サービス管理責任者(サビ管)の実務経験要件は、告示第544号が定める3つのルートのいずれかを満たすことです1。「相談支援5年」「直接支援8年」「国家資格3年+3年」と要約されますが、どの職場でのどんな業務が何に数えられるかを取り違えると、研修を受け終えてから要件不足が判明します。本記事では、告示の原文に沿ってルート別に判定できる形へ分解します。
配置基準(何人必要か)や研修体系の全体像は「サービス管理責任者の配置要件と研修制度」を、欠如時の減算は「サービス管理責任者等欠如減算」をご覧ください。
実務経験の3ルート(結論)#
告示第544号第一号イ(1)は、次のいずれかに該当する者を「実務経験者」としています1。
| ルート | 要件 | 数える業務 |
|---|---|---|
| A | (一)+(二)が通算5年以上 | 相談支援の業務(一)と、社会福祉主事任用資格者等が行う直接支援の業務(二)。両者の合算でよい |
| B | (三)が通算8年以上 | 社会福祉主事任用資格者等でない者が行う直接支援の業務 |
| C | (一)〜(三)が通算3年以上 かつ (四)が通算3年以上 | (四)=国家資格等に基づき当該資格に係る業務に従事した期間 |
🧮 この判定を自動で行うツールを公開しています:サビ管 要件チェッカー — 区分ごとの従事期間を入れるだけで、3ルートのどれを満たすか・満たさない場合はあと何か月かを表示します。基礎研修の前倒し受講の可否と、更新研修の期限(年度末)も同時に確認できます。
ここで押さえるべきは3点です。
- ルートAは「相談支援5年」と「有資格の直接支援5年」を別々に5年ずつ求めるものではなく、(一)と(二)を合算して5年で足ります。
- 同じ直接支援でも、社会福祉主事任用資格者等かどうかで(二)(5年ルート)と(三)(8年ルート)に分かれます。
- ルートCは両方の年数が必要です(3年で足りるという意味ではありません)。
(一)相談支援の業務とは#
日常生活を営むのに支障がある者の日常生活の自立に関する相談に応じ、助言、指導その他の支援を行う業務(その他これに準ずる業務)で、次のa〜fの立場で従事した期間が該当します2。
| 従事先 | |
|---|---|
| a | 一般相談支援事業・特定相談支援事業・障害児相談支援事業、地域生活支援事業、身体障害者相談支援事業・知的障害者相談支援事業、居宅介護支援事業・介護予防支援事業その他これらに準ずる事業の従事者 |
| b | 児童相談所、身体障害者更生相談所、精神障害者社会復帰施設、知的障害者更生相談所、福祉に関する事務所(福祉事務所)、発達障害者支援センター、高次脳機能障害者支援センターその他これらに準ずる施設の従業者等 |
| c | 障害者支援施設、障害児入所施設、老人福祉施設、精神保健福祉センター、救護施設・更生施設、介護老人保健施設、介護医療院、地域包括支援センターその他これらに準ずる施設の従業者等 |
| d | 障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターその他これらに準ずる施設の従業者等 |
| e | 特別支援学校その他これに準ずる機関の従業者等 |
| f | 病院・診療所の従業者等(下記の限定あり) |
fの病院・診療所だけは限定が付きます。社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者、相談支援の業務に関する基礎的な研修の修了等により必要な知識・技術を修得したと認められる者、(四)に掲げる資格を有する者、またはa〜eの従事者としての期間が1年以上ある者に限られます2。医療機関の相談員(MSW等)の経験を数える場合は、この限定に当たるかを先に確認してください。
(二)(三)直接支援の業務とは#
入浴・排せつ・食事その他の介護を行い介護者に指導する業務、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、生活能力の向上のために必要な訓練等を行い指導する業務、その他職業訓練又は職業教育に係る業務が「直接支援の業務」です3。従事先は次のa〜eです。
| 従事先 | |
|---|---|
| a | 障害者支援施設、障害児入所施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、病院・診療所の療養病床その他これらに準ずる施設の従業者 |
| b | 障害福祉サービス事業、障害児通所支援事業、老人居宅介護等事業その他これらに準ずる事業の従事者等 |
| c | 健康保険法の病院・診療所・薬局、訪問看護事業所その他これらに準ずる施設の従業者 |
| d | 障害者雇用促進法の特例子会社、同法の助成金の支給を受けた事業所その他これらに準ずる施設の従業者 |
| e | 特別支援学校その他これに準ずる機関の従業者等 |
5年ルートと8年ルートの分かれ目#
同じa〜eで働いていても、「社会福祉主事任用資格者等」に当たるかどうかで必要年数が変わります3。
- 当たる場合=(二):ルートA(相談支援と合算して5年)
- 当たらない場合=(三):ルートB(8年)
「社会福祉主事任用資格者等」とは、①社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者(社会福祉主事任用資格)②相談支援の業務に関する基礎的な研修を修了する等により相談支援の業務を行うために必要な知識及び技術を修得したものと認められる者 ③保育士 ④児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第43条第1項各号のいずれかに該当する者(児童指導員の任用資格等)⑤旧・精神障害者社会復帰施設の基準第17条第2項各号のいずれかに該当する者、を指します3。
