B型

就労継続支援B型の開業方法について徹底解説

公開: 2026年1月5日更新: 2026年10月18日

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就労継続支援B型事業所の経営者、管理者、サービス管理責任者の皆様、あるいはこれから開業を目指す皆様にとって、事業の立ち上げは多岐にわたる準備と専門的な知識を要する一大プロジェクトです。 本稿では、2024年度の制度を基盤とし、就労継続支援B型事業所の開業に向けた具体的な手順、必要な要件、そして成功へのポイントを徹底的に解説します。

1. 就労継続支援B型事業の基本理解#

1-1. 就労継続支援B型とは#

就労継続支援B型は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。一般企業等での就労が困難な障がいのある方に対し、生産活動の機会を提供するとともに、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の便宜を供与する事業所です。 雇用契約を締結せず、利用者は自身の体調や状況に合わせて比較的自由に働き、生産活動に対する工賃を受け取ることが大きな特徴です。

1-2. 目的と対象者#

  • 目的:
    • 利用者が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、生産活動を通じて働く喜びや自己肯定感を育むこと。
    • 就労に必要なスキルや社会性を身につける訓練を提供し、将来的な一般就労や就労継続支援A型への移行を支援すること。
    • 地域社会との交流を促進し、利用者の社会参加を支援すること。
  • 対象者:
    • 就労移行支援事業を利用したが一般就労に結びつかなかった方。
    • 就労継続支援A型事業の利用を希望したが、年齢や体力等の理由により雇用契約を結ぶことが困難な方。
    • 特別支援学校を卒業して就労支援事業等の利用を希望する方。
    • その他、一般就労に必要な知識・能力があるものの、生活面や健康面で課題があり、継続的な支援が必要な方。
    • 年齢制限はありませんが、多くの利用者は18歳以上です。

1-3. 提供サービスの内容#

就労継続支援B型で提供される主なサービスは以下の通りです。

  • 生産活動の提供: 事業所内で、利用者の適性や能力に応じた多様な作業(軽作業、データ入力、清掃、カフェ運営、農作業など)を提供します。これにより、労働習慣や作業遂行能力を培います。
  • 知識及び能力向上のための訓練: 個別支援計画に基づき、就労に必要なビジネスマナー、コミュニケーションスキル、PCスキル、体調管理などの訓練を行います。
  • 生活支援: 日常生活における困りごとの相談支援、社会参加に向けた支援などを行います。
  • 工賃の支給: 生産活動に応じて工賃を支払います。雇用契約がないため賃金ではありませんが、利用者のモチベーション維持や経済的自立の助けとなります。2024年度においても、工賃向上への取り組みは事業所評価の重要な要素となっています。
  • その他: 相談支援、健康管理、地域活動への参加支援など。

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2. 開業の前に知っておくべきこと(準備段階)#

就労継続支援B型事業所の開業は、事業計画の策定から指定申請、そして運営開始に至るまで、長期的な視点と周到な準備が不可欠です。

2-1. 指定基準の概要#

障害福祉サービス事業所として運営するためには、都道府県または指定都市、中核市の指定を受ける必要があります。この指定を受けるためには、以下の3つの基準を満たさなければなりません。

  • 人員基準: 適切な人材の配置に関する基準。
  • 設備基準: 事業所の物理的な環境に関する基準。
  • 運営基準: サービスの提供方法や事業所の運営方法に関する基準。

