就労定着支援

就労定着実績体制加算とは?算定要件・定着率70%の計算方法を解説

公開: 2026年6月30日更新: 2026年6月30日

就労定着実績体制加算とは — 制度の基本ルール#

就労定着実績体制加算は、就労定着支援事業所において利用終了者の長期的な職場定着の実績が高い場合に算定できる加算です。令和6年度報酬改定で、就労定着支援の報酬体系が大幅に見直され、本加算も新たに整理されました1

項目内容
加算単位数所定単位数の10%加算2
対象サービス就労定着支援
対象者就労定着支援の利用者全員に加算2
算定制限指定を受けた日から1年間は算定不可2
根拠告示報酬告示第14の2の4

就労定着実績体制加算は「利用者個人の実績」ではなく「事業所全体の実績」で判定し、要件を満たせば利用者全員に対して加算されます2


算定要件#

要件の概要#

就労定着実績体制加算を算定するには、以下の要件を満たす必要があります2

前年度末日から起算して過去6年間に就労定着支援の利用を終了した者のうち、前年度において通常の事業所に42月以上78月未満の期間継続して就労している者(又は就労していた者)の割合が70%以上であること。

要件を分解して理解する#

要素内容
分母過去6年間に就労定着支援の利用を終了した者
分子そのうち前年度時点で42月以上78月未満、継続就労している(していた)者
閾値分子÷分母 ≧ 70%
判定期間前年度末日から起算して過去6年間

「42月以上78月未満」の意味#

就労定着支援の利用期間は最長3年間(36月) です。利用終了後もさらに6月以上42月未満の期間、通常の事業所で就労を継続していることが求められます2

  • 42月 = 就労定着支援の最長利用期間36月 + 利用終了後6月
  • 78月 = 就労定着支援の最長利用期間36月 + 利用終了後42月(3年6月)

つまり、就労定着支援の利用を終了してから少なくとも6月以上は職場に定着し続けた実績が必要です。


分母・分子の判定に関する注意点#

「利用を終了した者」の範囲#

「指定就労定着支援の利用を終了した者」には、3年間の支援期間未満で利用を終了した者も含みます2。途中で利用を打ち切った場合でも、分母にカウントされます。

分母の対象期間の起算#

分母の対象者は「前年度末日から起算して過去6年間に就労定着支援の利用を終了した者」です。過去6年間より前に一般就労し、就労定着支援を開始した者は分母に含めません3

あくまで「過去6年間に一般就労を開始し、就労定着支援の利用を終了した者」が対象です。

就労移行支援等を一時的に利用した場合#

労働時間の延長の際に就労に必要な知識・能力の向上のための支援を一時的に必要として就労移行支援等を利用した者については、当該就労移行支援等を受けた後の継続就労期間も通算されます2


算定の具体的な計算例#

以下の事例で算定の可否を確認します。

事例: 令和6年度末時点で過去6年間に就労定着支援の利用を終了した者が10名。そのうち、令和6年度において通常の事業所に42月以上78月未満の期間継続して就労している(していた)者が7名の場合。

  • 分子: 7名(42月以上78月未満の継続就労者)
  • 分母: 10名(過去6年間の利用終了者)
  • 割合: 7 ÷ 10 = 70%
  • 判定: 70% ≧ 70% → 算定可

仮に継続就労者が6名だった場合は、6 ÷ 10 = 60% < 70%となり算定不可です2


算定開始時期の具体例#

就労定着実績体制加算は、指定を受けた日から1年間は算定できません2

具体例#

令和6年4月に就労定着支援の指定を受けた事業所の場合2

  1. 令和6年度中に利用を終了した者がいる
  2. その者が通常の事業所に42月以上78月未満の期間継続して就労している
  3. そのような者の割合が70%以上

上記を満たした場合、令和7年度から就労定着実績体制加算を算定できます。


令和6年度改定での就労定着支援の変更点#

就労定着実績体制加算を正しく理解するために、令和6年度改定での就労定着支援全体の変更点を整理します1

報酬体系の見直し#

従来の「利用者数×就労定着率」による報酬体系から、就労定着率のみに応じた報酬体系に見直されました。

改定前改定後
利用者数(20人以下/21〜40人/41人以上)×定着率定着率のみで報酬区分を決定

実施主体の追加#

障害者就業・生活支援センター事業を行う者が就労定着支援の実施主体に追加されました1

就労移行支援事業所等との一体的な実施#

本体施設のサービス提供に支障がない場合、就労移行支援事業所の職業指導員等の直接処遇職員が就労定着支援に従事した勤務時間を、就労定着支援員の常勤換算上の勤務時間に含めることが可能になりました1

支援体制構築未実施減算の新設#

就労定着支援の終了にあたり、企業による職場でのサポート体制や職場定着に向けた生活面の安定のための支援が実施されるよう、適切な引き継ぎのための体制を構築していない場合に減算されます1


企業・関係機関との連携のポイント#

就労定着実績体制加算の要件(利用終了者の70%以上が42月以上継続就労)を達成するには、利用者の長期的な職場定着が不可欠です。以下は実務上有効とされる連携のポイントです(制度上の義務ではなく、実務上の推奨事項です)。

企業との連携#

  • 定期的な職場訪問と面談: 利用期間中に月1回以上の企業訪問を実施し、職場環境や業務内容の調整を行う
  • キーパーソンの確保: 企業側に利用者の相談窓口となる担当者(メンター等)を設定してもらう
  • 段階的な業務拡大の提案: 利用者の習熟度に応じた業務内容のステップアップを企業と協議する

医療・福祉機関との連携#

  • 主治医との情報共有: 精神障害や発達障害のある利用者は、体調の波が職場定着に影響するため、主治医との連携が重要
  • 相談支援専門員との連携: 生活面の課題(住居、金銭管理等)への早期介入
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)への引き継ぎ: 就労定着支援の利用終了後も、なかぽつによるフォローアップが継続されるよう、円滑な引き継ぎを行う

地域連携会議の活用#

令和6年度改定で「定着支援連携促進加算」が「地域連携会議実施加算」に名称変更されました。就労支援機関等との会議を定期的に実施し、支援ノウハウの共有を図ることが定着率向上につながります1


よくある質問#

Q. 分母の「過去6年間に利用を終了した者」に、6年より前に一般就労を開始した者も含みますか?#

含みません。 分母は「前年度末日から起算して過去6年間に一般就労を開始し、就労定着支援の利用を終了した者」に限定されます3

Q. 3年間の支援期間を満了せず途中で利用を終了した者も分母に含まれますか?#

含まれます。 「利用を終了した者」には、3年間の支援期間未満で利用を終了した者も含みます2。途中終了者が多いと分母が大きくなるため、定着率の判定に影響します。

Q. 指定を受けてすぐに算定できますか?#

算定できません。 指定を受けた日から1年間は算定対象外です。最短でも2年度目から算定開始となります2

Q. 就労定着支援の利用終了後に転職した場合は「継続就労」に含まれますか?#

留意事項通知上は「通常の事業所に継続して就労している者又は就労していた者」が対象とされています2。転職を挟んだ場合の取扱いについて、本加算に関する明確な記載は現時点の公開資料にはありません。所管自治体に個別に確認することを推奨します。


Footnotes#

  1. 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p.32 2 3 4 5 6

  2. 厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項」p.314-315(⑦ 就労定着実績体制加算の取扱いについて) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

  3. 厚生労働省「令和6年度報酬改定Q&A Vol.3」問14 2