居宅介護には、基本報酬(身体介護・家事援助・通院等介助)とは別に、初回加算(200単位・月)、緊急時対応加算(100単位・回、月2回まで、地域生活支援拠点等は+50単位)、福祉専門職員等連携加算(564単位・回、90日で3回まで)、利用者負担上限額管理加算(150単位・月)があります1。いずれもサービス提供責任者の関与が算定の鍵で、記録の仕方や「初回」「緊急」の定義を取り違えると返還の対象になります。
本記事では、告示と留意事項通知に沿って、4つの加算の要件・記録・併算定を整理します。早朝・夜間25%、深夜50%の時間帯加算と時間帯をまたぐ場合の数え方は居宅介護の基本報酬と所要時間に、特定事業所加算は居宅介護の特定事業所加算に、喀痰吸引等支援体制加算は喀痰吸引等支援体制加算にまとめています。
全体像#
| 加算 | 単位数 | 限度 | 要件の核 |
|---|---|---|---|
| 初回加算 | 200単位・1月 | 月1回 | 新規に居宅介護計画を作成した利用者に、サービス提供責任者が初回またはその月に自ら提供、または他の従業者の提供に同行 |
| 緊急時対応加算 | 100単位・1回(拠点等の届出事業所は**+50単位**) | 1月2回 | 利用者・家族等の要請でサービス提供責任者が計画を変更し、計画にない支援を要請から24時間以内に実施(身体介護・通院等介助(身体介護を伴う)に限る) |
| 福祉専門職員等連携加算 | 564単位・1回 | 初回から90日で3回 | サービス提供責任者が社会福祉士等と同行訪問して共同でアセスメントし、計画を作成して連携 |
| 利用者負担上限額管理加算 | 150単位・1月 | 月1回 | 複数事業所を利用する利用者の利用者負担額合計額の管理を行った場合 |
サービスコードは初回加算11-6020、緊急時対応加算11-6025(拠点等11-6026)、福祉専門職員等連携加算11-6105、利用者負担上限額管理加算11-5010です2。いずれも処遇改善加算の対象範囲(第1の1〜4の2)に含まれます1。
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初回加算(200単位・月)#
告示の要件#
事業所において新規に居宅介護計画を作成した利用者に対し、(1)サービス提供責任者が初回またはその日の属する月に自ら居宅介護を行った場合、または(2)他の従業者が初回またはその月に居宅介護を行った際にサービス提供責任者が同行した場合に、1月につき200単位を加算します1。
留意事項通知の取扱い#
- 本加算は、利用者が過去2月に当該事業所から居宅介護の提供を受けていない場合に算定します3。
- サービス提供責任者が同行した場合は、基準省令第19条に基づき同行訪問した旨を記録します。サービス提供責任者は居宅介護に要する時間を通じて滞在する必要はなく、利用者の状況等を確認した上で途中で現場を離れても算定できます3。
緊急時対応加算(100単位・回+拠点等50単位)#
告示の要件#
身体介護または通院等介助(身体介護を伴う場合)について、利用者または家族等からの要請に基づきサービス提供責任者が居宅介護計画の変更を行い、従業者が計画において計画的に訪問することとなっていない居宅介護を緊急に行った場合に、利用者1人につき1月2回を限度として1回100単位を加算します。地域生活支援拠点等の施設基準(運営規程で拠点等として位置付けられていることを定め、市町村・拠点関係機関との連携調整に従事する者を1人以上配置)に適合する届出事業所は、さらに1回50単位を加算します14。
留意事項通知の取扱い#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 「緊急に行った場合」 | 計画に位置付けられていない居宅介護(身体介護中心型・通院等介助(身体介護を伴う)に限る)を、要請を受けてから24時間以内に行った場合 |
| 回数 | 1回の要請につき1回を限度 |
| 所要時間のルール | 所要時間30分未満は20分程度以上、複数回は概ね2時間以上の間隔というルールは適用しない。20分未満でも30分未満の身体介護中心型を算定でき、前後の居宅介護との間隔が2時間未満でもそれぞれの所要時間で算定(合算不要) |
| 記録 | 基準省令第19条に基づき、要請のあった時間、要請の内容、提供時刻、緊急時対応加算の算定対象である旨等を記録 |
| 拠点等の50単位 | 市町村と事業所が事前協議し、事業所の届出等の提出後に市町村から通知等により確認。連携担当者は平時から拠点関係機関と情報連携し、協議会等に参画 |
福祉専門職員等連携加算(564単位・回、90日で3回)#
告示の要件#
サービス提供責任者が、サービス事業所・指定障害者支援施設等・医療機関等の社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、理学療法士、公認心理師その他の国家資格を有する者(社会福祉士等)に同行して利用者の居宅を訪問し、利用者の心身の状況等の評価を社会福祉士等と共同して行い、かつ居宅介護計画を作成した場合であって、社会福祉士等と連携して当該計画に基づく居宅介護を行ったときに、初回の居宅介護から起算して90日の間、3回を限度として1回564単位を加算します1。
留意事項通知の取扱い#
- 「共同して評価し、計画を作成した場合」とは、サービス提供責任者が利用者に関わった社会福祉士等(作業療法士・言語聴覚士・看護師・保健師等を含む国家資格者)との連携に基づき、介助等を必要とする行為について、従業者がより適切に行えるよう、利用者の能力・現在の状況・改善や維持の可能性の評価等(アセスメント)を勘案して居宅介護計画を作成した場合です6。
- 社会福祉士等は、利用者の同意を得た上で、障害特性や既に把握している状態に応じたより適切な計画となるよう、サービス提供責任者に詳細な情報提供と具体的な助言を行い、計画作成に協力します6。
