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転職時の就労継続判定|1月以内の再就職で通算される条件をサービス別に解説

公開: 2026年6月30日更新: 2026年6月30日

障害福祉サービスでは、利用者が一般就労した後に転職した場合、「継続就労」としてカウントされるかどうかが、事業所の報酬に直結します。就労移行支援・就労継続支援・就労定着支援の各サービスで、転職時の判定ルールは共通する部分と異なる部分があります。

この記事では、転職時に就労継続として認められるための要件を、サービス別に整理します。

転職時の「継続就労」判定ルールの全体像#

就労系障害福祉サービスでは、利用者が企業等に就職した後の雇用継続期間が報酬評価の基準になります。「就労定着者」としてカウントされるかどうかは、事業所の基本報酬や加算に影響するため、転職時の取扱いは実務上非常に重要です。

基本原則#

転職により「継続就労」として認められるための共通条件は以下の3つです1

  • 事業所が労働条件改善のための転職支援等を実施していること
  • 離職後1月(1か月)以内に再就職していること
  • 最初の企業等の就職日から起算して雇用を継続している期間が6月に達すること

この3条件を満たす場合、転職があっても「就労定着者」として取り扱われます。

サービス別の比較表#

項目就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型就労定着支援
転職が認められる期間職場定着支援の義務期間中(就職日から6月)2職場定着支援の努力義務期間中(就職日から6月)3職場定着支援の努力義務期間中(就職日から6月)4就労定着支援の利用中5
再就職までの期限離職後1月以内2離職後1月以内3離職後1月以内4離職後1月以内5
転職回数の制限明示なし明示なし明示なし1回限り5
事業所の支援要件労働条件改善のための転職支援等の実施2労働条件改善のための転職支援等の実施3労働条件改善のための転職支援等の実施4離職後1月以内に他の通常の事業所に雇用5

就労移行支援における転職時の通算ルール#

就労移行支援では、利用者が企業等に就職した後の6月間が職場定着支援の義務期間とされています2。この期間中に転職支援を行い、利用者が再就職した場合の取扱いは以下のとおりです。

通算の要件#

  1. 就労移行支援を経て企業等に就労した後であること
  2. 職場定着支援の義務期間中(就職した日から6月)に、労働条件改善のための転職支援等を実施した結果であること
  3. 離職後1月以内に再就職していること

上記を満たす場合、最初の企業等の就職日から起算して雇用を継続している期間が6月に達した者を「就労定着者」として取り扱います2

具体例#

令和6年10月1日にA社に就職した利用者が、令和7年1月に労働条件の問題でA社を退職し、就労移行支援事業所の転職支援を経て、令和7年1月25日(退職後1月以内)にB社に再就職した場合:

最初の就職日(令和6年10月1日)から起算して6月に達する令和7年3月31日時点で就労を継続していれば、「就労定着者」としてカウントされます2

「6月に達した者」の計算方法#

「6月に達した者」とは、前年度において企業等での雇用継続期間が6月に達した者です。例えば、令和6年10月1日に就職した者は、令和7年3月31日に6月に達した者となります2

就労定着支援における転職時の取扱い#

就労定着支援では、転職時の判定ルールに2つの重要な特徴があります。

就労定着支援の転職ルール#

就労定着支援の利用中に利用者が離職した場合、以下の条件を満たせば「就労が継続している者」として取り扱います5

  • 離職した後1月以内に他の通常の事業所に雇用されたこと
  • 転職後も就労が継続していること

1回限りの転職制限#

就労定着支援では、利用中1回限りの転職のみ「継続就労」として認められます5。2回目以降の転職は、たとえ1月以内の再就職であっても「継続就労」とはカウントされません。

この制限は、就労移行支援や就労継続支援には明示されていない、就労定着支援固有のルールです。

就労定着率への影響#

就労定着支援の基本報酬は就労定着率に応じて算定されます5。就労定着率の計算において、「就労が継続している者」には以下が含まれます。

  • 就労定着支援の利用が終了しているが、就労が継続している者
  • 就労定着支援の利用中に、離職した後1月以内に他の通常の事業所に雇用された場合であって、就労が継続している者(利用中1回限り)

就労定着率の算定から除外されるケース#

以下の場合は、就労定着率の算定対象(分母・分子)から除外されます5

  • 障害者を雇用する事業所で障害者虐待があり、障害者虐待防止法第26条に基づく措置が講じられた場合であって、本人が離職を希望する場合
  • 雇用された事業所が倒産した場合
  • 利用者が死亡した場合

