A型B型

就労移行支援の基本報酬と定着率による報酬区分|新規事業所の経過措置(2年間みなし)と定員10人の扱い

公開: 2026年6月19日更新: 2026年10月19日
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就労移行支援の基本報酬 — 制度の全体像#

就労移行支援の基本報酬は、事業所の就職後の職場定着率に応じて区分が決まる成果連動型の報酬体系です。一般就労への移行実績と定着実績が高い事業所ほど、高い基本報酬が設定されています1。

基本報酬の区分は、以下の2つの要素で決定します。

  • 就職後の職場定着率(7区分)
  • 利用定員(定員20人以下・21人以上40人以下・41人以上60人以下・61人以上80人以下・81人以上)

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就職後の職場定着率と報酬区分#

就職後の職場定着率は、前年度及び前々年度の利用定員の合計に対する、一般就労へ移行し6か月以上定着した者の割合で算出します1。

区分就職後6月以上定着率
(一)5割以上
(二)4割以上5割未満
(三)3割以上4割未満
(四)2割以上3割未満
(五)1割以上2割未満
(六)0割超1割未満
(七)0割

基本報酬の区分は上記の7区分で、就職後6月以上の定着率が高いほど高い単位数になります。

定着率の計算方法#

定着率 = 前年度及び前々年度で6か月以上職場定着した者の数 ÷ 前年度及び前々年度の利用定員の合計

  • 算定対象期間は、前年度及び前々年度の2年度間です
  • 「6か月以上定着」とは、就職日から6か月間継続して雇用されていることを確認できた者です
  • 就労継続支援A型への移行は「一般就労」に含まれません2

基本報酬の単位数一覧(サービス費(Ⅰ))#

定着率区分(一)〜(七)と定員規模の組み合わせで、1日あたりの単位数が決まります1。

定着率区分20人以下21-40人41-60人61-80人81人以上
(一)5割以上1,2101,0551,023968935
(二)4割以上5割未満1,020881857816779
(三)3割以上4割未満879743711664625
(四)2割以上3割未満719649614562516
(五)1割以上2割未満569524515494478
(六)0割超1割未満519466446418392
(七)0割479432413387364

単位は「単位/日」です。区分(一)・定員20人以下の1,210単位が最も高く、定着実績が報酬に直結する成果連動型であることがわかります。地域区分による上乗せが別途加算されます1。

新規事業所の取扱い(「新規事業所の経過措置」)#

新規に指定を受けた事業所には前年度・前々年度の実績がないため、報酬告示は次のみなし規定(いわゆる新規事業所の経過措置)を置いています3。

  • 新規に指定を受けた日から2年間は、就労定着者の割合が**「3割以上4割未満」(区分(三))である場合とみなして**算定する
  • ただし、指定から1年以上2年未満の間は、「前年度又は前々年度」を「前年度」と読み替えて計算した就労定着者の割合(=指定後1年目の実績だけで計算した割合)に応じて算定することができる(1年目の実績が区分(三)より良ければ、そちらを選べる)

定員20人以下なら、2年間は原則として879単位/日(区分(三))で算定することになります13。認定指定就労移行支援事業所(あん摩マッサージ指圧師等の養成施設)は、新規指定から3年間(修業年限5年の場合は5年間)同じみなしです3。

報酬を最大化するための実務ポイント#

定着率の向上が最優先#

就労移行支援の報酬は、利用者を一般就労へ移行させるだけでなく、6か月以上の職場定着を実現することで初めて高い区分を維持できます。以下の取り組みが有効です。

  • 就職前のマッチング精度の向上(職場見学・実習の充実)
  • 就職後の定期的なフォローアップ(就労定着支援との連携)
  • 企業側への障害特性の情報提供と職場環境調整の支援

移行実績は基本報酬で評価される#

「就労移行支援体制加算」は生活介護・自立訓練・就労継続支援A型・B型の加算で、就労移行支援にはありません。就労移行支援では、一般就労への移行と定着の実績は、基本報酬の就労定着率の区分で評価されます1。

定員規模の戦略的設定#

基本報酬は定員規模が小さいほど単位数が高く設定されています。事業所の立地、利用見込み、スタッフ体制を総合的に勘案し、最適な定員規模を設定することが経営上重要です。


