短期入所の緊急短期入所受入加算は、介護者の急病などで緊急に短期入所を受け入れた日から、7日(やむを得ない事情がある場合は14日)を限度に、福祉型なら**(Ⅰ)270単位**、医療型なら**(Ⅱ)500単位**を1日につき加算するものです1。令和6年度改定で(Ⅰ)は180単位から270単位に引き上げられました2。
「緊急」の定義は留意事項通知にあり、利用開始日の前々日・前日・当日に事業所へ利用の連絡があった利用者が対象です3。あわせて、緊急の受入れで定員を超えた場合の**定員超過特例加算(50単位・10日を限度)**と、満床でも居室以外で受け入れられるというQ&Aの取扱い(居室の弾力的利用)を本記事で整理します。基本報酬の類型は短期入所の基本報酬一覧を参照してください。
全体像#
| 加算 | 単位数 | 対象の基本報酬 | 期間 | 誰に算定するか |
|---|---|---|---|---|
| 緊急短期入所受入加算(Ⅰ) | 270単位・日 | 福祉型短期入所サービス費・共生型短期入所サービス費 | 緊急に受け入れた日から7日(やむを得ない事情があれば14日) | 緊急利用者のみ |
| 緊急短期入所受入加算(Ⅱ) | 500単位・日 | 医療型短期入所サービス費・医療型特定短期入所サービス費 | 同上 | 同上 |
| 定員超過特例加算 | 50単位・日 | 全類型 | 緊急に受け入れた日から10日 | 利用者全員 |
サービスコードは緊急短期入所受入加算(Ⅰ)が24-6605、(Ⅱ)が24-6606、定員超過特例加算が24-5921です4。
名前の似た「緊急時受入加算」は生活介護等の通所系サービスの加算で、短期入所の緊急短期入所受入加算とは別の加算です2。
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緊急短期入所受入加算(Ⅰ)(Ⅱ)#
告示の要件#
| (Ⅰ) | (Ⅱ) | |
|---|---|---|
| 算定している基本報酬 | 福祉型短期入所サービス費(福祉型強化・強化特定を含む)または共生型短期入所サービス費 | 医療型短期入所サービス費または医療型特定短期入所サービス費 |
| 対象者 | 緊急に指定短期入所を受ける必要がある者 | 同左 |
| 理由 | 居宅においてその介護を行う者の急病等の理由により、指定短期入所を緊急に行った場合 | 同左 |
| 期間 | 緊急に行った日から起算して7日。利用者の日常生活上の世話を行う家族の疾病等やむを得ない事情がある場合は14日を限度 | 同左 |
「緊急利用者」の定義(留意事項通知)#
(Ⅰ)は緊急利用者を受け入れたときに、その緊急利用者のみに加算します。「緊急利用者」とは、次の2つを満たす利用者です3。
- 介護を行う者が疾病にかかっていることその他やむを得ない理由により、居宅で介護を受けることができない
- 利用を開始した日の前々日、前日または当日に、当該事業所に利用の連絡があった
新規の利用者に限らず、すでにその事業所で緊急短期入所受入加算の算定実績がある利用者も対象です3。
「やむを得ない理由」の例#
平成30年度のQ&Aでは、次のような事例が挙げられ、最終的には利用者や家族の状況を踏まえて市町村が判断するとされています6。
- 介護をしていた親が急病や事故により、長期間入院することとなった場合
- 介護をしていた親が長期出張等のため、一定期間介護が難しくなった場合
- 虐待の恐れがあり帰宅に時間を要する場合
- 大規模災害により避難し帰宅に時間を要する場合
7日を超えて14日まで算定する条件#
算定対象期間は原則7日以内です。利用者の介護を行う家族等の疾病が当初の想定を超えて長期に及び在宅復帰が困難になったなど、やむを得ない事情により7日以内に適切な方策が立てられない場合は、その状況を記録した上で14日を限度に引き続き算定できます3。
ただし、利用者負担の軽減に配慮する観点から、機械的に加算を継続するのではなく、随時、適切なアセスメントによる代替手段の確保等を検討することが求められています3。
事業所に求められる対応#
| 項目 | (Ⅰ)福祉型 | (Ⅱ)医療型 |
|---|---|---|
| 記録 | 緊急利用した者の利用の理由、期間、緊急受入れ後の対応などを記録 | 同左 |
| 受入れが困難な場合 | すでに緊急利用者を受け入れているために受入れが困難な場合は、別の事業所を紹介するなど適切に対応 | ― |
| 相談支援との連携 | ― | 利用者が速やかに居宅生活に復帰できるよう、一般相談支援・特定相談支援・障害児相談支援事業所と密接に連携して相談 |
| 窓口・空床情報 | ― | 相談支援事業所や近隣の事業所と情報共有に努め、緊急的な利用ニーズの調整を行う窓口を明確化。ホームページや基幹相談支援センターへの情報提供等で空床情報を公表するよう努める |
定員超過特例加算(50単位・10日を限度)#
告示と留意事項の要件#
緊急利用者を受け入れ、かつ、運営規程に定める利用定員を上回る利用者に短期入所を行った場合に、利用者全員につき1日50単位を、10日を限度に算定します17。「緊急利用者」の定義は緊急短期入所受入加算と同じ(やむを得ない理由+前々日・前日・当日の連絡)です7。
