食事提供体制加算(就労移行支援・就労継続支援A型・B型は30単位/日)は、食事を出すだけでは算定できません1。現行の告示では、①管理栄養士等による献立の確認 ②利用者ごとの摂食量の記録 ③利用者ごとの体重又はBMIの記録(おおむね6月に1回)の3つが算定要件です1。これらは令和6年度報酬改定で新たに課された要件で、献立確認に関する経過措置は令和6年9月30日で終わっています23。加算自体も令和9年3月31日までの時限措置です1。
②③は日々・半年ごとの記録そのものが要件なので、記録が残っていなければ要件を満たしていることを示せません。この記事では、就労系の事業所を中心に、算定の対象・調理方法の線引き・3要件の記録の付け方を告示と留意事項通知で整理します。生活介護に絞った解説は生活介護の食事提供体制加算を参照してください。
制度の基本ルール#
単位数と対象サービス#
いずれのサービスも、告示の注に同じ3要件(献立の確認・摂食量の記録・体重又はBMIの記録)が並んでおり、「令和9年3月31日までの間」算定できる加算として定められています1。就労移行支援・A型・B型の留意事項は、生活介護の取扱い(留意事項通知 2の⑹の⑭)を準用しています2。
算定の対象になる利用者#
就労系の告示では、対象を次のように定めています1。
- 低所得者等であること
- 個別支援計画等により食事の提供を行うこととなっている利用者であること(例:B型は「就労継続支援B型計画等により食事の提供を行うこととなっている利用者」)
- 指定障害者支援施設等に入所する者を除く
告示の文言上、個別支援計画等に食事の提供を位置づけていない利用者は対象になりません1。計画作成・見直しのときに、食事提供の有無を計画に書いているか確認しておくと安全です。
体制と届出#
事業所に従事する調理員による食事の提供であること、又は調理業務を第三者に委託していること等、事業所の責任において食事提供の体制を整えたうえで、指定権者に届出を行っている必要があります1。
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調理方法の線引き|弁当の配達は対象外#
原則は「当該施設内の調理室を使用して調理し、提供されたもの」です2。ただし、食事の提供に関する業務を当該施設の最終的責任の下で第三者に委託することは差し支えないとされています2。
| 方法 | 可否 |
|---|---|
| 施設内の調理室で調理 | ○(原則)2 |
| 食事提供業務を第三者に委託(施設の最終的責任の下) | ○2 |
| 施設外で調理して搬入(クックチル・クックフリーズ・真空調理で急速冷却/冷凍したものを再加熱、又はクックサーブ) | ○(運搬手段等について衛生上適切な措置がある場合)2 |
| 出前の方法 | ×2 |
| 市販の弁当を購入して提供 | ×2 |
通知は「例えば出前の方法や市販の弁当を購入して、利用者に提供するような方法は加算の対象とはならない」と明示しています2。昼食を弁当業者からの配達でまかなっている事業所は、まず調理方式がこの表のどれに当たるかを確認してください。
3要件と記録の付け方#
要件① 管理栄養士等による献立の確認#
- 管理栄養士又は栄養士は常勤・専従である必要はない2
- 直接雇用が困難な場合は、法人内や法人外部(日本栄養士会・都道府県栄養士会が設置・運営する栄養ケア・ステーション、保健所等)の管理栄養士等が献立の作成や確認を行っていてもよい2
- 調理業務を外部に委託している場合は、委託先で管理栄養士等が献立作成や確認に関わっていればよい2
- 作成された献立表等で内容を確認する形でも要件を満たし、確認の頻度は年に1回以上2。Q&Aでは「当該年度に1回以上」とし、年度の早い時期に実施するよう努めることとしています3
- 提供する食事の全ての献立を確認する必要はなく、事業所が設定している一定期間の献立(サイクルメニュー)を確認してもらうことで足ります3
- 栄養士を配置していない事業所が、指定基準に基づいて従来から保健所等の指導を受けている場合は、要件を満たすとされています3
管理栄養士等が献立を確認していない場合でも算定してよいとする令和6年9月30日までの経過措置は、すでに期間が終わっています2。
要件② 摂食量の記録(提供した日は必ず)#
計量までは求められていませんが、「提供した日は必ず」に例外はありません。月1回のまとめ書きではなく、提供日ごとの記録が必要です。
要件③ 体重又はBMIの記録(おおむね6月に1回)#
| 利用者の状況 | 記録する内容 |
|---|---|
| おおむねの身長が分かっている | BMIを必ず記録2 |
| 身体障害者等で身長の測定が困難で、これまで計測したことがない/身長が不明 | 体重のみの記録で要件を満たす2 |
| 本人が体重を知られたくない意向 | 例外的に把握しなくてよい。ただし個別支援記録等に意向の確認を行った旨を記録する2 |
BMIは告示で BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)² と定義されています1。また通知は、体重などは個人情報であるため個人情報の管理を徹底するよう求めています2。
記録の様式は告示・通知に定めがない|支援記録への記載例#
告示・通知は摂食量と体重又はBMIを「記録していること」を求めています12が、記録の様式の規定は見当たりません。指定権者(自治体)が様式や記録方法を示している場合は、そちらに従ってください。専用の様式がなければ、日々の支援記録(サービス提供の記録)に見出しをそろえて書いておくと、運営指導のときに探しやすくなります。
