「うちは障害者支援施設に当たるのか」という確認は、加算率・人員基準・指定手続きのすべてを左右します。名称に「施設」が付く事業所は多くありますが、制度上の「障害者支援施設」は入所定員を定めて指定を受けた入所施設だけを指します。本記事では、法律上の定義と、通所型の障害福祉サービス事業所との違いを条文で整理します。
結論|「施設入所支援」と「昼間実施サービス」を一体で行う入所施設#
障害者総合支援法は、障害者支援施設を次のように定義しています1。
この法律において「障害者支援施設」とは、障害者につき、施設入所支援を行うとともに、施設入所支援以外の施設障害福祉サービスを行う施設(のぞみの園及び第一項の主務省令で定める施設を除く。)をいう。
要点は3つです。
- 施設入所支援を行っていること(主として夜間の入浴・排せつ・食事の介護等)2
- それに加えて、昼間のサービスも行っていること(施設入所支援以外の施設障害福祉サービス)1
- のぞみの園と児童福祉施設は除かれる13
夜間の生活の場と昼間の活動の場を、同じ施設が一体で提供する。これが障害者支援施設です。通所のみの事業所は、名称にかかわらず障害者支援施設ではありません。
「昼間実施サービス」に含まれるサービス#
施設障害福祉サービスとは、施設入所支援と、主務省令で定める障害福祉サービスをいいます4。この主務省令で定める障害福祉サービスは、施行規則で次の4つと定められています5。
- 生活介護
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援B型
そして、施設障害福祉サービスから施設入所支援を除いたものを昼間実施サービスと呼びます6。基準省令が人員配置を定めているのも、この4つ(自立訓練を機能訓練・生活訓練に分けると5つ)と施設入所支援です7。
解説記事のなかには昼間実施サービスを「生活介護・自立訓練・就労移行支援」の3つとするものがありますが、施行規則の条文には就労継続支援B型が明記されています5。基準省令172号も就労継続支援B型を行う場合の人員基準を定めています7。
就労継続支援A型は、この列挙に入っていません57。ただし報酬告示とサービスコード表には「障害者支援施設が行う就労継続支援A型」の区分が実在します。これは本則ではなく経過措置によるものです。
就労継続支援A型は「経過措置」の枠だけ#
本則の読み方は上記のとおりですが、施行規則の附則に読替え規定があります8。
平成二十四年三月三十一日において法附則第二十一条第一項に規定する特定旧法指定施設に入所していた者であって、同年四月一日以後引き続き当該特定旧法指定施設であった施設に入所しているものに対する第一条の二の規定の適用については、当分の間、同条中「第六条の十第二号の就労継続支援B型」とあるのは、「就労継続支援」とする。
「就労継続支援B型」が「就労継続支援」に読み替わるため、この読替えが働く利用者に限り、就労継続支援A型も施設障害福祉サービスに含まれます8。特定旧法指定施設とは、旧法(身体障害者福祉法・知的障害者福祉法)の指定施設が総合支援法の体系に移行する過程で指定があったものとみなされた施設です9。
基準省令172号も、この施設を経過的指定障害者支援施設等と呼び、附則で就労継続支援A型を含む人員・設備・運営の基準を定めています10。
| 附則の条 | 就労継続支援A型についての定め |
|---|---|
| 第3条 | 職業指導員・生活支援員の総数は常勤換算で利用者の数を10で除した数以上 |
| 第5条 | 訓練・作業室は、提供に支障がなければ設けないことができる |
| 第6条 | 利用者と雇用契約を締結しなければならない(B型を提供しない施設は、一定の者に雇用契約を締結せず提供できる) |
| 第8条 | 生産活動の収支が賃金総額以上となるようにする。雇用契約を締結していない利用者の工賃の平均額は月3,000円を下回ってはならない |
| 第13条 | 利用者・従業者以外の作業員の雇用は、利用定員に応じた上限を超えてはならない |
| 第13条の2・13条の3 | 運営規程の記載事項、厚生労働大臣が定める事項の評価(スコア) |
そのうえで、報酬告示は「指定障害者支援施設が行う就労継続支援A型に係る指定障害福祉サービス」を明記し11、令和8年6月施行版のサービスコード表にもサービス種類45の減算コードが「障害者支援施設が行う」と「障害者支援施設以外が行う」に分かれて実在します(身体拘束廃止未実施減算 Z034/Z037、業務継続計画未策定減算 Z064/Z067、情報公表未報告減算 Z084/Z087)12。
つまり、この区分は旧法施設からの移行組の入所者を対象とする残存枠であり、新たに障害者支援施設として就労継続支援A型を始める道は本則にありません。記録・請求システムで通常のA型事業所に「障害者支援施設」の設定が入っている場合は、まず設定ミスを疑うのが妥当です。
障害福祉サービス事業所との違い#
同じ「都道府県知事の指定」でも、事業所の指定(法第36条)と施設の指定(法第38条)は別の条文で、単位も基準省令も異なります。
| 障害福祉サービス事業所 | 障害者支援施設 | |
|---|---|---|
| 根拠となる指定 | 法第36条第1項 | 法第38条第1項 |
| 指定の単位 | 障害福祉サービスの種類及び事業所ごと13 | 施設障害福祉サービスの種類及び入所定員を定めて14 |
| 申請者 | 障害福祉サービス事業を行う者 | 障害者支援施設の設置者14 |
| 総量規制 | ー(就労継続支援等に別途あり) | 都道府県障害福祉計画の必要入所定員総数に達していれば指定しないことができる14 |
| 適用される基準省令 | 平成18年厚生労働省令第171号 | 平成18年厚生労働省令第172号7 |
| 指定の更新 | 6年ごと15 | 6年ごと15 |
| 事業の終了 | 廃止の届出(1月前まで) | 3月以上の予告期間を設けて指定を辞退できる16 |
| 補足給付 | ー | 特定障害者特別給付費(食費・光熱水費)の対象17 |
とくに重要なのが入所定員を定めて指定される点です。障害者支援施設の指定は、施設障害福祉サービスの種類と入所定員をセットで受けるもので、通所定員だけを持つ事業所は構造的に該当しません14。
人員基準の特徴(省令172号)#
基準省令172号が定める人員基準には、通所型の事業所にはない特徴があります。
サービス管理責任者は施設入所支援と兼ねる#
施設入所支援に置くべきサービス管理責任者は、昼間実施サービスを行う場合に配置されるサービス管理責任者が兼ねるものとされています7。施設入所支援のためにサビ管を別に置く必要はありません。
