ピアサポート実施加算は、障害者ピアサポート研修(基礎研修・専門研修)を修了した従業者を2名以上(うち1名以上は障害者等)配置し、従業者への配慮研修を年1回以上行っている事業所で、障害者等である研修修了者がその経験に基づき利用者に相談援助を行った場合に、相談援助を受けた利用者1人につき1月100単位を算定する加算です1。令和6年度改定で新設されました2。
請求で間違いやすいのは、対象サービスが4つしかないこと(自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労継続支援B型、共同生活援助。就労移行支援・A型・生活介護・就労定着支援にはない)、B型はサービス費(Ⅳ)〜(Ⅵ)(参加等評価型)を算定している事業所に限られること、共同生活援助は自立生活支援加算(Ⅲ)を算定していることが要件であること、そして「ピアサポート体制加算」は自立生活援助・相談系の別の加算で、実施加算と選ぶ関係にはないことです13。
全体像#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 100単位/月(相談援助を受けた利用者の数に応じて算定) |
| 対象サービス | 自立訓練(機能訓練)(第10の1の3)、自立訓練(生活訓練)(第11の1の4)、就労継続支援B型(第14の8の2)、共同生活援助(第15の1の4の5・退居後ピアサポート実施加算は1の4の6) |
| 誰が | 障害者または障害者であったと都道府県知事が認める者(障害者等)である従業者で、障害者ピアサポート研修修了者 |
| 何をしたとき | その経験に基づき、利用者に対して相談援助を行ったとき |
| 事業所の要件 | ①研修修了者を従業者として2名以上配置(うち少なくとも1名は障害者等) ②配置した者のいずれかにより、従業者に対する障害者に対する配慮等に関する研修を年1回以上 ③届出 |
| 追加要件 | B型:サービス費(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)を算定していること。共同生活援助:自立生活支援加算(Ⅲ)を算定していること(退居後は退居後共同生活援助サービス費等を算定していること) |
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対象サービスと要件の違い#
| サービス | 告示の位置 | 追加要件 |
|---|---|---|
| 自立訓練(機能訓練) | 第10の1の3 | なし(①②③のみ) |
| 自立訓練(生活訓練) | 第11の1の4 | なし |
| 就労継続支援B型 | 第14の8の2 | 就労継続支援B型サービス費(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)を算定していること(平均工賃月額で評価する(Ⅰ)〜(Ⅲ)の事業所は対象外) |
| 共同生活援助(介護サービス包括型・外部サービス利用型) | 第15の1の4の5 | 自立生活支援加算(Ⅲ)を算定していること |
| 共同生活援助(退居後) | 第15の1の4の6 | 退居後共同生活援助サービス費または退居後外部サービス利用型共同生活援助サービス費を算定していること |
就労移行支援・就労継続支援A型・生活介護・就労定着支援・施設入所支援の告示にピアサポート実施加算はありません1。
ピアサポーターの要件#
障害者ピアサポート研修の修了#
「障害者ピアサポート研修」は、地域生活支援事業として都道府県または指定都市が実施する基礎研修および専門研修で、両方の課程を修了し、研修の事業を行った者から修了証明書の交付を受けた者が「障害者ピアサポート研修修了者」です13。
2名以上の配置(障害者等+従業者)#
研修修了者を2名以上配置し、そのうち少なくとも1名は障害者等であることが要件です。留意事項通知は、障害者等である者と事業所の従業者を「それぞれ」配置するとし、障害者等は支援現場で直接利用者と接する職種を想定(サービス管理責任者、看護職員、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、生活支援員のほか、利用者とともに訓練等に参加する者も含む)、もう1名の従業者は直接利用者と接する職種である必要はないがピアサポートの活用を十分に理解し、事業所のピアサポート支援体制構築の中心的な役割を担う者であること、いずれも事業所と雇用契約関係(雇用形態は問わない)にあることを求めています3。
「障害者の家族」は要件に含まれません。障害者等であることは、身体障害者手帳、療育手帳(ない場合は市町村が知的障害者更生相談所に意見を求めて確認)、精神障害者保健福祉手帳・精神障害を事由とする年金証書等・自立支援医療受給者証(精神通院医療)・医師の診断書等、難病は医師の診断書や特定医療費受給者証等、その他都道府県が認める書類で確認します3。
従業者への配慮研修(年1回以上)#
配置した研修修了者のいずれかにより、事業所の従業者に対して障害者に対する配慮等に関する研修を年1回以上行うことが要件です。研修を行った場合は内容を記録し、5年間保存して都道府県知事から求めがあれば提出します13。
