就労移行支援体制加算とは#
就労移行支援体制加算は、就労継続支援A型・B型、生活介護、自立訓練の事業所が、利用者を一般企業への就労に移行させ、6か月以上の雇用継続を実現した場合に算定できる加算です1。
一般就労への定着支援に取り組む事業所を評価する仕組みであり、前年度の「就労定着者」の人数に応じて単位数が決まります。
令和8年4月より適正化措置が施行されています。 年間算定人数の上限設定と、過去3年間の算定実績による制限が新たに追加されました2。
算定要件と「就労定着者」の定義#
就労定着者とは#
就労移行支援体制加算の算定にあたり、「就労定着者」は以下のように定義されています1。
- 事業所を経て企業等に就労した者(企業等との雇用契約に基づく就労。労働時間等の条件は問わない)
- 就労後、雇用を継続している期間が6か月に達した者
- 前年度において6か月に達した者を対象とする
算定の対象サービス#
| サービス種別 | 対象 |
|---|---|
| 就労継続支援A型 | ○ |
| 就労継続支援B型 | ○ |
| 生活介護 | ○ |
| 自立訓練(機能訓練・生活訓練) | ○ |
6か月の起算方法#
「6月に達した者」とは、前年度において企業等での雇用継続期間が6か月に達した者です。具体的には、令和5年12月に就労した利用者の場合、令和6年6月30日に6か月に達した者となります3。
なお、労働時間の延長または休職からの復職の際に就労に必要な知識・能力の向上のための支援を一時的に必要とする者が事業所を利用した場合は、当該サービスを受けた後から6か月の期間で算定します3。
就労定着者から除外される場合#
過去3年間において、当該事業所等において既に就労移行支援体制加算が算定された者については、都道府県知事又は市町村長が適当と認める者に限り、就労定着者として取り扱うことができます3。
加算単位数#
就労移行支援体制加算の単位数は、1日につき就労定着者1人あたりの加算単位 × 前年度の就労定着者数で算定します1。
就労継続支援A型#
A型は評価点(スコア)・人員配置区分・定員規模の3要素で単位数が決まります。
就労移行支援体制加算(Ⅰ)(従業者配置7.5:1)#
| 定員 | 170点以上 | 150〜170点 | 130〜150点 | 105〜130点 | 80〜105点 | 60〜80点 | 60点未満 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 20人以下 | 93単位 | 87単位 | 80単位 | 73単位 | 65単位 | 57単位 | 50単位 |
| 21〜40人 | 49単位 | 45単位 | 41単位 | 37単位 | 32単位 | 27単位 | 23単位 |
| 41〜60人 | 35単位 | 32単位 | 28単位 | 25単位 | 21単位 | 17単位 | 14単位 |
| 61〜80人 | 27単位 | 25単位 | 21単位 | 19単位 | 16単位 | 13単位 | 10単位 |
| 81人以上 | 22単位 | 20単位 | 17単位 | 16単位 | 13単位 | — | — |
就労移行支援体制加算(Ⅱ)(従業者配置10:1)#
| 定員 | 170点以上 | 150〜170点 | 130〜150点 | 105〜130点 | 80〜105点 | 60〜80点 | 60点未満 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 20人以下 | 90単位 | 84単位 | 77単位 | 70単位 | 62単位 | 54単位 | 47単位 |
| 21〜40人 | 48単位 | 44単位 | 40単位 | 36単位 | 31単位 | 26単位 | 22単位 |
| 41〜60人 | 34単位 | 31単位 | 27単位 | 24単位 | 20単位 | 16単位 | 13単位 |
| 61〜80人 | 27単位 | 25単位 | 21単位 | 19単位 | 16単位 | 13単位 | 10単位 |
| 81人以上 | 21単位 | 19単位 | 16単位 | 15単位 | 12単位 | 10単位 | 7単位 |
※ 上記は1日あたりの就労定着者1人分の加算単位数です4。
就労継続支援B型#
B型は人員配置区分と平均工賃月額に応じた単位数が設定されています5。A型と異なり、評価点ではなく平均工賃月額で区分されます。
就労移行支援体制加算(Ⅰ)(従業者配置6:1 / 7.5:1)#
| 平均工賃月額 | 1日あたりの単位数(就労定着者1人分) |
|---|---|
| 4万5千円以上 | 93単位 |
| 3万5千円以上4万5千円未満 | 84単位 |
| 3万円以上3万5千円未満 | 77単位 |
