加算を新しく取る・上位の区分に変えるときの体制届は、毎月15日以前に届け出れば翌月から、16日以降なら翌々月から算定できます。1日遅れるだけで算定開始が1か月ずれるため、加算1か月分の差になります1。逆に、要件を満たさなくなったときは届出の日付に関係なく、事実が発生した日から算定できません2。本記事では、厚生労働省の留意事項通知「第一 届出手続の運用」に沿って、算定開始月の決まり方、4月の特例、要件を外れたときの届出と返還を整理します。
結論:15日ルールの早見表#
| 届出の内容 | 届出日 | 算定できる時期 |
|---|---|---|
| 単位数が増える加算等(新規取得・上位区分への変更) | 毎月15日以前 | 翌月から |
| 同上 | 毎月16日以降 | 翌々月から |
| 前年度の実績で区分・単位数が決まる基本報酬・加算(生活介護・就労選択支援・就労移行支援・A型・B型・就労定着支援) | 4月中 | その年度の4月から(4月中の届出が認められる) |
| 加算等が算定できなくなる場合 | 速やかに | 事実が発生した日から算定不可(特定事業所加算等は事実が発生した日の属する月の翌月の初日から) |
根拠はいずれも留意事項通知の第一(届出手続の運用)です132。
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15日以前は翌月、16日以降は翌々月#
留意事項通知は、届出に係る加算等の算定の開始時期を次のように定めています1。
- 対象は「届出に係る加算等(算定される単位数が増えるものに限る)」
- 届出が毎月15日以前になされた場合は翌月から、16日以降になされた場合は翌々月から算定を開始する
- 理由は、利用者や指定特定相談支援事業者等に対する周知期間を確保するため
単位数が増えると利用者負担額も変わりうるため、利用者と計画相談の事業者に知らせる期間を置く、という趣旨です。
具体例#
| 届出日 | 算定開始 |
|---|---|
| 5月15日 | 6月1日から |
| 5月16日 | 7月1日から |
| 5月31日 | 7月1日から |
| 6月1日 | 7月1日から |
5月16日に出しても6月1日に出しても、算定開始は同じ7月です。月の前半に出せるかどうかで1か月分が変わります。翌月から算定したいなら、その月の15日までに届出が出せるよう、体制が整う日から逆算して書類をそろえてください。
審査と補正の期間#
届出を受けた指定権者は要件を審査し、補正が必要なら補正を求めます。審査期間は原則2週間以内、遅くとも概ね1月以内(事業所側の補正に要する時間は除く)が標準とされています1。要件を満たさず補正にも応じない場合は不受理となり、書類が返戻されます1。
通知の文言は「届出が毎月15日以前になされた場合」で、審査や補正が月をまたいだときにどの日を基準にするかまでは書かれていません1。補正後の再提出日を基準にする指定権者もありうるので、15日の直前に出す場合は、書類の不備で翌々月にずれないよう事前に所管へ確認してください。
15日が土日祝日のとき・郵送のとき#
国の通知には、15日が閉庁日にあたる場合や郵送の場合の扱いは書かれていません1。運用は指定権者が定めています。たとえば宮城県は、15日が土日祝日の場合はその直前の平日必着とし、郵送も消印ではなく必着で扱っています4。指定権者の案内で締切の数え方を確認し、郵送なら到着日から逆算してください。
4月の特例:前年度実績で決まる報酬は4月中の届出でよい#
次のサービスの基本報酬や加算等は、前年度の実績等に応じてその年度の算定区分や加算単位数が決まります3。
- 生活介護
- 就労選択支援
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 就労定着支援
前年度の実績は3月末まで確定しないため、留意事項通知は、翌年度4月からの基本報酬の算定区分や加算等の届出を4月中に行うことを認めるとしています3。15日ルールのままだと4月から算定できないため、その例外です。この特例は、上の6サービスの基本報酬や加算等のうち、前年度の実績で区分や単位数が決まるものを想定したものです。6サービスでも実績と関係のない加算を新たに4月から取る場合に、4月中の届出でよいかは通知から断定できないので、所管に確認してください。
ただし、実際の締切は指定権者が「4月15日必着」などと定めている例があります4。「4月中なら何日でもよい」と決めつけず、毎年度の事務連絡で期限を確認してください。A型の基本報酬(スコア方式)の届出は、あわせてスコア留意事項通知も参照するよう求められています3。
