訪問系サービス(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援)の福祉・介護職員等処遇改善加算は、他のサービスより加算率が高く、居宅介護・同行援護は(Ⅰ)イで44.6%、行動援護41.1%、重度訪問介護37.2%、重度障害者等包括支援**25.2%**です(令和8年6月以降)12。訪問系は1回ごとの単位数に時間帯加算や特定事業所加算が上乗せされる構造のため、「どの単位数に率を掛けるか」を告示の範囲指定で確認する必要があります。
本記事では、訪問系5サービスの加算率(6月以降と令和8年4月・5月)、告示が指定する加算を乗じる対象の範囲、減算・時間帯加算・特定事業所加算との計算順序、端数処理を整理します。加算Ⅰ〜Ⅳの算定要件や届出は処遇改善加算Ⅰ〜Ⅳの全体像、居住系の率は居住系サービスの処遇改善加算率を参照してください。
訪問系の加算率一覧(令和8年6月以降)#
| サービス | (Ⅰ)イ | (Ⅰ)ロ | (Ⅱ)イ | (Ⅱ)ロ | (Ⅲ) | (Ⅳ) | 告示の対象範囲 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 居宅介護 | 44.6% | 45.6% | 43.1% | 44.1% | 37.6% | 30.2% | 第1の1〜4の2 |
| 重度訪問介護 | 37.2% | 38.2% | 35.7% | 36.7% | 30.2% | 24.8% | 第2の1〜5の3 |
| 同行援護 | 44.6% | 45.6% | 43.1% | 44.1% | 37.6% | 30.2% | 第3の1〜4 |
| 行動援護 | 41.1% | 42.1% | 39.6% | 40.6% | 34.1% | 27.7% | 第4の1〜4の2 |
| 重度障害者等包括支援 | 25.2% | 26.2% | ― | ― | 19.1% | 16.7% | 第8の1〜 |
告示は各サービスの末尾で「1から○までにより算定した単位数の1000分の△に相当する単位数」と定めており、たとえば居宅介護は第1の1(居宅介護サービス費とその注による加減算)から4の2(福祉専門職員等連携加算)までの単位数が対象です1。重度障害者等包括支援には(Ⅱ)イ・ロが設定されていません1。
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令和8年4月・5月の率(経過)#
令和8年度は4月・5月分と6月以降分で率が異なり、4月・5月は別紙1表1-1の率、6月以降は表1-2・1-4の率(上乗せ区分(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)ロを含む)を使います3。
| サービス | 4月・5月(Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) | (Ⅳ) | 6月以降(Ⅰ)イ |
|---|---|---|---|---|---|
| 居宅介護・同行援護 | 41.7% | 40.2% | 34.7% | 27.3% | 44.6% |
| 重度訪問介護 | 34.3% | 32.8% | 27.3% | 21.9% | 37.2% |
| 行動援護 | 38.2% | 36.7% | 31.2% | 24.8% | 41.1% |
| 重度障害者等包括支援 | 22.3% | ― | 16.2% | 13.8% | 25.2% |
令和8年度に増加した加算額(6月以降の率の引上げ分、新規算定や上位区分への移行分)は、過去の賃金改善の実績にかかわらず新たに賃金改善として実施し、ベースアップにより行うことが基本です3。
何に率を掛けるか(対象範囲と計算順序)#
処遇改善加算の単位数は、サービス別の基本サービス費に各種加算・減算(処遇改善加算を除く)を加えた1月当たりの総単位数に、加算区分・サービス類型別の加算率を乗じて算定します3。留意事項通知の端数処理では、処遇改善加算は基本報酬及び各種加算を算定した単位数の合計に割合を乗じ、小数点以下は四捨五入します4。
訪問系で対象範囲に含まれるものを整理します1。
| 項目 | 処遇改善加算の対象 |
|---|---|
| 基本報酬(所要時間区分の単位数) | ○ |
| 従業者の資格による単位数の違い(基礎研修修了者70%・90%など) | ○(置き換えた後の単位数) |
| 早朝・夜間25%、深夜50%の時間帯加算 | ○ |
| 2人派遣(それぞれの従業者分) | ○ |
| 特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅳ)、特別地域加算 | ○ |
| 緊急時対応加算(100単位+拠点等50単位) | ○ |
| 初回加算、利用者負担上限額管理加算、喀痰吸引等支援体制加算、福祉専門職員等連携加算(居宅介護) | ○(告示の「4の2まで」に含まれる) |
| 重度訪問介護の移動介護加算、移動介護緊急時支援加算、行動障害支援連携加算、入院時支援連携加算 | ○(「5の3まで」に含まれる) |
| 同一建物減算(居宅介護90%・85%)、情報公表未報告減算(5%)、業務継続計画未策定・身体拘束廃止未実施・虐待防止措置未実施減算(各1%) | 減算後の単位数に率を掛ける |
端数処理の順序#
