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障害福祉の感染対策委員会|開催はおおむね3月に1回、指針・研修・訓練の運営ガイド

公開: 2026年8月18日更新: 2026年8月18日

運営指導で「感染対策委員会の開催記録を見せてください」と言われて、初めて「委員会は年に何回開くものなのか」を調べる——そんな事業所は少なくありません。

結論から言うと、就労移行支援・就労継続支援A型・B型・就労選択支援などの通所系サービスでは、次の4点セットが求められます。

項目求められる頻度・内容
感染対策委員会おおむね3月に1回以上開催+流行期は随時1
指針平常時の対策と発生時の対応を規定して整備23
研修年2回以上+新規採用時4
訓練(シミュレーション)年2回以上・机上と実地を組み合わせ5

対象は感染症だけではありません。通所系の第90条は**「感染症及び食中毒」を対象としており、委員会・指針・研修はいずれも食中毒を含みます**(訓練のみ、条文上は感染症を対象とする書き分けです2)。

義務研修の頻度(感染症だけ年2回)は義務研修・訓練の一覧で解説しましたが、本記事は委員会と指針を含めた体制づくりと、年間の運営の流れまで踏み込みます。

根拠の構造:条文は3点セット、運営詳細は解釈通知#

指定基準省令(平成18年厚生労働省令第171号)第90条は、感染症・食中毒の予防・まん延防止のため、次の3つの措置を義務づけています2

  1. 感染症及び食中毒の予防・まん延防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可)を定期的に開催し、結果を従業者に周知徹底
  2. 感染症及び食中毒の予防・まん延防止のための指針を整備
  3. 従業者に対し、感染症及び食中毒の予防・まん延防止のための研修、並びに感染症の予防・まん延防止のための訓練を定期的に実施

条文をよく読むと、**研修の対象は「感染症及び食中毒」、訓練の対象は「感染症」**と書き分けられています2。委員会・指針・研修は食中毒を含めて設計し、訓練は感染症の発生時対応を軸に設計する、というのが条文に忠実な整理です。

第90条は生活介護の章の条文で、就労移行支援・A型・B型・就労選択支援は準用規定によりこれをそのまま適用します6

条文はいずれも「定期的に」としか書いておらず、回数・構成・運営方法を定めているのは解釈通知(障発第1206001号)です。解釈通知は生活介護の衛生管理(第90条)を「指定療養介護の場合と同趣旨」とし7、療養介護の項(第四の3の(20))に運営詳細をまとめています1345。以下の各節はこの療養介護の項の内容です。

感染対策委員会の設置・運営#

構成メンバーと担当者#

解釈通知は、委員会を幅広い職種で構成することとし、施設長(管理者)・事務長・医師・看護職員・生活支援員・栄養士又は管理栄養士を例示しています1。この例示は療養介護(医療機関で行うサービス)の項のものなので、医師や栄養士がいない就労系事業所では、管理者・サービス管理責任者・現場職員など自事業所の職種構成で幅広く組むことになります(省令上、構成職種の指定はありません2)。

あわせて次の2点が求められます1

  • 構成メンバーの責務・役割分担を明確にする
  • 専任の感染対策担当者を決めておく(看護師であることが望ましい)

事業所外の感染管理等の専門家を委員として積極的に活用することが望ましいともされています1

開催頻度:おおむね3月に1回以上+流行期は随時#

委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね3月に1回以上定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要があります1。年1回の開催では足りない、という点が虐待防止委員会(年1回以上)との大きな違いです。

オンライン開催と他委員会との関係#

  • テレビ電話装置等を活用して開催できます。ただし障害のある方が参加する場合は障害特性に応じた配慮を行い、個人情報保護のガイドラインを遵守します1
  • 委員会は他の委員会と独立して設置・運営することが原則です。ただし、関係する職種や取り扱う事項が相互に関係が深いと認められる他の会議体があれば、一体的に設置・運営して差し支えないとされています1

委員会で検討すること#

条文上の役割は「予防・まん延防止のための対策の検討」と「結果の従業者への周知徹底」です2。解釈通知の指針・研修・訓練の記述と合わせると、実務では次が定番の議題になります。