これらは利用者本人の責めに帰さない事由であるため、事業所の就労定着率に影響を与えないよう配慮されています。

就労継続支援A型・B型からの移行時の判定#

就労継続支援A型・B型を経て企業等に就労した場合にも、転職時の通算ルールが適用されます。

就労継続支援A型の場合#

就労継続支援A型では、職場定着支援が努力義務とされています3。努力義務期間中(就職日から6月)に転職支援を実施し、離職後1月以内に再就職した場合は、最初の企業等の就職日から起算して雇用継続期間が6月に達した者を「就労定着者」として取り扱います3

就労継続支援B型の場合#

就労継続支援B型も、A型と同様の取扱いです4。努力義務期間中に転職支援を実施し、離職後1月以内に再就職した場合は通算されます。

就労移行支援体制加算との関係#

就労継続支援事業所(A型・B型)では、利用者が一般就労に移行した場合に就労移行支援体制加算を算定できます。同一の者について離転職が複数回生じている場合、就労移行支援体制加算を複数回算定することは可能ですが、離転職を計画的に繰り返すケースは認められません6

Q&Aでは、以下のようなケースが例示されています6

  • 事業所甲から企業①に就職→6月経過後に退職→甲に戻り→再度企業①に就職(離転職を繰り返すケース)
  • 事業所甲から企業①に就職→退職→事業所乙に移籍→企業②に就職(複数事業所間の計画的な離転職ケース)

こうした計画的な離転職を繰り返すケースについては、加算の趣旨に反するものとして問題視されています。

実務上の留意点#

転職支援の記録を残す#

転職が「継続就労」として認められるためには、事業所が労働条件改善のための転職支援等を実施したことが条件です234。以下の記録を必ず残してください。

  • 転職に至った理由(労働条件の問題、職場環境の不適合等)
  • 事業所が実施した転職支援の内容(面接同行、求人探し、職場見学等)
  • 離職日と再就職日(1月以内の要件を証明するため)
  • 再就職先の企業情報と雇用契約内容

1月以内の計算に注意する#

「離職後1月以内」の計算は、離職日の翌日から起算します。例えば、3月15日に離職した場合、4月15日までに再就職する必要があります。

就労定着支援の転職回数制限#

就労定着支援では1回限りの転職制限があるため、2回目の転職が生じた場合には「就労が継続している者」としてカウントされません5。利用者に対して、安易な転職のリスクを事前に説明しておくことが重要です。

職場定着支援の期間を正確に管理する#

就労移行支援では義務期間(6月)、就労継続支援では努力義務期間(6月)の中で転職支援を実施することが条件です。この期間を過ぎた後の転職は、通算ルールの対象外となります。

よくある質問#

Q. 離職後1月を超えて再就職した場合はどうなりますか?#

離職後1月以内に再就職しなかった場合は、雇用継続期間の通算は認められません。再就職後は新たな就職として扱われ、最初の就職日からの起算はリセットされます234

Q. 就労定着支援の利用中に2回転職した場合、定着率はどうなりますか?#

就労定着支援では利用中1回限りの転職のみ「継続就労」として認められます5。2回目の転職後は「就労が継続している者」としてカウントされないため、就労定着率の計算上、分子には含まれません。ただし、分母(利用者総数)には含まれたままとなります。

Q. 事業所の倒産で離職した場合も1月ルールが適用されますか?#

雇用された事業所が倒産した場合は、就労定着率の算定対象(分母・分子)から除外されます5。利用者本人の責めに帰さない事由であるため、事業所の定着率に影響を与えない配慮がなされています。

Q. 就労移行支援の義務期間(6月)経過後に転職した場合は?#

職場定着支援の義務期間(就職日から6月)を経過した後の転職については、1月以内の再就職による通算ルールの対象外となります2。ただし、既に6月を経過していれば「就労定着者」としてのカウントは完了しているため、報酬算定上の問題は生じません。

Footnotes#

  1. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬の解釈通知(留意事項通知)」就労移行支援 p.262、就労継続支援A型 p.279、就労継続支援B型 p.295(令和6年度版事業者ハンドブック)

  2. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬の解釈通知(留意事項通知)」就労移行支援の項 p.262(令和6年度版事業者ハンドブック) 2 3 4 5 6 7 8 9 10

  3. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬の解釈通知(留意事項通知)」就労継続支援A型の項 p.279(令和6年度版事業者ハンドブック) 2 3 4 5 6 7

  4. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬の解釈通知(留意事項通知)」就労継続支援B型の項 p.295(令和6年度版事業者ハンドブック) 2 3 4 5 6

  5. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬の解釈通知(留意事項通知)」就労定着支援の項 p.305(令和6年度版事業者ハンドブック) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

  6. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬に関するQ&A」就労移行支援体制加算について 問1(令和6年度版) 2