単位数の計算は、基本となる単位数に加減算(割合を乗じる計算)を行うたびに小数点以下を四捨五入し、常に整数に割合を乗じていきます。ただし、情報公表未報告減算・業務継続計画未策定減算・身体拘束廃止未実施減算・虐待防止措置未実施減算・特定事業所加算・特別地域加算・同一建物減算は、対象となる基本報酬の単位数に割合を乗じて加減算の単位数を算定し、処遇改善加算は基本報酬と各種加算の合計に割合を乗じます4。
計算例#
その他地域(1単位10.00円)の居宅介護事業所(特定事業所加算(Ⅰ)・処遇改善加算(Ⅰ)イを届出)で、ある利用者に身体介護1時間(404単位)を月20回提供した場合145。
| 項目 | 単位数 |
|---|---|
| 身体介護 30分以上1時間未満 | 404×20回=8,080単位 |
| 特定事業所加算(Ⅰ)20% | 404×20%=80.8→81単位×20回=1,620単位 |
| 小計(処遇改善加算の対象) | 9,700単位 |
| 処遇改善加算(Ⅰ)イ 44.6% | 9,700×0.446=4,326.2→4,326単位 |
| 合計 | 14,026単位(140,260円) |
同じ提供を重度訪問介護事業所が重度訪問介護として行った場合の率は37.2%、同行援護なら44.6%、行動援護なら41.1%です。1級地(居宅介護の単価11.20円)なら14,026単位は157,091円です5。
よくある質問#
Q. 時間帯加算や特定事業所加算にも処遇改善加算は掛かりますか#
掛かります。告示の対象範囲は「第1の1から4の2まで」のように基本報酬の注による加算を含むため、早朝・夜間・深夜加算、特定事業所加算、特別地域加算、緊急時対応加算を含めた合計に率を乗じます13。
Q. 同一建物減算を受けている利用者分はどう計算しますか#
減算後の単位数(90%または85%)が基本報酬の単位数になり、その合計に処遇改善加算の率を掛けます14。
Q. 居宅介護と重度訪問介護を同じ事業所で行っています。率は分けますか#
分けます。処遇改善加算はサービスごとに告示で率が定められ、居宅介護は44.6%、重度訪問介護は37.2%(いずれも(Ⅰ)イ)です1。
Q. 令和8年4月分の請求はどの率ですか#
4月・5月分は表1-1の率(居宅介護(Ⅰ)41.7%など)、6月以降は表1-2の率(同44.6%)です23。
Q. 端数はいつ四捨五入しますか#
割合を乗じる計算を行うたびに小数点以下を四捨五入します。処遇改善加算は基本報酬と各種加算の合計に率を掛けた後に四捨五入します4。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第1の5、第2の6、第3の5、第4の5、第8の処遇改善加算の各注1
- 「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分)p.3、別紙1 表1-1・表1-223
- 留意事項通知 第二の1(1)算定上における端数処理について(p.8)4、単価告示5
Footnotes#
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第1の5・第2の6・第3の5・第4の5・第8 福祉・介護職員等処遇改善加算 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
-
厚生労働省・こども家庭庁「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分・令和8年3月31日 障障発0331第1号/こ支障第78号)別紙1 表1-1 サービス別加算率(令和8年4月及び5月)・表1-2(令和8年6月以降)(p.15〜16。大阪府が掲載する通知PDF) (https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126420/r8_4_syoguukaizen_jimusyoritejyun.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
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同通知 p.3(処遇改善加算の単位数は基本サービス費に各種加算減算を加えた1月当たりの総単位数に加算率を乗じて算定。令和8年4月・5月と6月以降で率が異なる。増加した加算額は新規の賃金改善に充てる) (https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/126420/r8_4_syoguukaizen_jimusyoritejyun.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の1(1)算定上における端数処理について(p.8) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準第一条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成18年厚生労働省告示第539号) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8493&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3