就労継続支援A型の賃金向上達成指導員配置加算は、基準の人員配置に加えて「賃金向上達成指導員」を常勤換算で1人以上配置し、利用者のキャリアアップを図る措置を講じている事業所が、利用定員に応じて1日につき15〜70単位を利用者全員に加算できるものです(報酬告示 第13の12)1。B型の目標工賃達成指導員配置加算に相当するA型版の加算で、「賃金向上計画」と「キャリアアップの仕組み」の2つが鍵になります。
単位数(1日につき・利用者全員)#
| 利用定員 | 単位数 |
|---|---|
| 20人以下 | 70単位 |
| 21〜40人 | 43単位 |
| 41〜60人 | 26単位 |
| 61〜80人 | 19単位 |
| 81人以上 | 15単位 |
利用定員に応じた所定単位数を、1日につき、その日に事業所を利用した利用者全員に対して加算します12。令和8年6月施行のサービスコード表でも同じ単位数です3。
この記事の内容を実務で回すならRakuco(ラクこ)の資料(無料)
算定要件(告示 第13の12 注)#
次のすべてを満たし、都道府県知事に届け出ます1。
- 基準の人員配置に加えて、賃金向上達成指導員を常勤換算方法で1以上配置していること
- 賃金向上達成指導員が、賃金向上計画(生産活動収入を増やすための販路拡大、商品開発、労働時間の増加その他の賃金向上を図るための取組に係る計画)を作成し、その達成に向けて積極的に取り組む指導員であること
- A型事業所と雇用契約を締結している利用者のキャリアアップ(職務経験、職業訓練または教育訓練の職業能力の開発の機会を通じ、職業能力の向上と、将来の職務上の地位・賃金をはじめとする処遇の改善が図られること)を図るための措置を講じていること
「基準の人員配置に加えて」の意味#
A型の人員配置基準(職業指導員・生活支援員の総数が10:1以上、サービス費(Ⅰ)なら7.5:1以上)を満たしたうえで、さらに常勤換算1.0以上の指導員を上乗せします12。基準上の職業指導員・生活支援員の勤務時間を賃金向上達成指導員の時間に二重計上することはできません。
「賃金向上計画」は経営改善計画書で代えられる#
留意事項通知は、就労系留意事項通知で示す経営改善計画書を「賃金向上計画」とすることができるとしています。経営改善計画書の提出を要しない事業所(生産活動収支が賃金総額を上回っている事業所)は、就労系留意事項通知の別紙様式2-1の経営改善計画書の「1」に、現在の生産活動収入を維持または増やす取組を行うための具体的取組を記載し、それを達成するための事項を「2」から「6」に記載することで賃金向上計画とすることができます24。経営改善計画書の書き方はA型の経営改善計画書を参照してください。
「キャリアアップを図るための措置」は就業規則に仕組みがあること#
留意事項通知は、将来の職務上の地位や賃金の改善を図るため、昇格、昇進、昇給といった仕組みが就業規則に記載されていることが必要としています。実際にキャリアアップした利用者がいない場合でも差し支えありませんが、仕組みがあるにもかかわらず合理的な理由なく該当者がいない場合は、算定要件を満たしていないとされることもあります2。
届出から算定までの流れ#
- 就業規則に利用者の昇格・昇進・昇給の仕組みを記載する(または既存の規定を確認する)2
- 賃金向上計画(経営改善計画書の活用可)を作成する2
- 基準の配置に加えて賃金向上達成指導員を常勤換算1.0以上で配置し、勤務形態一覧表で基準上の職員と区分する1
- 都道府県知事に体制の届出を行う1
- 届出後、利用定員に応じた単位数を利用者全員の利用日に算定する2
計算例#
定員20人のA型で1日の利用者が18人なら、70単位×18人=1,260単位/日。月22日開所で27,720単位/月(1単位10円の地域で約27.7万円)です1。指導員1人分の人件費と比較して検討します。
B型の目標工賃達成指導員配置加算との違い#
| 賃金向上達成指導員配置加算(A型) | 目標工賃達成指導員配置加算(B型) | |
|---|---|---|
| 単位数(定員20人以下) | 70単位/日 | 45単位/日 |
| 計画 | 賃金向上計画(経営改善計画書で代替可) | 工賃向上計画 |
| 追加要件 | 雇用契約を結ぶ利用者のキャリアアップの措置 | 指導員・職業指導員・生活支援員の総数が5:1以上 |
| 対象 | A型全般 | サービス費(Ⅰ)(Ⅳ)の6:1配置 |
よくある質問#
Q. 賃金向上達成指導員に資格要件はありますか?#
告示・留意事項通知に資格要件はありません。賃金向上計画を作成し、その達成に向けて積極的に取り組む指導員として常勤換算1人以上配置することが要件です12。
Q. 職業指導員が兼務できますか?#
基準上必要な職業指導員・生活支援員の員数に「加えて」配置する必要があるため、基準の員数に数えている勤務時間を指導員の時間に重ねることはできません。基準を超える勤務時間分を指導員として位置づける形になります1。
Q. 「キャリアアップ」は何をすればよいですか?#
就業規則に昇格・昇進・昇給の仕組みを置き、職務経験や職業訓練・教育訓練の機会を通じて処遇改善につなげる措置です。該当者が出ていないこと自体は直ちに問題になりませんが、仕組みがあるのに合理的な理由なく該当者がいない場合は要件を満たさないとされることがあります2。
Q. 令和8年6月改定で変わりましたか?#
単位数・要件に変更はありません3。
Footnotes#
-
報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)別表介護給付費等単位数表 第13の12 賃金向上達成指導員配置加算(イ〜ホの単位数、注) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
-
厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項」第二 2(4)⑭ 賃金向上達成指導員配置加算の取扱い(p.284:㈠利用者全員に加算、㈡経営改善計画書を賃金向上計画とできる、㈢就業規則の昇格・昇進・昇給の仕組み) https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
-
厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版・分冊2)」就労継続支援A型 p.169(就継A賃金向上達成指導員配置加算1〜5:70/43/26/19/15単位) https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696434.pdf ↩ ↩2
-
厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(就労系留意事項通知・令和7年3月31日改正版)別紙様式2-1 経営改善計画書 https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf ↩