要件を満たさなくなったとき:事実発生日から算定できない#
体制が変わって加算等が算定できなくなる状況が生じた場合、または算定できなくなることが明らかな場合は、速やかにその旨を届け出る必要があります2。
- 算定できなくなるのは、加算等が算定されなくなった事実が発生した日からです2。届出をした日からではありません。
- ただし、居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護の特定事業所加算と、計画相談支援の機能強化型サービス利用支援費等は、事実が発生した日の属する月の翌月の初日から算定しません2。
- 届出をせずにそのまま請求した場合は不正請求となり、支払われた給付費は不当利得として返還の対象です。悪質な場合は指定の取消しの対象になります2。
たとえば、加配の職員が月の途中で退職して体制要件を割り込んだ場合、その日以降の算定はできません。15日ルールは「単位数が増えるもの」に限った定めで1、算定できなくなる場合は事実が発生した日から算定しないとされています2。通知から言えるのはここまでで、上位区分から下位区分に切り替えて算定を続ける場合に、下位区分をいつから算定するかは書かれていません。切替日は指定権者に確認してください。
なお、人員基準そのものを満たさなくなった場合の人員欠如減算は、これとは別の仕組みで、減算の始まる月が定められています。詳しくは「人員欠如減算」を参照してください。
届出時点で要件を満たしていなかったと分かったとき#
届出事項は、指定権者が適宜事後的な調査を行います2。
- 事後調査等で、届出の時点で要件に合致していなかったことが判明し、指導を受けても改善がみられない場合は、その届出は無効です。それまでに受け取った給付費は不当利得として返還の対象になり、不正・不当な届出が繰り返されるなど悪質な場合は指定の取消しで対処するとされています2。
- 改善がみられた場合でも、要件に合致するまでは算定できず、判明した時点までに算定していた分は返還の対象です2。
利用者負担の過払い分も返す#
返還が生じた事業所は、市町村への返還と同時に、その給付費に係る利用者が支払った利用料の過払い分を、返還金に係る計算書を付けてそれぞれの利用者に返します。返還の際は利用者から受領書を受け取り、事業所で保存します5。
処遇改善加算の体制届も「前月15日まで」#
処遇改善加算も、体制届は算定を開始する月の前月15日までに提出するのが原則です6。これとは別に、処遇改善計画書の提出期限があります。令和8年度は次の特例が示されています6。
- 令和8年4月から新たに算定する・区分を変える場合の体制届の期日は令和8年4月1日。ただし、計画書の期日が4月15日であることを踏まえ、指定権者は4月15日を期日としても差し支えないとされています。4月1日を期日とする場合も、4月15日までの区分変更等を受け付けるなど柔軟に扱うこととされています。
- 4月・5月は算定せず6月から算定する事業者(6月に処遇改善加算が新設された計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援の事業所だけをもつ事業者など)は、他の加算と同じく5月15日が期日です。ただし、計画書の期日が6月15日であることを踏まえ、指定権者は6月15日を期日としても差し支えないとされています。
どちらの期日を採るかは指定権者が決めるので、所管の案内を確認してください。計画書の期限は「処遇改善加算の計画書・実績報告書」で整理しています。
届出の実務チェックリスト#
- 加算の要件(人員・研修修了・計画の作成など)がそろう日を確定させ、15日以前に届け出られるかを逆算したか
- 指定権者の締切の数え方(土日祝日・郵送は必着か)を確認したか
- 4月の特例の対象サービスなら、今年度の事務連絡で4月の締切日を確認したか
- 加算の要件を割り込む見込み(職員の退職・休職、研修修了者の異動など)を把握したら、事実発生日を記録し、速やかに届け出たか
- 取り下げ・区分変更の届出後に、請求ソフトの加算設定を外したか(届出をしても請求データが変わらなければ過大請求になる)
- 返還が生じた場合に、利用者への過払い分の返還と受領書の保存まで終えたか
よくある質問#
Q. 15日に届け出れば翌月から算定できますか?#
できます。通知は「15日以前」としているので、15日当日の届出は翌月から算定できます1。ただし、15日が閉庁日の場合などの扱いは指定権者が決めているため、案内を確認してください4。
Q. 加算の区分を下げる届出も15日ルールですか?#
