重度訪問介護には、緊急時と入院時に関わる加算が3つあります。**緊急時対応加算(100単位・回、月2回まで、地域生活支援拠点等は+50単位)**は計画にない訪問を要請から24時間以内に行った場合、**移動介護緊急時支援加算(240単位・日)**は従業者が運転する車両を駐停車して喀痰吸引・体位交換等を緊急に行った場合、**入院時支援連携加算(300単位・入院前1回)**は入院前に事業所職員が病院を訪問して入院時情報提供書で事前調整を行った場合の加算です1。入院時支援連携加算は令和6年度改定で新設されました2。
名前が似た「入院時支援特別加算」「緊急一時対応加算」は重度訪問介護の告示にはありません(入院時支援特別加算は施設入所支援・宿泊型自立訓練の加算です)。本記事では、重度訪問介護の3つの加算の要件・記録・Q&Aを整理し、入院中の重度訪問介護サービス費(90日・80%)との関係を確認します。基本報酬と通算時間は重度訪問介護の基本報酬と通算時間を参照してください。
全体像#
| 加算 | 単位数 | 場面 | 限度 |
|---|---|---|---|
| 緊急時対応加算 | 100単位・回(拠点等の届出事業所はさらに50単位) | 利用者・家族等の要請でサービス提供責任者が計画を変更し、計画的に訪問することになっていない重度訪問介護を緊急に行った場合 | 1月2回 |
| 移動介護緊急時支援加算 | 240単位・日 | 従業者が運転する車両に利用者を乗せて走行中、要請等に基づき駐停車して喀痰吸引・体位交換その他の必要な支援を緊急に行った場合 | 1日1回 |
| 入院時支援連携加算 | 300単位 | 入院前から利用していた利用者の入院に当たり、事業所職員が病院・診療所を訪問して情報提供と入院時の支援の調整を行った場合 | 入院前1回 |
サービスコードは緊急時対応加算12-6025(拠点等12-6026)、移動介護緊急時支援加算12-6725、入院時支援連携加算12-5037です3。
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緊急時対応加算(100単位+拠点等50単位)#
告示の要件#
利用者またはその家族等からの要請に基づき、事業所のサービス提供責任者が重度訪問介護計画の変更を行い、従業者が計画において計画的に訪問することとなっていない重度訪問介護を緊急に行った場合に、利用者1人につき1月2回を限度として1回100単位を加算します。告示551号の施設基準(運営規程で地域生活支援拠点等として位置付けられていることを定め、市町村・拠点関係機関との連携調整に従事する者を1人以上配置)に適合する届出事業所は、さらに1回50単位を加算します14。
留意事項通知の取扱い(居宅介護の規定を準用)#
重度訪問介護の緊急時対応加算は居宅介護の取扱い(第二の2(1)⑯)を準用します5。
- 「緊急に行った場合」とは、計画に位置付けられていない支援を、利用者・家族等から要請を受けてから24時間以内に行った場合です6。
- 1回の要請につき1回を限度に算定します6。
- 緊急時対応加算の対象となる支援には、所要時間の最低時間や前後のサービスとの間隔の規定(居宅介護の20分・2時間ルール)は適用されず、前後のサービスと合算せずそれぞれの所要時間で算定します6。重度訪問介護では1日分を通算する原則があるため、通算の扱いは市町村に確認してください。
- 基準省令第19条に基づき、要請のあった時間、要請の内容、提供時刻、緊急時対応加算の算定対象である旨等を記録します6。
- 拠点等の50単位は、市町村と事業所が事前協議し、事業所が届出等を提出した後に市町村から通知等で確認を受けて位置付けられます。連携担当者は平時から相談支援事業所等の拠点関係機関との情報連携に努め、協議会等に参画します6。
移動介護緊急時支援加算(240単位・日)#
重度訪問介護従業者が利用者を自らの運転する車両に乗車させて走行する場合で、外出時の移動中の介護の一環として、利用者からの要請等に基づき車両を駐停車して喀痰吸引、体位交換その他の必要な支援を緊急に行ったときに、利用者1人につき1日1回240単位を加算します1。
- 算定に当たっては道路運送法等他の法令に留意します7。
- 「その他の必要な支援」とは、常時介護を要する者の障害の特性に起因して生じうる緊急の支援で、例えば重度の知的障害・精神障害により行動上著しい困難を有する障害者に対する制御的対応などです7。
- 1日に複数の事業者が同一利用者に算定する場合は、事業者がそれぞれ算定します7。
移動介護加算(外出時の移動中の介護、100〜250単位)とは別の加算で、車両で移動中の緊急支援を評価するものです1。
入院時支援連携加算(300単位・入院前1回)#
