共通A型就労移行支援

暫定支給決定とは|就労移行支援・A型の期間(2か月以内)と実務対応

公開: 2026年7月22日更新: 2026年7月22日

1. 暫定支給決定とは(結論)#

暫定支給決定とは、訓練等給付に係る障害福祉サービスについて、①利用者本人の当該事業の継続利用に関する最終的な意向確認、②当該事業の利用が適切かどうかの客観的な判断を行うための期間(暫定支給決定期間)を設定したうえで行う支給決定です1

法制上は特別な支給決定類型ではなく、主に「サービスが利用者に適しているかどうかをあらかじめ評価(アセスメント)するための期間」に係る通常の支給決定を指します1。就労移行支援や就労継続支援A型のように、一定期間の訓練を経て一般就労等を目指すサービスでは、契約前の書類だけでは適合性を判断しきれないため、実際に利用した結果を踏まえて正式な支給決定(本支給決定)に進む仕組みになっています2

なお、訓練等給付費の支給決定にあたっては障害支援区分の認定は行いません。ただし自立訓練については、認定調査項目に基づくスコアを算出し、待機期間とあわせてサービス利用の優先順位判断の参考として用いる場合がありますが、これは障害支援区分そのものではありません1

2. 対象となるサービス・対象とならないサービス#

暫定支給決定が必要かどうかはサービスの種類によって異なります。事業所ごとに確認しておくべき対象範囲は以下のとおりです。

サービス暫定支給決定補足
自立訓練(機能訓練・生活訓練・宿泊型自立訓練)原則対象基準該当・共生型の自立訓練は対象外3
就労移行支援原則対象養成施設の就労移行支援は選考制のため対象外3。雇用後の労働時間延長のための一時利用は対象外3
就労継続支援A型原則対象雇用契約を締結せずに利用する者も対象。雇用後の労働時間延長のための一時利用は対象外3
就労選択支援対象外原則1か月のアセスメント期間を前提とした事業のため3
就労継続支援B型対象外年齢・体力等の面で一般企業への雇用が困難で他事業への転換が困難な者を対象とするため3
就労定着支援対象外一般就労後6か月を経過した障害者が利用するサービスのため4
共同生活援助・自立生活援助対象外(訓練等給付のうち暫定支給決定の枠組みから除外)5

就労移行支援・就労継続支援A型のいずれも、「通常の事業所に雇用された後、労働時間の延長の際に必要な知識・能力向上のため、これまで利用していた事業所を引き続き一時的に利用する場合」は、暫定支給決定を要しません3。この一時利用のケースは対象サービス自体は同じでも手続きが異なる点に注意してください。

3. 暫定支給決定期間はどのくらいか#

暫定支給決定期間は、2か月以内の範囲で市町村が個別のケースに応じて設定します3。全国一律で「2か月」と固定されているわけではなく、市町村が個々の利用者の状況に応じて2か月を上限に定める運用です。

市町村が実際に行う手続きには、大きく分けて2つの方法があります6

  • 方法ア(暫定支給決定期間のみの支給決定を行う方法):市町村は2か月間を上限として暫定支給決定を行います。有効期間の満了日は、支給決定日の属する月の翌月末日(支給決定日が月の初日である場合はその月または翌月の末日)です6。本支給決定に進む場合の有効期間は、暫定支給決定期間を含めて最長1年間(就労継続支援A型の場合は3年間)です7
  • 方法イ(本支給決定期間を含む期間であらかじめ支給決定する方法):当初から暫定支給決定期間と本支給決定期間を含む通常の有効期間で支給決定を行い、事業者のアセスメント等の結果、改善効果が見込まれないと判断される場合は、暫定支給決定期間内に支給決定を取り消す方法です(取消しの根拠は障害者総合支援法第25条第1項第1号)7。この場合、支給決定期間は最長1年間(A型は3年間)とし、そのうち暫定支給決定期間は2か月以内で定めます(この場合の満了日は月途中でも差し支えありません)8。方法イでは、支給決定通知や受給者証の「訓練等給付費の支給決定内容」欄(四面予備欄)に、「支給決定期間のうち令和○年○月○日から令和○年○月○日までは暫定支給決定期間とする」旨を明記し、改善効果が見込まれない場合は取消しがあることをあらかじめ支給決定障害者(必要に応じ家族・関係者を含む)に十分説明しておく必要があります8

4. 暫定支給決定期間中に事業所が行うこと#

サービス提供事業者は、暫定支給決定を受けた利用者と利用契約を結んだときは、次の対応を行います9

  1. 利用者のアセスメントを実施する
  2. 暫定支給決定期間に係る適切な個別支援計画を作成する
  3. 作成した計画を、担当の指定特定相談支援事業者に共有する
  4. 共有した計画に基づき支援を実施する(利用者の障害特性・適性を踏まえた計画とするため、家族や関係機関と十分に連携する)

