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【2025年度】障害福祉サービス「地域移行加算」で報酬UP!算定要件を解説

更新: 2026年2月26日

【2025年度】障害福祉サービス「地域移行関連加算」で報酬UP!算定要件を解説#

就労継続支援A型・B型事業所の経営者、管理者、サービス管理責任者の皆様、いつも事業運営にご尽力いただきありがとうございます。

2024年度(令和6年度)の障害福祉サービス等報酬改定では、地域移行支援の推進が引き続き重要なテーマとして位置づけられ、地域移行を促進するための加算が見直されました。これは、施設入所や長期入院をされている障害のある方々が、地域社会で安心して自立した生活を送れるよう支援する事業所を、報酬面で高く評価しようとするものです。

この記事では、2025年度も適用される、主に就労継続支援事業所が算定可能な**「移行準備支援体制加算」**を中心に、地域移行支援の概要、そして実務上のポイントを詳しく解説します。これらの加算を適切に活用することで、事業所の経営安定化だけでなく、利用者の皆様のより豊かな地域生活実現に貢献できることでしょう。


1. なぜ今、地域移行支援が重要なのか?#

地域移行支援とは、障害者支援施設等に入所されている方や、精神科病院に長期入院されている方が、地域での生活へ移行するにあたって提供される一連の支援を指します。

1-1. 支援の目的#

この支援の最大の目的は、住み慣れた地域での生活を希望する障害のある方々が、その望みを叶えられるよう、多機関が連携してサポート体制を構築することです。単に住まいを見つけるだけでなく、地域生活に順応し、安定して暮らしていくための総合的な支援が求められています。

1-2. 就労継続支援事業所の役割#

就労継続支援A型・B型事業所は、日中の活動の場として、利用者の地域生活における中心的な役割を担います。そのため、地域の相談支援事業所と連携し、利用者の意向に沿った地域移行をサポートすることが期待されています。今回解説する**「移行準備支援体制加算」**は、まさにその役割を評価するものです。

1-3. 支援の対象となる利用者#

原則として、以下のいずれかの要件を満たす方が対象となります。

  • 障害者支援施設等に入所している方: 障害者支援施設、のぞみの園、救護施設、更生施設などに入所している方1
  • 精神科病院に入院している方: 精神科病院に入院している精神障害者で、直近の入院期間が1年以上の者が中心ですが、1年未満であっても措置入院者や医療保護入院者で住居確保等の支援が必要な者、入院の長期化が見込まれる者なども対象となります2
  • その他: 矯正施設等を退所する障害のある方など、市町村が地域生活への移行が必要と認める特定の状況にある方。

2. 【2025年度版】就労継続支援事業所が算定できる「移行準備支援体制加算」#

2024年度報酬改定で創設されたこの加算は、施設入所者等が地域生活へ移行する際の準備を、関係機関と連携して支援する体制を評価するものです。

2-1. 移行準備支援体制加算(Ⅰ)#

  • 算定要件:
    1. 地域生活を希望する施設入所者等に対し、個別支援計画に基づき、指定特定相談支援事業者(※後述)等との連携のもとで支援を行うこと。
    2. 利用者が入所(入院)する施設(病院)を職員が訪問し、本人および関係者との調整会議に参加すること。
    3. 地域生活支援の経験を有する職員を配置し、その旨を公表していること。
  • 単位数: 100単位/回(利用者の入所(入院)する施設を訪問し、調整会議に参加した場合に、年4回を限度に算定)

2-2. 移行準備支援体制加算(Ⅱ)#

  • 算定要件:
    1. 移行準備支援体制加算(Ⅰ)を算定している利用者が、地域生活への移行に向けて体験的な利用(宿泊を伴うものを含む)を行う際に、必要な相談援助等の支援を行うこと。
    2. 体験利用の期間中、少なくとも1回は利用者の状況把握や相談援助を行うこと。
  • 単位数: 200単位/日(体験利用を行った場合に、1年度に30日を限度に算定)

2-3. 人員体制要件#

加算を算定するには、地域生活支援の経験を有する職員(例: 相談支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、または地域移行・地域定着支援に従事した経験が1年以上ある者など)を配置する必要があります。

  • 兼務の可否: サービス管理責任者や生活支援員が兼務することも可能ですが、その場合、通常の業務に加えて地域移行支援の業務を十分に遂行できる体制が求められます3

3. 地域移行を支える多機関連携の仕組み#

地域移行支援は、就労継続支援事業所単独で完結するものではありません。特に、指定特定相談支援事業所が担う役割は非常に重要です。

3-1. 指定特定相談支援事業所の役割#

相談支援事業所は、利用者のサービス等利用計画を作成する中心的な機関です。地域移行においては、**「地域移行支援」**という専門サービスを提供し、全体のコーディネートを行います。

彼らが算定する報酬には、以下のようなものがあります。就労継続支援事業所が直接算定するものではありませんが、連携する上で知っておくことが重要です。

  • 地域移行支援サービス費: 地域移行支援計画の作成、関係機関との調整、体験利用・宿泊の支援などを包括的に評価する基本報酬。
  • 退院・退所月加算: 利用者が地域生活へ移行した月に算定される加算(例: 2,700単位/月)1
  • 初回加算: 利用開始月に算定される加算(例: 500単位/月)4
  • 集中支援加算: 家族への集中的な支援等を行った場合に算定される加算(例: 500単位/月)4

