集中的支援加算とは#
集中的支援加算は、令和6年度報酬改定で新設された加算です。強度行動障害を有する利用者に対して、専門性を有する職員が短期的かつ集中的に支援を提供した場合に算定できます1。
この加算は、行動障害の改善や環境調整を目的としており、外部の専門人材によるアセスメント・助言(加算(Ⅰ))と、専門性を有する他の事業所での集中的な支援の受入れ(加算(Ⅱ))の2つの区分が設けられています。強度行動障害を有する方の地域生活を支えるための支援体制を強化する仕組みとして位置づけられています。
加算区分と単位数#
| 加算区分 | 単位数 | 内容 |
|---|---|---|
| 集中的支援加算(Ⅰ) | 1,000単位/月 | 外部の専門人材によるアセスメント・環境調整 |
| 集中的支援加算(Ⅱ) | 500単位/日 | 他事業所からの受入れによる集中的支援(3月以内) |
対象サービス#
| 加算区分 | 対象サービス |
|---|---|
| 加算(Ⅰ) | 生活介護、障害者支援施設、共同生活援助、短期入所 等 |
| 加算(Ⅱ) | 短期入所、障害者支援施設、共同生活援助 等 |
就労系サービス(就労継続支援A型・B型、就労移行支援)は対象外です。主に居住系・日中活動系サービスが対象となります。
算定要件#
加算(Ⅰ)の要件#
以下の全てを満たす必要があります。
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)修了者を直接処遇職員の20%以上配置していること
- 障害支援区分6かつ行動関連項目が10点以上の利用者に対して支援を行っていること
- 行動障害に専門性を有する者(外部の専門人材を含む)によるアセスメントや環境調整を行うこと
加算(Ⅱ)の要件#
以下の全てを満たす必要があります。
- 集中的な支援が必要な利用者を他の事業所から受け入れて支援を行うこと
- 3月以内の期間について算定が可能です
- 受入れ先の事業所に行動障害に関する専門性を有する職員が配置されていること
強度行動障害とは#
強度行動障害とは、自傷行為、他害行為、こだわり、パニック等の行動上の問題が著しく頻繁に生じ、日常生活に著しい困難が生じている状態を指します1。
障害支援区分の認定調査における行動関連項目(12項目)の合計点が10点以上の場合に、強度行動障害を有すると判定されます。
行動関連項目の12項目#
行動関連項目は以下の12項目で構成されており、各項目は0点・1点・2点の3段階で評価されます。
| 項目番号 | 項目名 | 評価の内容 |
|---|---|---|
| 1 | コミュニケーション | 意思の伝達や理解に関する困難の程度 |
| 2 | 説明の理解 | 日常的な説明の理解度 |
| 3 | 大声・奇声を出す | 場面に関係なく大声や奇声を出す頻度 |
| 4 | 異食行動 | 食べられないものを口に入れる行動の有無 |
| 5 | 多動・行動停止 | 目的なく動き回る、または動きが止まる状態 |
| 6 | 不安定な行動 | 泣く、笑う等の感情が不安定になる状態 |
| 7 | 自らを傷つける行為 | 頭を打ちつける、手を噛む等の自傷行為 |
| 8 | 他人を傷つける行為 | 他者を叩く、噛む、引っかく等の他害行為 |
| 9 | 不適切な行為 | 公共の場でのルールから逸脱する行為 |
| 10 | 突発的な行動 | 突然走り出す、飛び出す等の予測困難な行動 |
| 11 | 過食・反すう等 | 過食、反すう、嘔吐等の食行動の異常 |
| 12 | てんかん | てんかん発作の頻度と重症度 |
各項目の合計点が10点以上となる場合に、集中的支援加算の対象として認定されます。
外部専門人材の具体的な活用方法#
加算(Ⅰ)の算定にあたっては、外部の専門人材の活用が必要です。具体的な専門人材と活用方法は以下のとおりです。
外部専門人材に該当する者#
- 発達障害者支援センターの職員
- 行動援護事業者のサービス提供責任者
- **強度行動障害支援者養成研修(実践研修)**の修了者で、十分な実務経験を有する者
- 大学等の研究機関で行動障害に関する研究に従事する者
活用の流れ#
外部専門人材の活用は、以下の3ステップで進めます。
- 依頼・契約: 事業所から外部専門人材に支援の依頼を行い、支援の目的・期間・方法について事前に合意します
- 現場訪問・アセスメント: 外部専門人材が事業所を訪問し、対象利用者の行動観察やアセスメントを実施します。事業所職員への助言・指導も行います
