支援体制構築未実施減算とは#
令和6年度報酬改定で新設された支援体制構築未実施減算は、就労定着支援事業所が関係機関との連携体制の構築に必要な取組を実施していない場合に基本報酬を減算する仕組みである1。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象サービス | 就労定着支援 |
| 新設時期 | 令和6年度報酬改定 |
| 減算率 | 所定単位数の15%を減算 |
| 経過措置 | 令和7年3月31日まで適用しない |
就労定着支援は、利用者の就労先企業や障害福祉サービス事業所、医療機関等の関係機関との連携が不可欠なサービスである。本減算は、こうした連携体制の構築を促す趣旨で導入された1。
減算の適用条件#
支援体制構築に必要な取組#
以下の取組を全て実施していない場合に減算が適用される1。
- 障害者就業・生活支援センター等との連携体制の構築
- 協議会(障害者総合支援法に基づく自立支援協議会等)への定期的な参加
- 企業や関係機関との連絡会議の開催または参加(年1回以上)
具体的に求められる取組#
| 取組 | 内容 | 頻度 |
|---|---|---|
| 就業・生活支援センター連携 | 支援対象者の情報共有、相談対応の協力体制 | 常時 |
| 協議会への参加 | 就労支援部会等への出席 | 年1回以上 |
| 連絡会議の開催・参加 | 企業担当者・支援機関との情報共有 | 年1回以上 |
減算額の計算方法#
計算式#
減算額 = 就労定着支援サービス費の所定単位数 × 15%
具体的な計算例#
例:就労定着率90%以上の事業所(サービス費(Ⅰ))の場合
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本報酬 | 3,215単位/月 |
| 減算額 | 3,215 × 15% = 482単位を減算 |
| 減算後の報酬 | 3,215 - 482 = 2,733単位/月 |
例:就労定着率50%以上70%未満の事業所(サービス費(Ⅲ))の場合
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本報酬 | 1,607単位/月 |
| 減算額 | 1,607 × 15% = 241単位を減算 |
| 減算後の報酬 | 1,607 - 241 = 1,366単位/月 |
経過措置#
令和6年度報酬改定の施行に伴い、以下の経過措置が設けられている1。
- 令和7年3月31日までは支援体制構築未実施減算を適用しない
- 事業所は経過措置期間中に必要な連携体制を構築する
- 令和7年4月以降、体制構築が確認できない場合は減算が適用される
実務上の留意点#
連携体制の「見える化」#
減算を回避するためには、連携体制を構築するだけでなく、その実施を記録として残すことが重要である。
記録すべき項目:
- 障害者就業・生活支援センターとの連携内容(会議録、相談記録等)
- 協議会への出席記録(出席簿の写し、議事録等)
- 企業・関係機関との連絡会議の開催記録(議事録、参加者名簿等)
小規模事業所の対応#
利用者数が少ない小規模事業所であっても、減算の要件は同一である。協議会への参加が難しい地域では、自治体に設置状況を確認し、代替的な連携方法を協議することが望ましい。
他の減算との重複#
支援体制構築未実施減算は、以下の減算と重複して適用される可能性がある。
- 身体拘束廃止未実施減算(所定単位数の1%)
- 虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%)
- 業務継続計画未策定減算(所定単位数の1%)
複数の減算が重複した場合の計算方法は、それぞれの減算率を基本報酬の所定単位数に乗じて個別に算出し、合算する2。
よくある質問#
Q. 障害者就業・生活支援センターが地域に存在しない場合はどうなりますか?#
障害者就業・生活支援センターが未設置の地域では、ハローワークや地域障害者職業センターなど、同等の機能を持つ機関との連携で代替できる場合がある。指定権者に個別に確認することが望ましい。
Q. 協議会に就労支援部会がない場合、どの部会に参加すればよいですか?#
就労支援に関連する部会がなくても、協議会の全体会や関連部会への参加で要件を満たすことができる。重要なのは地域の関係機関との連携体制を構築することである。
Q. 経過措置期間中に体制を整備しなかった場合、遡及して減算されますか?#
経過措置期間中は減算が適用されないため、遡及しての減算はない。ただし、令和7年4月以降に体制が未整備の場合は、その月から減算が適用される。
Q. 連絡会議をオンラインで開催しても要件を満たしますか?#
オンラインでの開催も認められる。議事録や参加者の記録を残しておくことが重要である。