グループホーム(共同生活援助)で重度の利用者を受け入れた場合の加算は2系統あります。強度行動障害・重度の支援度合いに対する重度障害者支援加算(Ⅰ)360単位・(Ⅱ)180単位と、医療的ケアに対する医療的ケア対応支援加算120単位です(いずれも1日につき)1。重度障害者支援加算には、中核的人材を配置して行動関連項目18点以上の利用者を支援した場合の**+150単位と、算定開始から180日以内の+500/+400単位**(中核的人材分は+200)が上乗せされます1。
要件は、告示第551号の施設基準(生活支援員の加配、強度行動障害支援者養成研修の実践研修・基礎研修の修了者配置、支援計画シート)と留意事項通知の運用(実人数で数える、週1回の観察、3か月ごとの見直し)で決まります23。本記事では、対象者・施設基準・上乗せの構造・併算定のルールを整理します。生活介護の同名の加算は生活介護の重度障害者支援加算を参照してください。
単位数の全体像#
| 加算 | 単位数 | 対象者 | 上乗せ |
|---|---|---|---|
| 重度障害者支援加算(Ⅰ) | 360単位・日 | 重度障害者等包括支援の対象となる支援の度合いにある者(第8の1の注1) | 中核的人材+行動関連18点以上:+150(注2)/算定開始180日以内:+500(注5)/注2の加算の180日以内:+200(注6) |
| 重度障害者支援加算(Ⅱ) | 180単位・日 | 区分4以上で、行動関連項目合計点数10点以上の者 | 中核的人材+行動関連18点以上:+150(注4)/算定開始180日以内:+400(注7)/注4の加算の180日以内:+200(注8) |
| 医療的ケア対応支援加算 | 120単位・日 | 医療的ケア判定スコア表のいずれかの医療行為を必要とする状態の者 | なし |
(Ⅰ)を算定している場合は(Ⅱ)も医療的ケア対応支援加算も算定しません1。対象は介護サービス包括型と日中サービス支援型で、外部サービス利用型の利用者と、附則第18条の2の経過措置の利用者(第1項利用者・第2項利用者)には算定できません12。いずれも都道府県知事への届出が要件です1。
サービスコードは、(Ⅰ)33-5690、(Ⅰ)180日以内 33-5790、(Ⅰ)中核的 33-5791/5792、(Ⅱ)33-5786、(Ⅱ)180日以内 33-5787、(Ⅱ)中核的 33-5788/5789、医療的ケア対応支援加算 33-5901です4。
この記事の内容を実務で回すならRakuco(ラクこ)の資料(無料)
対象者#
(Ⅰ)重度障害者等包括支援の対象となる者#
告示は「第8の1の注1に規定する利用者の支援の度合にある者」としています1。留意事項通知は「指定重度障害者等包括支援の対象となる利用者」と言い換えています2。
(Ⅱ)区分4以上かつ行動関連項目10点以上#
告示は「区分4以上に該当し、第8の1の注1の(2)に規定する利用者の支援の度合にある者」、留意事項通知は「障害支援区分4以上に該当し、かつ、行動関連項目合計点数が10点以上の者」としています12。(Ⅰ)の対象者には(Ⅱ)を算定できません2。
上乗せ150単位の対象(行動関連項目18点以上)#
注2・注4の「別に厚生労働大臣が定める者」は、告示第556号で障害支援区分認定調査の行動関連項目の合計が18点以上である障害者またはこれに準ずる者と定められています5。
医療的ケア対応支援加算の対象(スコア表の医療行為)#
告示第556号は、医療的ケア対応支援加算の対象者を障害児通所給付費等単位数表の「スコア表」(医療的ケア判定スコア表)の項目の欄に掲げるいずれかの医療行為を必要とする状態である者と定めています5。留意事項通知も同じ内容です2。
施設基準(告示第551号)#
重度障害者支援加算(Ⅰ)#
次の(一)〜(三)すべてに該当する事業所です3。
| 要件 | |
|---|---|
| (一) | 指定基準の生活支援員に加え、対象者に適切な支援を行うために必要な数の生活支援員が配置されていること |
| (二) | サービス管理責任者または生活支援員のうち、強度行動障害支援者養成研修(実践研修)または喀痰吸引等研修(第二号研修)の修了者を1人以上配置し、支援計画シートを作成すること |
| (三) | 生活支援員のうち、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)または喀痰吸引等研修(第三号研修)の修了者の割合が20%以上であること |
留意事項通知は、(一)の加配について「常勤換算方法で、指定基準を超える生活支援員が配置されていれば足りる」とし、例として区分6の利用者2人・区分5の利用者2人の事業所では基準上の必要数が0.8人+0.5人=1.3人なので、1.4人以上の生活支援員を配置すれば対象になると示しています2。(二)(三)の研修修了者については、行動援護従業者養成研修修了者も実践研修修了者として扱い、基礎研修修了者には重度訪問介護従業者養成研修行動障害支援課程修了者・行動援護従業者養成研修修了者も含みます。喀痰吸引等研修の第一号修了者は第二号・第三号修了者とみなします2。
重度障害者支援加算(Ⅱ)#
(一)は(Ⅰ)と同じで、(二)は強度行動障害支援者養成研修(実践研修)の修了者を1人以上配置し支援計画シートを作成、(三)は生活支援員のうち基礎研修修了者の割合が20%以上です3。(Ⅱ)では喀痰吸引等研修は要件に含まれません3。
