医療連携体制加算は、医療機関等との連携により看護職員を事業所に訪問させて看護を行った場合、または看護職員が認定特定行為業務従事者に喀痰吸引等の指導を行った場合、認定特定行為業務従事者が喀痰吸引等を行った場合に算定する加算です。(Ⅰ)〜(Ⅲ)は看護時間(1時間未満32単位/1時間以上2時間未満63単位/2時間以上125単位)、(Ⅳ)は医療的ケアが必要な利用者への看護を人数別(1人800/2人500/3〜8人400単位)、(Ⅴ)は喀痰吸引等の指導(看護職員1人につき500単位)、(Ⅵ)は認定特定行為業務従事者による喀痰吸引等の実施(100単位)です1。
請求で間違いやすいのは、対象サービスが限られること(自立訓練(生活訓練)・就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援A型・B型・共同生活援助・短期入所・重度障害者等包括支援にあり、生活介護と自立訓練(機能訓練)にはない)、**(Ⅴ)は「指導」で(Ⅵ)は「実施」**という区分の意味、短期入所は(Ⅰ)〜(Ⅸ)の別体系で(Ⅳ)〜(Ⅵ)の単位数も違うこと、グループホームには健康管理体制を評価する(Ⅶ)39単位があることです12。本記事では告示523と留意事項通知に沿って整理します。
全体像(通所系・共同生活援助の6区分)#
| 区分 | 単位数(1日) | 内容 |
|---|---|---|
| (Ⅰ) | 32 | 看護職員の訪問による1時間未満の看護(1回の訪問につき8人まで) |
| (Ⅱ) | 63 | 1時間以上2時間未満の看護(同上) |
| (Ⅲ) | 125 | 2時間以上の看護(同上) |
| (Ⅳ) | 1人800/2人500/3〜8人400 | 厚生労働大臣が定める者(医療的ケアが必要な利用者)への看護。看護を受けた利用者の人数に応じて算定。(Ⅰ)〜(Ⅲ)を算定している利用者には算定しない |
| (Ⅴ) | 500 | 看護職員が認定特定行為業務従事者に喀痰吸引等に係る指導を行った場合。看護職員1人につき |
| (Ⅵ) | 100 | 認定特定行為業務従事者が喀痰吸引等を行った場合。(Ⅰ)〜(Ⅳ)を算定している利用者には算定しない |
対象サービスは、自立訓練(生活訓練)(第11の4の2)、就労選択支援(第11の2の8)、就労移行支援(第12の11)、就労継続支援A型(第13の10)、B型(第14の10)、共同生活援助(第15の7)です。生活介護・自立訓練(機能訓練)・施設入所支援には医療連携体制加算の規定がありません(生活介護は常勤看護職員等配置加算で看護体制を評価します)1。
(Ⅳ)の対象者(厚生労働大臣が定める者)#
(Ⅳ)の「別に厚生労働大臣が定める者」は、スコア表の項目の欄に掲げるいずれかの医療行為を必要とする状態である者、または医師意見書により医療が必要であるとされる者です。スコア表の項目はレスピレーター管理、気管内挿管・気管切開、頻回の吸引、経管栄養、IVH、透析、定期導尿、人工肛門などです3。
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短期入所は(Ⅰ)〜(Ⅸ)の別体系#
| 区分 | 単位数(1日) | 内容 |
|---|---|---|
| (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) | 32/63/125 | 看護時間(1時間未満/1〜2時間未満/2時間以上)。8人まで |
| (Ⅳ) | 1人960/2人600/3〜8人480 | 医療的ケアが必要な利用者への4時間未満の看護 |
| (Ⅴ) | 1人1,600/2人960/3〜8人800 | 同じく4時間以上の看護 |
| (Ⅵ) | 1人2,000/2人1,500/3人1,000 | 医療的ケアスコア16点以上の利用者への8時間以上の看護(3人まで) |
| (Ⅶ) | 500 | 看護職員による認定特定行為業務従事者への喀痰吸引等の指導(看護職員1人につき) |
| (Ⅷ) | 100 | 認定特定行為業務従事者による喀痰吸引等の実施 |
| (Ⅸ) | 39 | 施設基準に適合して届け出た事業所(共同生活援助の(Ⅶ)と同趣旨の体制評価) |
福祉型強化短期入所サービス費・医療型短期入所サービス費等の算定対象となる利用者には算定しません1。重度障害者等包括支援が短期入所を提供する場合も同じ区分(Ⅰ)〜(Ⅷ)、共同生活援助を提供する場合は(Ⅰ)〜(Ⅵ)です1。
共同生活援助の(Ⅶ)39単位(健康管理体制の評価)#
