在宅時生活支援サービス加算は、在宅で就労系サービスを利用する利用者の居宅に、事業所の費用負担で居宅介護・重度訪問介護の従事者を派遣し、生活面の支援を提供した場合に算定できる加算です。単位数は1日につき300単位で、就労移行支援・就労継続支援A型・B型(および就労選択支援)で算定できます1。
本記事では、前提となる「在宅でのサービス利用」の要件(ア〜キ)と、この加算の算定要件・実務ポイントを、就労系留意事項通知等に基づいて解説します。
加算の概要(結論)#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 300単位/日1 |
| 対象サービス | 就労移行支援、就労継続支援A型・B型(就労選択支援にも同名の加算あり)1 |
| 対象者 | 居宅で支援を受けることを希望し、支援を行うことが効果的であると市町村が認める者。居宅介護や重度訪問介護を利用している者であって、支援を受けなければ在宅でのサービス利用が困難な場合2 |
| 算定要件 | 事業所が費用を負担して、在宅利用者の居宅に居宅介護事業所や重度訪問介護事業所に従事する者を派遣し、居宅での生活に関する支援を提供した場合2 |
前提 — 「在宅でのサービス利用」の要件ア〜キ#
この加算の前提として、まず利用者が「在宅利用者」として就労系サービスを在宅で利用できる状態にある必要があります。在宅でのサービス利用は、在宅利用を希望する者で、在宅利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者に対し、次のア〜キのすべてを満たす場合に限り報酬を算定できます3。
- ア 作業・訓練メニューの確保 — 就労機会や生産活動の提供を通じた訓練等が行われ、在宅利用者が行う作業・訓練等のメニューが常に確保されていること
- イ 1日2回の連絡・助言と日報 — 1日2回は連絡・助言・進捗確認等を行い、日報を作成すること。内容や本人の希望に応じ2回を超えた対応も行うこと
- ウ 緊急時の対応ができること
- エ 随時の照会対応体制 — 作業・訓練上の疑義への照会に対し、随時、訪問や連絡による支援ができる体制の確保
- オ 週1回の評価 — 職員による訪問、利用者の通所、または電話・ICT機器の活用により、1週間につき1回は評価等を行うこと
- カ 月1回の訪問または通所 — 原則として月の利用日数のうち1日は、職員の訪問または利用者の通所により、居宅または事業所内で訓練目標に対する達成度の評価等を行うこと
- キ — オの評価が通所で行われ、あわせてカの評価等も行われた場合は、カの通所に置き換えて差し支えない
さらに、運営規程に在宅で実施する訓練・支援内容を明記し、実施した訓練・支援の内容と状況を指定権者から求められたら提出できるようにしておく必要があります。訓練状況・支援状況は、本人の同意を得たうえで音声・動画・静止画等をセキュリティが確保された状態で保存しておくことが望ましいとされています3。
在宅と通所の組み合わせも可能で、サテライトオフィスでの利用等の類似形態も、ア〜キのすべてを満たせば認められます3。
加算の算定要件 — 3つのポイント#
在宅利用の前提を満たしたうえで、この加算は次の要件で算定します2。
- 対象者 — 居宅において支援を受けることを希望する者で、当該支援を行うことが効果的であると市町村が認める者。具体的には、居宅介護や重度訪問介護を利用している者であって、就労系サービスを居宅で利用する際に、支援を受けなければ居宅での利用が困難な場合
- 提供方法 — 当該事業所が費用を負担して、在宅利用者の居宅に居宅介護事業所や重度訪問介護事業所に従事する者を派遣する
- 支援内容 — 居宅での利用者の生活に関する支援(サービス利用中の見守り・身の回りの支援等)を提供した場合に加算
つまり「在宅で就労系サービスを使いたいが、生活面の介助がないと1日を過ごせない重度の利用者」に対し、就労系事業所がヘルパー派遣の費用を持つことで在宅利用を成立させる仕組みです。障害福祉サービスの基本原則では同一時間帯の併給が制限されるため、この加算が事業所負担による派遣という形を取っている点が特徴です。
実務ポイント#
- 市町村との事前協議 — 対象者要件は「市町村が認める者」です。在宅利用の開始時(支給決定・個別支援計画)とあわせて、生活支援の必要性を市町村と協議し、認められた記録を残します
- 費用負担の設計 — 加算は300単位/日(1単位10円台前半として約3,000円強)である一方、派遣費用は契約内容によります。派遣時間・頻度と収支を試算したうえで契約してください
- 記録の整備 — 派遣した従事者・日時・支援内容の記録、費用負担の証憑(契約書・請求書)、在宅利用の日報・評価記録をセットで保存します。運営指導では在宅利用の要件充足(1日2回の連絡、週1回の評価等)と加算記録の両方が確認対象になり得ます
- 個別支援計画への位置付け — 在宅利用の訓練内容と生活支援の必要性を個別支援計画に明記し、モニタリングで効果を評価します(個別支援計画の作成と管理の記事参照)
よくある質問#
Q. 在宅利用者であれば誰でも算定できますか?#
できません。居宅介護や重度訪問介護を利用している者であって、生活支援を受けなければ居宅でのサービス利用が困難な場合に、市町村が効果的と認めることが前提です2。
Q. 派遣費用は利用者に請求できますか?#
この加算は「当該事業所が費用を負担することで」派遣した場合に算定するものです2。派遣に係る費用は事業所負担であり、その評価として300単位/日が算定されます。
Q. 在宅利用と通所を組み合わせられますか?#
可能です。在宅と通所を組み合わせた利用も認められています3。加算は居宅で生活支援を提供した日について算定します。
Q. 在宅利用の「週1回の評価」はオンラインでもよいですか?#
オの評価は職員の訪問・利用者の通所のほか、電話やパソコン等のICT機器の活用でも行えます3。ただし、カの月1回の達成度評価は原則として訪問または通所で行う必要があります。
出典#
Footnotes#
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厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年6月施行版)」就労移行支援・就労継続支援A型・B型・就労選択支援 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696433.pdf ↩ ↩2 ↩3
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厚生労働省「指定障害福祉サービス等費用算定基準の実施上の留意事項(新旧対照表)」在宅時生活支援サービス加算 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472120.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(障障発0331第2号・令和7年3月31日改正)2(3)在宅において利用する場合の支援について https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5