生活介護の重度障害者支援加算|(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の要件と強度行動障害支援者養成研修の配置

公開: 2026年8月5日更新: 2026年8月5日

生活介護の重度障害者支援加算は (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3区分があり、それぞれ性格が異なります。(Ⅰ)は事業所の体制に対する加算で全利用者に算定するのに対し、(Ⅱ)(Ⅲ)は個々の利用者(区分と行動関連項目合計点数で判定)に対する加算です1。しかも三者には排他関係があり、(Ⅰ)を算定している事業所は(Ⅱ)(Ⅲ)を算定できません1。(Ⅱ)と(Ⅲ)の要件はほぼ同じで、違いは対象者の障害支援区分だけです。この記事では3区分の要件、強度行動障害支援者養成研修の配置要件、中核的人材の扱いを留意事項通知と報酬算定構造で整理します。

3区分の全体像#

加算単位数加算の対象対象者の要件
(Ⅰ)50単位/日2単位ごとに生活介護に係る全ての利用者1(事業所の体制で判定)
(Ⅱ)360単位/日2当該利用者1区分6かつ行動関連項目合計点数10点以上1
(Ⅲ)180単位/日2当該利用者1区分4以上かつ行動関連項目合計点数10点以上1

排他関係に注意#

2つの制限があります1

  • (Ⅰ)を算定している指定生活介護事業所等では、(Ⅱ)及び(Ⅲ)を算定できない
  • (Ⅱ)の対象者については、(Ⅲ)を算定できない

(Ⅱ)の対象者(区分6かつ10点以上)は(Ⅲ)の対象者要件(区分4以上かつ10点以上)も満たしますが、二重取りはできません。

(Ⅰ)=手厚い配置をしている事業所への加算#

(Ⅰ)は、次の加算をすでに算定していることが前提です1

  • 人員配置体制加算(Ⅰ)または(Ⅱ)
  • 常勤看護職員等配置加算(ただし看護職員を常勤換算方法で3人以上配置しているものに限る)

その上で、これらの加算の要件となる人員配置を超えて、常勤換算方法で生活支援員又は看護職員を配置した場合に、指定生活介護等の単位ごとに生活介護に係る全ての利用者について加算します1

個々の利用者の状態ではなく事業所の配置体制で決まる加算で、対象者を選びません。前提となる人員配置体制加算については生活介護の人員配置体制加算を参照してください。

(Ⅱ)(Ⅲ)=強度行動障害を有する利用者への加算#

(Ⅱ)と(Ⅲ)は、ア・イ・ウのいずれの要件も満たす指定生活介護事業所において、対象者に指定生活介護を行った場合に算定します1要件ア〜ウは(Ⅱ)(Ⅲ)で共通で、違うのは対象者の障害支援区分だけです。

要件内容
ア 人員の加配指定障害福祉サービス基準に規定する人員と人員配置体制加算により配置される人員に加えて、当該利用者の支援のために必要と認められる数の人員を加配していること。常勤換算方法で基準を超える人員が配置されていれば足りる1
イ 実践研修修了者サービス管理責任者又は生活支援員のうち1人以上が、強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者であること。実践研修修了者を配置し利用者の中に行動障害を有する者がいる場合は、当該利用者に係る支援計画シート等を作成すること1
ウ 基礎研修修了者生活支援員のうち20%以上が、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)修了者であること1

人数は「実人数」で数える(常勤換算ではない)#

見落としやすい点です。通知は次のように定めています1

上記イ及びウにおけるサービス管理責任者及び生活支援員の数は、常勤換算方法ではなく、当該事業所においてサービス管理責任者又は生活支援員として従事する従業者の実人数で算出し、非常勤職員についても員数に含めること。

要件ア(加配)は常勤換算で判定するのに対し、要件イ・ウの人数は実人数で数えます。同じ加算の中で数え方が分かれているため、混同すると20%要件の判定を誤ります。

実践研修修了者・基礎研修修了者に求められる実務#

配置しているだけでは足りず、通知は具体的な役割を定めています1

立場求められる実務
実践研修修了者原則として週に1回以上、強度行動障害を有する利用者の様子を観察し、3月に1回程度の頻度で支援計画シート等を見直す
基礎研修修了者その他の職員と連携・協力し、支援計画シート等に基づき強度行動障害を有する利用者に対して個別の支援を行うとともに、支援記録等の作成・提出等を通じて支援の経過を実践研修修了者にフィードバックする

運営指導では、この観察頻度・見直し頻度の記録が確認対象になります。

基礎研修修了者の経過措置は終了している#

ウの基礎研修修了者の配置については、令和7年3月31日までの間に限り、別の要件(基礎研修修了者1人の配置につき利用者5人まで算定、従事者として4時間程度従事など)を満たすことで算定できる経過措置が置かれていました1

この経過措置はすでに期間が終了しています。現在は本則どおり、生活支援員のうち20%以上が基礎研修修了者であることが必要です。

中核的人材を配置した場合の加算#

中核的人材養成研修の課程を修了し、当該研修の事業を行った者から修了した旨の証明書の交付を受けた者(中核的人材養成研修修了者)を配置し、当該者又は当該者から適切な助言及び指導を受けた実践研修修了者が支援計画シート等を作成する旨届出をしており行動関連項目合計点数が18点以上である利用者に対し指定生活介護を行った場合、1日につき所定単位数にさらに 150単位を加算します1