人数の数え方(実人数)#
(二)(三)のサービス管理責任者・生活支援員の数は、常勤換算ではなく実人数で算出し、世話人と生活支援員を兼務している者も生活支援員の数に含めます。例えば生活支援員が12名なら12×20%=2.4名で、3名以上が基礎研修を受講している必要があります2。
中核的人材(注2・注4の150単位)#
中核的人材養成研修の修了者を1人以上配置し、その者またはその者から適切な助言・指導を受けた実践研修修了者が支援計画シートを作成する旨を届け出ている事業所が、行動関連項目18点以上の利用者を支援した場合に、1日につき150単位を上乗せします13。生活介護の規定を準用する留意事項通知は、中核的人材は原則として週1回以上対象利用者の様子を観察して支援計画シートの見直しに助言・指導を行うこと、常勤専従が望ましいが常勤・専従は必須ではないことを示しています26。
医療的ケア対応支援加算#
指定基準の従業者に加え、看護職員を常勤換算方法で1以上配置していることが要件です12。
実践研修修了者・基礎研修修了者の役割(準用)#
留意事項通知は、グループホームの(Ⅰ)(Ⅱ)について生活介護の重度障害者支援加算の取扱い(㈡〜㈥、㈡のキを除く)を準用しています2。生活介護の項では次のように定めています6。
- 実践研修修了者は、原則として週1回以上、強度行動障害を有する利用者の様子を観察し、3か月に1回程度支援計画シート等を見直す
- 基礎研修修了者は、他の職員と連携・協力し、支援計画シート等に基づいて個別の支援を行い、支援記録の作成・提出等を通じて経過を実践研修修了者にフィードバックする
- 180日以内の上乗せ(注5〜8)は、重度の行動障害を有する者がサービス利用の初期段階で環境の変化に適応するため特に手厚い支援を要することを評価したもので、同一事業所では1度までの算定
180日以内の上乗せの構造#
| 基礎となる加算 | 180日以内の上乗せ | 合計(1日) |
|---|---|---|
| (Ⅰ)360単位 | +500単位(注5) | 860単位 |
| (Ⅰ)+中核的150単位 | +500単位(注5)+200単位(注6) | 1,210単位 |
| (Ⅱ)180単位 | +400単位(注7) | 580単位 |
| (Ⅱ)+中核的150単位 | +400単位(注7)+200単位(注8) | 930単位 |
起算日は「当該加算の算定を開始した日」で、181日目からは基礎の単位数(中核的人材分を含む)だけになります1。
併算定のルール#
| 組合せ | 可否 |
|---|---|
| (Ⅰ)と(Ⅱ) | 不可。(Ⅰ)を算定している場合は(Ⅱ)を加算しない1 |
| (Ⅰ)と医療的ケア対応支援加算 | 不可。(Ⅰ)を算定している場合は加算しない1 |
| 医療的ケア対応支援加算と医療連携体制加算(Ⅰ)〜(Ⅶ) | 不可。医療的ケア対応支援加算を算定している利用者には医療連携体制加算を算定しない1 |
| 重度障害者支援加算と強度行動障害者地域移行特別加算・強度行動障害者体験利用加算 | 不可。重度障害者支援加算を算定している場合は算定しない1 |
| (Ⅰ)(Ⅱ)と外部サービス利用型 | 外部サービス利用型の利用者には算定できない2 |
令和8年6月以降の新規指定事業所との関係#
令和8年6月1日以降に新規指定を受けた共同生活援助事業所の基本報酬は所定単位数の1000分の972で算定されますが、重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)または医療的ケア対応支援加算を算定する利用者に係る基本報酬は配慮措置として従前の単位数が適用されます7。詳しくはグループホームの基本報酬を参照してください。
計算例#
その他地域(1単位10.00円)の介護サービス包括型で、(Ⅱ)の対象者(区分5・行動関連12点)を4月1日に受け入れ、施設基準を満たして届出済みの場合18。
| 期間 | 1日の加算 | 30日分 |
|---|---|---|
| 算定開始から180日以内 | 180+400=580単位(5,800円) | 174,000円 |
| 181日目以降 | 180単位(1,800円) | 54,000円 |
1級地(共同生活援助の単価11.60円)なら、(Ⅱ)180単位は2,088円/日です8。
よくある質問#
Q. 外部サービス利用型でも重度障害者支援加算を算定できますか#
できません。告示の対象は指定共同生活援助事業所(介護サービス包括型)と日中サービス支援型で、留意事項通知も外部サービス利用型の利用者には算定できないとしています12。
Q. 生活支援員の20%要件は常勤換算で数えますか#
実人数です。世話人と生活支援員を兼務している者も生活支援員の数に含めます2。
Q. 行動援護従業者養成研修の修了者は実践研修修了者として扱えますか#
扱えます。留意事項通知は、実践研修修了者に行動援護従業者養成研修修了者を含め、基礎研修修了者に重度訪問介護従業者養成研修行動障害支援課程修了者と行動援護従業者養成研修修了者を含めています2。
Q. 中核的人材は常勤でなければなりませんか#
常勤専従が望ましいとされていますが、必須ではありません6。中核的人材養成研修の修了者を配置し、支援計画シートの作成に関与する旨を届け出ることが要件です3。
