通勤訓練加算は、就労移行支援事業所が、**外部の事業所に従事する専門職員(歩行訓練士)**を招いて、視覚障害のある利用者に対して盲人安全つえ(白杖)を使用する通勤のための訓練を行った場合に、1日につき800単位を加算するものです1。就労移行支援(養成施設を含む)だけの加算で、就労継続支援A型・B型や就労定着支援にはありません12。
通勤経路の歩行訓練は、就職後の通勤を自力で行えるようにする訓練で、専門の歩行訓練士に依頼する必要があります。加算はその外部専門職員の費用を事業所が支払う場合を評価するものです3。本記事では、算定要件・「専門職員」の範囲・費用の扱い・請求コードを告示と留意事項通知に沿って整理します。
単位数と算定要件#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 800単位・日1 |
| 算定できるサービス | 就労移行支援(報酬告示第12の15の2)。養成施設(あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の養成施設)の就労移行支援も同じ12 |
| 誰が訓練するか | 当該就労移行支援事業所以外の事業所に従事する専門職員1 |
| 誰に対して | 視覚障害のある利用者1 |
| 何を | 盲人安全つえを使用する通勤のための訓練1 |
| 費用 | 外部から専門職員を招いた際に、事業所がその費用を支払う場合に加算する3 |
| サービスコード | 就労移行支援 43-6885、就労移行支援(養成施設)44-68852 |
告示の注は「指定就労移行支援事業所等において、当該指定就労移行支援事業所等以外の事業所に従事する専門職員が、視覚障害のある利用者に対して盲人安全つえを使用する通勤のための訓練を行った場合に、1日につき所定単位数を加算する」と定めています1。届出は要件になっていません。
自事業所の職員が歩行訓練を行った場合は#
算定できません。告示は「当該指定就労移行支援事業所等以外の事業所に従事する専門職員」が訓練を行った場合に限っています1。留意事項通知も、専門職員を外部から招いた際に、当該費用を支払う場合に加算するものとしています3。自事業所に歩行訓練士の資格を持つ職員がいて、その職員が訓練を行っても、この加算の対象にはなりません。
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「専門職員」の範囲(歩行訓練士)#
留意事項通知は、注の「専門職員」を自立訓練(機能訓練)の「視覚障害者に対する専門的訓練」の項で定める研修等(ア〜ウ)を受講した者としています3。その項では、歩行訓練士を次のア〜ウの研修等を修了した者と定義しています4。
| 研修等 | |
|---|---|
| ア | 国立障害者リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科(平成10年度までの間実施していた視覚障害生活訓練専門職員養成課程を含む) |
| イ | 国の委託に基づき実施される視覚障害生活訓練指導員研修(国の委託に基づき社会福祉法人日本ライトハウスが実施していた同等の内容の研修を含む) |
| ウ | その他、上記に準じて実施される視覚障害者に対する歩行訓練及び生活訓練を専門とする技術者の養成を行う研修 |
依頼時に、相手方の修了した研修がア〜ウのどれに当たるかを確認し、修了証の写し等を事業所で保管しておくと、運営指導で説明できます。
計算例#
その他地域(1単位10.00円)の就労移行支援事業所で、歩行訓練士に月4回、通勤経路の訓練を依頼した場合の加算額は次のとおりです15。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 1日当たり | 800単位 × 10.00円 = 8,000円 |
| 月4回 | 8,000円 × 4日 = 32,000円 |
| 1級地(就労移行支援の単価11.18円)の場合 | 800単位 × 11.18円 = 8,944円/日 |
加算は訓練を行った日ごとに800単位で、回数の上限は告示にありません1。ただし、加算は外部専門職員の費用を事業所が支払う場合の評価なので、支払った費用と訓練実施日の記録(依頼先・実施日・訓練内容)を対応づけて保管してください3。
関連する加算との違い#
| 加算 | サービス | 内容 |
|---|---|---|
| 通勤訓練加算(本記事) | 就労移行支援 | 外部の歩行訓練士による、白杖を使った通勤訓練。800単位・日 |
| 視覚障害者に対する専門的訓練 | 自立訓練(機能訓練) | 歩行訓練士が行う歩行訓練や日常生活訓練等(機能訓練サービス費の注で評価)4 |
| 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 | 生活介護・就労系等 | 視覚・聴覚・言語機能障害のある利用者を一定割合以上受け入れ、意思疎通の専門職員を配置する体制の評価 |
就労移行支援の加算の全体像は就労移行支援の加算一覧を参照してください。
よくある質問#
Q. 就労継続支援B型でも通勤訓練加算を算定できますか#
できません。報酬告示上、通勤訓練加算は就労移行支援(第12の15の2)だけに規定されています1。サービスコード表でも就労移行支援(43)と養成施設(44)にしかありません2。
Q. 歩行訓練士に無償で来てもらった場合は#
留意事項通知は「外部から招いた際に、当該費用を支払う場合に加算する」としています3。費用を支払っていない場合は要件を満たしません。
Q. 白杖を使わない利用者(弱視で単独歩行できる人)への通勤経路の確認は対象ですか#
告示は「盲人安全つえを使用する通勤のための訓練」と定めています1。白杖を使用しない訓練は対象外です。
Q. 1日に複数回の訓練をしても800単位ですか#
加算は「1日につき」800単位です1。同じ日に複数回行っても1日分です。
Q. 届出は必要ですか#
告示の注に届出の要件はありません1。訓練を行った日に算定しますが、専門職員の要件(ア〜ウの研修修了)と費用の支払いを証明できる記録は残しておいてください34。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第12の15の2 通勤訓練加算(800単位・外部の専門職員・盲人安全つえ・1日につき)1
- 留意事項通知 第二の3(2)⑯ 通勤訓練加算の取扱い(外部から招いて費用を支払う場合、「専門職員」=3(1)①㈢ア〜ウの研修等を受講した者)3
- 同 第二の3(1)①㈢(歩行訓練士=ア〜ウの研修等を修了した者)4
- サービスコード表(令和8年6月施行版)2、単価告示(平成18年厚生労働省告示第539号)5
Footnotes#
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第12の15の2 通勤訓練加算 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16
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厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版)」分冊2 p.98(43-6885 就移通勤訓練加算)・p.130(44-6885 就移養成通勤訓練加算) (https://www.mhlw.go.jp/content/001696434.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の3(2)⑯ 通勤訓練加算の取扱い(p.272〜273) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
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同 第二の3(1)① 機能訓練サービス費の区分 ㈢「視覚障害者に対する専門的訓練」(歩行訓練士の定義ア〜ウ・p.216〜217) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準第一条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成18年厚生労働省告示第539号) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8493&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2