※ 以下の記載例は当サイトが作成したもので、告示・通知に定められた様式ではありません。
| 要件 | 書くタイミング | 記載例 |
|---|---|---|
| 摂食量 | 食事を提供した日すべて | 【摂食】完食 / 【摂食】全体の1/2 / 【摂食】7割 |
| 体重・BMI | おおむね6月に1回 | 【健康状態】身長160cm 体重55kg BMI21.5(10/5測定) |
| 身長が不明な利用者 | おおむね6月に1回 | 【健康状態】体重55kg(身長不明のため体重のみ) |
| 本人が体重を知られたくない | 意向を確認した日 | 【健康状態】本人の意向により体重は把握しない(意向確認済) |
BMIの計算例(身長160cm・体重55kg)は 55 ÷ (1.6 × 1.6) = 55 ÷ 2.56 ≒ 21.5 です。
半年ごとの測定は書き忘れやすいので、利用者ごとの直近の測定日を一覧で管理し、モニタリングや個別支援計画の見直しの時期に合わせて測ると漏れを防げます。
実務チェックリスト#
- 食事の提供を個別支援計画等に位置づけているか
- 対象利用者が低所得者等に当たるか確認しているか
- 提供方法が施設内調理・委託・認められた施設外調理のいずれかで、出前・市販弁当になっていないか
- 指定権者への届出を済ませているか
- 管理栄養士等による献立の確認を年1回以上行い、記録が残っているか
- 摂食量を提供日ごとに記録しているか
- 利用者ごとに体重又はBMIをおおむね6月に1回記録しているか(身長不明者は体重のみ)
- 体重を知られたくない利用者について、意向確認を行った旨を記録しているか
- 加算が令和9年3月31日までの時限措置であることを把握し、令和9年度改定の動向を確認しているか
よくある質問#
Q. 弁当業者から配達してもらう方法でも算定できますか?#
市販の弁当を購入して提供する方法や出前の方法は、加算の対象になりません2。一方、食事の提供業務を施設の最終的責任の下で第三者に委託する方法や、クックチル・クックフリーズ・真空調理(急速冷却/冷凍したものを再加熱)・クックサーブで施設外調理し、運搬手段等に衛生上適切な措置がある場合は認められます2。
Q. 管理栄養士を雇う必要がありますか?#
必要ありません。常勤・専従である必要はなく、直接雇用が困難な場合は法人内や栄養ケア・ステーション、保健所等の管理栄養士等が献立の作成や確認を行えば要件を満たします2。確認の頻度は年に1回以上です2。
Q. 摂食量は計量しなければいけませんか?#
計量は不要です。目視や自己申告等でもよく、「完食」「全体の1/2」「全体の○割」といった書き方でかまいません2。ただし提供した日は必ず記録します2。
Q. 身長が分からない利用者はどうすればよいですか?#
身体障害者等で身長の測定が困難でこれまで計測したことがない場合や、身長が不明な場合は、体重のみの記録で要件を満たします2。おおむねの身長が分かっている場合は、BMIを必ず記録します2。
Q. 体重を測られたくないという利用者がいます。#
本人の意向で体重を知られたくない場合は、例外的に把握しなくても要件を満たします2。ただし、個別支援記録等に意向の確認を行った旨を記録しなければなりません2。この記録がなければ、意向確認を行ったことを示せません。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号):各サービスの食事提供体制加算の単位数、対象者(低所得者等・計画等により食事の提供を行うこととなっている利用者)、3要件、令和9年3月31日までの期限、BMIの定義1
- 留意事項通知「食事提供体制加算の取扱いについて」:調理場所・委託・施設外調理の可否、管理栄養士等の配置と献立確認の頻度、摂食量の記録、BMI・体重の記録と意向確認(生活介護 2の⑹の⑭。就労移行支援・A型・B型はこれを準用)2
- 令和6年度報酬改定Q&A Vol.5:献立確認の範囲(サイクルメニュー)・頻度・保健所等の指導との関係3
Footnotes#
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」新旧対照表 p.136〜139(生活介護)、p.267(就労移行支援)、p.281〜282(就労継続支援A型)、p.296(就労継続支援B型) https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472120.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18 ↩19 ↩20 ↩21 ↩22 ↩23 ↩24 ↩25 ↩26 ↩27 ↩28 ↩29 ↩30 ↩31 ↩32 ↩33 ↩34
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厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A Vol.5(令和6年8月29日)」p.2〜4 https://www.mhlw.go.jp/content/001297221.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
