【令和8年6月版】就労継続支援A型の基本報酬とスコア方式を徹底解説|7つの評価項目と配点

公開: 2026年6月30日更新: 2026年10月19日
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就労継続支援A型の基本報酬 — 制度の全体像#

就労継続支援A型の基本報酬はスコア方式で決定されます。事業所の経営状況や支援内容を7つの評価項目で点数化し、合計スコアに応じて報酬区分が決まる仕組みです1。

基本報酬を決定する3つの要素は以下のとおりです。

  • 人員配置区分: 職業指導員・生活支援員の配置割合(7.5:1 または 10:1)
  • 定員規模: 20人以下 / 21〜40人 / 41〜60人 / 61〜80人 / 81人以上
  • 評価点(スコア): 7項目の合計スコア(最大200点、最低-65点)

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スコア方式の7つの評価項目#

令和6年度の報酬改定で、従来の5項目から7項目に拡充されました。特に「生産活動」の配点が大幅に引き上げられ、新たに「経営改善計画」と「利用者の知識・能力向上」が追加されています2。

#評価項目配点範囲評価の観点
①労働時間5〜90点1日の平均労働時間
②生産活動-20〜60点生産活動収支と賃金総額のバランス
③多様な働き方0〜15点利用者の柔軟な働き方の整備状況
④支援力向上0〜15点職員の研修・外部連携等の取り組み
⑤地域連携活動0〜10点地元企業との連携・施設外就労等
⑥経営改善計画-50〜0点求められた計画を期日までに提出しない場合に減点
⑦利用者の知識・能力向上0〜10点一般就労に向けた支援の取り組み

⑥の経営改善計画は加点ではなく減点項目です。都道府県等から求められた計画を指定期日までに提出しないと50点の減点となり、スコアが大幅に低下します3。

令和6年度改定での主な変更点#

項目改定前(旧5項目)改定後(新7項目)
労働時間5〜80点5〜90点(引上げ)
生産活動5〜40点-20〜60点(減点あり・配点拡大)
多様な働き方0〜35点0〜15点(縮小)
支援力向上0〜35点0〜15点(縮小)
地域連携活動0〜10点0〜10点(変更なし)
経営改善計画—-50〜0点(新設)
利用者の知識・能力向上—0〜10点(新設)
合計(最大)200点200点
合計(最低)10点-65点

🧮 入力するだけで区分・単位数が分かる:就労継続支援A型 スコア方式シミュレータなら、7項目のスコアを入れるだけで合計点・報酬区分・基本報酬(単位/日)と「次の区分まであと何点か」を確認できます。

スコア別の報酬区分#

合計スコアに応じて、以下の7段階の報酬区分が適用されます4。

報酬区分スコア範囲
区分(一)170点以上
区分(二)150点以上170点未満
区分(三)130点以上150点未満
区分(四)105点以上130点未満
区分(五)80点以上105点未満
区分(六)60点以上80点未満
区分(七)60点未満

定員規模別の基本報酬単位数(1日あたり)#

以下は**サービス費(Ⅰ)(人員配置7.5:1以上)**の基本報酬です。スコアで決まる報酬区分(一〜七)と定員規模の組み合わせで単位数が決まります4。

報酬区分(スコア)20人以下21-40人41-60人61-80人81人以上
区分(一)170点以上791710672660641
区分(二)150点以上733656619609588
区分(三)130点以上701626590580559
区分(四)105点以上666594558547529
区分(五)80点以上533474445438422
区分(六)60点以上419373350344333
区分(七)60点未満325288271266258

※ 上表はサービス費(Ⅰ)(7.5:1以上)です。**サービス費(Ⅱ)(10:1以上)**はこれより低く、定員20人以下では区分(一)727/(二)671/(三)641/(四)608/(五)486/(六)382/(七)296単位です。指定障害者支援施設が行う場合はさらに別単価が設定されています。いずれもスコアによる区分(一〜七)の考え方は共通です4。

サービス費(Ⅱ)(人員配置10:1以上7.5:1未満)の全定員規模の単位数は以下のとおりです4。

報酬区分(スコア)20人以下21-40人41-60人61-80人81人以上
区分(一)170点以上727655613602583
区分(二)150点以上671604563552534
区分(三)130点以上641574535524507
区分(四)105点以上608543505495478
区分(五)80点以上486432403394381
区分(六)60点以上382341318311301
区分(七)60点未満296264246241232

単位は「単位/日」。区分(五)以下で単位数が大きく下がる(例:定員20人以下で区分(四)666→区分(五)533=▲133単位)のがA型スコア方式の特徴で、労働時間・生産活動のスコアが報酬に直結します4。

