相談の確認事項・不備の多い書類・現地審査)、p.15(加算の届出と算定開始月)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001716171.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
-
厚生労働省「指定申請書類一覧」(標準添付書類一覧・「その他指定に関し必要と認める事項」の例)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001471579.xlsx ↩ ↩2
-
厚生労働省障害保健福祉部障害福祉課・企画課監査指導室・こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害福祉分野における手続負担の軽減について」(令和6年4月12日、最終改正 令和7年12月26日)p.1〜4(技術的な助言/押印・署名/電子メール等による提出/人員配置に関する資料/員数の記載/写真/更新申請時の省略/有効期間の弾力的運用)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001244741.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
-
厚生労働省障害保健福祉部企画課・障害福祉課・こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害福祉分野における手続負担の軽減及び生産性向上に向けた取組について」(令和7年8月8日)p.6〜7(事業者要望専用窓口)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001535730.pdf ↩
-
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第89条(運営規程)、第184条・第202条(準用)、第196条の2(就労継続支援A型の運営規程)、第206条の10(就労定着支援の運営規程)https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171 ↩ ↩2 ↩3