これらの基準は厚生労働省令で定められており、具体的な内容は自治体によって若干異なる場合があるため、事前に所轄自治体の担当課への確認が必須です。

2-2. 事業計画の重要性#

綿密な事業計画は、開業の成功だけでなく、その後の安定した運営に直結します。

  • 理念・ビジョン: なぜこの事業を始めるのか、どのような事業所を目指すのかを明確にします。
  • ターゲット利用者: どのような障がい特性やニーズを持つ利用者を支援したいのかを具体化します。
  • 提供サービスと生産活動: どのような作業を提供し、工賃をどのように設定するかを具体的に検討します。地域特性や利用者のニーズに合った生産活動を選定することが重要です。
  • 収益モデル: 利用者からの報酬(単位数×単価)と生産活動による収入で、事業所が持続可能であるかをシミュレーションします。
  • 令和8年6月以降に新規指定を受ける場合の基本報酬: 令和8年6月1日以降に新規に指定を受けたB型事業所は、基本報酬を所定単位数の1000分の984(98.4%)で算定します。令和9年度の報酬改定までの応急的な措置とされています。別に定める地域に所在する事業所や、都道府県知事が地域に特に必要として指定した事業所は対象外です。また、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算または高次脳機能障害者支援体制加算を算定している月、医療連携体制加算(Ⅳ)を算定している利用者は、従前の単位数で算定します。合併・分割・事業譲渡に伴う指定で、事業所が実質的に継続していると認められる場合は既存事業所と同じ扱いです1。収益シミュレーションはこの単位数で計算してください。
  • 資金計画: 開業資金(物件取得費、改修費、設備備品費など)と運転資金(人件費、家賃、光熱水費など)を詳細に算出し、資金調達計画を立てます。

2-3. 自己資金と資金調達#

開業には数百万円から数千万円の初期費用が必要となることが一般的です。

  • 自己資金: ある程度の自己資金を用意することで、融資の審査に有利に働きます。
  • 融資: 日本政策金融公庫や地方銀行、信用金庫などの金融機関からの融資が主な資金調達源となります。事業計画書の説得力が重要です。
  • 補助金・助成金: 国や自治体が提供する創業支援、障がい者雇用関連の補助金・助成金制度がある場合があります。情報収集を怠らないようにしましょう。

3. 指定申請に向けた具体的なステップ#

ここでは、指定申請のために具体的に何を準備すべきかを解説します。

3-1. 法人格の取得#

就労継続支援B型事業を運営するには、法人格が必要です。主に以下のいずれかの法人格を取得します。

  • 株式会社、合同会社: 比較的設立が容易で、事業活動の自由度が高い。
  • NPO法人: 社会貢献を主たる目的とする法人。税制優遇などのメリットがあります。設立に時間と手間がかかります。
  • 社会福祉法人: 公益性が高く、安定した運営が可能ですが、設立要件が非常に厳しく、多くの場合既存の社会福祉法人が運営母体となります。

3-2. 事業所の選定と賃貸契約#

  • 広さ: 訓練・作業室は、国の基準では「訓練又は作業に支障がない広さ」とされ、利用者1人当たりの面積は数値で定められていません2。解釈通知も、面積の定めのない設備は利用者の障害特性や生産活動の内容に応じた適当な広さを確保するものとし、複数種類の生産活動を行う場合は活動の種類ごとに訓練・作業室を区分するよう求めています3。一方で、指定権者(都道府県・指定都市・中核市)が条例や手引で独自の数値基準を置いている例があります。さいたま市は市条例の独自基準として定員1人当たり3.3㎡以上4、奈良市は自主点検表で利用者1人当たり3㎡以上(機械器具等を除く)5としています。設置予定地の指定権者の条例と手引を必ず確認しましょう。訓練・作業室のほかに、相談室(談話の漏えいを防ぐ間仕切り等を設ける)、洗面所、便所(いずれも利用者の特性に応じたもの)、多目的室その他運営上必要な設備(事務室など)が必要です2。総面積も考慮し、ゆとりある空間を確保しましょう。
  • 立地: 利用者の通いやすさ(公共交通機関からのアクセス、送迎のしやすさ)、地域との連携のしやすさなどを考慮します。
  • 用途変更: 居抜き物件の場合でも、建築基準法上の用途(例:店舗、事務所)から「福祉施設」への用途変更が必要な場合があります。消防法上の要件も確認が必要です。
  • バリアフリー: 車椅子利用者なども想定し、入り口のスロープ、広いトイレ、手すりの設置など、バリアフリー化を推進しましょう。

