個別支援計画は、障害福祉サービスの提供の根拠となる最重要文書です。作成プロセスのどこか1つでも欠けると個別支援計画未作成減算の対象となり、**基本報酬が3割減(3か月以上続くと5割減)**という重い減算が、該当する利用者ごとに適用されます1。運営指導でも、利用者記録の確認は個別支援計画を軸とした一連の流れ(ケアマネジメント・プロセス)に重点が置かれます2。
本記事では、事業所の管理者・サービス管理責任者(サビ管)向けに、個別支援計画の作成プロセスと期限管理、未作成減算のルールを、基準省令と留意事項通知に基づいて解説します。
基本ルール(結論)#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作成責任 | 管理者がサービス管理責任者に作成業務を担当させる3 |
| 根拠 | 基準省令第3条・第58条(各サービスで準用)3 |
| 見直し(モニタリング) | 少なくとも6か月に1回以上(自立訓練・就労移行支援・自立生活援助は3か月に1回以上)3 |
| 未作成時の減算 | 減算適用から3か月未満: 所定単位数の70%算定/3か月以上連続: 50%算定1 |
作成プロセスは6ステップ — 1つ欠けても「未作成」#
基準省令第58条(各サービスに準用)が定めるプロセスは次のとおりです3。
図: 個別支援計画の作成・見直しプロセス3
各ステップの実務上の注意点は次のとおりです。
- アセスメント — 利用者に面接して行うことが省令上の義務です。面接の趣旨を説明し理解を得ること、意思決定に困難を抱える利用者には意思及び選好・判断能力等を丁寧に把握することも求められます3。面接した事実と内容を記録に残します。
- 原案の作成 — 利用者・家族の意向、総合的な支援方針、課題、目標と達成時期、留意事項を記載します。他の保健医療・福祉サービスとの連携も位置付けるよう努めます3。
- 担当者会議 — 利用者本人と支援の担当者等を招集し、原案への意見を求めます。テレビ電話装置等の活用が可能です3。開催記録(日時・出席者・意見)を残します。
- 説明と文書同意 — 原案の内容を利用者・家族に説明し、文書により利用者の同意を得ます3。同意日は減算判定や見直し期限の起点として重要です。
- 交付 — 完成した計画を利用者に加えて指定特定相談支援事業者等にも交付します3。相談支援事業者への交付漏れは運営指導で指摘されやすいポイントです。
- モニタリングと見直し — 実施状況の把握(継続的アセスメント)を行い、定期的な利用者面接と結果の記録が義務です。見直しは少なくとも6か月に1回以上(サービスにより3か月)行います3。計画を変更する場合は、ステップ1〜5と同じプロセスを踏む必要があります3。
見直し頻度はサービスで異なる#
「同意・交付日から次の見直し期限」をカレンダーで管理し、期限の1か月前にはモニタリング面接を設定するといった運用が確実です。
個別支援計画未作成減算のルール#
留意事項通知では、次のように定められています1。
- 対象サービス: 療養介護、生活介護、施設入所支援、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型・B型(基準該当B型を含む)、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助
- 減算の程度: 減算適用から3か月未満の月は所定単位数の70%を算定(3割減)、連続して3か月以上の月は50%を算定(5割減)。いずれも各種加算がなされる前の基本報酬に対する割合です
- 該当条件: 次のいずれかに該当する場合
- サービス管理責任者による指揮の下、個別支援計画が作成されていない
- 個別支援計画の作成に係る一連の業務が適切に行われていない
- 適用期間: 該当する月から状態が解消された月の前月まで、該当する利用者ごとに減算
注意すべきは条件2です。計画書そのものが存在していても、アセスメント面接の記録がない、担当者会議を開いていない、文書同意がない、交付していない、モニタリング記録がない——といったプロセスの欠落は「一連の業務が適切に行われていない」として減算対象になり得ます。さらに、都道府県知事の指導に従わない場合は、特別な事情がある場合を除き指定の取消しの検討にまで進みます1。
運営指導ではプロセスの一貫性が見られる#
運営指導では、利用者3名程度を抽出し、サービスの説明→個別支援計画→サービス提供記録という一連の流れが確認されます。計画は利用者ごとに異なるはずであり、複数の利用者の計画がすべて同じ内容になっていることは本来あり得ないという視点でチェックされます2。コピー&ペーストで量産した画一的な計画は、それ自体が「適切に行われていない」ことのシグナルになります。運営指導の全体像は運営指導の流れと準備の記事をご覧ください。
よくある質問#
Q. 減算はいつからいつまで適用されますか?#
未作成等に該当する月から、状態が解消された月の前月まで、該当する利用者ごとに適用されます。3か月未満は基本報酬の70%算定、連続3か月以上は50%算定です1。
Q. 担当者会議はオンラインでも開催できますか?#
できます。基準省令上、個別支援計画の作成に係る会議は「テレビ電話装置等を活用して行うことができる」と明記されています3。開催記録は残してください。
Q. 同意は口頭やメールでもよいですか?#
「文書により利用者の同意を得なければならない」と定められており、口頭のみの同意は要件を満たしません3。同意の署名と日付を確実に残します。
Q. 計画の交付先は利用者だけでよいですか?#
利用者に加えて、指定特定相談支援事業者等にも交付しなければなりません3。セルフプランの利用者を除き、相談支援事業所への交付を運用フローに組み込んでください。
Q. モニタリングでは何をすればよいですか?#
利用者・家族等との継続的な連絡に加え、特段の事情のない限り「定期的に利用者に面接すること」「定期的にモニタリングの結果を記録すること」が求められます3。面接日・内容・記録者を記録に残し、見直し期限(6か月または3か月)内に計画の見直しを行います。
出典#
Footnotes#
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厚生労働省「指定障害福祉サービス等費用算定基準の実施上の留意事項(新旧対照表)」第二の1(10)個別支援計画未作成減算 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472120.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等に対する集団指導・運営指導マニュアル」(令和8年6月) https://www.mhlw.go.jp/content/260609-2.pdf ↩ ↩2
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「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第58条ほか(各サービスにおいて準用・読替え) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18