| 2万5千円以上3万円未満 | 70単位 |
| 2万円以上2万5千円未満 | 62単位 |
| 1万5千円以上2万円未満 | 54単位 |
| 1万円以上1万5千円未満 | 47単位 |
| 1万円未満 | 39単位 |
就労移行支援体制加算(Ⅱ)(従業者配置10:1)#
| 平均工賃月額 | 1日あたりの単位数(就労定着者1人分) |
|---|---|
| 4万5千円以上 | 34単位 |
| 3万5千円以上4万5千円未満 | 30単位 |
| 3万円以上3万5千円未満 | 27単位 |
| 2万5千円以上3万円未満 | 23単位 |
| 2万円以上2万5千円未満 | 20単位 |
| 1万5千円以上2万円未満 | 18単位 |
| 1万円以上1万5千円未満 | 15単位 |
| 1万円未満 | 12単位 |
※ 上記は定員20人以下の場合です。定員規模が大きくなるにつれ単位数は低くなります5。
自立訓練(機能訓練・生活訓練)#
自立訓練は定員規模のみで単位数が決まります(評価点・工賃月額による区分はありません)6。
| 定員 | 1日あたりの単位数(就労定着者1人分) |
|---|---|
| 20人以下 | 57単位 |
| 21〜40人 | 25単位 |
| 41〜60人 | 14単位 |
| 61〜80人 | 10単位 |
| 81人以上 | 7単位 |
生活介護#
生活介護は定員規模のみで単位数が決まります。令和6年度改定で基本報酬の定員区分細分化に合わせ、8段階に変更されました7。
| 定員 | 1日あたりの単位数(就労定着者1人分) |
|---|---|
| 20人以下 | 42単位 |
| 21〜30人 | 20単位 |
| 31〜40人 | 18単位 |
| 41〜50人 | 14単位 |
| 51〜60人 | 10単位 |
| 61〜70人 | 8単位 |
| 71〜80人 | 7単位 |
| 81人以上 | 6単位 |
令和8年度の見直し(令和8年4月施行)#
見直しの背景#
就労移行支援体制加算について、同一の利用者がA型事業所と一般企業の間で複数回の離転職を繰り返し、その都度加算を算定する事例が報道されていました8。制度本来の趣旨に沿った運用を確保するため、令和8年4月から以下の2つの適正化措置が施行されています。
適正化措置の内容#
算定制限の例外#
過去3年間の算定制限には例外が設けられています。以下に該当する場合は、市町村長が適当と認めれば算定が可能です2。
- ハラスメントなどやむを得ない事情により退職した場合
- その他、市町村長が適当と認める場合
Q&A:よくある疑問#
Q1. 同一の利用者で離転職を繰り返した場合、複数回算定できますか?#
できません。 就労継続支援事業所は、利用者の能力や適性を把握した上で一般就労への移行支援を行うものです。同一の利用者について、事業所の利用と一般企業への就職を繰り返し、その都度加算を算定することは、制度の趣旨に沿いません9。
就労継続支援事業所の利用者について就労移行支援体制加算の算定の対象とすることが適切であるか否かは、利用者本人の意向に加え、一般就労後の離職の経緯も含めて本人の状況を適切にアセスメントした上で判断すべきものである。 — 令和6年度報酬改定Q&A Vol.7 問1
Q2. 他の事業所での算定実績も確認が必要ですか?#
必要です。 令和8年4月以降、同一事業所だけでなく、他の事業所における過去3年間の算定実績も確認対象です。指定権者は、利用者本人や関係機関等からも情報を収集し、総合的に算定の可否を判断します9。
届出・審査の実務フロー#
令和8年4月以降、就労移行支援体制加算の算定にあたっては以下の手続きが必要です10。
図: 就労移行支援体制加算の届出・審査フロー
国保連システムによる自動チェック(令和8年6月以降)#
令和8年6月以降、国保連のシステムにおいて以下の自動チェックが実施されます10。
- 加算の算定実績数が事業所の定員数を上回っている場合 → 警告が表示
- 実績と台帳情報が一致しない場合 → エラーが表示
- 市町村は警告・エラーの内容を確認し、必要に応じて事業所に修正・返還を求める
まとめ#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象サービス | 就労継続支援A型・B型、生活介護、自立訓練 |
| 算定条件 | 利用者が企業等に就労し、6か月以上雇用を継続 |
| R8見直し① | 年間算定上限 = 事業所の定員数 |
| R8見直し② | 過去3年間の算定実績がある利用者は原則算定不可 |
| 届出 | 「就労移行支援体制加算に関する届出書」の提出が必要 |
| 施行日 | 令和8年4月(システムチェックは令和8年6月から) |