3-3. 人員基準の充足#

就労継続支援B型事業所には、以下の職種の配置が義務付けられています。

  • 管理者:
    • 事業所ごとに、専らその職務に従事する管理者を置きます。ただし、管理上支障がない場合は、同じ事業所の他の職務や、他の事業所・施設の職務を兼ねることができます6。解釈通知は、兼務できる場合として、①当該事業所のサービス管理責任者または従業者の職務に従事する場合、②他の事業所・施設の管理者・サービス管理責任者・従業者の職務に従事する場合であって、その時間帯も当該事業所の利用者へのサービス提供の場面で生じる事象を適時かつ適切に把握し、一元的な管理・指揮命令を支障なく行える場合、を挙げています7。事業所の管理業務全般を担います。
    • したがって、管理者は事業所のサービス管理責任者との兼務が可能です7。
  • サービス管理責任者(サビ管):
    • 原則として専従ですが、利用者の支援に支障がない場合は他の職務との兼務が可能です8。解釈通知は、個別支援計画の作成や評価の客観性を担保する観点から、原則として直接サービスを提供する生活支援員等とは別の者とし、兼務する場合も、兼務先の職務の常勤換算に当該サービス管理責任者の勤務時間を算入できない(利用定員20人未満の事業所は算入可)としています9。
    • 利用者の数が60人以下の場合は1人以上、61人以上の場合は1人に、60人を超えて40人またはその端数を増すごとに1人を加えた数以上を配置します。利用者の数は前年度の平均値(新規指定の場合は推定数)で、サービス管理責任者のうち1人以上は常勤でなければなりません8。
    • 個別支援計画の作成、関係機関との連携、職員への指導など、サービス提供の中心的な役割を担います。
    • 要件: 告示第544号が定める実務経験(次の3ルートのいずれか)を満たした上で、サービス管理責任者基礎研修と実践研修を修了していることが必要です10。
      • 相談支援の業務と、社会福祉主事任用資格者等が行う直接支援の業務を合算して通算5年以上
      • 社会福祉主事任用資格者等でない者が行う直接支援の業務が通算8年以上
      • 相談支援・直接支援の業務が通算3年以上、かつ国家資格等に基づく業務が通算3年以上
    • 基礎研修は、必要な実務経験年数に達する日までの期間が2年以内の人も受講できます(前倒し受講)10。業務の範囲や研修体系の詳細は「サービス管理責任者の実務経験要件」「サービス管理責任者の配置要件と研修制度」を参照してください。
  • 職業指導員:
    • 専従で1名以上を配置(常勤換算)。生産活動に関する技術指導や利用者の職業能力開発を支援します。
  • 生活支援員:
    • 専従で1名以上を配置(常勤換算)。日常生活上の支援や相談援助を行います。
  • 職業指導員と生活支援員の総数:
    • 職業指導員・生活支援員をそれぞれ1名以上配置したうえで、両者の合計(常勤換算)が、事業所が選択するサービス費の区分に応じた人員配置比率を満たす必要があります。B型のサービス費には人員配置に応じて 6:1・7.5:1・10:1 の区分があり、手厚い配置ほど高い基本報酬が設定されます(合計必要数=利用者数÷6/÷7.5/÷10 のいずれか以上)。例えば利用者20名で10:1なら合計2名以上、7.5:1なら3名以上、6:1なら4名以上(いずれも常勤換算)です。
    • 常勤換算とは、非常勤職員の勤務時間を常勤職員の勤務時間で割って算出します。

3-4. 設備基準の充足#

国の基準(指定基準第188条をB型に準用)が設けるよう求めているのは、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所、多目的室その他運営上必要な設備です2。

  • 訓練・作業室:
    • 利用者の生産活動を行うスペース。訓練・作業に支障がない広さを確保します(国の基準に具体的な床面積の定めはありませんが、自治体によっては利用者1人あたり3㎡等の独自の目安を設けている場合があるため、指定権者にご確認ください)。
    • 使用する機械や工具に応じて、換気設備や安全対策も講じる必要があります。
  • 相談室:
    • 室内における談話の漏えいを防ぐための間仕切り等を設けます2。
  • 洗面所・便所:
    • 利用者の特性に応じたものとします2。
  • 多目的室その他運営上必要な設備:
    • 相談室と多目的室その他必要な設備は、利用者への支援に支障がない場合は兼用できます2。
  • 設備は原則として専ら当該事業所の用に供するもので、利用者の支援に支障がない場合に限り例外が認められます2。

