就労定着支援とは#
就労定着支援は、就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障害者が、就労に伴う環境変化により生じる生活面の課題に対応するための支援を行う障害福祉サービスである1。
平成30年4月に創設された比較的新しいサービスであり、企業や関係機関との連絡調整、日常生活上の相談支援等を通じて職場定着を図ることを目的とする。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 就労移行支援等を経て一般就労した障害者 |
| 利用期間 | 最大3年間(1年ごとに支給決定を更新) |
| 利用開始時期 | 就労後6か月を経過した時点から |
| サービス形態 | 月1回以上の訪問(企業訪問・自宅訪問等) |
| 報酬体系 | 就労定着率に応じた月額報酬 |
就労移行支援との関係#
就労定着支援は、就労移行支援等(就労移行支援、就労継続支援A型・B型、生活介護、自立訓練)を経て一般就労した利用者が対象となる。就労後最初の6か月間は就労移行支援事業所等による職場定着支援が行われ、その後に就労定着支援に引き継ぐ流れである。
開業の前提条件#
就労定着支援事業所の開業には、他の障害福祉サービスにはない特有の前提条件がある1。
一体的運営の要件#
就労定着支援は、以下のいずれかの事業所と一体的に運営することが指定の要件となっている。
- 就労移行支援事業所
- 就労継続支援A型事業所
- 就労継続支援B型事業所
- 生活介護事業所
- 自立訓練事業所
つまり、就労定着支援だけを単独で開業することはできない。既に上記いずれかの事業所を運営しているか、同時に開設する必要がある。
対象利用者の存在#
就労定着支援の利用者は、上記の事業所を経て一般就労した者に限られる。そのため、既存の事業所から一般就労への移行実績がなければ、利用者が確保できない。
開業までの全体スケジュール#
既存事業所に就労定着支援を追加する場合は、3〜6か月程度の準備で指定を取得できる。
| 時期 | タスク |
|---|---|
| 6〜4か月前 | 事業計画の策定、人員配置の検討 |
| 4〜3か月前 | 事前相談(指定権者への相談) |
| 3〜2か月前 | 指定申請書類の作成・提出 |
| 2〜1か月前 | 審査 |
| 開業 | サービス提供開始 |
人員配置基準#
就労定着支援事業所の人員配置基準は以下の通りである2。
| 職種 | 配置基準 | 要件 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1名以上(兼務可) | 一体的運営する事業所の管理者との兼務可 |
| サービス管理責任者 | 1名以上(兼務可) | 一体的運営する事業所のサビ管との兼務可 |
| 就労定着支援員 | 利用者40:1以上 | 常勤1名以上 |
配置上のポイント#
- 管理者・サービス管理責任者は兼務可能:一体的に運営する事業所と兼務できるため、追加の人件費を最小限に抑えられる
- 就労定着支援員は利用者40人につき1名以上で、そのうち1名以上は常勤であること
- 就労定着支援員は、就労移行支援の就労支援員等との兼務も可能
設備基準#
就労定着支援は、利用者の自宅や就労先企業への訪問型サービスが中心であるため、設備基準は比較的簡素である1。
| 設備 | 要件 |
|---|---|
| 事務室 | 事務処理に必要なスペース |
| 相談室 | プライバシーに配慮した空間 |
一体的運営する事業所の設備を共用できるため、追加の設備投資は最小限で済む。
報酬体系の理解#
就労定着率による基本報酬#
就労定着支援の基本報酬は就労定着率に応じて5段階に分かれる3。
| 区分 | 就労定着率 | 報酬(月額) |
|---|---|---|
| サービス費(Ⅰ) | 90%以上 | 3,215単位 |
| サービス費(Ⅱ) | 70%以上90%未満 | 2,449単位 |
| サービス費(Ⅲ) | 50%以上70%未満 | 1,607単位 |
| サービス費(Ⅳ) | 30%以上50%未満 | 1,147単位 |
| サービス費(Ⅴ) | 30%未満 | 688単位 |
新規指定事業所の取扱い#
新規指定の場合は、就労定着率が算定されるまでの間、サービス費(Ⅲ)(50%以上70%未満に相当)が適用される。
主な加算#
| 加算 | 内容 |
|---|---|
| 就労定着実績体制加算 | 42月以上の長期定着実績を評価(所定単位数の10%) |
| 職場適応援助者養成研修修了者配置体制加算 | ジョブコーチ配置で120単位/月 |
| 利用者負担上限額管理加算 | 150単位/月 |
支援内容と運営のポイント#
月1回以上の対面支援#
就労定着支援では、月1回以上の対面による支援が求められる2。
支援の内容:
- 企業訪問:職場環境の確認、企業担当者との連絡調整
- 利用者面談:就労上の課題、生活面の課題の把握
- 関係機関連携:医療機関、相談支援事業所等との情報共有
就労定着率の向上策#
報酬は就労定着率に直結するため、以下の取組が重要である。
- 早期の問題把握:利用者・企業双方からの定期的な情報収集
- 企業との良好な関係構築:採用担当者だけでなく現場上司との連携
- 生活面の支援:通勤、金銭管理、人間関係等の課題に早期対応
- 関係機関との連携体制構築:支援体制構築未実施減算を回避するためにも必須
よくある質問#
Q. 就労定着支援だけを単独で開業できますか?#
できない。就労移行支援、就労継続支援A型・B型、生活介護、自立訓練のいずれかの事業所と一体的に運営することが指定の要件である1。
Q. 一体的運営する事業所と別の場所で運営できますか?#
原則として同一敷地内または近隣の場所での運営が想定されている。管理者やサービス管理責任者の兼務が可能な範囲であることが求められる。
Q. 就労定着支援の利用者がいない場合でも指定は受けられますか?#
指定自体は受けられるが、利用者がいなければ報酬は発生しない。一体的運営する事業所からの一般就労移行実績を確認した上で開設を判断すること。
Q. 就労定着支援員に必要な資格はありますか?#
特定の資格要件はないが、就労支援の実務経験を持つ人材が望ましい。訪問型職場適応援助者養成研修を修了していれば、加算(120単位/月)の対象となる。
Q. 職場適応援助者助成金と就労定着支援サービス費は同時に受けられますか?#
同一利用者の同一月において、職場適応援助者助成金の申請に係る援助を行った場合は、就労定着支援サービス費は算定できない4。