さらに、暫定支給決定期間内に実施したアセスメント内容、個別支援計画、当該計画に基づく支援実績、およびその評価結果をとりまとめ、市町村が定める日までに市町村および担当の指定特定相談支援事業者へ提出することが求められます10。この提出書類が、次のセクションで説明する本支給決定の可否判断の基礎資料になります。

図: 暫定支給決定を受け入れた事業所の実務フロー

5. 期間満了時の取り扱い(本支給決定への移行・取消し)#

暫定支給決定期間が経過し、利用者が引き続きサービスの継続を希望する場合、市町村は事業所から提出された書類や、担当の指定特定相談支援事業者によるモニタリング結果を踏まえ(必要に応じて聴き取りを行う)、サービスを継続することによる改善(維持を含む)効果が見込まれるか否かを判断します11

  • 改善効果が見込まれる場合:本来的な訓練に移行します。事業者は暫定支給決定期間中のアセスメント結果等に基づき、標準利用期間(暫定支給決定期間を含む)の範囲内で適切なサービス提供期間を設定した個別支援計画を作成し、利用者および担当の指定特定相談支援事業者へ交付します12。なお、サービスの種類と量が変わらない場合は、改めて指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出を求める必要はありません12
  • 改善効果が見込まれない場合:市町村、サービス提供事業者、担当の指定特定相談支援事業者および利用者(必要に応じて家族や関係機関等の参加を求める)による連絡調整会議を開催し、利用者にその旨を説明するとともに、今後のサービス利用について調整を行います11。方法イ(本支給決定期間を含む支給決定)を採っていた場合は、支給決定の有効期間が残っているためにサービス利用が継続されることのないよう、連絡調整会議を経て、暫定支給決定期間の満了日までの間に当該サービスの利用を終了させ、支給決定の取消しを行います13

期間満了後の取扱いについては、あらかじめ次の点を申請者に十分説明しておくことが市町村に求められています14

  • 利用者は、暫定支給決定期間経過後に、引き続き同一事業の暫定支給決定を受けることはできません14
  • 利用者は、暫定支給決定期間経過後に、暫定支給決定期間中に利用した事業所以外の事業所を利用することができます14
  • 市町村は、継続利用しないこととした利用者について、他の障害福祉サービス利用等に向け、指定特定相談支援事業者や暫定支給決定期間中に利用していた事業者と連携し、必要な調整を行います14

また、利用者が他の市町村に転居した場合で、転出元市町村において既に暫定支給決定期間中のアセスメントを経て支給決定がなされていたときは、転入先市町村での暫定支給決定は不要です15

6. アセスメントを省略できるケース#

暫定支給決定の対象サービスであっても、暫定支給決定期間中に行うアセスメントと同等と認められるアセスメントが既に行われていると市町村が認めるときは、暫定支給決定を行わなくても差し支えありません16。就労継続支援A型については、次のようなケースが該当するとされています17

  1. 現在A型を利用している障害者が他の市町村に転居する場合であって、転居前のA型事業所から転居後利用予定のA型事業所にアセスメント情報が引き継がれており、その内容から市町村が暫定支給決定不要と判断できる場合
  2. 就労移行支援を利用していたが一般企業に就職できなかった障害者がA型利用を希望する場合であって、当該就労移行支援事業所から利用予定のA型事業所にアセスメント情報が引き継がれており、市町村が暫定支給決定不要と判断できる場合
  3. 就労選択支援事業所等によるアセスメントにより就労面の課題等の把握が行われており、その内容から市町村が暫定支給決定不要と判断できる場合

ただし、暫定支給決定の要否を検討することなく一律に暫定支給決定を省略することは認められません。市町村が例外的な取扱いを行う場合は、地域の実情に応じて限定した運用とし、手続きの明確化・透明化を図ることとされ、管内市町村間で著しい差異が生じないよう都道府県が積極的に関与することが求められています18

なお、就労移行支援のうち養成施設(あらかじめ選考試験等により対象者が選考されるもの)については、暫定支給決定を要さず、選考によって利用が内定した対象者について、予定されている養成課程の期間(3年または5年)を支給決定の有効期間とする支給決定を行います3