定員超過特例加算を算定している間は、定員超過減算(70%)と大規模減算(90%)は適用しません17。
Q&Aの取扱い#
| 問い | 答え |
|---|---|
| 緊急受入れで定員超過になり加算を算定したが、翌日に別の利用者が退所して解消。2日後に予約していた利用者を受け入れて再び定員超過になった | 緊急の受入れを行った日から起算して10日以内で、緊急の受入れが要因となって定員超過となっている場合は算定できる |
| 緊急受入れ1人に加えて、もともと予定されていた利用者2人の受入れがあり、合計2人定員を超過した | 緊急の受入れを要因としない定員超過が生じている場合は、定員超過特例加算は算定できず、定員超過減算の適用になる |
| 算定できる期間の具体的な取扱い | 緊急利用を行った利用者ごとに、緊急利用を行った日から10日を限度に算定できる |
居室の弾力的利用(満床でも受け入れられるか)#
ベッドが満床でも、介護者が急病や事故で長期間入院することになった等の理由で受け入れる場合は、一時的かつ限定的な取扱いとして、利用者へのサービス提供に十分配慮し、支障がないことをもって、必ずしも居室でなくても受け入れることが可能です6。
ただし、これは緊急時の例外的な取扱いです。基準省令上、短期入所の居室は併設本体施設等の利用されていない居室を用いるのが原則で、併設事業所が本体施設の設備を共用できるのは居室を除く設備に限られます8。満床時の受入れを常態化させるのではなく、受入れ後は定員超過特例加算の10日以内に、相談支援事業所と連携して他の事業所や居宅生活への移行を調整してください37。
地域生活支援拠点等との関係#
市町村により地域生活支援拠点等として位置付けられた短期入所事業所は、利用開始日に100単位を加算でき、さらに関係機関との連携・調整に従事する者を配置して、医療的ケア児者・重症心身障害児者・行動関連項目10点以上の者等を支援した場合は200単位を加算できます19。緊急短期入所受入加算とは別の加算で、拠点等の事業所が緊急に受け入れた日は、要件を満たせば両方を算定できます。
拠点等の位置付けは、事業所が市町村に届出等を提出し、市町村から通知等で確認を受けた上で、運営規程に定めます910。位置付けの有無は所在する市町村に確認してください6。
計算例#
その他地域(1単位10.00円)の福祉型短期入所事業所(利用定員10人・利用中10人)で、区分5の利用者を母親の急病により当日連絡で受け入れ、7日間利用し、他に定員を超える要因がない場合13711。
| 項目 | 算定 | 単位数 |
|---|---|---|
| 福祉型短期入所サービス費(Ⅰ)区分5 | 784単位×7日 | 5,488単位 |
| 緊急短期入所受入加算(Ⅰ) | 270単位×7日 | 1,890単位 |
| 定員超過特例加算(利用者全員) | 50単位×11人×7日 | 3,850単位 |
| 合計(当該利用者分) | 784+270+50=1,104単位×7日 | 7,728単位(77,280円) |
緊急利用者本人の7日間は、基本報酬5,488単位に加算2,160単位が上乗せされ、他の10人にも定員超過特例加算50単位が7日間付きます。1級地(短期入所の単価11.20円)なら270単位は3,024円/日です11。
よくある質問#
Q. 前日の連絡でも「緊急」になりますか#
なります。利用開始日の前々日・前日・当日のいずれかに事業所へ利用の連絡があり、介護者の疾病等やむを得ない理由で居宅で介護を受けられない利用者が緊急利用者です3。
Q. 以前にも緊急で利用した人を再び緊急で受け入れました。算定できますか#
できます。新規の利用者に限らず、すでに緊急短期入所受入加算の算定実績がある利用者も対象です3。
Q. 8日目以降も家族が退院できません#
やむを得ない事情により7日以内に適切な方策が立てられない場合は、状況を記録した上で14日を限度に算定できます。機械的に継続せず、代替手段の確保を随時検討してください3。
Q. 緊急利用者以外の利用者にも緊急短期入所受入加算を算定できますか#
できません。(Ⅰ)は緊急利用者のみに加算します。利用者全員に算定できるのは、定員を超えた場合の定員超過特例加算(50単位)です37。
Q. 満床ですが、緊急の受入れを断れません#
介護者の急病等の理由であれば、一時的かつ限定的な取扱いとして、サービス提供に支障がないことを確認した上で、居室以外で受け入れることができます6。
Q. 定員超過特例加算を算定している間、定員超過減算はどうなりますか#
適用されません。大規模減算(90%)も適用しません。ただし、緊急の受入れを要因としない定員超過が生じている場合は、特例加算を算定できず定員超過減算になります67。
Q. 緊急時受入加算と緊急短期入所受入加算は同じですか#
違います。緊急時受入加算は生活介護等の通所系サービスで、地域生活支援拠点等に位置付けられた事業所が夜間に支援を行った場合の加算(100単位)です。短期入所の緊急受入れは緊急短期入所受入加算(Ⅰ)270/(Ⅱ)500単位です12。
制度上の根拠#