静養室や事務室は、国の基準には個別の定めがありません2。ただし、自治体によっては条例や手引で設置を求めている例があります(奈良市の自主点検表は静養室・更衣室を挙げています)5。消防設備などは消防法令に基づくもので、別途確認が必要です。設置予定地の指定権者と消防署に必ず確認してください。

3-5. 運営基準の策定#

運営に関する詳細なルールを定めます。これらは指定申請書類の一部として提出され、事業所の運営方針となります。

  • 運営規程: 事業所の目的、運営方針、利用定員、サービス提供時間、職員の職種・員数、サービスの内容、利用料、その他運営に関する重要事項を定めます。
  • 重要事項説明書・契約書: 利用者との契約時に交付する書類で、事業所のサービス内容、料金、苦情対応などについて記載します。
  • 個別支援計画作成プロセス: サービス管理責任者が中心となり、利用者一人ひとりのニーズや目標に応じた個別支援計画を作成し、定期的に見直しを行うための具体的な手順を定めます。
  • 苦情解決体制: 利用者やその家族からの苦情を適切に受け付け、迅速に対応するための体制を整備します。第三者委員の設置も検討しましょう。
  • 非常災害対策: 消火設備その他の非常災害に必要な設備を設け、非常災害に関する具体的計画を立て、関係機関への通報・連絡体制を整備して定期的に従業者に周知すること、定期的に避難・救出その他必要な訓練を行うことが義務です。訓練の実施に当たっては地域住民の参加が得られるよう連携に努めます11。これとは別に、感染症や非常災害の発生時にサービス提供を継続するための業務継続計画(BCP)の策定、従業者への周知、研修・訓練の定期実施、定期的な見直しも義務付けられています12。
  • 虐待防止: 虐待防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可)を定期的に開催して結果を従業者に周知すること、従業者への虐待防止研修を定期的に実施すること、これらを適切に実施するための担当者を置くことが義務です13。虐待の防止のための措置に関する事項は、運営規程の必須記載事項でもあります14。
  • 個人情報保護: 利用者の個人情報を適切に管理するための規程を定めます。
  • 工賃規程: 工賃の計算方法、支払い方法、支払い日などを定めます。工賃は、生産活動に係る事業の収入から必要な経費を控除した額に相当する金額を支払うものとされ、利用者1人当たりの1か月の平均額は3,000円を下回ってはなりません。年度ごとに工賃の目標水準を設定し、その目標水準と前年度の平均工賃を利用者に通知するとともに、都道府県に報告します15。

3-6. 生産活動の準備#

就労継続支援B型事業の根幹となるのが生産活動です。

  • 作業内容の決定: 利用者のスキルや興味、地域ニーズ、事業所の設備などを考慮して決定します。多様な作業を用意することで、多くの利用者に適応できます。
    • 例: 軽作業(組み立て、封入、ラベル貼り)、データ入力、清掃、農作業、パン・菓子製造、手工芸品制作、リサイクル作業、カフェ運営など。
  • 請負先の確保: 安定した生産活動には、企業や自治体からの仕事の確保が不可欠です。事前に営業活動を行い、連携先を見つけておきましょう。
  • 安全管理: 作業内容に応じた安全対策、危険予知訓練などを徹底します。
  • 工賃規程の作成: 工賃の算定方法(出来高制、時間制など)、支払い日などを明確に定めます。工賃向上への取り組みは常に意識する必要があります。