3-2. 連携のイメージ(フローチャート)#

就労継続支援事業所と相談支援事業所がどのように連携して利用者を支援するのか、その流れを図で示します。

図: 地域移行支援における連携フロー


4. 算定のための実務ポイント#

4-1. 事業所内体制の構築#

  • 担当者の明確化: 加算の要件である「地域生活支援の経験を有する職員」を明確にし、役割と責任を定めます。
  • 職員研修の実施: 地域移行支援に関する制度、地域の社会資源、相談援助技術などを習得するための研修を実施します。
  • 情報共有体制の確立: 事業所内で利用者の地域移行に関する情報を共有し、全職員でサポートする体制を整えます。

4-2. 相談支援事業所との密な連携#

  • 計画段階からの連携: 地域移行の意向のある利用者について、早い段階から相談支援専門員と情報共有し、サービス等利用計画と個別支援計画の整合性を図ります。
  • 定期的な連絡調整会議への参加: 加算(Ⅰ)の要件でもある調整会議に積極的に参加し、支援方針の協議や課題解決に努めます。

4-3. 地域資源の開拓と連携強化#

  • 居住支援機関との連携: 地域で住まいを確保するために、居住支援法人や不動産事業者とのネットワークを構築します。
  • 医療機関・行政機関との連携: 精神科病院からの退院支援や、市町村の担当部署との連携を密にし、必要な支援や制度の活用に繋げます。

4-4. 記録の徹底と管理#

加算の算定要件を満たしていることを証明するため、以下の記録を詳細かつ正確に残すことが不可欠です。

  • 個別支援計画: 地域移行に向けた目標、具体的な支援内容、担当者、相談支援事業所との連携方法などを明記。
  • 支援記録: 調整会議への参加(日時、場所、参加者、内容)、体験利用の支援内容など、いつ、誰が、誰に対し、どのような支援を、何のために行ったか、その結果どうだったかを具体的に記録します。
  • 利用者の同意書: 計画への同意、情報提供に関する同意書など。

5. よくある質問(FAQ)#

Q1: 就労継続支援A型・B型事業所でも、地域移行を支援する加算は算定できますか?#

A: はい、可能です。この記事で解説した**「移行準備支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)」**は、まさに就労継続支援事業所が、相談支援事業所等と連携して利用者の地域移行を支援する体制を評価する加算です。

Q2: どのような施設からの移行が主な対象ですか?#

A: 主に、障害者支援施設や精神科病院への長期入所・入院者が対象となります。救護施設や更生施設からの移行も含まれます。個別のケースについては、管轄の市町村や連携する相談支援事業所にご確認ください。

Q3: 地域移行後に利用者が事業所のサービスを継続しない場合でも加算は算定できますか?#

A: 移行準備支援体制加算は、地域移行の「準備段階」の支援を評価するものです。そのため、必ずしも移行後に当該事業所のサービスを継続することが要件ではありません。しかし、利用者が安定した地域生活を送れるよう、移行後も日中活動の場としてサポートを継続することが望ましいです。

Q4: サービス管理責任者が地域移行の業務を行うことは可能ですか?#

A: はい、可能です。サービス管理責任者は個別支援計画の作成等で中心的な役割を担うため、地域移行支援においても重要な役割を果たします。ただし、サビ管業務と兼務する場合は、それぞれの業務に支障が出ないよう、適切な業務配分と体制整備が不可欠です3

Q5: 2025年度に向けて特に注意すべき点は何ですか?#

A: 2024年度の報酬改定で、地域移行支援の「質」と「連携」への評価がより強化されました。単に地域へ送り出すだけでなく、利用者が地域で安定し、豊かな生活を送れるよう、多職種連携を深め、切れ目のない支援体制を構築することがこれまで以上に求められます。


まとめ

2024年度の報酬改定で新設・見直された地域移行関連加算は、就労継続支援A型・B型事業所にとって、報酬アップの機会であると同時に、利用者の地域生活実現に貢献する社会的使命を果たすための重要なツールです。

特に**「移行準備支援体制加算」**を積極的に活用することで、事業所の経営基盤を強化しつつ、利用者の皆様がより多くの選択肢の中から、自分らしい地域生活を送れるよう支援することができます。

本記事で解説した算定要件と実務ポイントを踏まえ、貴事業所における地域移行支援の体制強化と、質の高いサービス提供に繋げていただければ幸いです。不明な点があれば、速やかに管轄の自治体や相談支援事業所と連携し、適切な運用に努めましょう。


脚注

Footnotes#

  1. 横浜市「障害福祉情報サービスかながわ - 地域移行支援」(https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/fukushi-kaigo/fukushi/service/soudan.files/0412_20250910.pdf) 2

  2. 長崎市「精神科病院からの地域移行の取組に係る関係機関の役割について」(https://www.city.nagasaki.lg.jp/uploaded/attachment/45746.pdf)

  3. 横浜市「障害福祉情報サービスかながわ - 地域定着支援」(https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/fukushi-kaigo/fukushi/service/soudan.files/0413_20250910.pdf) 2

  4. 横浜市「障害福祉情報サービスかながわ - 相談支援の報酬について」(https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/fukushi-kaigo/fukushi/service/soudan.files/0404_20250723.pdf) 2

この記事を要約