この場合、中核的人材養成研修修了者は、原則として週に1回以上、行動関連項目合計点数が18点以上である利用者の様子を観察し、支援計画シート等の見直しに関する助言及び指導を行うものとされています1

中核的人材は常勤専従でなくてよい#

通知は明確です1

この中核的人材については、当該指定生活介護事業所に常勤専従の職員として配置されることが望ましいが、必ずしも常勤又は専従を求めるものではない

利用開始から180日以内の加算#

当該加算の算定を開始した日から起算して180日以内の期間について、強度行動障害を有する者に対して指定生活介護等の提供を行った場合、1日につき所定単位数にさらに所定単位を加算します1

これは「重度の行動障害を有する者が、サービス利用の初期段階において、環境の変化等に適応するため特に手厚い支援を要することを評価したもの」とされています1

同一事業所においては、当該利用者につき1度までの算定です1。いったん終了した利用者が再度利用を開始しても、同じ事業所では2度目の算定はできません。

加算される具体的な単位数は(Ⅱ)と(Ⅲ)で異なります。算定にあたっては報酬算定構造の該当欄で最新の単位数を確認してください2

前提となる常勤看護職員等配置加算#

(Ⅰ)の前提条件になる加算です。常勤換算方法で1以上の看護職員(保健師又は看護師若しくは准看護師)を配置している場合に、常勤換算方法で算出した看護職員の数を乗じて得た単位数を加算します1

実務上の要点は2つです1

  • 常勤換算員数の小数点以下は切り捨てる
  • 本加算は指定生活介護等の単位ごとの看護職員の配置に応じて算定されるため、要件を満たしていない単位については加算は算定されない

単位数は利用定員に応じた10区分(5人以下/6〜10/11〜20/21〜30/31〜40/41〜50/51〜60/61〜70/71〜80/81人以上)で設定されています2

なお、重度障害者支援加算(Ⅰ)の前提となるのは、この加算を看護職員を常勤換算方法で3人以上配置して算定している場合に限られます1

参考|福祉専門職員配置等加算の特則#

生活介護には他サービスにない扱いがあります。福祉専門職員配置等加算について、指定生活介護等においては(Ⅰ)又は(Ⅱ)を算定している場合であっても、(Ⅲ)を算定することができるとされています1

実務チェックリスト#

  • (Ⅰ)を算定している場合、(Ⅱ)(Ⅲ)を重ねて算定していない
  • (Ⅱ)の対象者(区分6かつ10点以上)に**(Ⅲ)を算定していない**か
  • 要件イ・ウの人数を、**常勤換算ではなく実人数(非常勤含む)**で数えているか
  • 生活支援員の20%以上が基礎研修修了者か(経過措置は令和7年3月31日で終了)
  • 実践研修修了者が週1回以上の観察・3月に1回程度のシート見直しを行い、記録が残っているか
  • 基礎研修修了者から実践研修修了者へのフィードバックの記録があるか
  • 180日加算について、同一事業所で当該利用者につき1度までを守っているか
  • (Ⅰ)の前提として、常勤看護職員等配置加算を看護職員3人以上で算定しているか

よくある質問#

Q. (Ⅱ)と(Ⅲ)は何が違いますか?#

対象者の障害支援区分だけが違います。(Ⅱ)は区分6かつ行動関連項目合計点数10点以上、(Ⅲ)は区分4以上かつ10点以上が対象です1。要件ア〜ウ(人員の加配・実践研修修了者1人以上・生活支援員の20%以上が基礎研修修了者)は共通で、(Ⅲ)は(Ⅱ)のエからキの規定を準用します1。単位数は(Ⅱ)360単位、(Ⅲ)180単位です2

Q. 生活支援員の20%は常勤換算で計算しますか?#

いいえ。実人数で算出し、非常勤職員も員数に含めます1。一方、要件ア(人員の加配)は常勤換算方法で基準を超えていれば足ります1。同じ加算の中で数え方が分かれる点に注意してください。

Q. 中核的人材は常勤専従で配置する必要がありますか?#

必要ありません。通知は「常勤専従の職員として配置されることが望ましいが、必ずしも常勤又は専従を求めるものではない」としています1。ただし原則として週に1回以上、18点以上の利用者の様子を観察し、支援計画シート等の見直しに関する助言・指導を行うことが求められます1

Q. 180日の加算は、利用を中断して再開した場合にもう一度算定できますか?#

同一事業所ではできません。「当該利用者につき、同一事業所においては、1度までの算定とする」とされています1

Q. 基礎研修修了者を確保できない場合の経過措置はまだ使えますか?#

使えません。経過措置は令和7年3月31日までの間の取扱いでした1。現在は本則どおり、生活支援員のうち20%以上が基礎研修修了者であることが必要です。

制度上の根拠#

  • 留意事項通知「重度障害者支援加算の取扱いについて」((Ⅰ)〜(Ⅲ)の要件・実人数での算出・研修修了者の実務・中核的人材・180日加算・経過措置)、「常勤看護職員等配置加算の取扱いについて」、「福祉専門職員配置等加算の取扱いについて」1
  • 報酬算定構造「重度障害者支援加算」「常勤看護職員等配置加算」(単位数)2

Footnotes#

  1. 厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」p.123・p.129〜133 https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36

  2. 厚生労働省「令和8年6月施行 障害福祉サービス費等の報酬算定構造」p.439 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696433.pdf 2 3 4 5 6 7

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