就労定着支援の基本報酬と定着率による報酬区分を徹底解説

公開: 2026年6月30日更新: 2026年7月19日

就労定着支援とは — サービスの概要#

就労定着支援は、障害福祉サービスを利用して一般就労に移行した障害者に対して、就労に伴う生活面の課題を解決し、職場への定着を支援するサービスです1

就労移行支援や就労継続支援等を利用して企業等に就職した後、職場での人間関係、体調管理、生活リズムの維持、金銭管理など、就労に伴うさまざまな課題が発生します。就労定着支援では、これらの課題に対して企業・家族・医療機関等との連絡調整を行い、利用者の安定した就労継続を支援します。

利用対象者と利用期間#

項目内容
対象者就労移行支援等を利用して一般就労に移行した障害者
利用開始時期就職後6か月を経過した時点から(最初の6か月は就労移行支援事業所等がフォロー)
利用期間最大3年間(1年ごとに支給決定を更新)

基本報酬の仕組み — 定着率連動型#

就労定着支援の基本報酬は、事業所の就労定着率に応じて区分が決まる成果連動型の報酬体系です。定着率が高い事業所ほど高い報酬が設定されています1

就労定着率の定義#

就労定着率は、過去3年間の就労定着支援の利用者のうち、支援終了時点で就労を継続していた者の割合で算出します2

定着率 = 支援終了時に就労継続していた者の数 ÷ 過去3年間の支援終了者総数

報酬区分と定着率#

区分就労定着率単位数(1月)
(一)9割5分以上3,512
(二)9割以上9割5分未満3,348
(三)8割以上9割未満2,768
(四)7割以上8割未満2,234
(五)5割以上7割未満1,690
(六)3割以上5割未満1,433
(七)3割未満1,074

基本報酬の単位数(1月あたり)#

就労定着支援の基本報酬は1月あたりの月額算定で、事業所の**就労定着率(7区分)**によって単位数が決まります。前区分の表のとおり、就労定着率9割5分以上の(一)=3,512単位が最も高く、3割未満の(七)=1,074単位が最も低い設定です1

就労定着率 = 過去3年度間に就労定着支援を受けた後に一定期間就労を継続している者の数 ÷ 過去3年度間に就労定着支援を受けた者の数、で算出します2

※ 就労定着支援の基本報酬は「利用年数」によって区分が変わる仕組みではありません(区分を分けるのは就労定着率のみ)。利用者ごとの支援は最大3年間ですが、事業所に適用される報酬区分は、事業所全体の定着率実績で毎年度決まります。

新規事業所の取扱い#

就労定着支援事業所の開設当初は、定着率の実績がありません。この場合、以下の経過措置が適用されます2

  • 開設当初 — 定着率の実績がないため、みなしの区分により算定します(具体的な取扱いは報酬告示・留意事項通知および指定権者の運用によります)
  • 実績蓄積後 — 過去3年度間の就労定着率の実績に基づき区分を判定します

主な加算#

就労定着支援で算定できる主な加算は以下のとおりです1

加算名単位数算定単位概要
初期加算30単位1日につき利用開始から30日以内
ピアサポート実施加算100単位1月につきピアサポーターによる支援
処遇改善加算基本報酬の一定割合1月につき区分に応じた加算率

実務上の注意点#

月1回以上の対面支援#

就労定着支援では、利用者に対して月1回以上の対面による支援(職場訪問または事業所での面談)を実施することが求められます。対面支援を実施しなかった月は、基本報酬を算定できない場合があります2

企業との連携記録#

就労定着支援の中核は、利用者・企業・家族等との連絡調整です。以下の記録を整備してください。

  • 企業訪問の日時・対応者・協議内容
  • 利用者との面談記録(本人の状態、課題、今後の方針)
  • 関係機関(医療機関、障害者就業・生活支援センター等)との連携記録

利用期間の管理#

就労定着支援の最大利用期間は3年間です。支給決定は1年ごとに更新されるため、更新手続きのスケジュール管理を徹底してください。3年の利用期間終了後は、障害者就業・生活支援センター等の地域の支援機関に引き継ぐことが想定されています2


就労移行支援との関係#

就労定着支援事業所は、就労移行支援事業所が一体的に運営するケースが多く見られます。就労移行支援で一般就労に移行した利用者を、そのまま就労定着支援で継続的にフォローする体制です。

この一体的運営には以下のメリットがあります。

  • 利用者との信頼関係が継続される
  • 就労移行支援時のアセスメント情報を活用できる
  • 就労移行支援の就職実績が就労定着支援の利用者確保につながる
  • 事業所全体の収益が安定する

よくある質問#

Q. 就労定着支援はいつから利用できますか?#

一般就労に移行した後、最初の6か月間は就労移行支援事業所等による定着支援が行われます。就労定着支援は、就職後6か月を経過した時点から利用を開始できます2

Q. 就労定着支援の利用者が離職した場合の取扱いは?#

利用者が離職した場合は、再就職に向けた支援(ハローワークとの連携、就労移行支援事業所への再利用調整等)を行うことも就労定着支援の範囲に含まれます。ただし、離職後の支援が長期化する場合は、就労移行支援への切替えを検討する必要があります2

Q. 就労継続支援A型での就労は「一般就労」に含まれますか?#

含まれません。就労定着支援の対象は、雇用契約に基づく企業等での就労に移行した障害者です。就労継続支援A型は福祉サービスであり、一般就労には該当しません2

Q. 定着率が低い場合に改善する方法はありますか?#

定着率は過去3年間の実績で算出されるため、直近の年度で定着実績を積み上げることが重要です。具体的には、企業との定期的な連絡調整の強化、利用者の生活面の課題への早期介入、ジョブコーチ等の専門職との連携が効果的です。


Footnotes#

  1. 厚生労働省「令和8年6月施行 障害福祉サービス費等の報酬算定構造」 2 3 4

  2. 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに留意すべき事項等について」(留意事項通知) 2 3 4 5 6 7 8

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