支援体制構築未実施減算は、就労定着支援で、支援期間が終了した後も一定期間の支援が必要と見込まれる利用者(要継続支援利用者)について、適切な引き継ぎのための3つの措置を1つでも講じていない場合に、所定単位数の100分の10を減算するものです12。令和6年度改定で設けられました3。
3つの措置とは、①関係機関等との情報共有に関する指針を定め責任者を選任する、②支援期間が終了する3月以上前に本人の同意を得て関係機関等と情報を共有する、③共有の状況の記録を作成・保存する、です2。「協議会への参加」や「引き継ぎ先への紹介」のような一般的な連携ではなく、この3措置が揃っているかで判定されます。
全体像#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象サービス | 就労定着支援 |
| 減算率 | 所定単位数の100分の10(各種加算がなされる前の単位数に乗じる) |
| 根拠 | 報酬告示第14の2の1 注7、留意事項通知 3(6)③(四) |
| 対象となる利用者 | 要継続支援利用者=支援の提供を行う期間が終了するまでに解決することが困難と見込まれる課題があり、かつ期間終了後も引き続き一定期間にわたる支援が必要と見込まれる利用者 |
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減算を免れるための3つの措置#
| 措置 | 内容 |
|---|---|
| イ 指針と責任者 | 要継続支援利用者の状況その他の支援に当たり必要な情報(要継続支援利用者関係情報)について、利用者を雇用する事業所および就労支援等の関係機関(関係機関等)との共有に関する指針を定め、責任者を選任していること |
| ロ 3月以上前の情報共有 | 就労定着支援の提供を行う期間が終了する3月以上前に、要継続支援利用者の同意を得て、関係機関等との間で要継続支援利用者関係情報を共有していること |
| ハ 記録 | 関係機関等との情報共有の状況に関する記録を作成し、保存していること |
この3つを1つでも講じていない場合に減算されます2。減算の対象となる所定単位数は各種加算がなされる前の単位数で、加算を含めた合計に乗じるのではありません2。
減算額の計算#
就労定着支援の基本報酬は就労定着率に応じた7区分(1月につき)です。たとえば就労定着率9割5分以上の事業所(3,512単位/月)なら3,512×10%=351.2単位の減算、5割以上7割未満の事業所(1,690単位/月)なら169単位の減算です。小数点以下の端数処理は留意事項通知の単位数算定の端数処理(加減算のたびに四捨五入)によります14。
就労定着支援にある他の減算#
就労定着支援の告示の注にある減算は、計画未作成減算のほか、情報公表未報告減算(100分の5)、業務継続計画未策定減算(100分の1)、**虐待防止措置未実施減算(100分の1)**です。身体拘束廃止未実施減算は就労定着支援の注にはありません1。
実務上の留意点#
- 要継続支援利用者かどうかの判断は、支援期間の終了までに解決困難な課題があり終了後も支援が必要と見込まれるかで行います。該当者がいる場合に3措置が揃っていなければ減算です。
- 措置ロは「終了する3月以上前」が期限です。最長3年の支援期間の終わりから逆算して、同意取得と情報共有を済ませておきます2。
- 共有先の「関係機関等」は、利用者を雇用する事業所と就労支援等の関係機関です。地域に障害者就業・生活支援センターがない場合にどの機関と共有するかは告示・通知に規定がないため、指定権者に確認してください2。
よくある質問#
Q. 減算の要件は「引き継ぎ体制」の有無ですか#
留意事項通知は3つの措置(指針と責任者、3月以上前の同意を得た情報共有、記録の作成・保存)を具体的に定め、1つでも欠けると減算としています。抽象的な体制の有無ではなく、この3措置で判定されます2。
Q. 対象外の利用者しかいない月も減算されますか#
減算の規定は要継続支援利用者に係る措置を講じていない場合のものです。要継続支援利用者の判断と措置の状況を記録に残し、指定権者の確認に備えてください2。
Q. 減算率はいくらですか#
所定単位数の100分の10です。各種加算を含めた合計ではなく、加算前の単位数に乗じます12。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第14の2の1 注4〜注7(情報公表未報告減算5%、業務継続計画未策定減算1%、虐待防止措置未実施減算1%、支援体制構築未実施減算10%)1
- 留意事項通知(令和6年度)第二の3(6)③(四)支援体制構築未実施減算(p.310〜311)2
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の主な改定内容 p.32(適切な引き継ぎのための体制を構築していない場合について減算)3
- 留意事項通知 第二の1 単位数算定の際の端数処理4
Footnotes#
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第14の2の1 注4・注5・注6・注7 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の3(6)③(四)(p.310〜311:要継続支援利用者の定義、措置イ・ロ・ハ、1つでも講じていない場合に100分の10、各種加算がなされる前の単位数) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12
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厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の主な改定内容」p.32(就労定着支援終了にあたり、適切な引き継ぎのための体制を構築していない場合について減算) (https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf) ↩ ↩2
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同留意事項通知 第二の1 算定上の端数処理等(基本となる単位数に加減算の計算を行う度に小数点以下の端数処理(四捨五入)) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2