- 報告書の作成・共有: アセスメント結果と環境調整の提案を報告書にまとめ、事業所の職員と共有します。この報告書に基づいて支援計画を修正します
アセスメントの実施内容#
外部専門人材によるアセスメントでは、以下の3段階で利用者の状態を評価し、支援方針を策定します。
行動の記録・分析#
利用者の行動を時間帯・場面ごとに記録し、行動の頻度・強度・持続時間を分析します。特に、行動が生じる**きっかけ(先行事象)と行動後の結果(後続事象)**を整理することで、行動の機能を把握します。
環境要因の評価#
行動障害の背景にある環境要因を評価します。具体的には、物理的環境(音・光・温度・空間の広さ等)、人的環境(職員の対応方法・利用者間の関係等)、活動内容(作業の難易度・活動の見通し等)について、行動との関連を分析します。
支援方針の策定#
記録・分析の結果に基づき、行動障害の予防と対応に関する具体的な支援方針を策定します。支援方針は事業所の職員全員が統一的に実施できるよう、具体的な手順として整理します。
環境調整の具体例#
アセスメントの結果に基づき、以下のような環境調整を実施します。
物理的環境の調整#
- 空間の構造化: 活動場所と休憩場所を明確に区分し、視覚的な仕切りを設置します
- 感覚刺激の調整: 照明の明るさや音量を調整し、過度な刺激を軽減します。必要に応じて個別の静穏スペースを確保します
- 動線の整理: 利用者が安全に移動できるよう、通路の幅や障害物の配置を見直します
時間的環境の調整#
- スケジュールの視覚化: 1日の流れを写真カードや絵カードで提示し、見通しを持てるようにします
- 活動の区切り: 活動時間を短く区切り、休憩を適切に挟むことで、集中力の維持と疲労の蓄積を防ぎます
- 移行の支援: 活動の切り替え時に予告を行い、急な変更を避けます
人的環境の調整#
- 対応の統一: 職員間で対応方法を統一し、利用者に一貫した関わりを提供します
- 職員配置の工夫: 特定の職員との相性や、少人数での対応が必要な場面に応じて配置を調整します
- コミュニケーション方法の工夫: 利用者の理解度に合わせた伝達手段(視覚的な手がかり、短い言葉かけ等)を活用します
受入れ事業所と元の事業所の連携方法#
加算(Ⅱ)では、元の事業所と受入れ事業所の間で緊密な連携が必要です。以下の3段階で連携を進めます。
受入れ前の連携#
- 元の事業所から受入れ事業所に対して、利用者のアセスメント情報、行動障害の特性、現在の支援方法を詳しく共有します
- 受入れ期間中の支援目標を両事業所で協議し、合意します
- 緊急時の対応方針と連絡体制を確認します
受入れ中の連携#
- 定期的(少なくとも月1回)に両事業所の担当者が支援状況を共有する場を設けます
- 支援の経過や利用者の変化を記録し、元の事業所にも共有します
- 支援方針の修正が必要な場合は、両事業所で協議のうえ対応します
受入れ後の連携#
- 集中的支援の成果と今後の支援方針を報告書としてまとめます
- 元の事業所に対して、受入れ期間中に効果があった支援方法や環境調整の内容を引き継ぎます
- 元の事業所での支援に移行した後も、一定期間はフォローアップの連絡を行います
よくある質問#
Q. 就労系サービスでも算定できますか?#
就労系サービス(就労継続支援A型・B型、就労移行支援)は対象外です。主に生活介護、障害者支援施設、共同生活援助、短期入所などの居住系・日中活動系サービスが対象となります。
Q. 外部の専門人材とは具体的に誰ですか?#
発達障害者支援センターの職員、行動援護事業者のサービス提供責任者等が該当します。行動障害に関する専門的な研修(強度行動障害支援者養成研修の実践研修等)を修了し、十分な実務経験を有する者が対象です。
Q. 加算(Ⅱ)の3月の期間は延長できますか?#
原則として3月以内が算定期間です。ただし、集中的支援の効果を踏まえ、引き続き支援が必要と認められる場合は、市区町村等の支給決定の範囲内で対応を検討します。
Q. 外部専門人材への報酬は事業所が負担しますか?#
外部専門人材への報酬・謝金は、加算の算定とは別に事業所が負担します。加算の単位数は事業所の収入となりますが、そこから外部専門人材への費用を賄う形になります。
Q. 加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できますか?#
加算(Ⅰ)は元の事業所が算定し、加算(Ⅱ)は受入れ事業所が算定するため、異なる事業所間での併算定が可能です。同一の事業所が同一の利用者に対して両方を同時に算定することはできません。