就労定着支援

就労定着支援の開業ガイド|一体的運営要件と就労定着率による報酬を解説

公開: 2026年6月30日更新: 2026年10月19日

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就労定着支援とは#

就労定着支援は、就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障害者が、就労に伴う環境変化により生じる生活面の課題に対応するための支援を行う障害福祉サービスである1。

企業や関係機関との連絡調整、日常生活上の相談支援等を通じて職場定着を図ることを目的とする。

項目内容
対象者就労移行支援等を経て一般就労した障害者
利用期間最大3年間(1年ごとに支給決定を更新)
利用開始時期就労後6か月を経過した時点から
サービス形態月1回以上の対面またはテレビ電話装置等による支援。あわせて月1回以上、事業主を訪問して職場の状況を把握するよう努める2
報酬体系就労定着率に応じた月額報酬

就労移行支援との関係#

就労定着支援は、就労移行支援等(就労移行支援、就労継続支援A型・B型、生活介護、自立訓練)を経て一般就労した利用者が対象となる。就労後最初の6か月間は就労移行支援事業所等による職場定着支援が行われ、その後に就労定着支援に引き継ぐ流れである。


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開業の前提条件#

就労定着支援事業所の開業には、他の障害福祉サービスにはない特有の前提条件がある1。

実施主体の要件(第206条の7)#

指定を受けられるのは、次のいずれかに限られる1。

  • 生活介護等(生活介護、自立訓練〔機能訓練・生活訓練〕、就労移行支援、就労継続支援A型・B型)に係る指定障害福祉サービス事業者であって、過去3年以内に、その事業者の事業所の3人以上の利用者が新たに通常の事業所に雇用されたもの
  • 障害者就業・生活支援センター

つまり、条文上の要件は「生活介護等の指定事業者であること」と「過去3年以内に3人以上の就職者を出していること」であり、条文は就労定着支援を生活介護等の事業所と一体的に運営することまでは求めていない。ただし、一体的に運営する場合は、サービス管理責任者の配置人数を決める利用者数が両事業の合計になること(第206条の3第2項)、新規指定から1年間の就労定着率が一体的に運営する生活介護等の就職実績で決まること(報酬告示)、初期加算の対象が一体運営の生活介護等以外の利用者に限られること、など運営面の取扱いに違いが出る13。単独の事業所として開設できるか、その場合の取扱いは指定権者に事前に確認すること。

対象利用者の存在#

就労定着支援の利用者は、生活介護等を受けて通常の事業所に新たに雇用され、就労を継続している期間が6か月に達した障害者である(報酬告示 第14の2の1の注1)3。他法人の事業所を経て就職した人も利用でき、その場合は初期加算(900単位・利用開始月に1回)の対象になる。一方、一体的に運営する事業所からの就職者がいなければ、新規指定から1年間の就労定着率の計算の基礎がなく、利用者も確保しにくい。3人以上の就職実績が指定の要件でもあるため、既存事業所の就職実績を開設前に確認すること。


開業までの全体スケジュール#

既存事業所に就労定着支援を追加する場合も、準備期間は指定権者の申請受付のスケジュール(事前相談・申請の締切日・指定日)で決まるので、早めに確認しておく。

時期タスク
6〜4か月前事業計画の策定、人員配置の検討
4〜3か月前事前相談(指定権者への相談)
3〜2か月前指定申請書類の作成・提出
2〜1か月前審査
開業サービス提供開始

人員配置基準#

就労定着支援事業所の人員配置基準は以下の通りである(第206条の3)1。

職種配置基準要件
管理者1名第206条の4により第51条を準用。専ら当該事業所の職務に従事する者を置く。管理上支障がない場合は、当該事業所の他の職務や他の事業所等の職務との兼務可
サービス管理責任者利用者60人以下で1人以上、61人以上は60人を超えて40人(端数含む)ごとに1人を加えた数以上うち1人以上は常勤。利用者数は前年度の平均値(新規指定は推定数)。一体的に運営する生活介護等がある場合は両事業の利用者の合計数
就労定着支援員常勤換算で利用者数÷40以上利用者数は前年度の平均値(新規指定は推定数)。条文上の常勤要件はない

配置上のポイント#

  • 就労定着支援員・サービス管理責任者は専ら当該事業所の職務に従事する者であることが原則。ただし利用者の支援に支障がない場合は、この限りでない(第206条の3第4項)1
  • 就労定着支援員は常勤換算で「利用者数÷40」以上。たとえば利用者が40人なら常勤換算1.0以上、80人なら2.0以上。「常勤1名以上」を求める規定は条文にない
  • サービス管理責任者は、利用者60人以下なら1人以上、61人以上100人以下なら2人以上、というように60人を超えて40人(端数を含む)ごとに1人を加える。そのうち1人以上は常勤でなければならない

設備基準#

就労定着支援は、利用者の自宅や就労先企業との連絡調整が中心であるため、設備基準は比較的簡素である。第206条の5は、事業を行うために必要な広さの区画を有するとともに、提供に必要な設備及び備品等を備えることを求めている1。事務室・相談室などの具体的な設え(面談に使う場所のプライバシー配慮を含む)は、指定権者の事前相談で確認すること。


