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人員欠如減算の発生条件と常勤換算の計算方法|70%・50%減算を回避するには

公開: 2026年7月1日更新: 2026年7月1日

人員欠如減算とは#

人員欠如減算は、障害福祉サービス事業所が省令で定められた人員配置基準を満たしていない場合に適用される減算です1。対象となる職種は、サービス提供に直接関わる直接支援職員と、**サービス管理責任者(サビ管)**の2つに大別されます。

人員基準を下回った状態が続くと、報酬が大幅に減額されるだけでなく、最悪の場合は指定取消しにつながる重大なペナルティです。本記事では、減算率・減算開始時期の正確なルールから、実務的な予防策までを解説します。


サービス提供職員欠如減算#

サービス提供職員(職業指導員、生活支援員、就労支援員など)の配置が人員基準を下回った場合に適用される減算です。

減算率#

期間算定方法
減算開始から2か月目まで所定単位数の**70%**で算定(30%減算)
3か月目以降所定単位数の**50%**で算定(50%減算)

減算は、基準を下回っている月の利用者全員の基本報酬に適用されます2

減算開始時期(1割ルール)#

人員基準を下回った場合の減算開始時期は、不足の度合いによって異なります。この仕組みは「1割ルール」と呼ばれています2

不足の度合い減算開始時期猶予の有無
基準に対して10%を超える不足翌月から減算開始猶予なし
基準に対して10%以内の不足翌々月から減算開始翌月末までに回復すれば減算なし

たとえば、常勤換算で3.0人必要な事業所の場合を考えます。

  • 2.6人に減少(不足率13.3%=10%超)→ 不足が生じた月の翌月から減算開始
  • 2.8人に減少(不足率6.7%=10%以内)→ 不足が生じた月の翌々月から減算開始(翌月末までに3.0人以上に回復すれば減算なし)

サービス管理責任者欠如減算#

サビ管が不在となった場合は、直接支援職員の欠如とは異なる減算ルールが適用されます2

減算率#

期間算定方法
欠如の翌々月から4か月間所定単位数の**70%**で算定(30%減算)
5か月目以降所定単位数の**50%**で算定(50%減算)

サビ管の欠如については、欠如が発生した月の翌月末までに後任を配置できれば減算は適用されません。この期間内に採用・配置を完了することが重要です。

みなし配置の特例#

やむを得ない事由(急な退職・病気等)によりサビ管が欠如した場合、以下の要件を満たす職員を最長2年間サビ管として「みなし配置」することが認められています2

  • サービス管理責任者研修の受講が見込まれる者
  • 実務経験の要件を満たしている者
  • 都道府県に届出を行っていること

みなし配置は緊急避難的な措置であり、2年以内に正規のサビ管研修を修了させる必要があります。


対象となる職種#

人員欠如減算の対象となる主な職種をサービス別に整理します1

サービス対象職種人員基準の目安
就労継続支援A型職業指導員、生活支援員合計で利用者7.5:1または10:1
就労継続支援B型職業指導員、生活支援員合計で利用者6:1、7.5:1または10:1
就労移行支援職業指導員、生活支援員、就労支援員職業指導員+生活支援員で6:1、就労支援員で15:1
生活介護生活支援員、看護職員 等利用者の障害支援区分に応じて異なる
共同生活援助世話人、生活支援員利用者の障害支援区分に応じて異なる
全サービス共通サービス管理責任者利用者60人以下で1名以上

常勤換算の計算方法#

人員基準の充足は常勤換算方法で判定します。常勤換算とは、各職員の勤務時間数を常勤職員の所定労働時間で割ることで、非常勤職員も含めた「常勤何人分に相当するか」を算出する方法です1

常勤換算数 = 各職員の1か月の勤務時間の合計 ÷ 常勤職員の1か月の所定労働時間

たとえば、常勤の所定労働時間が月160時間の事業所の場合は以下のとおりです。

職員月間勤務時間常勤換算
常勤職員A160時間1.0
非常勤職員B80時間0.5
非常勤職員C120時間0.75
合計360時間2.25

人員基準の充足は月単位で判定されます。月の途中で退職者が出た場合でも、その月全体の常勤換算数で基準を満たしているかが確認されるため、退職が分かった時点で速やかに補充の手配を始めることが重要です。


令和8年6月の特例措置#

令和8年6月の臨時改定において、突発的な人員不足に対する減算猶予の特例措置が設けられました2

特例措置の概要#

項目内容
対象突発的で想定が困難なやむを得ない事情による人員不足
猶予期間最大3か月間、減算を猶予
回数制限1年に1回に限る
適用除外人員基準上必要とされる員数から1割を超えて減少した場合は対象外

適用の要件#

特例措置の適用を受けるには、以下の対応が必要です。

  • 都道府県等への速やかな届出
  • ハローワーク等への求人申込を行っていること
  • 人員確保に向けた具体的な取組みを実施していること

この特例措置は、予期しない退職や病気等による一時的な人員不足を想定した制度であり、恒常的な人員不足に対して適用されるものではありません。


予防策#

採用・配置管理#

  • 退職リスクの把握: 職員の退職意向を定期的に確認し、早期に対応する
  • バックアップ人員の確保: 非常勤職員の登録や人材派遣の活用を検討する
  • 資格取得の計画的推進: サビ管研修の受講計画を立て、複数の候補者を確保する
  • 常勤換算の余裕: 基準ギリギリではなく、一定の余裕を持った配置を心がける

定期モニタリング#

  • 毎月の常勤換算数の算出を定例業務として実施する
  • 基準を下回りそうな場合は採用活動を早期に開始する
  • サビ管研修の修了予定者をリストアップしておく

よくある質問#

Q. 退職により基準を下回った場合、いつから減算になりますか?#

減算の開始時期は不足の度合いによって異なります。基準に対して10%を超える不足の場合は翌月から、10%以内の不足であれば翌々月から減算が適用されます2。いずれの場合も速やかな人員補充が必要です。

Q. 産休・育休中の職員は常勤換算に含まれますか?#

産休・育休中の職員は実際の勤務実態がないため、常勤換算数には含まれません。代替職員の配置が必要です。なお、代替職員を確保した場合は、その職員の勤務時間を常勤換算に算入できます1

Q. サビ管が急に退職した場合、すぐに減算されますか?#

サビ管の欠如については、欠如が生じた月の翌月末までに後任を配置すれば減算は適用されません。ただし、翌月末までに配置できない場合は翌々月から所定単位数の70%で算定されます2

Q. 令和8年6月の特例措置はどのような場合に使えますか?#

突発的で想定が困難な事情(急な退職・病気等)による人員不足で、かつ不足が基準の1割以内の場合に適用できます。ハローワーク等への求人申込などの要件を満たしたうえで届出を行う必要があり、1年に1回限りの措置です2

Q. 減算が適用された場合、利用者への通知は必要ですか?#

法令上の直接的な通知義務はありませんが、運営規程の変更として重要事項説明書の変更が必要となる場合があります。また、情報公表制度における運営状況の報告対象となります。


Footnotes#

  1. 厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号) 2 3 4

  2. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬に関する留意事項通知」 2 3 4 5 6 7 8