結論:申請書・変更届・付表は国の様式でしか出せなくなった#
令和8年4月1日から、障害福祉サービス事業者が自治体に出す指定申請書・指定更新申請書・指定変更申請書・変更届出書は、国(こども家庭庁長官・厚生労働大臣)が定めた様式で提出するものになりました12。令和7年3月31日に障害者総合支援法施行規則などが改正され、法令上の措置が講じられたものです3。
これまでも国は標準様式を示していましたが、自治体は地域の特性に照らして特に必要があれば独自の様式を使うこともできました4。今回の改正で、申請書と変更届の様式は施行規則に書き込まれた法定の様式になりました2。国の指定ガイドラインも、自治体に対して「指定審査は標準様式等を用いて行うこと」と求めています5。
ただし、すべての書類が同じ強さで統一されたわけではありません。この記事では、統一された書類を拘束力の強さで3つに分けて整理し、そのうえで自治体独自の添付書類がどこまで残るのかを一次情報で確認します。
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何が、いつから変わったのか#
法令上の位置付け#
令和7年3月31日、障害福祉サービス事業者等が自治体に行う指定申請等の手続について、こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める様式等(標準様式等)により行うための法令上の措置が講じられました3。施行日は令和8年4月1日です1。
改正後の施行規則は、サービスごとの条文に次の規定を置いています2。
| 手続 | 施行規則の条文(就労系の例) | 規定 |
|---|---|---|
| 指定申請・指定更新申請 | 就労移行支援 第34条の16第5項/就労継続支援A型 第34条の17第5項/B型 第34条の18第5項/就労定着支援 第34条の18の2第5項 | 申請書は「厚生労働大臣が定める様式によるもの」とする |
| 指定変更申請(定員増など) | 第34条の22第2項 | 申請書は「こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める様式によるもの」とする |
| 変更届出 | 第34条の23第5項 | 届出は「こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める様式により行うもの」とする |
同じ規定は、居宅介護・生活介護・共同生活援助・障害者支援施設・相談支援などの条文にもあります2。児童発達支援・放課後等デイサービスなどの児童系サービスは、児童福祉法施行規則の改正(令和7年内閣府令第32号)で同じ扱いになりました1。
施行前に出した書類の扱い#
従来の様式で指定申請等の手続を進めていた事業所は、施行期日までに提出していれば、新しい様式で出し直す必要はありません1。国は、施行を待たずに可能な限り早く新様式を使うよう自治体に求めていました1。
統一された書類は3種類。拘束力が違う#
| 区分 | 対象の書類 | 根拠 | 自治体が変えられるか |
|---|---|---|---|
| ①法定の様式 | 指定・指定更新・指定変更申請書(様式第一号)、変更届出書(様式第二号)、サービスごとの付表 | 施行規則+告示(令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第3号) | 変更を加えずに使用1 |
| ②標準様式1〜4 | 1 主たる対象者を特定する理由等/2 苦情を解決するために講ずる措置の概要/3 誓約書/4 勤務体制一覧表 | 事務連絡(令和7年3月31日) | 原則、変更を加えずに活用1 |
| ③加算の届出(体制届)の様式 | 介護給付費等の算定に係る体制等状況一覧表と、加算ごとの届出書 | 報酬告示の改正(令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第2号) | 部長等が定める様式による届出が算定の条件67 |
①法定の様式:申請書・変更届・付表#
様式第一号(指定/指定更新/指定変更申請書)と様式第二号(変更届出書)、そしてサービス種別ごとの付表(就労継続支援は付表9、就労移行支援は付表8、就労定着支援は付表10など)が対象です1。国は自治体に対し、これらを変更を加えずに使用するよう求めています1。
②標準様式1〜4:添付書類の書式#
申請書に添付する書類のうち、次の4つには国の標準様式があります1。
- 標準様式1:指定障害福祉サービス等の主たる対象者を特定する理由等
- 標準様式2:利用者(入所者)又はその家族からの苦情を解決するために講ずる措置の概要
- 標準様式3:誓約書
- 標準様式4:勤務体制一覧表
こちらは「原則、変更を加えずに活用」という扱いで、①より一段弱い位置付けです1。
③体制届の様式#
加算を算定するための届出(いわゆる体制届)も、報酬告示の改正で、厚生労働省障害保健福祉部長(サービスによってはこども家庭庁支援局長と連名)が定める様式による届出を行った事業所が算定できる形に改められ、令和8年4月1日から適用されています6。届出様式と記載上の留意点は、部長・局長通知「介護給付費等の算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」(最終改正 令和8年8月4日)に示されています7。この告示の適用日より前に旧告示の規定で行われ、適用日以後に受理された届出は、改正後の告示の規定による届出とみなされます6。
申請に添付する書類(標準添付書類)#
国は、指定申請に添付する書類の一覧も示しています。就労系サービスで求められる書類は次のとおりです(○が必要)8。
| 添付書類 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労定着支援 |
|---|---|---|---|---|
| 従業者の勤務の体制及び勤務形態 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 登記事項証明書又は条例等 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 事業所の平面図 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 設備の概要 | ○ | ○ | ○ | - |
| 管理者・サービス管理責任者の経歴書 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 苦情を解決するために講ずる措置の概要 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 誓約書 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 運営規程 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 協力医療機関との契約の内容 | ○ | ○ | ○ | - |