つまり社会福祉主事任用資格や保育士・児童指導員任用資格の有無で、5年か8年かが3年も変わります。無資格で介護職を続けてきた方が「あと3年」と言われるのはこの区分です。
(四)国家資格等の範囲#
ルートCで3年を数えられるのは、次の資格に基づき当該資格に係る業務に従事した期間です3。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士、公認心理師。
資格を持っているだけでは足りず、その資格に基づく業務に従事した期間である点に注意してください。
研修要件との接続#
実務経験は「配置に関する要件」であり、これに加えて研修の修了が必要です4。
- 基礎研修は、実務経験者となるために必要な年数に達する日までの期間が2年以内である者も受講できます。つまり要件充足の2年前から前倒しで受講可能です。
- 実践研修の受講要件は、①基礎研修修了者となった日以後、実践研修受講開始日前5年間に通算2年以上、相談支援の業務または直接支援の業務に従事した者、②基礎研修受講開始日に既に実務経験者であった者が、基礎研修修了後、実践研修受講開始日前5年間に通算6か月以上、個別支援計画の作成等(指定基準第58条第2項〜第5項等)の業務に従事した場合、のいずれかです4。
- 更新研修は、実践研修を修了した日の属する年度の翌年度を初年度とする5年度ごとの各年度末までに修了します。受講対象は、サビ管・児発管・管理者・相談支援専門員として現に従事している実践研修修了者か、更新研修受講開始日前5年間に通算2年以上これらの業務に従事していた実践研修修了者です4。
「基礎研修修了後2年以内」という期限は存在しない#
実践研修について「基礎研修修了後2年以内に受けなければならない」という説明が流通していますが、告示にそのような期限はありません。正しくは「基礎研修修了者となった日以後、実践研修受講開始日前5年間に通算2年以上の実務」です4。5年の窓は受講開始日から遡って数えます。
更新を落とすと実践研修からやり直しになる#
期日までに更新研修修了者とならなかった実践研修修了者は、基礎研修修了者とみなされ、改めて実践研修を修了した日に実践研修修了者となります4。更新を1回落とすと、更新研修ではなく実践研修から取り直しになるということです。
要件を満たす人がいないときの2つのみなし規定#
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| やむを得ない事由でサビ管が欠けたとき | 事由の発生日から起算して1年間、実務経験者である配置者(みなしサービス管理責任者)は研修要件を満たしているものとみなす。ただし、そのみなしサビ管が基礎研修修了者(事由発生日後に修了した者を除く)で、事由発生日以前から引き続き配置されていた場合は、**実践研修修了者となるまでの間(発生日から2年間が限度)**みなす5 |
| サビ管が配置されている事業所 | 個別支援計画の作成等の業務を基礎研修修了者に行わせることができ、サビ管に加えてその基礎研修修了者を置くことで、置くべきサビ管の数に達しているものとみなすことができる5 |
前者は欠如減算を回避できる期間の話、後者は増員が必要になったときの実務的な打ち手です。
実務経験を数えるときのチェックリスト#
- 直接支援の経験について、当時社会福祉主事任用資格・保育士・児童指導員任用資格等を保有していたかを確認したか((二)か(三)かで3年変わる)
- 病院・診療所での相談業務を(一)に数える場合、fの限定(社会福祉主事任用資格者等・基礎的研修修了・(四)の資格・a〜e1年以上のいずれか)に当たるか確認したか
- 国家資格ルートは、(一)〜(三)3年+(四)3年の両方を満たしているか
- 資格に基づく業務に実際に従事した期間か(資格の保有期間ではない)
- 基礎研修を、要件充足の2年前から前倒し受講する余地がないか
- 更新研修の期限(実践研修修了年度の翌年度から5年度ごとの年度末)を人事台帳で管理しているか
- 実務経験の証明様式・添付書類は指定権者ごとに異なるため、申請先の様式を先に入手したか
よくある質問#
Q. 相談支援3年、直接支援(有資格)3年でも要件を満たしますか?#
満たします。ルートAは(一)相談支援の業務と(二)社会福祉主事任用資格者等としての直接支援の業務を合算して5年以上であればよく、いずれか一方で5年を満たす必要はありません1。
Q. 無資格の介護職の経験は何年必要ですか?#
社会福祉主事任用資格者等に当たらない場合、直接支援の業務は(三)として通算8年以上が必要です13。途中で社会福祉主事任用資格等を取得した場合、取得後の期間は(二)として扱われるため、資格取得の時点で区分が変わります。
Q. 介護支援専門員(ケアマネ)として居宅介護支援事業所で働いた期間は数えられますか?#
(一)相談支援の業務のaに「居宅介護支援事業・介護予防支援事業その他これらに準ずる事業の従事者」が挙げられているため、相談・助言・指導等の支援を行う業務であれば該当します2。実際の判定は指定権者が実務経験証明書で行います。
Q. 社会福祉士を持っていれば3年で足りますか?#
「3年+3年」です。(四)の資格に基づく業務が3年以上あることに加えて、(一)〜(三)の業務が通算3年以上必要です1。
Q. 基礎研修は実務経験を満たしてからでないと受けられませんか?#
いいえ。実務経験者となるために必要な年数に達する日までの期間が2年以内の者も基礎研修を受講できます4。
Q. 更新研修を受け損ねたらどうなりますか?#
基礎研修修了者とみなされ、改めて実践研修を修了する必要があります(更新研修の受け直しではありません)4。
制度上の根拠#
- 告示第544号 第一号イ(1)(実務経験者の定義・3ルート)1、同(一)a〜f(相談支援の業務)2、同(二)〜(四)(直接支援の業務・社会福祉主事任用資格者等・国家資格)3
- 同 第一号イ(2)(基礎研修・実践研修・更新研修の要件)4、同 ホ・ヘ(みなし規定)5