配置数の考え方は昼間実施サービス側と同じで、利用者60人以下で1人以上、61人以上は60を超えて40またはその端数を増すごとに1人を加えた数以上です7。
複数の昼間実施サービスを行う場合の緩和#
障害者支援施設は複数の昼間実施サービスを併せて行うことが一般的です。基準省令はこれを前提に、2つの緩和を置いています18。
- 昼間実施サービスの利用定員の合計が20人未満の場合、各サービスごとに常勤者を置く規定にかかわらず、置くべき従業者(医師・サビ管を除く)のうち1人以上が常勤であればよい
- サービス管理責任者の数は、昼間実施サービスの利用者数の合計の区分で判定できる(合計60人以下で1人以上)
施設入所支援の生活支援員#
施設入所支援の生活支援員は、利用者60人以下で1人以上です。ただし、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援または就労継続支援B型を受ける利用者等に対してのみ提供される単位では、宿直勤務を行う生活支援員1人以上で足ります7。
報酬・加算での扱いが変わる場面#
障害者支援施設に該当するかどうかは、報酬の計算にも直接効きます。代表的なものが処遇改善加算です。
報酬告示は、昼間実施サービスの福祉・介護職員等処遇改善加算について「(指定障害者支援施設にあっては、1000分の◯◯に相当する単位数)」という読替えを置いています11。たとえば就労移行支援では、加算Ⅰイが1000分の115のところ、指定障害者支援施設は1000分の119です11。
この読替えが置かれているのは加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅲ・Ⅳだけで、加算Ⅱイ・Ⅱロには置かれていません11。事務処理手順通知の加算率表でも、「障害者支援施設が行う◯◯」の行は加算Ⅱイ・Ⅱロが空欄です19。詳しくは処遇改善加算Ⅰ〜Ⅳの算定要件・加算率・届出手続きの全体像で解説しています。
生活介護の人員配置体制加算でも、指定障害者支援施設等は重度者割合の要件が課されません。詳しくは生活介護の人員配置体制加算を参照してください。
「うちは障害者支援施設か」を確かめる3点#
判断に迷ったら、書類で確認できます。
- 指定通知書に入所定員の記載があるか。障害者支援施設の指定は施設障害福祉サービスの種類と入所定員を定めて行われます14
- 施設入所支援の指定を受け、実際に提供しているか。施設入所支援がなければ障害者支援施設ではありません1
- 適用されている基準省令が171号か172号か。運営規程や指定申請の根拠を確認します7
3点のいずれかが「いいえ」なら、記録システムや請求ソフトの「障害者支援施設」設定が実態と合っていない可能性があります。加算率が変わるため、設定の誤りはそのまま請求額の誤りになります。
よくある質問#
Q. 通所の生活介護事業所は障害者支援施設ですか?#
いいえ。障害者支援施設は施設入所支援を行うことが定義の要件です1。通所のみの生活介護は、法第36条に基づく障害福祉サービス事業所の指定を受けたもので、適用される基準省令も171号です。
Q. グループホーム(共同生活援助)は障害者支援施設ですか?#
いいえ。共同生活援助は施設障害福祉サービスに含まれておらず5、事業所として法第36条の指定を受けます。障害者支援施設は入所定員を定めて指定される入所施設です14。
Q. 障害者支援施設で就労継続支援A型を行えますか?#
本則ではできません。施行規則が定める施設障害福祉サービスの範囲にも5、基準省令172号第4条が人員基準を定めるサービスにも7、就労継続支援A型は含まれていないためです。行えるのは経過措置の枠で、平成24年3月31日に特定旧法指定施設に入所していて、同年4月1日以後も引き続きその施設に入所している利用者に限られます8。この場合の基準は基準省令172号の附則が定めています10。
Q. 障害者支援施設をやめるときの手続きは事業所と同じですか?#
異なります。事業所の廃止は届出ですが、障害者支援施設は3月以上の予告期間を設けて指定を辞退します16。加えて、予告期間開始日の前日に施設障害福祉サービスを受けていた者のうち継続を希望する者に対し、他施設との連絡調整その他の便宜を提供する義務があります20。
Q. 施設入所支援だけを行う施設は障害者支援施設ですか?#
定義上は、施設入所支援に加えて施設入所支援以外の施設障害福祉サービスを行うことが求められています1。指定も施設障害福祉サービスの種類を定めて行われます14。
制度上の根拠#
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 第5条第1項・第10項・第11項、第29条第1項、第34条第1項、第36条第1項、第38条、第41条、第44条第4項、第47条
- 障害者総合支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第1条・第1条の2、附則第1条の2
- 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第172号)第2条第16号、第4条、第5条、附則第3条〜第13条の3
- 介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版・分冊2)就労継続支援A型(サービス種類45)
- 指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号)
- 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)別紙1 表1-2
Footnotes#
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障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条第11項 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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同法第5条第10項(施設入所支援の定義) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩
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障害者総合支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第1条(法第5条第1項に規定する主務省令で定める施設=児童福祉法第7条第1項に規定する児童福祉施設) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100019 ↩