告示の要件#
病院・診療所に入院する前から重度訪問介護を受けていた利用者が入院するに当たり、事業所の職員が当該病院・診療所を訪問し、利用者に係る必要な情報の提供と、病院等と事業所が連携して入院時の支援を行うために必要な調整を行った場合に、1回を限度として300単位を加算します1。
留意事項通知の取扱い#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時期 | 入院することが決まった後、入院する前までに行う「入院前の事前調整」を評価 |
| 入院時情報提供書 | 事前に、利用者の障害等の状況、入院中の支援における留意点、特別なコミュニケーション支援の必要性とその理由、重度訪問介護従業者による支援内容等を記載した入院時情報提供書を作成し、訪問時にこれにより事前調整を行う。計画相談支援事業所や複数の重度訪問介護事業所が共同作成、または一つの事業所が代表して作成することも可能。利用者・家族の同意の上で病院等に提供 |
| 事前調整の内容 | 障害の状態や介助方法(体位変換・食事・排泄等)、障害特性を踏まえた病室等の環境調整(ベッド等の配置)、入院中・退院後の生活の希望を情報提供し、従業者による支援の具体的内容と留意点を確認 |
| 複数事業所 | 入院前から複数の事業者から支援を受け、入院中も複数の事業者が支援する場合で、複数の事業所の職員が事前調整に参加したときは、参加した事業所ごとに算定 |
| 同席 | できる限り利用者や家族も同席できるよう配慮 |
入院時情報提供書の様式例は令和6年3月28日の厚生労働省障害福祉課長通知で示されています。重度訪問介護計画やアセスメントシートを添付することで様式の記載の一部を省略できます9。
入院中の重度訪問介護サービス費との関係#
入院時支援連携加算は入院前の調整を評価する加算で、入院中の支援そのものは重度訪問介護サービス費(告示ロ)で算定します。入院中の算定は、区分4以上で入院前から利用していた利用者に、意思疎通を図ることができる従業者が病院等と連携して支援した場合に利用開始日から90日以内、90日を超えて市町村が必要と認めた場合は所定単位数の80%です110。令和6年度改定で入院中の利用対象が区分6から区分4以上に拡大され、特別なコミュニケーション支援を必要とする区分4・5の利用者も対象になりました2。
計算例#
その他地域(1単位10.00円)で、地域生活支援拠点等に位置付けられ連携担当者を配置した事業所が、ある月に次の支援を行った場合1。
| 項目 | 単位数 |
|---|---|
| 緊急時対応加算(要請から24時間以内の計画外訪問・2回) | (100+50)×2回=300単位 |
| 移動介護緊急時支援加算(通院の送迎中に駐停車して喀痰吸引・1日) | 240単位 |
| 入院時支援連携加算(入院前に病院を訪問して事前調整・1回) | 300単位 |
| 加算合計 | 840単位(8,400円) |
基本報酬(通算した所要時間の区分)とは別に加算します。1級地(重度訪問介護の単価11.20円)なら9,408円です11。
よくある質問#
Q. 緊急時対応加算は月に何回算定できますか#
利用者1人につき1月2回までです。1回の要請につき1回を限度とします16。
Q. 要請の翌日に訪問しました。緊急時対応加算は取れますか#
要請を受けてから24時間以内に行った場合が「緊急に行った場合」です。24時間を超えると対象になりません6。
Q. 地域生活支援拠点等の50単位は何が必要ですか#
運営規程に市町村により地域生活支援拠点等として位置付けられていることを定め、市町村・拠点関係機関との連携調整に従事する者を1人以上配置して届け出ることです4。
Q. 入院時情報提供書は重度訪問介護計画で代替できますか#
様式例の記載の一部は、重度訪問介護計画やアセスメントシートを添付することで省略できます。入院中の支援における留意点や特別なコミュニケーション支援の必要性とその理由などは記載が必要です9。
Q. 2つの事業所が入院前の事前調整に参加しました。両方算定できますか#
入院前から複数の事業者から支援を受け、入院中も複数の事業者が支援する場合で、複数の事業所の職員が事前調整に参加したときは事業所ごとに算定できます8。
Q. 入院時支援連携加算を算定したら、入院中の重度訪問介護も自動的に算定できますか#
別の要件です。入院中の重度訪問介護サービス費は、区分4以上で入院前から利用していた利用者に意思疎通できる従業者が病院と連携して支援した場合に90日以内(超えると市町村が認めた場合に80%)で算定します110。
Q. 通院の車中で痰の吸引をしました。移動介護緊急時支援加算の対象ですか#