注意すべき減算#

以下の減算は基本報酬に直接影響するため、特に注意が必要です。

減算項目減算内容影響
人員欠如減算所定単位数の70%(職業指導員等の不足が3か月以上、サービス管理責任者の不足が5か月以上続くと50%)人員配置基準の未充足
個別支援計画未作成減算所定単位数の70%(2月目まで)/ 50%(3月以上)計画未作成・更新漏れ
身体拘束廃止未実施減算所定単位数の1%減算(障害者支援施設が行う場合は10%)4記録・委員会・指針・研修のいずれかの未実施

よくある質問#

Q. 就労継続支援A型への移行は定着率の計算に含まれますか?#

含まれません。定着率の計算における「一般就労」とは、雇用契約に基づく企業等での就労を指し、就労継続支援A型事業所での就労は対象外です2。

Q. 利用者が就職後すぐに離職した場合、定着率にどう影響しますか?#

6か月以上の職場定着が確認できなかった場合、定着率の分子(6か月以上定着した者の数)には算入されません。一方、分母は前年度及び前々年度の利用定員の合計(固定値)であるため、定着率が下がる要因となります2。

Q. 定着率が低い場合に報酬区分を改善する方法はありますか?#

定着率は前年度及び前々年度の実績で算出するため、直近の年度で定着実績を積み上げることで、翌年度以降に改善が見込めます。就労定着支援との連携や、就職前のアセスメント強化、企業とのマッチング精度向上などに取り組むことが効果的です。

Q. 年度途中で定着率が変動した場合、報酬区分は変わりますか?#

報酬区分は年度単位で決定されるため、年度途中で定着率が変動しても当該年度の区分は変わりません。次年度の届出時に改めて定着率を算出し、該当する区分で届け出ます1。


令和8年6月改定での扱い#

令和8年6月施行の改定事項には就労移行支援の基本報酬の見直しは含まれておらず、令和8年6月施行のサービスコード表でも就労移行支援サービス費(Ⅰ)は定員20人以下・区分(一)1,210単位など、上表と同じ単位数です56。令和8年6月改定で見直されたのは福祉・介護職員等処遇改善加算の加算率(就労移行支援は(Ⅰ)イ11.5%〜(Ⅳ)8.1%)などです5。

⚠️ 訂正(2026-10-07):本記事の旧版には「令和8年6月の臨時改定で基本報酬全体に1.8%相当の上乗せが行われ、上表はその引上げ後の数値」との記述がありましたが、改定事項に該当する見直しはなく、誤りでした。削除しています。

よくある質問(追加)#

Q. 「新規事業所の経過措置」とは何ですか?#

新規に指定を受けた日から2年間、就労定着者の割合を「3割以上4割未満」とみなして基本報酬を算定する取扱いです。指定から1年以上2年未満の間は、1年目の実績だけで計算した割合で算定することもできます3。

Q. 令和6年度改定で定員10人からの開設が可能になりましたが、基本報酬はどの区分になりますか?#

利用定員規模は令和6年度改定で「10名以上」から実施可能になりました7。基本報酬の定員区分は「20人以下」からなので、定員10人の事業所は定員20人以下の区分(区分(一)で1,210単位)で算定します1。


Footnotes#

  1. 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)別表介護給付費等単位数表 第12の1 就労移行支援サービス費(Ⅰ)(利用定員5区分×就労定着者の割合7区分の単位数)、注3(就労定着者の割合の定義:前年度及び前々年度の就労定着者の合計数÷利用定員の合計数。A型への移行を除く) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8

  2. 厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項」第二 2(3)就労移行支援サービス費 https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf ↩ ↩2 ↩3

  3. 報酬告示 第12の1 注4の2(新規に指定を受けた日から2年間は就労定着者の割合が100分の30以上100分の40未満である場合とみなす。1年以上2年未満の間は「前年度」と読み替えて計算した割合によることができる)、注4の3(認定指定就労移行支援事業所等は3年間又は5年間) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  4. 厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項」第二 1(14)身体拘束廃止未実施減算(施設・居住系10%、その他1%。令和6年度改定で従来の1日5単位の減算から割合減算に変更) https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf ↩

  5. 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(p.4 処遇改善加算の加算率、p.8〜9 就労系の改定事項) https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001698008.pdf ↩ ↩2

  6. 厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版・分冊2)」15 就労移行支援サービスコード表 p.93〜(就移11=1,210単位、期間超1,150、地公体1,168 等) https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696434.pdf ↩

  7. 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p.29(就労移行支援:利用定員規模を見直し、定員10名以上からでも実施可能とする) https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf ↩

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