  • 指針の作成・見直し
  • 研修・訓練の年間計画と実施結果の確認
  • 平常時の衛生管理の状況確認(手洗い・標準予防策の徹底状況など)
  • 流行期前の対策(インフルエンザ等は別途通知に基づく対応8
  • 発生時対応(発生状況の把握・拡大防止策の検討)

指針に定める内容#

指針には平常時の対策発生時の対応を規定します。解釈通知が挙げる項目は次のとおりです3

区分規定する内容
平常時の対策事業所内の衛生管理(環境の整備、排泄物の処理、血液・体液の処理等)/日常の支援にかかる感染対策(標準的な予防策、手洗いの基本、早期発見のための日常の観察項目)
発生時の対応発生状況の把握/感染拡大の防止/医療機関・保健所・市町村の事業所関係課等の関係機関との連携/医療処置/行政への報告
連絡体制発生時における事業所内の連絡体制と関係機関への連絡体制を整備し、明記

各項目の記載内容は、厚生労働省の「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」を踏まえて検討することとされています3。ゼロから書き起こす必要はなく、このマニュアルをベースに自事業所の実情を反映させるのが近道です。

研修:年2回以上+新規採用時#

研修の対象は感染症及び食中毒です2。内容は、感染対策の基礎的な知識の普及・啓発と、自事業所の指針に基づいた衛生管理の徹底・衛生的な支援の励行です4。ポイントは4つあります4

  1. 指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育を年2回以上開催する
  2. 新規採用時には必ず感染対策研修を実施する(定期の年2回とは別枠)
  3. 調理や清掃などの業務を委託している場合は、受託業者にも指針が周知されるようにする
  4. 研修の実施内容を記録する

研修は外部研修である必要はなく、感染対策マニュアル等を活用した事業所内での実施で差し支えないとされています4

訓練:年2回以上・机上と実地を組み合わせ#

感染症の発生を想定した訓練(シミュレーション)を年2回以上行います5。内容は、指針と研修内容に基づく役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などです5

実施手法は机上訓練を含めて問いませんが、机上と実地を適切に組み合わせることが適切とされています5。年2回のうち1回を机上(発生時の連絡フロー・役割分担の確認)、1回を実地(防護具の着脱・嘔吐物処理の演習など)とする組み合わせが考えられます。

なお、BCP(業務継続計画)の研修・訓練は、感染症の研修・訓練と一体的に実施しても差し支えないとされています9。BCPの研修・訓練は年1回以上なので、感染症の年2回のうち1回に相乗りさせる運用が効率的です。

年間の運営の流れ(モデル)#

以上の要件(委員会おおむね3月に1回・研修年2回・訓練年2回・新規採用時研修)を1年に落とし込むと、例えば次のような回し方になります。

時期委員会研修・訓練
4月第1回:年間計画の決定、指針の見直し新規採用者への研修(採用の都度)
7月第2回:上半期の衛生管理状況の確認研修①(全職員・指針に基づく基礎)
10月第3回:流行期前の対策検討訓練①(机上:連絡体制・役割分担の確認)
1月第4回:流行状況の確認、発生時対応の点検研修②+訓練②(実地:防護具・嘔吐物処理の演習)

表: 年間運営のモデル例(時期・組み合わせは事業所の実情に応じて調整)

このモデルはあくまで一例ですが、「委員会4回・研修2回・訓練2回・新規採用時は都度」を満たす形になっています。運営指導に備えて、各回について次を記録に残します。

  • 委員会:開催日時・出席者・検討事項・決定事項・従業者への周知方法
  • 研修・訓練:実施日・参加者・実施内容(研修は実施内容の記録が解釈通知で明示的に求められています4

図: 感染対策の年間サイクル

就労定着支援だけは基準が異なる#

就労定着支援は訪問系の準用(第34条)になるため、次の3点が異なります1011

就労移行・A型・B型・就労選択支援就労定着支援
対象感染症及び食中毒感染症のみ
委員会おおむね3月に1回以上1おおむね6月に1回以上11
研修・訓練年2回以上45年1回以上11

就労定着支援の委員会は、他の会議体との一体的な設置・運営や、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えないとされており、単独設置のハードルが下げられています11

減算はないが、指定基準違反として指摘される#

虐待防止(虐待防止措置未実施減算)・身体拘束(身体拘束廃止未実施減算)・BCP(業務継続計画未策定減算)と異なり、感染症対策の未実施に固有の減算は設けられていません。