なお、地域のA型事業所の分布や各事業所の概要は、当社運営のはなえみ就労ナビ(例:東京都の就労継続支援A型事業所一覧)で都道府県別に確認できます。


各評価項目の詳細と算定方法#

① 労働時間(5〜90点)#

利用者の1日の平均労働時間に応じてスコアが付与されます。令和6年度改定で最高点が80点から90点に引き上げられ、長時間の労働を提供する事業所がより高く評価されます2。

前年度の実績に基づいて算出します。平均労働時間には休憩時間を含みません。

② 生産活動(-20〜60点)#

生産活動収入から必要経費を控除した額と、利用者の賃金総額との関係を評価します。令和6年度改定で最も大きく変更された項目で、配点が拡大されるとともにマイナス評価(減点) が導入されました2。

  • 生産活動収支が賃金総額を大きく上回る場合 → 高い加点
  • 生産活動収支が賃金総額を下回る場合 → 減点(最大-20点)

評価対象期間は前年度、前々年度、前々々年度の3年間です。

③ 多様な働き方(0〜15点)#

利用者の多様な働き方に関する就業規則等の整備状況を、次の8項目で各1点として評価し、合計5点以上で15点、3〜4点で5点、2点以下で0点です(毎年度4月1日時点の規定内容で評価)3。

  • 資格取得の支援制度
  • 利用者を事業所の職員として登用する制度
  • 在宅勤務制度
  • フレックス勤務制度
  • 短時間勤務制度
  • 時差出勤制度
  • 時間単位年休または年休の計画的付与
  • 傷病休暇制度

④ 支援力向上(0〜15点)#

職員の支援力向上のための取組実績を8項目で各1点として評価し、合計5点以上で15点、3〜4点で5点、2点以下で0点です3。項目には、たとえば次のものがあります。

  • 研修計画に基づく外部研修会・内部研修会(外部専門家を講師とするもの)への職員の参加
  • 研修・学会等・学会誌等での発表
  • 販路拡大のための商談会等への参加
  • 人事評価に基づく定期昇給の仕組みと基準の周知
  • 障害者ピアサポート研修修了者の配置
  • 第三者評価の受審と結果の公表
  • ISO等の認証の取得

⑤ 地域連携活動(0〜10点)#

地元企業と連携した高付加価値の商品開発、施設外就労等により働く場の確保等、地域と連携した取り組みの実績を評価します2。

⑥ 経営改善計画(-50〜0点)【令和6年度新設】#

経営改善計画の作成状況を評価する減点項目です2。以下の場合に減点されます。

  • 都道府県等から提出を求められた経営改善計画を、指定された期日までに提出していない場合:-50点
  • 期日までに提出した場合、提出を求められていない場合:0点

加点はありません3。令和6年度改定の概要は「経営改善計画に基づく取組を行っていない場合」の減点と説明していますが2、算定の通知が-50点とするのは期日までの未提出の場合です3。

⑦ 利用者の知識・能力向上(0〜10点)【令和6年度新設】#

利用者の知識及び能力の向上のための支援の取り組み状況を評価します2。一般就労への移行を促す観点から新設された項目で、具体的な支援の取り組みが求められます。


スコアの届出と自己評価の開示義務#

届出の手続き#

スコアに基づく報酬区分は、毎年度4月に届出を行い決定されます。届出にあたっては「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」(障発0330第5号)に基づき、各項目のスコアを算出します5。

自己評価の公表と、都道府県への届出#

令和6年度改定により、A型事業所はスコアの自己評価結果を公表する義務があります。利用者や関係機関が事業所の経営状況や支援の質を確認できるようにするための措置です2。公表は毎年度4月中に、原則として障害福祉サービス等情報検索ウェブサイトで行います。新規指定の事業所は、初年度(年度途中の指定は初年度と2年度目)はスコアを算出できないため、公表は要しません6。

公表するだけでは足りず、評価点の公表について都道府県に届出をしていないと、自己評価未公表減算になります。届出がされていない月から解消された月まで、利用者全員の所定単位数が100分の85になります。各種加算を加える前の所定単位数に85%を乗じます6。

年度途中に新規指定された事業所#

年度途中に新規指定された事業所の場合は、「生産活動」の実績にかかわらず、初年度及び2年度目は評価点が80点以上105点未満であるものとみなして基本報酬を算定します7。


令和8年6月臨時改定の影響#

令和8年6月施行の告示改正(令和8年度障害福祉サービス等報酬改定)で、就労継続支援A型の基本報酬(サービス費)の単位数を一律に引き上げる改定事項は確認できません。上の表の単位数は、報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第13の現行の規定どおりです4。

