目標工賃達成加算とは — 制度の基本ルール#
目標工賃達成加算は、令和6年度報酬改定で新設された加算です。就労継続支援B型事業所が自ら策定した工賃向上計画に掲げた工賃目標を達成した場合に算定できます1。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算単位数 | 10単位/日 |
| 対象サービス費 | B型サービス費(Ⅰ)およびB型サービス費(Ⅳ)を算定する事業所 |
| 報酬体系 | 「平均工賃月額」に応じた報酬体系のみ(「参加等評価」方式は対象外) |
| 施行時期 | 令和6年4月(2024年4月) |
目標工賃達成加算は、工賃向上への積極的な取り組みを報酬面で評価する仕組みです。従来からある「目標工賃達成指導員配置加算」とは別の加算ですが、指導員配置加算の算定が前提条件となります2。
算定要件チェックリスト#
目標工賃達成加算を算定するには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります13。
- 要件1: B型サービス費(Ⅰ)またはB型サービス費(Ⅳ)を算定していること
- 要件2: 目標工賃達成指導員配置加算を算定していること
- 要件3: 都道府県の工賃向上計画に基づき、事業所独自の工賃向上計画を作成していること
- 要件4: 工賃向上計画に掲げた工賃目標を達成していること(かつ、目標額が一定の基準を満たすこと)
対象となるサービス費区分の整理#
| サービス費区分 | 報酬体系 | 人員配置 | 目標工賃達成加算 |
|---|---|---|---|
| B型サービス費(Ⅰ) | 平均工賃月額 | 6:1 | 対象 |
| B型サービス費(Ⅱ) | 平均工賃月額 | 7.5:1 | 対象外 |
| B型サービス費(Ⅲ) | 平均工賃月額 | 10:1 | 対象外 |
| B型サービス費(Ⅳ) | 平均工賃月額(旧 参加等方式からの移行) | 6:1 | 対象 |
| B型サービス費(Ⅴ) | 参加等評価 | 7.5:1 / 6:1 | 対象外 |
B型サービス費(Ⅱ)・(Ⅲ)は人員配置が7.5:1・10:1で目標工賃達成指導員配置加算の対象外のため、目標工賃達成加算も算定できません1。
工賃目標の設定基準と計算方法#
目標工賃達成加算は、単に「自分で決めた目標を達成すれば算定できる」わけではありません。工賃目標額そのものに最低ラインの基準が設けられています1。
工賃目標の最低ライン#
工賃目標は、以下の計算式で求めた額以上である必要があります。
工賃目標の最低ライン = 前年度の自事業所の平均工賃月額 +(前々年度の全国平均工賃月額 − 前々々年度の全国平均工賃月額)
ただし、計算結果が前年度の自事業所の平均工賃月額を下回る場合は、前年度の平均工賃月額が最低ラインとなります1。
具体例#
令和5年度の平均工賃月額が13,000円の事業所の場合(令和4年度と令和3年度のB型全国平均工賃月額の差額が524円のとき)1:
| ケース | 工賃目標 | 実績 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ケース1 | 15,000円 | 15,500円 | 加算 |
| ケース2 | 12,000円 | 14,000円 | 不可(目標が最低ライン13,524円未満) |
- ケース1: 工賃目標15,000円 ≧ 最低ライン13,524円(13,000+524)→ 目標基準OK。実績15,500円 ≧ 目標15,000円 → 加算対象
- ケース2: 工賃目標12,000円 < 最低ライン13,524円 → 目標基準を満たさないため加算対象外(実績が目標を上回っていても不可)
この仕組みにより、意図的に低い目標を設定して加算を得ることはできません。全国のB型事業所全体の工賃向上トレンドに連動した目標設定が求められます。
工賃向上計画の策定と届出#
工賃向上計画とは#
工賃向上計画は、「工賃向上計画を推進するための基本的な指針」(平成24年4月11日付 障発0411第4号)に基づき、各事業所が策定する3か年計画です4。
策定と届出の流れ#
- 都道府県の工賃向上計画を確認する
- 都道府県計画に基づき、事業所独自の工賃向上計画を策定する(3か年)
- 工賃向上計画を都道府県に提出する(指定都市・中核市の場合は当該市に提出)
- 毎年度4月にB型サービス費の区分に係る届出と合わせて報告する4
工賃向上計画に含めるべき内容#
- 目標工賃額(平均工賃月額)
- 目標達成のための具体的な取り組み(生産活動収入の向上策、経費削減策等)
- 進捗管理の方法
計画期間中の目標修正#
工賃目標の設定にあたり、目標工賃達成加算の要件を満たすために計画期間の途中で工賃向上計画を修正することも可能です5。ただし、修正後の計画についても都道府県への提出が必要です。
目標工賃達成指導員配置加算との関係#
目標工賃達成加算は、目標工賃達成指導員配置加算を算定していることが前提条件です2。両加算の関係は以下のとおりです。
| 加算名 | 単位数 | 要件の概要 |
|---|---|---|
| 目標工賃達成指導員配置加算 | 定員規模別 | 指導員を常勤換算方法で1人以上配置4 |
| 目標工賃達成加算 | 10単位/日 | 指導員配置加算を算定+工賃目標を達成 |
目標工賃達成指導員配置加算の詳細な算定要件・単位数テーブルについては、関連記事「目標工賃達成指導員配置加算の算定要件と実務」をご参照ください。
目標工賃達成指導員の役割#
目標工賃達成指導員は、工賃目標の達成に向けて以下のような取り組みを行います4。
- 障害者就労施設等からの物品・役務等の受注促進(障害者優先調達推進法に基づく)
- 農福連携等の取り組みを通じた新たな生産活動領域の開拓
- ICT機器等の導入による利用者の生産能力向上
- 地域と連携した販路拡大・商品開発
よくある質問#
Q. 目標工賃額は工賃向上計画の3か年目標を指しますか?#
はい。 事業所において3か年ごとに作成する工賃向上計画において定めた目標工賃額が対象です。ただし、目標工賃達成加算の要件を満たすためには、前述の最低ラインの基準を満たす目標額の設定が必要です5。
Q. 目標工賃達成指導員配置加算を算定していない事業所でも算定できますか?#
算定できません。 目標工賃達成加算を算定するには、目標工賃達成指導員配置加算を算定していることが要件です2。
Q. B型サービス費(Ⅴ)(参加等評価方式)の事業所は対象になりますか?#
対象外です。 目標工賃達成加算は、B型サービス費(Ⅰ)およびB型サービス費(Ⅳ)を算定する事業所のみが対象です。参加等評価方式の事業所は、工賃月額に基づく評価体系ではないため対象となりません1。
Q. 平均工賃月額の算定で小数点はどう扱いますか?#
開所日1日あたりの平均利用者数は小数点第1位までを算出し、小数点第2位以降は切り上げとします(例: 14.679人 → 14.7人)。平均工賃月額の小数点は円未満を四捨五入します5。