| その他指定に関し必要と認める事項 | ○ | ○ | ○ | ○ |
このうち「勤務の体制及び勤務形態」「苦情を解決するために講ずる措置の概要」「誓約書」は、前の節の標準様式4・2・3で作成します1。
自治体独自の書類は残るのか#
「その他指定に関し必要と認める事項」は法令に残っている#
施行規則は、指定申請の記載事項の最後に「その他指定に関し必要と認める事項」を置いています(B型なら第34条の18第1項第13号)2。国の添付書類一覧も、その例として「従業員の資格証明書の写し・主たる対象者特定の理由書・社会保険及び労働保険への加入状況に係る確認票・収支報告書・賃貸借契約書」を挙げています8。自治体が追加の書類を求める余地は、法令上なくなったわけではありません。
国の事務連絡も、都道府県等が地域の特性に照らして特に必要があると判断する場合には、独自の規律を設け、独自の様式・添付書類を使用することも可能としています4。
ただし国は「必要最小限」を求めている#
一方で、国は同じ事務連絡の中で、自治体に対して次の簡素化を求めています4。
- 人員配置に関する添付資料は、資格証や研修修了証等の写しと管理者等の経歴書のみとし、雇用契約書などその他の人員に関連する添付資料は求めない(代替の確認方法があれば資格証等の写しも求めないことが可能)
- 施設・設備等の写真の提供を求めるのは、自治体が現地を訪問できない場合に限る
- 指定更新の際、既に提出している事項に変更がないものは、特段の事情がない限り記載や提出を省略させる
- 指定申請等の様式について押印・署名を求めない
さらに令和7年8月8日の事務連絡では、自治体に対して独自ルールを精査し、真に必要なルール以外は負担軽減の観点から見直すよう求めています9。
これらは地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的な助言として発出されたものです49。実際にどこまで追加書類が求められるかは、指定権者(都道府県・指定都市・中核市)ごとに確認する必要があります。
提出方法:原則は電子メール等#
国は、更新申請と変更届出は原則として電子メール等による提出とするよう自治体に求めています4。加算の届出など指定申請以外の手続も、電子メール等による提出を原則とするよう求めています49。新規の指定申請は、一度は対面の機会を設けることを基本としつつ、書類は電子メール等でも提出できるようにすることを求めています4。
書類を電子メールやWebフォームで提出する場合、行政書士が代理で作成した書類でも、行政書士の記名・職印の押印は不要です9。紙で提出する場合は必要ですが、申請書の右肩の申請者欄を使って代理申請人の記名と職印の押印を行ってもよいとされています9。
今後:国の電子申請システム#
国は、事業所台帳の管理、電子申請・届出、業務管理体制のデータ管理の機能を持つ新しいシステムを整備し、令和9年度第4四半期に運用を開始することを想定しています9。対象は、指定と報酬請求に関連する申請・届出の受付と承認の業務です9。現時点では想定の段階で、事業所側の使い方はまだ示されていません。
令和8年4月からの追加改正:障害児の推定数#
居宅介護・同行援護・行動援護・短期入所・重度障害者等包括支援(児者共通サービス)について、障害児にサービスを提供する(提供を見込む場合を含む)事業者は、指定申請と指定更新申請の際に「利用する障害児の推定数」を提出することになりました10。付表と変更届出書にも、「障害児対象事業の該当の有無」と「利用する障害児の推定数」の記載欄が新設されています10。施行は令和8年4月1日です10。
施行前から障害児にサービスを提供している事業者は、推定数について改めて変更届を出す必要はありません。施行後から次の指定更新申請までの間に届け出ることはできます10。
就労系サービスはこの追加改正の対象ではありません。
事業所がやること#
- 自治体のホームページの様式を確認する:令和8年4月以降の申請・届出は国の様式によります1。古い自治体様式を保存して使い回している場合は差し替えます。国の様式は令和7年12月に示された改正(障害児の推定数の欄の追加)でも変わっているため、ダウンロードし直すのが確実です10。
- 変更届は変更後10日以内に、国の様式で出す:名称・所在地・管理者・サービス管理責任者・運営規程などに変更があったら、変更後10日以内に届け出ます5。
- 体制届も最新の様式で出す:加算の届出様式は令和8年8月4日にも改正されています7。
- 求められた追加書類の根拠を確かめる:雇用契約書の写しや写真など、国が求めないよう助言している書類を求められた場合は、指定権者に理由を確認できます4。国は事業者の要望を受け付ける専用窓口も設けています9。
よくある質問#
Q. 自治体独自の申請書の様式はもう使われないのですか?#
申請書(様式第一号)、変更届出書(様式第二号)、付表は、施行規則で国が定める様式によるものとされたため、令和8年4月1日以降は国の様式で提出します12。添付書類については、自治体が「その他指定に関し必要と認める事項」として追加を求める余地が残っています24。
Q. 加算の体制届も全国共通になったのですか?#
報酬告示の改正で、加算は部長等が定める様式による届出を行った事業所が算定するものとされ、令和8年4月1日から適用されています6。様式と記載要領は、部長・局長通知(最終改正 令和8年8月4日)で示されています7。
Q. 指定申請に写真の提出を求められました。断れますか?#
国は、写真の提供を求めるのは自治体が現地を訪問できない場合に限るよう助言しています4。これは技術的な助言として発出されたもので4、実際の取扱いは指定権者ごとに異なりうるため、現地確認の予定があるかどうかを含め、指定権者に理由を確認してください。
Q. 押印は必要ですか?#
国は、標準様式等について事業者に押印・署名を求めないよう自治体に求めています49。行政書士が代理で作成した書類を電子的に提出する場合は、行政書士の記名・職印の押印も不要です9。
Q. 電子申請はいつからできますか?#
国の新しい電子申請・届出システムは、令和9年度第4四半期の運用開始が想定されています9。それまでの間も、国は更新申請・変更届・加算の届出などについて、電子メール等による提出を原則とするよう自治体に求めています49。具体的な提出方法は指定権者ごとに確認してください。
関連記事#
Footnotes#