共同生活援助には(Ⅰ)〜(Ⅵ)に加えて**(Ⅶ)39単位があり、施設基準に適合して届け出た事業所が1日につき算定します。施設基準は、①事業所の職員として、または病院・診療所・訪問看護ステーション等との連携により看護師を1名以上確保**、②看護師により24時間連絡できる体制、③重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に入居者・家族等に説明して同意を得ていること、です4。留意事項通知は、利用者の状態の判断や従業者への医療面の指導を行うため看護師の配置を要し、准看護師では認められないこと、同一法人の他施設の看護師を併任で配置できること、業務は日常的な健康管理と医療機関(主治医)との連絡・調整で、看護師1人につき算定可能な利用者数は20人を上限とすることを示しています5。看護職員配置加算または医療的ケア対応支援加算を算定している利用者には(Ⅶ)を算定しません。(Ⅰ)〜(Ⅵ)の除外は区分ごとに異なります(後述の「併算定の整理」を参照)1。
算定要件(留意事項通知)#
留意事項通知は短期入所の項で次のとおり定め、共同生活援助・就労系等はこれを準用します25。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 委託契約 | あらかじめ医療連携体制加算に係る業務について医療機関等と委託契約を締結し、看護の提供または喀痰吸引等の指導に必要な費用を医療機関に支払う |
| 主治医の指示 | 利用者の主治医から看護の提供等に関する指示を受ける。指示は利用者ごとに受け、内容を書面で残す。主治医と十分に情報共有できる場合は主治医以外の医師の指示でも可 |
| 計画への記載・報告 | 主治医の指示で受けた具体的な看護内容等を個別支援計画等に記載し、主治医に定期的に看護の提供状況等を報告 |
| 看護職員の派遣 | 同一法人内の他の施設に勤務する看護職員を活用する場合も可能。他の事業所の配置基準を遵守したうえで医師の指示を受けて提供 |
| 費用負担 | 看護や指導に必要な衛生材料・医薬品等の費用は事業所が負担。医薬品等が医療保険の算定対象となる場合は適正な診療報酬を請求 |
| 看護職員1人当たりの人数 | (Ⅰ)〜(Ⅲ)を算定する利用者全体で8人、(Ⅳ)(短期入所は(Ⅳ)(Ⅴ))を算定する利用者全体で8人を限度。それぞれ8人まで算定可。短期入所(Ⅵ)は(Ⅴ)(Ⅵ)合算で3人 |
| 看護の提供時間 | 看護職員の訪問時間を看護の提供時間として扱い、連続している必要はなく1日の訪問時間を合算 |
併算定の整理#
| 組み合わせ | 可否 |
|---|---|
| 同一利用者に(Ⅰ)〜(Ⅲ)と(Ⅳ) | 不可((Ⅰ)〜(Ⅲ)を算定している利用者に(Ⅳ)は算定しない) |
| 同一利用者に(Ⅰ)〜(Ⅳ)と(Ⅵ) | 不可((Ⅵ)は(Ⅰ)〜(Ⅳ)を算定している利用者には算定しない) |
| (Ⅴ)と他の区分 | (Ⅴ)は利用者ではなく指導を行った看護職員1人につき算定するため、看護を受けた利用者の(Ⅰ)〜(Ⅳ)とは別に成立する |
| 共同生活援助で看護職員配置加算または医療的ケア対応支援加算を算定する利用者 | (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅶ)は不可。(Ⅴ)も、いずれかを算定している場合は不可 |
| 共同生活援助で医療的ケア対応支援加算を算定する利用者 | (Ⅵ)も不可 |
| 共同生活援助で看護職員配置加算のみを算定する利用者 | (Ⅵ)は除外の対象に挙がっていない(告示の注は(Ⅵ)について、医療的ケア対応支援加算と(Ⅰ)〜(Ⅳ)を挙げ、看護職員配置加算を挙げていない) |
共同生活援助の除外を区分ごとに整理すると、次のとおりです。
| 区分 | 算定しない場合(告示第15の7の注) |
|---|---|
| (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) | 看護職員配置加算または医療的ケア対応支援加算を算定している利用者 |
| (Ⅳ) | 看護職員配置加算、医療的ケア対応支援加算、または(Ⅰ)〜(Ⅲ)のいずれかを算定している利用者 |
| (Ⅴ) | 看護職員配置加算または医療的ケア対応支援加算を算定している場合 |
| (Ⅵ) | 医療的ケア対応支援加算、または(Ⅰ)〜(Ⅳ)のいずれかを算定している利用者 |
| (Ⅶ) | 看護職員配置加算または医療的ケア対応支援加算を算定している利用者 |
計算例#
就労継続支援B型(その他地域・1単位10.00円)が訪問看護ステーションと委託契約し、看護師が週1回訪問して利用者6人に各1時間30分の看護を行い、うち1人は経管栄養が必要な利用者(スコア表の医療行為を必要とする状態)である場合13。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 5人への1時間以上2時間未満の看護 | (Ⅱ)63単位×5人=315単位 |
| 医療的ケアが必要な1人への看護 | (Ⅳ)看護を受けた利用者が1人=800単位(この利用者には(Ⅱ)を算定しない) |