報酬体系の理解#

就労定着率による基本報酬#

就労定着支援の基本報酬は、事業所の就労定着率に応じて7区分に分かれる(1月あたりの月額算定)3。

区分就労定着率報酬(月額)
(一)9割5分以上3,512単位
(二)9割以上9割5分未満3,348単位
(三)8割以上9割未満2,768単位
(四)7割以上8割未満2,234単位
(五)5割以上7割未満1,690単位
(六)3割以上5割未満1,433単位
(七)3割未満1,074単位

新規指定事業所の取扱い#

新規に指定を受けた日から1年間は、前月末日から起算して過去3年間に、一体的に運営する生活介護等を受けて通常の事業所に新たに雇用された者のうち、前月末日時点で就労を継続している者の割合を就労定着率として算定する(報酬告示 第14の2の1の注2ただし書き)3。年度途中に支援を開始した場合は、1年経過後から年度末までは直近1年間の利用者総数に対する就労継続者の割合で判定し、翌年度4月以降は通常の算出方法(前年度末日から過去3年間)になる(留意事項通知 p.306)4。

主な加算#

加算内容
就労定着実績体制加算一定期間の就労定着実績を評価(300単位/月)
職場適応援助者養成研修修了者配置体制加算ジョブコーチ配置で120単位/月
利用者負担上限額管理加算150単位/月

支援内容と運営のポイント#

月1回以上の面談・事業主訪問と支援レポート#

運営基準(第206条の8)は、利用者への支援を一月に一回以上、対面またはテレビ電話装置等を用いる方法で行い、あわせて一月に一回以上、利用者を雇用した事業所の事業主を訪問して職場での状況を把握するよう努めることを求めている2。なお、留意事項通知の基本報酬の項には「月1回以上の対面による支援」という書きぶりもあるため、オンライン面談の算定上の扱いは指定権者に確認すること4。

報酬の算定では、当月の支援内容を記載した報告書(支援レポート)を、利用者に月1回以上提供することが要件で、提供しなかった月は就労定着支援サービス費を算定できない(原則その月内、月末に支援した場合は翌月10日までの提供で可)43。

支援の内容:

  • 企業訪問:職場環境の確認、企業担当者との連絡調整
  • 利用者面談:就労上の課題、生活面の課題の把握
  • 関係機関連携:医療機関、相談支援事業所等との情報共有

就労定着率の向上策#

報酬は就労定着率に直結するため、以下の取組が重要である。

  • 早期の問題把握:利用者・企業双方からの定期的な情報収集
  • 企業との良好な関係構築:採用担当者だけでなく現場上司との連携
  • 生活面の支援:通勤、金銭管理、人間関係等の課題に早期対応
  • 関係機関との連携体制構築:支援終了後も支援が必要な利用者を関係機関に引き継げるようにしておく(引継ぎの措置を講じていない場合は支援体制構築未実施減算の対象)

よくある質問#

Q. 就労定着支援だけを単独で開業できますか?#

実施主体の要件(第206条の7)を満たす必要がある。生活介護等の指定事業者で、過去3年以内にその事業者の事業所の3人以上の利用者が新たに通常の事業所に雇用された事業者、または障害者就業・生活支援センターでなければならない。条文は、同じ事業所で一体的に運営することまでは要件としていない。一体的に運営しない場合の具体的な取扱いは、指定権者に確認すること1。

Q. 一体的運営する事業所と別の場所で運営できますか?#

実施主体の要件は事業者に対するもので、同一敷地内であることを条文は求めていない。ただし、一体的に運営している場合に限って、サービス管理責任者の人数を決める利用者数の合算(第206条の3第2項)や、新規指定から1年間の就労定着率の算出(一体的に運営する生活介護等の実績を使う)が適用される13。別の場所で運営する場合にこれらをどう扱うかは、指定権者に確認すること。

Q. 就労定着支援の利用者がいない場合でも指定は受けられますか?#

実施主体の要件として、過去3年以内に事業所の3人以上の利用者が新たに通常の事業所に雇用されていることが必要である。指定後も、利用者がいなければ報酬は発生しない。既存事業所の一般就労実績を確認した上で開設を判断すること1。

Q. 就労定着支援員に必要な資格はありますか?#

運営基準に特定の資格要件は置かれていない。就労支援の実務経験を持つ人材が望ましい。大臣が定める研修(職場適応援助者養成研修)を修了した者を就労定着支援員として配置し届出をすれば、職場適応援助者養成研修修了者配置体制加算(120単位/月)の対象となる3。

Q. 職場適応援助者助成金と就労定着支援サービス費は同時に受けられますか?#

同一利用者の同一月において、職場適応援助者助成金の申請に係る援助を行った場合は、就労定着支援サービス費は算定できない5。


Footnotes#

  1. 厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)就労定着支援の項 (https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10

  2. 厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第206条の8(職場への定着のための支援等の実施) (https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩ ↩2

  3. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬告示」就労定着支援サービス費の算定構造 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7

  4. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬に関する留意事項通知」p.304-315(就労定着支援サービス費の算定・就労定着率の算出・支援レポート) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3

  5. 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬に関する留意事項通知」p.309(職場適応援助者助成金との併給制限) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩

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