算定する場面#
ピアサポーターとしての支援は、利用者の個別支援計画に基づき、当事者としての経験に基づく訓練等についての相談援助を行った場合や、利用者のロールモデルとして訓練を実施し必要な助言等を行った場合等に算定します。相談援助を受けた利用者の数に応じて1月につき100単位です13。算定には、研修を修了した従業者を配置している旨の届出が必要です3。
ピアサポート体制加算との違い#
ピアサポート体制加算(100単位/月)は、自立生活援助(第14の3の3)などで、別に厚生労働大臣が定める基準に適合する事業所が事業所単位で算定する加算です1。実施加算(自立訓練・B型・GH)と体制加算(自立生活援助・相談系)は対象サービスが重ならないため、「どちらかを選ぶ」関係ではありません。両方の名称が似ているため、自事業所のサービスにどちらの規定があるかを告示で確認してください。
計算例#
就労継続支援B型(サービス費(Ⅴ)を算定・その他地域1単位10.00円)で、障害者ピアサポート研修修了者である精神障害当事者の生活支援員Aと、研修修了者の管理者Bを配置し、Aが月に8人の利用者に個別支援計画に基づく相談援助を行った場合1。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| ピアサポート実施加算 | 100単位×8人=800単位(8,000円)/月 |
同じ事業所がサービス費(Ⅱ)(平均工賃月額による評価)を算定している場合は、追加要件を満たさないため算定できません1。
よくある質問#
Q. 就労移行支援や就労継続支援A型で算定できますか#
できません。告示に規定があるのは自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労継続支援B型、共同生活援助だけです1。
Q. 障害のある利用者の家族がピアサポーターになれますか#
実施加算の要件は「障害者または障害者であったと都道府県知事が認める者」である従業者で、家族は含まれません。もう1名の研修修了者は障害者等でなくてもよいので、家族であり従業者である人が研修を修了していれば、その枠には入ります13。
Q. 非常勤のピアサポーターでも算定できますか#
できます。留意事項通知は「雇用契約関係(雇用形態は問わない)」としています3。
Q. B型で平均工賃月額の区分(サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ))を算定しています#
算定できません。B型のピアサポート実施加算はサービス費(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)を算定していることが要件です1。
Q. 研修修了者が1名しかいません#
算定できません。2名以上(うち1名以上は障害者等)の配置が要件です1。
Q. 従業者向けの配慮研修は外部講師でもよいですか#
要件は「配置した研修修了者のいずれかにより」行うことなので、配置した修了者が実施する必要があります。内容を記録して5年間保存します13。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第10の1の3、第11の1の4、第14の8の2、第15の1の4の5・1の4の6(ピアサポート実施加算・退居後ピアサポート実施加算)、第14の3の3(ピアサポート体制加算)1
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の主な改定内容 p.28(ピアサポート実施加算の新設)2
- 留意事項通知(令和6年度)第二の3(1)③ ピアサポート実施加算の取扱い(p.218〜221)と各サービスの準用規定3
Footnotes#
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第10の1の3、第11の1の4、第14の8の2、第15の1の4の5・1の4の6、第14の3の3 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17
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厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の主な改定内容」p.28(【新規】ピアサポート実施加算 100単位/月) (https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf) ↩ ↩2
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厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の3(1)③ ピアサポート実施加算の取扱い(p.218〜221:障害者ピアサポート研修の基礎研修及び専門研修、障害者等の確認方法、職種、雇用形態は問わない、個別支援計画に基づく支援、届出、研修記録の5年保存) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11
