就労移行支援

就労移行支援の人員配置基準|必置職種・定員見直し・常勤換算を解説

公開: 2026年6月30日更新: 2026年10月19日

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就労移行支援の人員配置基準とは#

就労移行支援事業所を運営するうえで、人員配置基準の遵守は指定の取得・維持に不可欠です。基準を満たさない場合は人員欠如減算が適用され、報酬が大幅に減額されます。

この記事では、就労移行支援事業所に必要な職種と配置人数、令和6年度改定による定員規模の見直し、常勤換算の計算方法、そしてよくある質問までを網羅的に解説します。

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必置職種と配置基準の一覧#

就労移行支援事業所では、以下の職種を配置しなければなりません1。

職種配置基準常勤要件
管理者1名兼務可(管理業務に支障がない場合)1
サービス管理責任者利用者60名以下:1名以上1名以上は常勤1
職業指導員職業指導員+生活支援員の合計で利用者数÷6以上(常勤換算)職業指導員または生活支援員のうち1名以上は常勤1
生活支援員職業指導員+生活支援員の合計で利用者数÷6以上(常勤換算)同上
就労支援員利用者数÷15以上(常勤換算)2常勤要件なし

管理者#

事業所の運営全体を統括する責任者です。管理業務に支障がない場合に限り、サービス管理責任者や他の職種との兼務が認められています1。専ら管理業務に従事する必要はありませんが、兼務する場合は管理業務が疎かにならないよう注意が必要です。

サービス管理責任者#

個別支援計画の作成やサービス内容の管理を担う職種です1。利用者数が60名以下の場合は1名以上、60名を超える場合は60名を超えて40名またはその端数ごとに1名を追加配置する必要があります1。1名以上は常勤でなければなりません。

サービス管理責任者には、実務経験と相談支援従事者初任者研修・サービス管理責任者研修の修了が求められます3。

職業指導員・生活支援員#

職業指導員と生活支援員は、利用者に対する訓練指導や生活面の支援を行う職種です。両者の合計人数が利用者数を6で除した数以上(常勤換算)であることが求められます1。

重要なポイントは以下のとおりです。

  • 職業指導員・生活支援員はそれぞれ最低1名以上の配置が必要です1
  • 両職種を合わせた人数のうち、1名以上は常勤でなければなりません1
  • 配置人数は「6:1」の基準で、利用者20名の場合は20÷6=3.33…なので、両職種の常勤換算数の合計が3.33…を下回らないように配置します(実務上は3.4名分など、余裕をもって組みます)

就労支援員#

就労支援員は、利用者の就職活動の支援や職場開拓、就労後の職場定着支援に向けた連絡調整を行う職種です2。配置基準は利用者数を15で除した数以上(常勤換算)です2。利用者20名の場合は20÷15=1.33…なので、常勤換算数が1.33…を下回らないように配置します。

就労支援員には常勤要件はありませんが、利用者の就職に直結する支援を担うため、十分な配置が望まれます。

定員規模の計算例#

定員20名の事業所を例に、最低限必要な人員数を計算します。

職種計算式必要人数(常勤換算)
管理者—1名
サービス管理責任者利用者60名以下1名以上
職業指導員+生活支援員20 ÷ 6 = 3.33…3.33…以上(3.3名では届かない)
就労支援員20 ÷ 15 = 1.33…1.33…以上(1.3名では届かない)

配置人数を計算する際の利用者数は、原則として前年度の平均利用者数を使用します1。新設・増床から6か月未満は利用定員の90%、6か月以上1年未満は直近6か月の延べ数を開所日数で除した数を利用者数とします4。指定申請時の定員そのものではありません。詳しくは「人員配置の利用者数と常勤換算の数え方」を参照してください。

令和6年度改定:定員10人以上への見直し#

令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定により、就労移行支援事業所の利用定員規模が見直されました5。

項目改定前改定後
利用定員の下限20人以上(離島等は10人以上)10人以上5

この改定は、地域の実情に応じた事業所運営を可能にするためのものです。人口の少ない地域や都市部でも、より小規模な体制から就労移行支援事業を開始できるようになりました5。

定員10名の場合の人員配置#

定員が10名に縮小されても、職種ごとの配置基準(6:1、15:1等)自体は変更されていません。定員10名の場合に必要な人員数は以下のとおりです。

職種計算式必要人数(常勤換算)
管理者—1名
サービス管理責任者利用者60名以下1名以上
職業指導員+生活支援員10 ÷ 6 = 1.66…1.66…以上
就労支援員10 ÷ 15 = 0.66…0.66…以上

