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運営指導(実地指導)の流れと準備|通知から改善報告まで事業所がやること

公開: 2026年7月6日更新: 2026年7月6日

運営指導(かつて「実地指導」と呼ばれていた行政指導)は、すべての障害福祉サービス事業所が避けて通れない行政のチェックです。令和8年(2026年)6月8日付で「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」と「集団指導・運営指導マニュアル」が新たに発出され、就労継続支援A型・B型と共同生活援助(グループホーム)は3年に1回以上という実施頻度が明確に定められました12

本記事では、運営指導の流れ(通知→事前準備→当日→結果通知→改善報告)と、事業所が日頃から準備しておくべきことを、現行の指導指針・マニュアルに基づいて解説します。

運営指導とは(結論)#

運営指導は、都道府県または市町村が、障害者総合支援法第10条第1項・第11条第2項に基づく検査権限を用いて事業所の情報を収集し、その結果に基づいて行政指導を行う一連のプロセスです3。原則として**実地(事業所への訪問)**で行われ、次の3つの内容を確認します1

指導の種類確認内容オンライン実施
① サービスの実施状況指導個別サービスの質(施設・設備、利用者へのサービス提供状況)不可(実地のみ)
② 最低基準等運営体制指導人員・設備・運営基準に規定する運営体制
③ 報酬請求指導自立支援給付費の請求の適正性

3つは通常同時に実施されますが、分割して別々の時期に行われることもあります13

なお、運営指導のうち報告徴収・帳簿書類の提出・立入検査・質問は法定の調査権限に基づく行為で、拒否すると過料の対象になります(障害者総合支援法第114条・第115条第2項)。一方、その結果に基づく改善の指示は行政手続法第32条の行政指導(任意協力)ですが、従わない場合は勧告や監査への移行につながります3

実施頻度 — A型・B型・GHは「3年に1回以上」#

現行の指導指針では、実施頻度が次のように定められています1

  • 就労継続支援A型・B型、共同生活援助の事業所: 3年に1回以上
  • その他のサービス: 原則として指定の有効期間内に少なくとも1回以上
  • 新規指定の事業所: 指定後3年以内に実施。ただし就労継続支援A型は新規指定の半年後を目途に初回の運営指導を実施
  • 通報等により不適切な運営や報酬請求が疑われる事業所: 優先的に実施

集団指導(年1回以上、講習形式・オンライン配信あり)に参加しなかった事業所は、優先的に運営指導の対象とすることが望ましいとされています3集団指導の案内が来たら必ず参加(または動画視聴)することが、運営指導対策の第一歩です。

運営指導の流れ#

図: 運営指導の全体フロー3

1. 実施通知(原則1か月前)#

自治体は、原則として実施予定日の1か月前までに、日時・場所・指導担当者・出席者・準備すべき書類等を文書で通知します。当日のおおむねの流れも事前に示されます1

ただし、**障害者虐待が疑われる場合など、事前通知では日常のサービス提供状況を確認できないと認められる場合は、無通告(指導開始時の通知)**で実施されます1

2. 事前準備#

通知に記載された事前提出資料を準備します。確認対象の書類は原則として運営指導の前年度から直近の実績に係るもので、提出部数は1部、自治体が既に保有している文書(指定申請等で提出済みで変更のないもの)の再提出は求められません13

3. 当日 — 面談方式・施設巡回#

当日は関係書類をもとに面談方式で行われます。施設・設備の確認では、平面図を参照しながら管理者の案内で施設内を巡回し、利用者の生活実態(虐待や適切な手続きを経ていない身体拘束の予兆がないか等)も目視で確認されます3

  • 利用者の記録の確認は、特に必要な場合を除き原則3名以内です1。抽出した利用者について、サービス説明→個別支援計画→サービス提供記録というケアマネジメント・プロセスの一連の流れが確認されます3
  • ICTで書類を管理している場合、印刷を求められることなくパソコン画面上での確認が認められています1
  • 対応者は管理者に限定されず、実情に詳しい従業者や法人の労務・会計担当者の同席が可能です1

4. 結果通知と改善報告書#

改善を要する事項があれば、後日文書で指導内容が通知され、改善報告書の提出が求められます1。改善報告書を提出しない場合や改善されない場合は、勧告や再度の運営指導、監査への移行につながります3