4. 指定申請手続きの流れ#

準備が整ったら、いよいよ指定申請の手続きに入ります。 開業までのプロセスは多岐にわたりますが、以下のフローチャートで全体像を把握しましょう。

図:就労継続支援B型事業所 開業までの流れ

  1. 事前相談:
    • 管轄の自治体(都道府県または指定都市、中核市)の障害福祉担当課に、開業の意思と事業計画の概要を相談します。
    • この段階で、地域のニーズや申請に必要な書類、スケジュール感などを確認できます。
    • 多くの自治体では、事前相談が必須となっています。
  2. 必要書類の作成と収集:
    • 膨大な量の書類(法人に関する書類、事業所に関する書類、職員に関する書類、運営に関する書類など)を準備します。
    • 特に、職員の資格証明書、経歴書、研修修了証などは時間がかかる場合があります。
  3. 申請書の提出:
    • 自治体が定める申請期間内に、必要書類一式を提出します。郵送ではなく持参が求められることが多いです。
  4. 実地調査(現地確認):
    • 自治体の担当者が事業所を訪問し、設備基準が満たされているか、提出書類の内容と現況に相違がないかなどを確認します。
    • 職員へのヒアリングが行われることもあります。
  5. 指定書の交付:
    • 審査を通過すれば、事業所として指定書が交付されます。
    • 指定日と申請の締切は指定権者ごとに定められています。例えばさいたま市は、原則として毎月10日締切(窓口提出)で、基準を満たす場合に翌月1日指定とし、4月1日指定は申請が集中するため2月末日までの提出を求めています4。開業予定日から逆算して、申請先の締切を早めに確認しましょう。
  6. 開業:
    • 指定書の交付をもって、正式に事業を開始できます。

5. 開業後の運営と経営のポイント#

指定を受けて事業を開始した後も、安定した運営と質の高いサービス提供のために継続的な努力が必要です。

5-1. 利用者募集と定着#

  • 広報活動: 地域の相談支援事業所、病院、特別支援学校、ハローワークなどへの積極的な広報活動を行います。見学や体験利用の機会を提供することも効果的です。
  • 魅力的なサービス: 利用者が通い続けたいと思えるような、個別支援計画に基づいた質の高い支援と魅力的な生産活動を提供することが重要です。
  • 連携の強化: 地域の関係機関との連携を深め、利用者の紹介や情報交換を活発に行います。

5-2. 工賃向上への取り組み#

工賃の向上は、利用者のモチベーションと事業所の評価に直結します。

  • 生産性の向上: 作業工程の見直し、職員による技術指導の強化、適切な機械の導入など。
  • 高付加価値な仕事の獲得: 付加価値の高い商品開発やサービスの提供、単価の高い請負業務の獲得を目指します。
  • コスト削減: 材料費や運営費の見直し。

5-3. 個別支援計画の適切な運用#

サービス管理責任者が中心となり、利用者一人ひとりのニーズと目標に合わせた個別支援計画を策定・実行し、定期的に評価・見直しを行うことが義務付けられています。計画に基づいた支援が提供されているかを常に確認しましょう。

5-4. 実地指導・監査への対応#

指定基準や報酬算定基準が適切に遵守されているかを定期的に確認するため、自治体による実地指導や監査が行われます。日頃から記録の整備、運営規程の遵守、職員研修の実施などを徹底し、いつでも対応できる体制を整えておくことが重要です。

5-5. 経営安定化のための工夫#

  • 生産活動の多角化: 複数の生産活動を行うことで、特定の仕事への依存度を下げ、リスクを分散します。
  • 地域連携の強化: 地域の企業や団体、住民との交流を深め、支援の幅を広げたり、新たな仕事の機会を創出したりします。
  • 加算の取得: 特定の要件を満たすことで、基本報酬に加算される各種加算があります16。B型で算定できる加算の全一覧は「就労継続支援B型の加算一覧(令和8年6月版)」にまとめています。
    • 送迎加算: 届出を行い、利用者の居宅等との間の送迎を行う場合に片道ごとに算定できます16。
    • 食事提供体制加算: 低所得者等の利用者に対し、調理員の配置や委託等の体制で食事を提供する場合に算定できます(令和9年3月31日までの時限措置)16。
    • 就労移行支援体制加算: 前年度にB型を経て一般就労し、6か月以上定着した利用者の数に応じて算定できます16。
    • その他、様々な加算がありますので、自事業所の状況に合わせて積極的に取得を検討しましょう。

6. よくある質問と注意点#

Q1: 開業までにかかる期間はどのくらいですか?#

A1: 法人格の取得から指定申請、指定日までの期間を合わせると、通常6ヶ月から1年程度の期間を要します。物件探しや改修工事、職員採用の進捗によって期間は大きく変動します。特にサービス管理責任者の確保は時間を要する場合が多いです。