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厚生労働省障害保健福祉部障害福祉課・こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「児童福祉法施行規則の規定に基づきこども家庭庁長官が定める様式並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が定める様式及びこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める様式の公布について」(令和7年3月31日)p.1〜3(施行期日 令和8年4月1日/従来の様式による提出の扱い/別紙1の様式は変更を加えずに使用・別紙2の標準様式は原則変更を加えずに活用/別紙1・別紙2の一覧)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001471282.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14
-
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第34条の16第5項・第34条の17第5項・第34条の18(第1項・第5項)・第34条の18の2第5項・第34条の22第2項・第34条の23第5項 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100019 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
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厚生労働省「指定申請等の標準様式等」(令和7年3月31日の法令上の措置・令和8年4月施行)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisansei/youshiki.html ↩ ↩2
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厚生労働省障害保健福祉部障害福祉課・企画課監査指導室・こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害福祉分野における手続負担の軽減について」(令和6年4月12日、最終改正 令和7年12月26日)p.1〜3(技術的な助言/独自の様式・添付書類/押印・署名/電子メール等による提出/人員配置に関する資料/写真/更新申請時の省略)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001244741.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13
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厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部・こども家庭庁支援局「障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン」(令和8年6月)p.8(申請書類の標準化)、p.14(変更の届出は変更後10日以内に標準様式等により)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001716171.pdf ↩ ↩2
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「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援に要する費用の額の算定に関する基準の一部を改正する告示」(令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第2号)本文(部長・局長が定める様式による届出)、附則(令和8年4月1日から適用/経過措置)p.134 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001471228.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長・こども家庭庁支援局長通知「介護給付費等の算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」(令和7年3月31日 障発0331第24号・こ支障第87号、最終改正 令和8年8月4日 障発0804第1号・こ支障第215号)p.1〜2 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001471284.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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厚生労働省「指定申請書類一覧」(標準添付書類一覧・「その他指定に関し必要と認める事項」の例)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001471579.xlsx ↩ ↩2
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厚生労働省障害保健福祉部企画課・障害福祉課・こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害福祉分野における手続負担の軽減及び生産性向上に向けた取組について」(令和7年8月8日)p.1〜7(標準様式の改正見込み/行政書士の記名・職印/新システムの運用開始想定/電子的な提出の原則化/独自ルールの精査/事業者要望専用窓口)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001535730.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12
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厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長・こども家庭庁支援局長通知「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則の一部を改正する命令等の公布等について」(令和7年12月3日 障発1203第2号・こ支障第423号)p.1〜3 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001471226.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5