小規模事業所では管理者とサービス管理責任者の兼務が実務上重要となります。兼務の可否については後述のFAQをご確認ください。

常勤換算方法の解説#

人員配置基準を満たしているかどうかは「常勤換算方法」で判定します1。

計算式#

常勤換算数 = 対象職員の月間勤務延べ時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき月間時間数

計算のステップ#

  1. 事業所で定める常勤職員の1週あたりの勤務時間数を確認します(32時間以上で設定)1
  2. 月間の勤務すべき時間数を算出します(例:週40時間 × 4.35週 = 174時間)
  3. 各職員の実際の月間勤務時間を合計します(常勤・非常勤を問わず合算)
  4. 合計時間数を月間の勤務すべき時間数で割ります
  5. 得られた常勤換算数が、基準の数(利用者数÷6 など)を下回っていないかを確認します

計算例#

事業所の常勤勤務時間が**週40時間(月174時間)**の場合で、職業指導員と生活支援員の配置を計算します。

職員雇用形態月間勤務時間
Aさん(職業指導員)常勤174時間
Bさん(生活支援員)常勤174時間
Cさん(生活支援員)パート87時間

常勤換算数 =(174 + 174 + 87)÷ 174 = 2.5

定員15名の場合の基準は 15 ÷ 6 = 2.5 ですので、この配置であれば基準を満たします。

常勤換算の注意点#

  • 常勤換算はサービスごとに算出するため、他事業と兼務する時間は含めません1
  • 常勤要件がある職員が産休・育休等で休業する場合は、求められる資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算して人員基準を満たすこともできます6
  • 毎月の実績に基づいて算出し、記録を保存してください

人員欠如減算のリスク#

人員配置基準を満たさない場合は、人員欠如減算が適用されます7。

期間減算割合
人員欠如の翌月から2ヶ月間所定単位数の**70%**を算定(30%減算)7
3ヶ月目以降所定単位数の**50%**を算定(50%減算)7

ただし、欠如した人数が基準の10%以内の場合は、欠如した月の翌々月から減算が開始されます7。10%を超える場合は翌月から適用されます7。

減算は全利用者に対して適用されるため、事業所の経営に深刻な影響を与えます。職員の退職予定を把握したら、早めに採用活動を開始することが重要です。

サービス管理責任者の欠如#

サービス管理責任者が欠如した場合は、上記とは別の減算が適用されます。欠如が生じた翌々月から所定単位数の70%を算定し、5ヶ月目以降は50%を算定します7。サービス管理責任者の確保は特に重要です。

よくある質問#

Q. 管理者とサービス管理責任者は兼務できますか?#

管理業務に支障がない場合に限り、管理者はサービス管理責任者との兼務が認められています1。特に定員10名程度の小規模事業所では、管理者がサービス管理責任者を兼務するケースが一般的です。ただし、管理業務が疎かになっていると判断された場合は、実地指導(運営指導)で改善を求められることがあります。

Q. 職業指導員と就労支援員を1人の職員が兼務することはできますか?#

基準は職種ごとに員数を定めています1。1人の職員が両方の業務を行う場合は、それぞれの職種として勤務した時間を分けて記録し、職種ごとの常勤換算に算入します。同じ時間を両方の職種に重ねて数えることはできないと考えるのが安全です。兼務の可否と時間の按分の扱いは、指定権者に確認してください。

Q. 職員が急に退職した場合、すぐに減算されますか?#

人員欠如が基準の1割の範囲内であれば、減算の適用は欠如月の翌々月からです。ただし、翌月の末日までに人員基準を満たせば減算されません7。代替職員の確保の期限は「翌月の末日」です。10%を超える欠如の場合は翌月から適用されるため、大幅な欠員が生じないよう日頃から準備しておくことが重要です。突発的な欠員(1割の範囲内)に対する減算猶予の特例(令和8年5月28日の通知改正)は「人員欠如減算の発生条件」で解説しています。

Q. 常勤換算で端数が出た場合はどう処理しますか?#

人員基準の常勤換算数について、端数の処理方法を定めた規定は見当たりません(「小数点第2位以下を切り捨てる」という文言は、共同生活援助の人員配置体制加算の換算方法など、特定の加算の規定にあるものです)。基準の数は20÷6=3.33…なので、常勤換算数がこれを下回らないこと(3.3では不足)を確認してください。

Footnotes#

  1. 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第6章 就労移行支援 (https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16

  2. 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(留意事項通知) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3

  3. 厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について」 (https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001226975.pdf) ↩

  4. 厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(解釈通知・障発第1206001号)第二 総論(従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法 ②)pp.17-18 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩

  5. 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p.29-31 (https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf) ↩ ↩2 ↩3

  6. 厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(解釈通知・障発第1206001号)第二 総論2(3) 常勤(産前産後休業・育児休業等の期間の非常勤による換算)pp.14-15 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩

  7. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬の解釈通知」(留意事項通知)人員欠如減算の取扱い (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7

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