- 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第7の9 緊急短期入所受入加算、第7の10 定員超過特例加算、第7の1の注15の8(地域生活支援拠点等の加算)1
- 告示556 六(緊急短期入所受入加算・定員超過特例加算の対象者)5
- 留意事項通知 短期入所サービス費 ⑨地域生活支援拠点等である場合の加算(p.156〜157)9、⑳緊急短期入所受入加算の取扱い(p.164〜165)3、㉑定員超過特例加算の取扱い(p.166)7
- 平成30年度報酬改定Q&A VOL.1 問17〜20(緊急時受入・対応機能)6
- 基準省令(平成18年厚生労働省令第171号)第117条8、告示551 第七号ニ10
- 令和6年度報酬改定の主な改定内容(p.2・p.22)2
- サービスコード表(令和8年6月施行版)分冊2 短期入所(p.2)4、単価告示(平成18年厚生労働省告示第539号)11
Footnotes#
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第7の9・第7の10・第7の1注15の8 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
-
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の主な改定内容」p.2(緊急短期入所受入加算(Ⅰ)180単位⇒270単位)、p.7(通所系サービス 緊急時受入加算【新設】100単位/日)、p.22(見直し後 福祉型270単位/日、医療型500単位/日) (https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
厚生労働省「令和6年度 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」第二の2(7)短期入所サービス費 ⑳緊急短期入所受入加算の取扱い(p.164〜165) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13
-
厚生労働省「介護給付費等単位数サービスコード表(令和8年6月施行版)」分冊2 短期入所 p.2(24-6605、6606、5921) (https://www.mhlw.go.jp/content/001696434.pdf) ↩ ↩2
-
厚生労働省「厚生労働大臣が定める者並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める者」(平成18年厚生労働省告示第556号)六 (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8509&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2
-
厚生労働省「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A VOL.1」(平成30年3月30日)問13・問17〜問20(p.7〜9) (https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000202216.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
同通知 ㉑定員超過特例加算の取扱い(p.166) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
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厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第117条 (https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171) ↩ ↩2
-
同通知 ⑨地域生活支援拠点等である場合の加算について(p.156〜157) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3
-
厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める施設基準」(平成18年厚生労働省告示第551号)第七号ニ (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8504&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2
-
厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準第一条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成18年厚生労働省告示第539号) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8493&dataType=0&pageNo=1) ↩ ↩2 ↩3