Q. 180日の上乗せは、別の事業所から移ってきた利用者にも算定できますか#
上乗せは「当該加算の算定を開始した日から起算して180日以内」で、同一事業所では1度までです16。他の事業所での算定歴の扱いは指定権者に確認してください。
Q. 医療的ケアが必要で行動障害もある利用者はどちらを算定しますか#
(Ⅰ)の対象であれば(Ⅰ)を算定し、医療的ケア対応支援加算は算定しません。(Ⅱ)の対象であれば、告示に(Ⅱ)と医療的ケア対応支援加算の排他規定はありません1。運用は指定権者に確認してください。
Q. 看護職員を配置せず、訪問看護との連携で医療的ケアに対応しています#
医療的ケア対応支援加算は看護職員を常勤換算で1以上配置している事業所の加算です。訪問による看護は医療連携体制加算(Ⅰ)〜(Ⅳ)で評価され、両者は同じ利用者に併算定できません1。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第15の1の6 重度障害者支援加算(注1〜8)、第15の1の7 医療的ケア対応支援加算、第15の7 医療連携体制加算の注、第15の6の3・6の4の注1
- 留意事項通知 共同生活援助サービス費 ⑯ 重度障害者支援加算の取扱い(p.360〜364)、⑰ 医療的ケア対応支援加算の取扱い(p.364)2
- 厚生労働大臣が定める施設基準(平成18年厚生労働省告示第551号)第十六号ニ・ホ、第十七号ハ(日中サービス支援型は準用)3
- サービスコード表(令和8年6月施行版)4
- 厚生労働大臣が定める者(平成18年厚生労働省告示第556号)五(スコア表の医療行為)・五の二(行動関連項目18点以上)5
- 留意事項通知 生活介護 ⑪ 重度障害者支援加算の取扱い ㈡〜㈥(p.129〜133・共同生活援助が準用)6
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(新規指定事業所の基本報酬と配慮措置)7
- 単価告示(平成18年厚生労働省告示第539号)8
Footnotes#
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第15の1の6・1の7・7・6の3・6の4 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18 ↩19 ↩20
-
厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の3(5)共同生活援助サービス費 ⑯⑰(p.360〜364) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17
-
厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める施設基準」(平成18年厚生労働省告示第551号)第十六号ニ(重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ))・ホ(注2・注4)、第十七号ハ (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8504&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版)」分冊2 p.76(33-5690〜5792、5786〜5789、5901) (https://www.mhlw.go.jp/content/001696434.pdf) ↩ ↩2
-
厚生労働省「厚生労働大臣が定める者並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める者」(平成18年厚生労働省告示第556号)五・五の二 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8509&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3
-
同留意事項通知 第二の2(6)⑪ 重度障害者支援加算の取扱い(生活介護・p.129〜133:実践研修修了者の週1回観察・3月に1回の見直し、基礎研修修了者の役割、中核的人材、180日以内の上乗せは同一事業所で1度まで) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」p.22(共同生活援助の新規指定事業所の基本報酬1000分の972と配慮措置) (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001698008.pdf) ↩ ↩2
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準第一条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成18年厚生労働省告示第539号) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8493&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3