7. 事業者視点の実務ポイント(受入れ・市町村とのやり取り)#

  • 契約前の説明:市町村は、暫定支給決定対象サービスの支給申請を受けた場合、申請者に対してあらかじめ暫定支給決定期間経過後の取扱い等を十分説明することとされていますが14、事業所としても契約時に暫定支給決定期間・評価の流れ・期間満了時に利用継続とならない可能性があることを利用者本人・家族に説明しておくと、期間満了時のトラブルを避けやすくなります。
  • 提出期限の管理:アセスメント内容・個別支援計画・支援実績・評価結果の提出期限は「市町村が定める日」であり、事業所ごと・利用者ごとに異なり得ます10。契約時に市町村へ提出期限を確認し、社内で管理することが実務上重要です。
  • 就労継続支援A型の求人票との整合:A型の利用にあたっては原則として暫定支給決定を行うため、暫定支給決定がある場合、公共職業安定所(ハローワーク)へ提出する求人票の記載内容は暫定支給決定期間中のものとなります。暫定支給決定後の雇用条件については、求人票の「求人に関する特記事項」欄に記載し、変更がない場合はその旨を同欄に記載します19。また、暫定支給決定期間中のアセスメント(またはそれと同等のアセスメント)の結果による解雇の可能性について、求人申込み時に公共職業安定所へ伝えるとともに、採用前に障害者本人にも伝えることとされています20
  • 求人票の年齢・定年制欄:就労継続支援A型事業は一定の要件を満たせば年齢を問わず利用可能なため、求人票の「定年制」欄は原則「なし」、「年齢」欄は原則「不問」と記載しますが、自治体による支給決定が必要である旨を「求人に関する特記事項」欄に記載することとされています21
  • 就労選択支援との関係:令和7年10月から開始された就労選択支援について、当面の間、A型利用にあたって就労選択支援の利用は必須ではありません。公共職業安定所は、A型利用を希望する障害者から相談があった場合、就労選択支援を利用せずに公共職業安定所の判断でA型の求人を紹介する場合があることに留意が必要です22

よくある質問#

Q. 暫定支給決定は必ず2か月間ですか?#

必ずしも2か月間ではありません。暫定支給決定期間は「2か月以内の範囲」で市町村が個別のケースに応じて設定するものであり、上限が2か月と定められています3

Q. 就労継続支援B型の利用者にも暫定支給決定は必要ですか?#

必要ありません。就労継続支援B型は、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難で、他事業への転換も困難な者を対象とするサービスであるため、暫定支給決定を行わないこととされています4

Q. 暫定支給決定期間が終わったのに市町村の判断が出ない場合、利用者はサービスを使えなくなりますか?#

市町村は、暫定支給決定期間が満了するまでに本支給決定(または取消し)の要否を決定することとされています68。事業所としては、アセスメント結果等の提出期限を早めに把握し、期限内に提出することが、判断の遅延を防ぐうえで重要です。

Q. 暫定支給決定期間中に利用したのと別の事業所に移りたい場合はどうなりますか?#

利用者は、暫定支給決定期間経過後に、暫定支給決定期間中に利用した事業所以外の事業所を利用することができます。ただし、同一事業について暫定支給決定期間経過後に引き続き同一事業の暫定支給決定を受けることはできません14

Q. 他の市町村から転居してきた利用者にも、改めて暫定支給決定が必要ですか?#

転出元市町村において既に暫定支給決定期間中のアセスメントを経て支給決定がなされていた場合は、転入先市町村での暫定支給決定は不要です15。また、転居前後で就労継続支援A型を継続利用する場合で、アセスメント情報が事業所間で十分に引き継がれているときは、市町村の判断により暫定支給決定によるアセスメントを省略できる場合があります17


Footnotes#

  1. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.82 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2 3

  2. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.82 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 、厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(障障発0331第2号・令和7年3月31日改正版)p.23 https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf

  3. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.83〜84 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10

  4. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.83 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2

  5. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.14、p.65 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf

  6. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.86 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2 3

  7. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.86 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2

  8. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.86〜87 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2 3

  9. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.84 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf

  10. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.85 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2

  11. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.85 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2

  12. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.85 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2

  13. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.87 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf

  14. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.87 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2 3 4 5 6

  15. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.250 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2

  16. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.84 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf

  17. 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について」(事務処理要領・令和8年7月版)p.84 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf 2

  18. 厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(留意事項通知・障障発0331第2号・令和7年3月31日改正版)p.9 https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf

  19. 厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(留意事項通知・障障発0331第2号・令和7年3月31日改正版)p.22 https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf

  20. 厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(留意事項通知・障障発0331第2号・令和7年3月31日改正版)p.23 https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf

  21. 厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(留意事項通知・障障発0331第2号・令和7年3月31日改正版)p.8 https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf

  22. 厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(留意事項通知・障障発0331第2号・令和7年3月31日改正版)p.9 https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf

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