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同法第5条第1項(施設障害福祉サービス=施設入所支援及び主務省令で定める障害福祉サービス) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩
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障害者総合支援法施行規則 第1条の2(法第5条第1項に規定する主務省令で定める障害福祉サービス=生活介護、自立訓練、就労移行支援及び第6条の10第2号の就労継続支援B型) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100019 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第172号)第2条第16号 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100172 ↩
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同基準 第4条(従業者の員数) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100172 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
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障害者総合支援法施行規則 附則第1条の2(法第5条第1項に規定する主務省令で定める障害福祉サービスに関する経過措置) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100019 ↩ ↩2 ↩3
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同法 附則第21条第1項(旧法施設支援に関する経過措置。指定があったものとみなされた旧法指定施設を「特定旧法指定施設」とする) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩
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指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 附則第3条(経過的指定障害者支援施設等に置くべき従業者の員数)、第5条(設備)、第6条(雇用契約の締結等)、第8条(賃金等)、第13条(利用者及び従業者以外の者の雇用)、第13条の2(運営規程)、第13条の3(厚生労働大臣が定める事項の評価等) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100172 ↩ ↩2
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指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号)第12の16(就労移行支援)ほか各サービスの福祉・介護職員等処遇改善加算の注 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版・分冊2)」就労継続支援A型(サービス種類45)Z034・Z037・Z064・Z067・Z084・Z087 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696434.pdf ↩
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同法第36条第1項(指定障害福祉サービス事業者の指定) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩
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同法第38条第1項・第2項(指定障害者支援施設の指定) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
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同法第41条第1項(指定の更新) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩ ↩2
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同法第47条(指定の辞退) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩ ↩2
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同法第34条第1項(特定障害者特別給付費の支給) https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123 ↩
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指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 第5条(複数の昼間実施サービスを行う場合における従業者の員数) https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100172 ↩
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厚生労働省・こども家庭庁「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分・障障発0331第1号/こ支障第78号・令和8年3月31日)別紙1 表1-2(p.16) https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126420/r8_4_syoguukaizen_jimusyoritejyun.pdf ↩