- 加算は、社会福祉士等がサービス提供責任者と同時間帯に訪問する初回の日から起算して90日以内で上限3回まで、計画に基づき支援した回数に応じて算定します6。
- 事業所からサービス事業所・指定障害者支援施設等・医療機関等への支払いは個々の契約によります6。
利用者負担上限額管理加算(150単位・月)#
指定居宅介護事業者または共生型居宅介護の事業者が、基準省令第22条の利用者負担額合計額の管理を行った場合に1月につき150単位を加算します1。「管理を行った場合」とは、利用者が上限額管理を行う事業所等以外の障害福祉サービスを受けた際に、上限額管理事業所が負担額合計額の管理を行った場合をいい、負担額が負担上限額を実際に超えているか否かは算定の条件としません7。
計算例#
その他地域(1単位10.00円)の居宅介護事業所(地域生活支援拠点等の届出あり)で、新規利用者の初月に次の支援を行った場合1。
| 項目 | 単位数 |
|---|---|
| 初回加算(サービス提供責任者が初回に同行) | 200単位 |
| 緊急時対応加算(要請から24時間以内の計画外の身体介護・1回) | 100+50=150単位 |
| 福祉専門職員等連携加算(理学療法士と同行訪問して共同評価し計画作成・1回) | 564単位 |
| 利用者負担上限額管理加算 | 150単位 |
| 加算合計 | 1,064単位(10,640円) |
基本報酬(身体介護等の所要時間区分)とは別に加算します。1級地(居宅介護の単価11.20円)なら11,916円です8。
よくある質問#
Q. 以前利用していた人が3か月ぶりに再開しました。初回加算は取れますか#
過去2月に当該事業所から居宅介護の提供を受けていない場合に算定できるため、新規に居宅介護計画を作成すれば対象です13。
Q. サービス提供責任者が同行しましたが、途中で帰りました#
利用者の状況等を確認した上で途中で現場を離れても算定できます。同行訪問した旨を記録してください3。
Q. 家事援助を緊急で行いました。緊急時対応加算は#
対象外です。緊急時対応加算は身体介護中心型と通院等介助(身体介護を伴う場合)に限られます15。
Q. 緊急訪問が15分で終わりました#
緊急時対応加算の対象となる居宅介護には20分程度以上のルールが適用されないため、15分でも30分未満の身体介護中心型の所定単位数と加算を算定できます5。
Q. 福祉専門職員等連携加算は看護師との同行でも算定できますか#
できます。社会福祉士等には作業療法士・言語聴覚士・看護師・保健師等の国家資格を有する者が含まれます6。
Q. 福祉専門職員等連携加算の90日はいつから数えますか#
社会福祉士等がサービス提供責任者と同時間帯に訪問する初回の日から起算して90日以内で、上限3回です6。
Q. 上限額を超えない月でも利用者負担上限額管理加算を算定できますか#
できます。負担額が上限額を実際に超えているかは算定の条件ではありません7。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第1の1注14・注15(緊急時対応加算)、第1の2(初回加算)、第1の3(利用者負担上限額管理加算)、第1の4の2(福祉専門職員等連携加算)1
- 告示551号 第一号(緊急時対応加算の拠点等の施設基準)4
- 留意事項通知 第二の2(1)⑯緊急時対応加算、⑰初回加算、⑱利用者負担上限額管理加算、⑲福祉専門職員等連携加算(p.69〜73)3567
- サービスコード表 分冊1 居宅介護 p.2012、単価告示8
Footnotes#
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第1の1注14・注15、第1の2・3・4の2 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11
-
厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版)」分冊1 居宅介護 p.201(11-6020・6025・6026・6105・5010) (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696433.pdf) ↩ ↩2
-
厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の2(1)⑰初回加算の取扱い(p.71〜72) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める施設基準」(平成18年厚生労働省告示第551号)第一号 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8504&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2
-
同通知 ⑯緊急時対応加算の取扱い(p.69〜71) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
同通知 ⑲福祉専門職員等連携加算の取扱い(p.72〜73) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
同通知 ⑱利用者負担上限額管理加算の取扱い(p.72) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準第一条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成18年厚生労働省告示第539号) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8493&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2