ただし第90条は指定基準(運営基準)の義務であり、委員会を開催していない・指針がない・研修訓練の記録がない状態は運営指導での指摘(基準違反)の対象です。減算がない分だけ後回しにされやすい領域なので、上記の年間サイクルに乗せて淡々と回すことをおすすめします。

よくある質問#

Q. 感染対策委員会は年に何回開催すればよいですか?#

解釈通知は、事業所の状況に応じおおむね3月に1回以上定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要があるとしています1。就労定着支援のみ、おおむね6月に1回以上です11

Q. 虐待防止委員会や身体拘束の委員会と合同で開催できますか?#

感染対策委員会は他の委員会と独立して設置・運営することが原則です。ただし、関係する職種・取り扱う事項が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合は、一体的に設置・運営して差し支えないとされています1。合同開催する場合は、感染対策としての検討事項が議事録上も区別できるようにしておくと、運営指導で説明しやすくなります。

Q. 委員会はオンラインで開催できますか?#

できます。条文にテレビ電話装置等を活用できる旨が明記されています2。ただし障害のある方が参加する場合は障害特性に応じた適切な配慮を行い、個人情報保護に関するガイドライン等を遵守することとされています1

Q. 研修は外部の研修を受講しないとだめですか?#

事業所内での実施で差し支えありません。厚生労働省の「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」等を活用し、自事業所の指針に基づいた研修プログラムで年2回以上実施します4。新規採用時の研修も忘れずに別枠で行い、実施内容を記録してください4

Q. 訓練は机上訓練だけでもよいですか?#

机上を含めて実施手法は問わないとされていますが、机上と実地を適切に組み合わせながら実施することが適切とされています5。年2回のうち1回は、防護具の着脱や嘔吐物処理など実地の演習を組み込むのが無難です。なおBCPの訓練とは一体的に実施できます9

関連記事#

Footnotes#

  1. 前掲解釈通知 第四の3の(20)(療養介護の衛生管理等)=感染対策委員会は「幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、生活支援員、栄養士又は管理栄養士)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要」「おおむね3月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある」「テレビ電話装置等を活用して行うことができる」「他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない」「感染対策担当者は看護師であることが望ましい」「事業所外の感染管理等の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい」 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

  2. 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第90条(衛生管理等・生活介護章。就労移行支援・A型・B型・就労選択支援が準用)https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171 2 3 4 5 6 7 8

  3. 同項=指針には平常時の対策(衛生管理、標準的な予防策、手洗いの基本、早期発見のための日常の観察項目等)及び発生時の対応(発生状況の把握、感染拡大の防止、関係機関との連携、医療処置、行政への報告等)と連絡体制を規定。「それぞれの項目の記載内容の例については、「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」も踏まえて検討すること」 2 3 4

  4. 同項=「指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず感染対策研修を実施することが重要」「調理や清掃などの業務を委託する場合には、委託を受けて行う者に対しても、施設の指針が周知されるようにする必要がある」「研修の実施内容についても記録することが必要」「研修の実施は、厚生労働省「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」等を活用するなど、(事業所)内で行うものでも差し支えなく」 2 3 4 5 6 7 8 9

  5. 同項=「訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要」「発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、(事業所)内の役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などを実施」「机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切」 2 3 4 5 6 7

  6. 同令 第173条の9(就労選択支援)、第184条(就労移行支援)、第197条(就労継続支援A型)、第202条(就労継続支援B型)https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171

  7. 厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(解釈通知・障発第1206001号/令和6年度改正 新旧対照表)生活介護の衛生管理等=「(基準第90条)指定療養介護の場合と同趣旨であるため、第四の3の(20)を参照されたい」https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf

  8. 同項=「特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること」。保健所の助言・指導を求め常に密接な連携を保つこととされている

  9. 前掲解釈通知 業務継続計画の項=「感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない」(訓練も同旨) 2

  10. 同令 第34条(衛生管理等・居宅介護章。就労定着支援が第206条の12により準用)https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171

  11. 前掲解釈通知 第三の3の(24)(居宅介護の衛生管理等)=感染対策委員会は「おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある」「他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、(中略)他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない」。研修は「定期的な教育(年1回以上)」、訓練は「定期的(年1回以上)」 2 3 4 5

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