| 1回の訪問の合計 | 1,115単位(11,150円)。月4回なら4,460単位(44,600円) |
よくある質問#
Q. 看護職員を常勤で雇用しています。どの区分を算定しますか#
医療連携体制加算は「医療機関等との連携により看護職員を事業所に訪問させ」て看護を行った場合の加算で、留意事項通知も医療機関等との委託契約と主治医の指示を前提にしています。常勤の看護職員の配置を評価するのは、生活介護の常勤看護職員等配置加算、共同生活援助の看護職員配置加算などの別の加算です12。
Q. (Ⅴ)と(Ⅵ)の違いは#
(Ⅴ)は看護職員が認定特定行為業務従事者(喀痰吸引等の研修を修了し認定を受けた介護職員等)に喀痰吸引等の指導をした場合に看護職員1人につき500単位、(Ⅵ)は認定特定行為業務従事者が利用者に喀痰吸引等を実施した場合に100単位です1。
Q. 生活介護で算定できますか#
できません。告示第6(生活介護)に医療連携体制加算の規定はなく、看護体制は常勤看護職員等配置加算で評価されます。自立訓練(機能訓練)にもありません1。
Q. 准看護師の訪問でも算定できますか#
(Ⅰ)〜(Ⅵ)は「看護職員」による看護で、准看護師を含みます。ただし共同生活援助の(Ⅶ)は看護師の配置を要し、准看護師では認められません5。
Q. 1回の訪問で10人に看護しました#
(Ⅰ)〜(Ⅲ)は1回の訪問につき8人が限度です。(Ⅳ)も別枠で8人までです12。
Q. 看護内容は何に書きますか#
主治医の指示で受けた具体的な看護内容等を個別支援計画等に記載し、主治医に定期的に提供状況を報告します。指示は利用者ごとに受けて書面で残します2。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第7の5(短期入所)、第8の2の4(重度障害者等包括支援)、第11の4の2(自立訓練(生活訓練))、第11の2の8(就労選択支援)、第12の11(就労移行支援)、第13の10(就労継続支援A型)、第14の10(就労継続支援B型)、第15の7(共同生活援助)1
- 留意事項通知(令和6年度)第二の2(7)⑯ 医療連携体制加算の取扱い(p.160〜163)と各サービスの準用規定、3(8)㉙(共同生活援助 p.375〜376)25
- 厚生労働大臣が定める者(平成18年厚生労働省告示第556号)五の九・五の十、別表第一(スコア表)3
- 厚生労働大臣が定める施設基準(平成18年厚生労働省告示第551号)共同生活援助の医療連携体制加算(Ⅶ)4
Footnotes#
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第7の5、第8の2の4、第11の4の2、第11の2の8、第12の11、第13の10、第14の10、第15の7(医療連携体制加算) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15
-
厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の2(7)⑯ 医療連携体制加算の取扱い(一)〜(四)(p.160〜163:委託契約、主治医の指示、計画記載と報告、同一法人の看護職員、衛生材料費、8人・3人の限度、訪問時間の合算) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
厚生労働省「厚生労働大臣が定める者」(平成18年厚生労働省告示第556号)五の九(スコア表の医療行為を必要とする状態又は医師意見書により医療が必要であるとされる者)、五の十(スコア16点以上)、別表第一 判定スコア (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8509&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準」(平成18年厚生労働省告示第551号)共同生活援助の医療連携体制加算(Ⅶ)の施設基準(看護師1名以上の確保、24時間連絡体制、重度化した場合の対応に係る指針) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8504&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2
-
同留意事項通知 第二の3(8)㉙ 医療連携体制加算の取扱い(p.375〜376:(Ⅰ)〜(Ⅵ)は2(7)⑯を準用、(Ⅶ)は看護師配置を要し准看護師不可、同一法人の併任可、日常的な健康管理と主治医との連絡調整、看護師1人につき20人上限、指針の項目) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