A型に関わる令和8年度の主な見直しは次のとおりです8。

  • スコア方式の構造(7項目・配点):改定事項として見直しは挙がっていない
  • 処遇改善加算:対象が福祉・介護職員のみから障害福祉従事者に拡大され、加算率が引き上げられる(令和8年6月施行)。生産性向上や協働化に取り組む事業者への上乗せ区分も設けられる
  • 就労移行支援体制加算:同一の利用者がA型事業所と一般企業の間で離転職を繰り返して加算が算定される事例を踏まえ、一事業所で算定できる年間の就職者数に上限(定員数まで)を設ける(令和8年4月施行)

スコアを最大化するための実務ポイント#

「労働時間」と「生産活動」が最重要#

スコア方式において配点が最も大きいのは「労働時間」(最大90点)と「生産活動」(最大60点)の2項目で、合計150点と全体の75%を占めます。

経営改善計画の減点を回避する#

⑥経営改善計画は加点項目ではありませんが、未対応の場合に最大50点の減点となるため、実質的に最も影響力の大きい項目です。計画書の提出と実施を確実に行うことが必須です。

③〜⑤と⑦の40点で差をつける#

多様な働き方(15点)、支援力向上(15点)、地域連携活動(10点)、利用者の知識・能力向上(10点)の合計40点は、取り組み次第で改善可能な領域です。

  • 短時間勤務・在宅勤務・時差出勤などの制度を就業規則等に定める
  • 職員の外部研修への参加記録の蓄積
  • 地域の企業や就労支援機関との連携協定の締結
  • 利用者向けの資格取得支援・一般就労に向けた研修の実施

注意すべき減算#

減算項目減算内容備考
人員欠如減算所定単位数の70%(3か月以上続くと50%、サービス管理責任者の欠如は5か月以上で50%)人員配置基準の未充足
個別支援計画未作成減算所定単位数の70%(2月目まで)/ 50%(3月以上)計画未作成・更新漏れ
身体拘束廃止未実施減算所定単位数の1%減算委員会未設置・指針未整備
虐待防止措置未実施減算所定単位数の1%減算令和6年度新設
BCP未策定減算所定単位数の1%減算令和6年度新設
情報公表未報告減算所定単位数の5%減算令和6年度新設
自己評価未公表減算所定単位数の85%(15%減算)評価点の公表について都道府県への届出がない月から解消月まで、利用者全員

よくある質問#

Q. スコアの評価対象期間はいつですか?#

原則として前年度の実績に基づいて算出します。ただし「生産活動」は前年度・前々年度・前々々年度の3年間の収支状況で評価されます。年度の切替え時(毎年4月)に新しいスコアで届出を行い、当該年度の報酬区分が決定されます5。

Q. 新規開設の事業所はスコアをどう算出しますか?#

開設1年度目は実績がないため、「生産活動」の実績にかかわらず所定の経過措置が適用されます。2年度目以降は1年度目の実績に基づいてスコアを算出します7。

Q. スコアが低い場合、年度途中に改善しても報酬は変わりますか?#

報酬区分は年度単位で決定されるため、年度途中のスコア改善は当該年度の報酬に反映されません。ただし、改善した実績は翌年度のスコア算出に反映されるため、中長期的な取り組みが重要です5。

Q. B型のように工賃月額方式は選択できますか?#

選択できません。就労継続支援A型はスコア方式のみが適用されます。B型のように複数の評価方式から選択する制度はA型にはありません2。

Q. 経営改善計画書を提出し忘れた場合どうなりますか?#

⑥経営改善計画で最大50点の減点が適用されます。合計スコアが大幅に下がり、報酬区分が2〜3段階低下する可能性があります。計画書の提出期限を確実に管理してください2。


Footnotes#

  1. 厚生労働省「令和8年6月施行 障害福祉サービス費等の報酬算定構造」 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001663319.pdf) ↩

  2. 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」p.30 (https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10

  3. 厚生労働省「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」(A型スコア留意事項通知・障発0330第5号、令和7年3月31日改正) 多様な働き方(8項目)・支援力向上のための取組(8項目)・経営改善計画(p.19) (https://www.mhlw.go.jp/content/001473459.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  4. 厚生労働省「令和8年度 障害福祉サービス費等の報酬算定構造(見直し箇所)」p.23-24 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001663319.pdf) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  5. 厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項」 (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf) ↩ ↩2 ↩3

  6. 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)別表 第13の1 注4(3) (https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1)/厚生労働省「令和6年度 費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項」就労継続支援A型 自己評価未公表減算(p.277) (https://www.mhlw.go.jp/content/001494356.pdf)/厚生労働省「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」(A型スコア留意事項通知)p.20-21(公表の時期・方法、新規指定の扱い) (https://www.mhlw.go.jp/content/001473459.pdf) ↩ ↩2

  7. 厚生労働省「令和6年度報酬改定Q&A Vol.2」問23 (https://www.mhlw.go.jp/content/001250243.pdf) ↩ ↩2

  8. 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」pp.3, 8 / 報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号)第13 就労継続支援A型 (https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001698008.pdf) ↩

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