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障害福祉サービスの法人設立ガイド|株式会社・合同会社・NPO法人・社福の選び方

公開: 2026年7月1日更新: 2026年7月1日

障害福祉サービス事業に必要な法人格#

障害福祉サービスの事業者指定を受けるためには、法人格を有していることが前提条件です1。個人事業主では指定を受けることができません。

利用できる法人形態は主に以下の5種類で、それぞれに特徴があります。

法人形態設立費用(目安)設立期間営利/非営利適している事業者
株式会社約25万円2〜3週間営利資金調達を重視する事業者
合同会社約10万円1〜2週間営利少人数で迅速に立ち上げたい事業者
一般社団法人約12万円2〜3週間非営利(可)社会的信用を重視する事業者
NPO法人約0円3〜6か月非営利地域密着・ボランティア基盤の事業者
社会福祉法人高額6か月〜1年非営利大規模施設運営・税制優遇を求める事業者

※ 設立費用は目安であり、専門家への依頼費用や実費等によって変動します。以下に記載する登録免許税・定款認証費用は法定金額です。


株式会社#

メリット#

  • 信用力が高い:金融機関からの融資を受けやすい
  • 資金調達の柔軟性:増資や株式発行が可能
  • 設立が比較的早い:2〜3週間で設立可能
  • 知名度が高い:一般にも馴染みのある法人形態

デメリット#

  • 設立費用が高め:定款認証(約5万円)+登録免許税(15万円)+その他で目安は約25万円
  • 決算公告義務がある
  • 法人税が課税される(非営利法人と比較して税制面で不利な場合がある)

設立の流れ#

  1. 定款の作成
  2. 公証人による定款認証(電子認証で約3.2万円)
  3. 資本金の払込み
  4. 法務局への設立登記申請
  5. 税務署・年金事務所等への届出

合同会社(LLC)#

メリット#

  • 設立費用が安い:定款認証不要、登録免許税6万円で合計の目安は約10万円
  • 設立が最も早い:1〜2週間で設立可能
  • 運営の自由度が高い:定款で柔軟に意思決定方法を定められる
  • 決算公告義務がない

デメリット#

  • 社会的な認知度がやや低い
  • 社員(出資者)の変更手続きが複雑
  • 上場できない(将来の大規模な資金調達には不向き)

こんな事業者におすすめ#

  • 少人数(1〜3名)の発起人でスピード重視の立ち上げ
  • 初期費用を抑えたい場合
  • 就労継続支援B型の小規模事業所など

一般社団法人#

メリット#

  • 非営利法人としての信用力:行政や地域からの信頼を得やすい
  • 設立が比較的容易:設立時社員2名以上で設立可能
  • 運営の柔軟性:定款で幅広い事業目的を設定可能

デメリット#

  • 出資の概念がない:基金制度はあるが、株式のような仕組みがない
  • 非営利型の要件を満たさないと税制優遇が受けられない

非営利型の要件#

税制優遇を受けるためには、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 非営利性が徹底された法人:剰余金の分配を行わない旨の定款規定等
  • 共益的活動を目的とする法人:会員の共通利益を図る活動を主目的とする

NPO法人(特定非営利活動法人)#

メリット#

  • 設立費用がほぼ不要:登録免許税が非課税
  • 社会的信用度が高い:非営利活動の認証を受けた法人
  • 税制優遇:収益事業以外は法人税非課税
  • 補助金・助成金の対象になりやすい

デメリット#

  • 設立に時間がかかる:所轄庁の認証手続きに3〜6か月
  • 設立時に10名以上の社員が必要
  • 所轄庁への報告義務:毎年度の事業報告書等の提出
  • 意思決定に時間がかかる場合がある(社員総会での議決が必要)

設立の流れ#

  1. 設立趣旨書・定款等の作成
  2. 設立総会の開催
  3. 所轄庁(都道府県 or 政令市)への認証申請
  4. 縦覧期間(1か月)
  5. 認証決定(申請から3〜4か月)
  6. 法務局への設立登記

社会福祉法人#

メリット#

  • 最も高い社会的信用力:行政からの信頼が最も高い
  • 大幅な税制優遇:法人税・固定資産税・不動産取得税等が非課税
  • 施設整備補助金の対象になりやすい
  • 措置費事業(行政からの委託事業)を受けやすい

デメリット#

  • 設立要件が非常に厳しい:資産要件(1,000万円以上等)、評議員会の設置等
  • 設立に時間がかかる:所轄庁との協議に6か月〜1年以上
  • 運営の自由度が低い:社会福祉法による厳格な規制
  • 役員報酬の制限:不当に高額な報酬は認められない

こんな事業者におすすめ#

  • 入所施設や大規模な通所施設の運営
  • 長期的に安定した事業基盤を築きたい場合
  • 行政との関係を重視する場合

法人形態の選び方フローチャート#

判断基準#

以下の優先順位で法人形態を選択することを推奨します。

1. スピード重視 + 低コスト合同会社(1〜2週間、目安約10万円)

2. 信用力重視 + 融資を活用株式会社(2〜3週間、目安約25万円)

3. 非営利の信用力 + 比較的早い設立一般社団法人(2〜3週間、目安約12万円)

4. 設立費用ゼロ + 地域ネットワークありNPO法人(3〜6か月、約0円)

5. 大規模施設 + 税制優遇最大化社会福祉法人(6か月〜1年、高額)


定款作成の注意点#

事業目的の記載#

どの法人形態であっても、定款の事業目的に以下の記載が必要です。

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」

自治体によっては、具体的なサービス名(例:「就労継続支援A型事業」)の記載を求める場合があります。事前相談時に確認してください。

将来の事業拡大を見据えた記載#

開業時は1種類のサービスのみでも、将来の多機能型への移行や新サービスの追加を見据えて、幅広い事業目的を記載しておくと、定款変更の手間を省けます。


よくある質問#

Q. 障害福祉サービスに最も多い法人形態は?#

厚生労働省の調査によると、障害福祉サービス事業所の法人形態は**営利法人(株式会社・合同会社)**が最も多く、次いでNPO法人、社会福祉法人の順となっています。近年は合同会社での参入が増加傾向にあります。

Q. 法人形態によって指定の審査基準は変わりますか?#

法人形態による審査基準の違いはありません。株式会社でもNPO法人でも、人員・設備・運営の基準を満たせば指定を受けられます。

Q. 既存の法人で新たにサービスを追加する場合は?#

定款の事業目的に該当するサービスが記載されていれば、法人の変更は不要です。記載がない場合は定款変更の手続きが必要となります。


Footnotes#

  1. 厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)