Q2: 開業資金はどのくらい必要ですか?#

A2: 事業所の規模や立地、内装工事の有無、備品購入の内容によって大きく異なりますが、一般的な目安として、初期費用で500万円から1,500万円程度、運転資金として数ヶ月分(人件費、家賃など)が必要です。余裕を持った資金計画を立てましょう。

Q3: サービス管理責任者(サビ管)が見つかりません。どうすれば良いですか?#

A3: サビ管は非常に重要な職種であり、資格要件も厳しいため、採用が難しい場合があります。早めに採用活動を開始する、求人条件を見直す、資格取得見込みのある方を育成する、外部の紹介サービスを利用するなどの対策が必要です。場合によっては、開業時期を調整することも視野に入れる必要があります。

Q4: どのような生産活動をすれば良いですか?#

A4: 地域の特性、利用者のニーズや能力、事業所の設備を考慮して決定します。手作業系の軽作業、PC作業、農作業、清掃、調理補助など多岐にわたります。安定的な仕事量と、利用者がやりがいを感じられる作業を選ぶことが重要です。複数の作業を用意することで、利用者の選択肢を増やし、柔軟な対応が可能になります。

Q5: 収益モデルは安定しますか?#

A5: 就労継続支援B型の主な収入源は、利用者からの報酬(訓練等給付費)と生産活動による工賃収入です。利用者の定員稼働率や工賃収入の多寡によって収益は変動します。安定した経営のためには、高い稼働率の維持、工賃向上への継続的な取り組み、各種加算の取得、そしてコスト管理が不可欠です。事業計画段階での綿密なシミュレーションと、開業後の定期的な経営状況の分析が重要となります。


就労継続支援B型事業の開業は、確かに多くのハードルがありますが、社会貢献性が高く、利用者の人生に大きな影響を与えるやりがいのある事業です。本稿で解説した内容を参考に、着実に準備を進め、質の高い事業所の開設と運営を目指してください。


脚注#

Footnotes#

  1. 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第14の1 注17 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1)/厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」pp.20-21 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001698008.pdf) ↩

  2. 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第200条において準用する第188条(設備)(https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8

  3. 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成18年12月6日障発第1206001号)第十二の2(第五の2の(2)訓練・作業室等の面積及び数を参照)(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩

  4. さいたま市「障害福祉サービス事業者 指定の手引き」(令和8年5月更新版)Ⅰ-3 指定申請の流れ、Ⅱ-1(7)就労継続支援A型・就労継続支援B型の指定基準(市条例独自基準)(https://www.city.saitama.lg.jp/002/003/004/003/006/p002658_d/fil/shitei-tebiki.pdf) ↩ ↩2

  5. 奈良市「障害福祉サービス等自主点検表(就労継続支援B型)」(令和7年5月21日更新)Ⅲ-1 設備 (https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/198201.pdf) ↩ ↩2

  6. 平成18年厚生労働省令第171号 第199条において準用する第51条(管理者)(https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩

  7. 平成18年12月6日障発第1206001号 第十二の1(第四の1の(7)① 管理者の専従を参照)(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩ ↩2

  8. 平成18年厚生労働省令第171号 第199条において準用する第186条(従業者の員数)(https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩ ↩2

  9. 平成18年12月6日障発第1206001号 第十二の1(第十一の1の(2)、第五の1の(4)サービス管理責任者を参照)(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001472116.pdf) ↩

  10. 「指定障害福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う者として厚生労働大臣が定めるもの等」(平成18年厚生労働省告示第544号)第一号イ(1)・(2) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8498&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2

  11. 平成18年厚生労働省令第171号 第202条において準用する第70条(非常災害対策)(https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩

  12. 平成18年厚生労働省令第171号 第202条において準用する第33条の2(業務継続計画の策定等)(https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩

  13. 平成18年厚生労働省令第171号 第202条において準用する第40条の2(虐待の防止)(https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩

  14. 平成18年厚生労働省令第171号 第202条において準用する第89条(運営規程)第11号 (https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩

  15. 平成18年厚生労働省令第171号 第201条(工賃の支払等)(https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩

  16. 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表第14 就労継続支援B型サービス費(送迎加算・食事提供体制加算・就労移行支援体制加算)(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

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