15日ルールの対象は「算定される単位数が増えるもの」に限られます1。上位区分の要件を満たさなくなった場合は、その事実が発生した日から上位区分では算定できません2。下位区分をいつから算定するかは通知に書かれていないので、指定権者に確認してください。
Q. 届出を忘れて要件を満たさないまま請求していました。どうなりますか?#
届出をせずに請求した分は不正請求となり、不当利得として返還の対象です。利用者負担の過払い分も利用者に返します25。気づいた時点で指定権者に相談し、事実発生日を特定して返還額を確定させてください。
Q. 新規の加算を4月から取りたい場合も、4月中の届出でよいですか?#
4月中の届出が認められるのは、生活介護・就労選択支援・就労移行支援・A型・B型・就労定着支援の、前年度の実績で区分や単位数が決まる基本報酬や加算等です3。これ以外のサービスの加算は15日ルールなので、4月1日から算定するには3月15日以前の届出が必要です1。上の6サービスで実績と関係のない加算を4月から取る場合は、所管に確認してください。
Q. 審査に時間がかかって月をまたいだら、算定開始は遅れますか?#
通知は「届出が毎月15日以前になされた場合」と定めるだけで、審査や補正が月をまたいだときの基準日は書かれていません1。審査期間は原則2週間以内、遅くとも概ね1月以内が標準です1。補正後の再提出日を基準とする扱いもありうるので、所管の運用を確認し、補正の依頼には早く対応してください。
制度上の根拠#
- 留意事項通知 第一の1(届出の受理:審査期間・受理/不受理・⑷算定の開始時期・⑸前年度実績を踏まえて届け出る加算等の算定の開始時期)13
- 留意事項通知 第一の2〜5(届出事項の閲覧・掲示、事後調査、要件に合致していない場合の取扱い、加算等が算定されなくなる場合の届出)2
- 留意事項通知 第一の6(利用者に対する利用料の過払い分の返還)5
Footnotes#
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厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第一 届出手続の運用 1 届出の受理(審査期間・受理/不受理、⑷届出に係る加算等の算定の開始時期)pp.4-5 (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14
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同 第一の3 届出事項に係る事後調査の実施、4 事後調査等で届出時点において要件に合致していないことが判明した場合の届出の取扱い、5 加算等が算定されなくなる場合の届出の取扱い pp.6-7(特定事業所加算の該当箇所は、居宅介護 p.62・重度訪問介護 p.84・同行援護 p.95・行動援護 p.100) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13
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同 第一の1⑸ 前年度1年間の実績等を踏まえて届け出る加算等の算定の開始時期 pp.5-6 (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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宮城県「障害福祉サービス等における加算の届出について」(15日が土日祝日の場合は直前の平日必着・郵送は必着。指定権者の運用の一例) (https://www.pref.miyagi.jp/site/syoufuku-top/kasan001.html) ↩ ↩2 ↩3
-
同 第一の6 利用者に対する利用料の過払い分の返還 pp.7-8 (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3
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厚生労働省・こども家庭庁「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分・障障発0331第1号/こ支障第78号)pp.10-11(体制届出は算定開始月の前月15日まで・令和8年度の期日の特例) (https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126420/r8_4_syoguukaizen_jimusyoritejyun.pdf) ↩ ↩2