従業者が運転する車両を駐停車して緊急に喀痰吸引等を行った場合は対象で、1日1回240単位です。道路運送法等に留意してください17。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第2の1注11・注12(緊急時対応加算)、第2の2の2(移動介護緊急時支援加算)、第2の5の3(入院時支援連携加算)、第2の1注2の2(入院中の算定)1
- 告示551号 第二号(緊急時対応加算の拠点等の施設基準)4
- 留意事項通知 第二の2(2)⑩緊急時対応加算、⑫移動介護緊急時支援加算、⑯入院時支援連携加算(p.86〜90)578、第二の2(1)⑯緊急時対応加算(p.69〜71)6、第二の2(2)②入院中の算定(p.75〜77)10
- 令和6年度報酬改定の主な改定内容 p.2・p.202、令和6年度Q&A VOL.2 問199
- サービスコード表 分冊1 重度訪問介護 p.2053、単価告示11
Footnotes#
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第2 重度訪問介護 注2の2・注11・注12、2の2、5の3 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12
-
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の主な改定内容」p.2(入院中の重度訪問介護利用の対象 区分6⇒区分4以上)、p.20(入院時支援連携加算【新設】300単位) (https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf) ↩ ↩2 ↩3
-
厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版)」分冊1 重度訪問介護 p.205(12-6025・6026・6725・5037) (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696433.pdf) ↩ ↩2
-
厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める施設基準」(平成18年厚生労働省告示第551号)第二号 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8504&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3
-
厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の2(2)⑩緊急時対応加算の取扱い(p.86〜87:2の(1)の⑯を準用) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2
-
同通知 第二の2(1)⑯緊急時対応加算の取扱い(p.69〜71) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
-
同通知 第二の2(2)⑫移動介護緊急時支援加算の取扱い(p.87〜88) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
同通知 第二の2(2)⑯入院時支援連携加算の取扱い(p.89〜90) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3
-
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A VOL.2」問19(入院時情報提供書の様式例は令和6年3月28日障障発0328第2号通知で提示。計画等の添付で記載の一部省略可) (https://www.mhlw.go.jp/content/001250243.pdf) ↩ ↩2 ↩3
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同通知 第二の2(2)②のうち病院等に入院又は入所中の障害者に重度訪問介護を行った場合(p.75〜77) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準第一条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成18年厚生労働省告示第539号) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8493&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2