確認される項目は「確認項目・確認文書」に限定される#

運営指導(①実施状況指導・②運営体制指導)は、国が標準化した**「確認項目及び確認文書」**に基づいて実施されます14。重要なのは次のルールです1

  • 確認項目以外の項目は、特段の事情がない限り確認しない
  • 確認文書以外の文書は原則求めない
  • ただし、指導を進める中で不正が見込まれる場合は、この限定は外れます3

つまり、サービス種別ごとの「確認項目及び確認文書」4が事実上の出題範囲です。これを使った自己点検が指導指針でも励行されており、日頃から確認文書の整備状況をチェックしておくことが最も効率的な準備になります。

事業所側の準備チェックリスト#

  1. 「確認項目及び確認文書」で自己点検する — 自事業所のサービス種別のシートを入手し、確認文書(運営規程、重要事項説明書、個別支援計画、サービス提供記録、勤務形態一覧表等)の整備状況を年1回棚卸しする14
  2. 集団指導に必ず参加する — 不参加事業所は運営指導の優先対象になり得ます3
  3. 直近1〜2年分の記録を即座に出せる状態にする — 確認対象は前年度から直近の実績分1
  4. 個別支援計画とサービス提供記録の整合を確認する — 当日は利用者3名程度を抽出してケアマネジメント・プロセスの一貫性が確認されます3
  5. 虐待防止・身体拘束関連の体制を整える — 施設巡回では利用者の様子(身体状況・服装・居室環境等)が具体的なチェックポイントに基づいて観察されます3

監査に切り替わる4つのケース#

運営指導中に次の状況が確認された場合、運営指導は中止され、直ちに監査(不利益処分につながる調査)に切り替わります15

  1. 人員・設備・運営基準に従っていない状況が著しいと認められる場合(またはその疑い)
  2. 自立支援給付の請求に不正があると認められる場合(またはその疑い)
  3. 不正の手段で指定を受けたと認められる場合(またはその疑い)
  4. 障害者虐待等により利用者の生命・身体の安全に危害を及ぼしていると認められる場合(またはその疑い)

よくある質問#

Q. 運営指導を拒否したり、日程変更をお願いしたりできますか?#

報告徴収・帳簿書類の提出・立入検査・質問は障害者総合支援法に基づく法定の調査であり、拒否・妨害には過料が科され得ます(同法第114条・第115条第2項)3。日程については、指導指針上も担当者は事業者に過度な負担を強いない運用が求められているため、合理的な理由があれば自治体に相談する余地はありますが、正当な理由のない拒否はできません。

Q. 無通告で運営指導に来ることはありますか?#

原則は実施予定日の1か月前までの文書通知です。ただし、障害者虐待が疑われるなど、事前通知では日常のサービス提供状況が確認できないと認められる場合は、指導開始時の通知(実質的な無通告)で実施されます1

Q. 当日は管理者が必ず対応しなければいけませんか?#

対応者は管理者に限定されません。実情に詳しい従業者や、法人の労務・会計担当者が同席することは問題ないとされています1

Q. 確認項目にない書類まで要求されたら応じる必要がありますか?#

運営指導では確認項目以外の項目は特段の事情がない限り確認せず、確認文書以外の文書は原則求めないとされています1。ただし、不正が見込まれる等、詳細な確認が必要と判断された場合はこの限定は適用されません3。運用に疑問がある場合は、根拠規定の説明を求めることができます(指導指針は担当者に懇切丁寧な説明を求めています)1

Q. オンラインでの運営指導は可能ですか?#

施設・設備や利用者のサービス利用状況など実地でなければ確認できない内容(実施状況指導)を除き、運営体制指導と報酬請求指導は情報セキュリティの確保を前提にオンライン等の活用が可能です1

出典#

Footnotes#

  1. 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」(令和8年6月8日障発0608第1号 別添1) https://www.mhlw.go.jp/content/260608-1.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

  2. 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等の指導監査について」(令和8年6月8日障発0608第1号) https://www.mhlw.go.jp/content/260608-0.pdf

  3. 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月) https://www.mhlw.go.jp/content/260609-2.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

  4. 厚生労働省「確認項目及び確認文書」(集団指導・運営指導マニュアル別添) https://www.mhlw.go.jp/content/260608-22.pdf 2 3

  5. 厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等監査指針」(令和8年6月8日障発0608第1号 別添3) https://www.mhlw.go.jp/content/260608-3.pdf

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